2016年09月26日
本澤二郎の「北京の街角から」(117)
<信濃町の裏切りに嘆き・怒りの親日派>
9月23、24日と高齢者の介護に汗をかいた。医療事故で身動きできない体にさせられた息子の介護に、13年余の経験を有する僕である。経験のない者に比べると、手慣れたものである。患者も喜んでくれる。介護人は患者の息子や娘たちである。雑談にも花が咲く。テレビをつけると、安倍の日本が登場、最悪の日本を印象付けている。そこで、親日派の娘は「3分の2議席・安倍独裁・秘密保護法・戦争法は、すべて信濃町の実績」と鋭い本音分析をした。
<好戦的安倍・日本会議の原動力は創価学会公明党>
親日派の娘は、介護の手を休めて持論を展開した。「安倍独裁の原動力は創価学会の力。創価学会の実績を、安倍・日本会議が懐に入れて、反中路線を世界に振りまいている。創価学会の裏切りに原因がある」とまくし立てた。
僕はこの説明に納得している。すべては3分の2に始まる。この政治的独占は信濃町にある。それを可能にした選挙制度に起因する。小選挙区制である。
もう一つは新聞テレビの右翼化である。財閥・電通に操作された新聞テレビが、国民の目を曇らせてしまっている。油断すると日中戦争だ、親日派がその原動力となった創価学会に対して、怒りをぶつける理由である。
<中国対日政策の失敗か>
創価学会と中国共産党の関係は古くて深い。周恩来ー池田大作の友情の下で開花したもので、それは第三者が横やりを入れても揺るぎないものだった。前国家主席の胡錦濤は日本訪問のさい、必ず池田と会見、友好を深めてきた。
だが、池田が年齢による体調不良が、信じがたい事態を発生させた。公明党の裏切りである。これを見逃してしまった北京である。太田昭宏の裏切りを読み切れなかったのだろう。安倍ー大田ラインの下で、秘密保護法と戦争法という反中敵視路線が具体化してしまった。
深読みすれば、CIAが中国の対日政策を呑み込んでしまったともいえる。かくして、池田大作―周恩来路線は断ち切られてしまった。太田と山口・公明党の、裏切りを読み切れなかった中国外交部ということだったかもしれない。
太田が池田を裏切って、公明党を日本会議の安倍にささげた。結果、公明党創価学会は平和主義を放棄して戦争党・戦争宗教へと変質した。これが今後とも続行してゆくのかどうか、信濃町の暗闘は隠微に繰り広げられてゆく。
それにしても、悔やまれるは北京の対日政策の失敗である。周恩来ー池田大作路線を継承していれば、いまの日中対決・日中戦争の危機は存在しなかったのだから。友好を信条として生きてきた日本人にとって、悪党である太田や山口を評価することは出来ない。
<円高に安堵する嫌われる日本人>
ところで、海外で暮らす日本人は、アベノミクスというまやかしの経済政策に泣かされてきた。
円安政策である。円札を刷りまくって、円の価値を下げて財閥・輸出産業を儲けさせ、反対に庶民の懐を軽くする。それでも創価学会支援の自民党が圧勝する。不正選挙疑惑付きであるが。
ここにきて、ようやくアベノミクス崩壊で円が高くなった。安堵する海外の日本人である。中国では尊敬されない日本人に変わりないのだが。ビジネスの世界では、相手が日本人とわかると、とことん嫌がらせが始まる。詐欺事件に巻き込まれる。これは本当である。根源は安倍・自公政権の中国敵視政策にある。
北京では踏んだり蹴ったりの日本人である。
<劉おばさんが招待>
介護の疲れを癒してくれるという太った劉おばさんが、昨日9月25日の昼食に呼んでくれた。
若いころは夫と日中貿易で利益を得たらしく、今では住宅を数件保有して悠々自適のお金持ちだ。安心して招待に応じた。昼前に電話が鳴った。外に出ると、彼女は妹と一緒である。関節が悪く杖をついているが、元気そうである。
自宅での接待ではなく、レストランに案内してくれるという。タクシーを捉まえるのかと思いきや、彼女は携帯で白ナンバータクシーを呼びつけた。さすがはお金持ちである。
<六本木のような街並み>
彼女は1週間に1度だけ贅沢な食事をする。そこの店に案内してくれた。僕も以前、この界隈を1度だけ外から眺めたことがある。さしずめ六本木のような街並みだ。六本木を数倍大きくしたようなレストラン街である。1、2階が店舗、上階は事務所や住宅。周囲には高級マンションが林立して、多くの外国人が入居しているらしい。庶民無縁の地区である。
ここでは、堂々と日本式食堂の看板を掲げている店もある。日欧米と中国料理の、正に高級レストラン街である。中国の雰囲気はゼロである。
おばさんは、買い物もここの大型スーパーでするのだという。孫はアメリカの大学を卒業、アメリカで生活している。孫のためにマンションをプレゼントした。息子たちも立派に生活して心配事は何もない。
<広東料理で乾杯>
彼女のお得意のレストランは、広東料理の店だ。店が発行した1万元のカードを持参しており、好きなものを自由に注文してくれる。なんとも贅沢である。
このような店には久しく入ったことがない。日曜日の昼時だ。ほぼ店内は100人近い客で埋まっていた。子供連れも多い。そのためか店内は騒々しい。
中国人の幼児は、贅沢を絵にかいたような暮らしをしている。他人の迷惑など考えない。それを放任する家族である。
劉おばさんと燕京ビールで乾杯した。即座に冷えたビールが出てきた。漢方医学では冷えた飲み物は歓迎されないのだが、今日は格別の日である。
広東料理は甘いのが難点。辛過ぎる四川料理も手が出ないが、甘すぎてもよくない。しかし、1年に1度のことである。遠慮なく腹を膨らませた。
<米大統領選挙はヒラリーよ、と宣告>
孫がアメリカで仕事をしているせいか、米大統領選挙にも詳しい。中国の国際ニュースもよく報道している。トランプとヒラリーの様子に詳しい。
ヒラリーを歓迎するわけではないが、正体不明のトランプよりはまし、ということらしい。孫ともよく電話をしているのであろう。彼女はヒラリーが次期大統領と断じた。
<安倍は悪人。顔に出ている、とも>
おそらく安倍を評価する中国人はいないだろう。連日のように悪役ぶりをテレビで見ている中国人にとって、それは当たり前なのだ。
彼女に日本についての印象を聞いてみると、即座に「安倍」が口をついた。そのうえで「安倍は悪人」と断言した。中国人を代表する意見に違いない。
さらに「安倍の顔を見ればはっきりとわかる」とも決めつけた。新聞テレビで非難する中国、安倍を擁護する日本の落差は大きい。
<ハエと蚊も歓迎>
高級レストランで働いている若い男性と女性は、おそろいの黒い清潔な作業着で身を包んでいる。近く独立して店を出すという中年の美人店長が、おばさんに挨拶にきた。チェーン店と独立する店舗で賑わいを見せる中国のレストランである。
気になったのは、この店にもハエがいた。蚊も1匹いた。近くを流れる川は、よどんで汚染して異臭を放つ。そのせいだろう。衛生面はまだ十分とはいえない。この日もいい勉強をした。
2016年9月26日記(政治評論家・日本記者クラブ会員)
jlj001 at 10:11 
