2015年05月07日

なぜ徹底した反中・反共なのか<本澤二郎の「日本の風景」(1979)

<安倍晋三の知られざる心臓>
 昨夜、東京から国際電話が鳴った。「安倍の中国嫌いはどこからきているのか」という取材である。そういえば、現役の新聞記者にとって、これは確かに謎の部分である。いい質問を受けたついでに先輩ジャーナリストとして、昔の取材成果を公開しようと思う。安倍の心臓は、とことん中国嫌い・反共主義は筋金入りといっていい。祖父と台湾独立派の影響を徹底して受けている国粋主義者と断じたい。北京は、最悪の日本政府と対峙させられてしまっているのである。日中関係は最悪の事態に置かれている。新聞テレビがそれを後押ししている怖い日本でもある。

<台湾派の元祖・岸信介の遺伝子>
 以前のことだが、周囲の要望もあって「台湾ロビー」(データハウス)を出版した。この知られざる取材には、岸信介・佐藤栄作・福田赳夫ら自民党右派との関係が深かった松野頼三が協力してくれた。ちなみに松野は、吉田茂内閣の御三家・松野鶴平の息子である。彼はその人脈から、台湾派の心臓部を知っていた。彼の支援・協力もあって、この本は誕生した。
 余談になるが、この本は上海の日本研究の第一人者で知られる呉寄南氏が翻訳した。彼の話では、当時上海市の実力者である汪道函(同市長・同書記)の要請を受けたものだ。「小平に江沢民(上海交通大学OB)を推薦・保証した人物」とされる。
 そこで、冒頭の取材に回答しようと思うのだが、すぐに思いつくのは台湾派の元祖となった祖父・岸信介の影響である。大陸反攻に生涯をかけた蒋介石と岸は、裸の付き合いで知られる。ともに反共主義者だった。黒幕は米CIAである。
<財閥の代理人・大陸は我がモノ?>
 岸は東京帝国大学で国粋主義に傾倒した。官僚人生は財閥の代理人である商工官僚の筆頭である。自ら満州国支配に関与、任期を終えて帰国する際の資産は「船にいっぱい積まれていた」との証言もある。
 上海を拠点にして軍事物資を調達していた児玉誉士夫は、その莫大な資金を、自民党の前身である自由党の選挙資金に流して政権を発足させた。米国の戦争屋は、児玉と岸を利用して、日本へと武器弾薬を売り込んで暴利を得ている。ロッキード・グラマン事件が後に発覚している。
 軍需産業の雄である三菱財閥と岸・安倍家のつながりは、古く戦前からである。三菱人脈に中曽根康弘も喰らいついた。読売のナベツネは中曽根の盟友で知られる。創価学会と三菱銀行も戦後からである。
 要するに「大陸は我がモノである」という観念が、岸などにはこびりついているのかもしれない。
<大陸反攻の蒋介石・李登輝路線の踏襲>
 米ソ冷戦構造下に岸と蒋介石の関係は急速に接近した。岸内閣の下では、日中の民間交流も破壊されてゆく。次の池田勇人内閣は、官房長官・外務大臣の大平正芳が、民間交流を復活・拡大させる。1972年の日中国交回復は実質、大平が実現したものである。徹底抗戦した勢力が、岸の息の掛かった福田派、続く若手の石原慎太郎らの青嵐会だった。森もこのメンバーで知られる。現在、自民党改憲派の代表格の船田の父親も、反中国の急先鋒だった。改憲派と中国嫌いは同類である。
 蒋介石の思いは、李登輝に継承されるのだが、安倍はこの李登輝にかわいがられる。彼の日本語で、反共主義を仕込まれることになる。李登輝と安倍の後見人の森喜朗の仲は格別であるが、それは岸によって政界切符を手に出来た関係でもある。
 森の「日本は天皇中心の神の国」は、自民党極右の共通する信念である。カルトが支配する日本といえる。神社本庁・日本会議が代表している。反共主義の根源でもある。
<チベット・ウィグル支援>
