2013年02月23日

本澤二郎の「日本の風景」(1288)

<新たな属国宣言か>
 「聖域なき関税撤廃に反対する」という安倍TPP参加シナリオは、実はワシントンが用意した体のいい“マジック”であった。23日の日米首脳会談で証明された。それは独立国の地位を放棄するような結果でもあった。いいかえると、安倍―オバマ会談は、安倍内閣の日本がワシントンの属国であることを、改めて宣言したようなものだ。およそ民主主義が想定する自立原則が欠落している。これは日本人のみならず、アジアの人々にも失望を与えるだろう。



<TPP参加へ財界歓迎>
 日本の新聞テレビはワシントンが用意した解説を、いつものように垂れ流した。それは「オバマの妥協で共同声明が出た」という調子である。ワシントンの対日調教師は胸を叩いて喜んだ。彼らの僕(しもべ)である外務省役人も。
 日本では財閥代表の米倉経団連会長が表情を崩した。財閥支配下のマスコミと官邸、そしてワシントンの共同で作成したシナリオが実現したことにもなろうか。。
<同盟強化は自立放棄>
 そもそも日米同盟の強化には、対等という国際原則が確立していない。ワシントンの一方的な意思に日本政府が従うというものだ。独立国が自立を放棄することで成り立つ。
 思い起こせば、大平内閣を継承した鈴木内閣は、日米同盟という用語を用いた外務省のトップを更迭した。それが当たり前の、当時としてはまともな日本の世論だった。日米同盟論が喧伝されるようになったのは、極右の中曽根内閣からである。
 リベラル政権は国としての誇りである自立・独立を重視する。右翼はその反対である。この1点からしても、今の日本右翼化がいかに厳しい局面を迎えているかを理解できるだろう。それは近隣外交の破綻をも物語っている。
<ワシントンのシナリオ通り>
 少しだけ思考を巡らせるだけで十分であろう。「聖域なし関税撤廃に反対する」という安倍の繰り返し議会発言が、その実、日本の議会・市民を騙すためのテクニックであったということが。
 このシナリオはワシントンの対日調教師のマイケル・グリーンらの作品であることが、容易に想定できる筆者である。こうした当たり前の政治分析をしない新聞テレビに、日本の悲劇が存在する。
 何のことはない。安倍は彼らの敷いたレールの上を歩くだけである。これが参勤交代で忠誠を尽くすだけの安倍外交の真実なのである。情けないし、哀れでもあろう。日本外交のレベルは低すぎまいか。
<脱亜入米でいいのか>
 日米同盟の強化は脱亜である。明治の福沢諭吉は、脱亜入欧に取りつかれた人物で知られてきた。当時、ロンドンの大英帝国が世界を席捲していたからだ。今は沈む太陽として久しい。
 アメリカはどうか。軍事面は突出しているが、経済面ではそのうち中国に追い抜かれる。背景にカジノ経済・金融経済の失敗がある。沈んだロンドンを後追いするワシントンである。人類共通の認識といっていいだろう。
 こうした場面にもかかわらず、安倍内閣は時代の流れに逆行しているのだ。時代は、米ソ2極構造から多極構造へと変遷している。ワシントンに近い中南米諸国には、以前から反米指導者が権力を掌握している。
 ワシントンはイスラム圏とも敵対している。目下、加えて中国封じ込めに躍起となっている。周囲に敵ばかりを構築している。さしずめ傷ついた狼の最期を印象付けている。TPPはいうなれば、そのための最後の布石であろう。自由貿易に反する戦略的な代物である。
 平和戦略とは異なる。中国と連携して共に繁栄しようという協定ではない。これが成功するはずもないだろう。
<軍事・経済でも中国けん制役>
 ワシントンには古くから緊張をばらまいて世界各国に武器弾薬を配って、莫大な利益を得てきたという実績がある。それは今も、である。軍拡競争がアメリカン経済を支えている。
 北アフリカだけではないだろう。東アジアだけでもない。日本に限っても、安倍内閣はそそくさと防衛費を増額させてワシントン入りした。韓国や台湾も軍拡に歩調を合わせている。ASEANも、である。
 北京の賢い舵取りも大事であろう。かつて俳優大統領のレーガンは、産軍体制の操り人形になってソ連との核軍拡競争に突っ込んだ。これにモスクワは応戦して自壊した。この教訓は今も生きているだろう。
 第2のソ連を標的にするワシントンと東京の戦略の一つがTPPでもあるのだ。こんな馬鹿げた不毛の争いに参画する安倍内閣でいいわけがない。
<第2の韓国化>
 日本は第2の韓国になってはならない。むろん、台湾のようにも。ワシントンの罠にはまってはなるまい。日本人とアジアを苦しめる野望に参加することがあってはならない。
 平和軍縮派の宇都宮徳馬は「アジアに立つ」(講談社)を執筆して、安倍の祖父・岸信介に立ち向かった。日本はアジアに立たねばならない。
2013年2月23日21時15分記


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