2016年08月08日

8・15政局<本澤二郎の「日本の風景」(2443)

<極右の素人女性防衛大臣起用の効果>
 筆者はジャーナリストである。ジャーナリストはリベラルでないと務まらない。権力監視と平和憲法を守ることを第一義にしている。こと日本政治に関しては右顧左眄しない。共産党だろうが、創価学会であろうが、問題があれば、評論しなければならない。むろん、永田町の動向は、特に極右政権なるがゆえに、警戒しながら、分析を試みなければならない。当面は8・15政局、稲田が靖国参拝をするのかどうか。このことを欧米政府と隣国政府が、重大な関心を寄せている。それは彼女が、ストロング・ナショナリストの安倍晋三の分身だからでもある。


<稲田の靖国参拝は安倍の意思いかん>
 思うに、安倍はよくぞ稲田という精神が錯乱?した女性を、事もあろうに武器弾薬のトップに据えたものである。それは稲田の行動と発言が、即安倍・日本会議の意思と行動を現してくれるからだ。
 有楽町の外国特派員協会メンバーは、8・15の稲田の靖国参拝の行方に注目している。日本では、お盆休みだが、内外の記者・特派員にとって、この日は稼ぎ時なのだ。
 安倍晋三の本心がわかるからでもある。将来の日本核武装を容認するかのような稲田発言と、それを追認した安倍に重大な警戒心を抱いているためだ。
<ワシントンは靖国参拝大反対>
 アメリカ政府は、既に稲田の靖国参拝にNOという意思表示をしている。本来は、こっそりと外交ルートをつかってけん制するものだが、今回は違う。
 国粋主義者の首相と防衛大臣のただならぬ関係を、世界は熟知しているせいである。
 ワシントンは、いま北朝鮮問題よりも、永田町の動向を注視している。南京大虐殺を否定しかねない、東京裁判にクレームをつける極右の首相・防衛大臣のコンビゆえに、あらゆる手段で警戒を
している。CIAも大忙しだろう?
<岸田外相もNO>
 岸田外相が、外相就任以来、初めてまともな発言をした。稲田の靖国参拝に反対であると、自らの口で叫んだのだから。
 こんなことはかつてなかった。「安倍の奴隷のように、安倍外交に忠誠を尽くしてきた岸田だ。中国脅威論をASEAN各国に吹聴してきた。これに対して、派閥・宏池会内部から批判が噴出してきた。派閥の大将失格の烙印を押されていた」という事情からすると、今回、安倍の分身の靖国参拝に釘を刺したことは、正に画期的なことである。
 理由は二つある。一つはワシントンの正式な意向である。日本政府にとって、ワシントンは主人である。CIAを敵にすると、ろくなことがないことを、彼はよく認識している。

 もう一つは、安倍内閣がこれから坂を転がり落ちることを、彼なりに分析したためである。安倍の健康一つとっても危うい。稲田起用に、安倍の厳しい前途を予感させている、そのための布石でもある。ポスト安倍の有力候補の谷垣は失墜してしまったことも、岸田の意欲を膨らませている。
<二階の裏切り政界遊泳術も>
 二階の裏切り政界遊泳術は、よく知られている。信念などない。生き馬の目を抜く政界を熟知した彼の発言と行動である。融通無碍の二階が、幹事長になったことも、安倍内閣の黄昏を印象付けている。
 ずばり稲田と二階の起用が、黄昏の政権を象徴しているのである。
 「安倍の総裁延長論は、馬鹿な安倍をくすぐる薬でしかない」ことを、石破も岸田も知っている。二人の人事が、政局を暗示しているのである。その初っ端が8・15である。

 稲田は参拝に意欲を示している。日本会議の意思でもある。参拝すれば、国内だけでなく、国外に波紋を投げかける。ここに安倍の苦悩?を見てとれる。
<石破は決起!もう止まらない>
 石破はいち早く地方行脚を開始した。アベノミクス崩壊・地方創生に、成果なしを悟った彼の決起と行動は止まらない。安倍任期まで持たない、と睨んでの行動であろう。

 中国を敵視することでの9条破壊策略は成功しない、と見切りをつけている石破であろう。何よりも、足元の経済で失墜している。黒田・日銀も火を噴いているありさまだ。「男は一回勝負する」の心境であろう。
 二階の安倍任期延長論にNO、負けじと岸田もNOである。
 過去に大角連合が存在、田中内閣が誕生した経緯がある。岸田と石破が連合戦線を組む可能性も出てきている。流れが潮に代わると、二階も加わる?欧州とアメリカの政情も、大きく変化するかもしれない。これも影響する。安倍退陣ともなれば、日中友好の可能性がゼロともいえない。

 また天皇の生前退位問題で、日本会議は平成天皇限り、という枠をはめようとしている。当然、反対の声が噴き出るだろう。「運命の子」と持ち上げる岸信介の娘の期待が、このまま突っ走ることが出来るのかどうか。大分怪しくなってきた。
2016年8月8日記(政治評論家・日本記者クラブ会員)

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