 必然的に反中・反共と連携することになる。中国政府に抵抗するチベットやウィグルの一部過激派と安倍の水脈は深くて濃い。
 安倍のいう戦略的互恵関係は、まやかしもいいところである。北京の対応のむずかしい一面が、ここにあるのだろう。米CIAの暗躍は、いまや日本政府の奥深く浸透している。
 今回の安倍議会演説の知られざる工作にも、CIAの影を印象付けている。
 自立・独立と無縁な日本政府なのだ。これに、いつ覚醒する国民が誕生するのであろうか。
<米戦争屋と提携する売国奴・新軍事路線>
 新中国を「不倶戴天の敵」と位置づける安倍内閣のもとでの軍事戦略が、今回の安倍の米議会演説で鮮明となった。「日米で中国を封じ込める」という策略の先には、中国の現体制の崩壊を狙っていることがわかろう。
 だが、安倍ら極右の思いとは裏腹に、今の中国は国際社会で一番の優等生である。とても日本の極右が対抗できる相手ではない。そこで「ワシントンを巻き込んで」が、今の安倍・軍事外交路線という、危険きわまいない政策の具体化である。
 自衛隊を米軍に提供するだけでなく、経済面でも中国を封じ込めるTPP作戦に、全面的支援を打ち出した安倍内閣は、さしずめ売国奴政権といわざるをえないだろう。
<最終目標は来秋の9条改悪>
 中国封じ込めの、もう一つの狙いが、中国敵視政策を悪用した改憲戦略である。戦争放棄・不戦の憲法を「戦争の出来る日本」「軍国主義復活の日本」に改変しようと言う策略である。
 この恐ろしいワナに、公明・創価学会を巻き込んでしまっている。これは従来の池田路線とは、真逆の危険きわまる路線である。
 背後の黒幕は財閥である。財閥が牙を抜いている日本なのだ。これに新聞テレビも屈してしまっている。金で動く日本に変質してしまっている。財閥資金で、憲法改悪を強行しようというのである。
 改憲には国民投票の厚い壁がある。国民の頭脳をナショナリズムに改造する必要がある。そのための中国敵視政策の浮上なのである。いまや読売やNHKに限らない。新聞テレビが中国批判に懸命である。
<自衛隊の挑発を懸念する中国?>
 今秋から来春に掛けての「自衛隊の挑発がある」という予測が、北京の外交筋や日本研究者の間で出回っている。筆者も驚いたが、よく考えてみると、単なる憶測ではない。
 来夏の参院選での3分の2確保のための選挙戦と、その後の議会での改憲発議と続く国民投票を想定すると、日本政府やCIAがワル知恵を出す場面が想定できる。
 軍事的衝突は、それによる世論操作はきわめて容易である。全ての出版物が大宣伝をすることで、日本人の平和主義を吹き飛ばすことが出来るだろう。
<中国敵視政策で国民の頭脳改変狙い>
 軍事衝突は、過去に日本軍による柳条湖事件や盧溝橋事件が存在する。挑発に手馴れている歴史を有する日本に、警戒する中国も理解できる。
 「専守防衛でやってきた自衛隊にできるか」という疑問符がつくが、田母神とかいう元自衛官もいる自衛隊である。上命下服の世界だ。ここは日本国民も警戒しておく必要があろう。
<9条改悪阻止の決め手は、今秋のノーベル平和賞しかない>
 アジアの平和と安定の基礎が日中友好である。しかし、これを日本の極右政府がぶち壊している。財閥の蜂起に、新聞もテレビも議会も屈してしまった日本である。
 国民の頭脳改造も時間の問題だ。阻止する手段は、9条にノーベル平和賞を受賞させて、アジアの平和と安定を確保するしかない。
2015年5月7日記(武漢大学客員教授・上海交通大学研究員・外交評論家)

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