2014年04月18日

本澤二郎の「日本の風景」(1601)

<日本右傾化の背景と元凶>
 最近、隣人らとおしゃべりしていて感じることは、ごく普通の市民が右翼化、ナショナリズムに傾倒している危険な事態のことだ。彼らは天皇主義や神道・神社主義者でもない。それでいて、隣国の日本批判に激しい反発を示す。相手がどうして怒っているのか、という事情への配慮不足である。一言で言うと、歴史を知らないからである。隣国を旅しても、観光地巡りばかり。侵略史を裏付けている現地を見ていない。日本人のほとんどが、軽薄な隣人交流でしかないことを証明している。



<ドイツと異なる戦後教育>
 第一、安倍にしても南京や盧溝橋を見ていない。行こうとも考えない。隣人の働きかけも無かった。根本に戦後教育に重大な欠陥があった。ドイツとの相違である。
 歴史を知らない・教えなかった侵略史教育に、日本側に問題がある。だいたい政治家で南京を訪問して、大虐殺の現場に立ったものはわずかだ。土井たか子・鳩山由紀夫・野中広務くらいしか知らない。盧溝橋に行った者も少ない。せっかく北京を訪問したのだから1時間もかければ、現地に立つことが出来る。だが、行っても橋だけ見て、そばにある抗日戦争記念館を見学しない日本人観光客ばかりである。
 カネ儲けに専念する中国の旅行社も、記念館見学を薦めない。
 こんなレベルだから、ドイツの戦後教育と比較などできない。安倍ら極右の自民党政治屋は、日教組攻撃に余念がないが、肝心の教員でさえも歴史を知らない。知らないから教えられない。
 95年8月に50人の仲間を引率して南京と盧溝橋を旅した思い出があるが、その中に高校の歴史教師がいた。帰国後の感想文に彼は「これからは自信を持って教壇に立てる」と書いた。これはうれしかった。
 侵略史を教えられないまま教師になっているため、子供や学生に教えられないのである。ドイツではナチスを知らない者はいない。極右の中曽根康弘などは「日本はナチスと違う」と豪語していた。「日中戦争・日米戦争は侵略戦争ではない。自衛戦争だった」と信じこんでいる安倍である。
 だからこそ中曽根も安倍も、隣国や国際常識となっている、侵略戦争の震源地・靖国戦争神社参拝に狂奔するのであろう。ナチスにはこうした参拝場所は存在しない。敗戦処理の失敗である。
<憲法教育不在>
 日本人には当然のことながら、9条憲法を学び、教えることが、最も大事である。教育の基本である。ましてや世界に冠たる平和憲法である。これを知ることが、アジア・世界にとっても有益だからである。国際社会では、もちろんのこと、一番大事な信頼を確保することにもつながる。
 それでいて、日本の教師は国家の基本法・法治の根幹である憲法を、現場で教えてきていない。義務教育行政に重大な欠陥がある。憲法を知らない若者が、いまや老人社会を形成している日本である。戦争を知らない世代が、社会の中枢を占める日本である。

 侵略戦争を否定する人物が首相、その仲間で「従軍慰安婦はどこにもあった」と信じるモミイとかいう三井財閥代表が、いまやNHK会長である。ドイツ・欧米では空想さえ出来ない事態である。
<思いやり教育ゼロ>
 教育で大事なことは、他人に対する思いやりの心を育む。いじめ多発は学校だけではない。地域・職場などどこにも存在している。
 これの不足が日本人の信頼を損ねている。特に政治屋、保守派の政治屋に多い。リベラルの精神が欠落している。

 思いやりのある政治家を上げると、宇都宮徳馬や大平正芳である。他にもいるだろうが、日本では数少ない。極右人士の最大の欠陥である。思いやり教育ゼロの日本に課題がある。
<隣国の反発を認識できない>
 従って、隣人の思いが理解できない。理解しようとさえしない。「目には目を、歯に歯を」の闘いの論理を当然視する。これが蔓延する日本列島である。危険なナショナリズムの風潮を、いま巻き起こしている。
 安易に「戦争」という悪魔の言葉が、ごくありふれた日本人の口から飛び出すことになる。これが極右の狙いである。
 欧米のアジア戦略家は、これをよく悪用する。戦前のロンドンに次いで、今のワシントンの産軍体制下の謀略家の手口でもある。日本の極右は、この罠に喜んで飛び込んでしまう。
 隣国の怒りを逆手に用いてしまうのである。
<容易な情報操作・世論操作>
 日本人の集団主義は昔も今も変わらない。群れることが好きな民族である。新聞テレビの報道に容易に引っかかる。
 歴史を知らない日本人・思いやりのない日本人は、同時に思考しない日本人である。情報の操作に簡単に引っかかってしまう。産経・フジ・読売・日テレの政府宣伝とNHKの広報に多くの日本人は、身を任せてしまう。これが怖い。
 人間としての基礎資質が不十分であるため、民意のはずである新聞テレビ報道、その実、政府広報なのだが、これにまんまと乗せられる日本人が多い。
 米人ルース・ベネディクトが書いた「菊と刀」を忘れてしまったが、歴史を知らない・教えない、まともな憲法教育・思いやり教育をしない、それによる情報・世論操作に乗せられる日本人に、ドイツとの大きな差が潜んでいる。
<集団的自衛権を知らない多数国民>
 最近の事例で言うと、特定秘密保護法がある。リベラル・民主主義者・共産主義者・非神道宗教者を拘束した、戦前の治安維持法そのものに対して、国民は決起して反対しなかった。
 平和を喧伝してきた宗教政党は、安倍と連携して、この世紀の悪法を強行成立させたことは、記憶に新しい。そして今また集団的自衛権行使を安倍内閣は強行する構えだ。
 極右学者らを動員、いい加減な論拠をかざして、憲法違反の「戦争する日本」へと大改造しようとしている安倍内閣である。NHKや日テレなど右翼メディアが、情報操作に懸命である。彼らは、おかしな世論調査の数値を公表して、既成事実化に必死である。
 集団的自衛権を日本人は知らない。新聞テレビは「国連で容認されている」「憲法も」と大宣伝している。
 難破船「日本丸」の狂った船長によって、アジアどころか、国際社会も翻弄されているのである。
2014年4月18日8時35分記


jlj001 at 08:36 この記事をクリップ!
Archives
訪問者数

QRコード
QRコード
Recent Comments
Recent TrackBacks
livedoor Readerに登録
RSS
livedoor Blog(ブログ)