序庵つれづれ記

遊ぶように暮らす☆ぷらっとマルシェ

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モーツァルトによるこの作品は
男女のあり方、ジェンダーの問題にも
かかる物語であることもあって
100年もの間封印されていたそうな。

この度の上演は新制作。
斬新な演出が印象に残ります。

舞台中央の円形の舞台は
教会のように澄み切った状態から始まります。

気持ちが昂るにつれて混沌とした状態になり、
そこから飛び降りることで
常識や心の壁を打ち破ることを
表現しているようにも感じました。

コジ・ファン・トゥッテは
フィガロの結婚に出てくる台詞にある
「女はみんなこんなもの」という意味であるそうな。

「女は男の都合のよいようにはできていないのだ」
というような台詞(もちろん字幕より)も鑑みると
その時代を表す解釈によって
上演されてきたのではないかとも思います。

男たちの身勝手な賭けの道具にされてしまう女たち。

大団円では
2組のカップルが元のサヤに収まり、
円形の舞台上には哲学者&女中の姿もあります。

曇りのない音楽でのフィナーレから
最後の最後に女たちは。。。。。!!!!!

ずっとモヤっと感満載で観ていましたが
幕切れに溜飲が下がってなんだか清々しい(^^)

円形舞台以外にも驚く仕掛けがいっぱい。

今の時代の解釈による斬新な演出だけでなく、
藤原歌劇団の歌手たちによる歌声も
新日本フィルハーモニーによる演奏も
素晴らしかったです!!!

ありがとうございました。


藤原歌劇団・NISSAI OPERA 2022 公演
コジ・ファン・トゥッテ
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講談師:神田京子先生。

前座から二つ目へと昇進した頃から
ずっと応援しています。

横浜にぎわい座地下にある
野毛シャーレ(小劇場)で研鑽を重ね、
いつか3階の芸能ホールへ上がるんだと
客席も共に盛り上がっていました。

そして、見事に芸能ホールデビューを飾られたのは
2014年、真打昇進を果たしてからのことです。

そんな京子先生がこの度
令和三年度文化庁芸術祭賞 優秀賞を受賞され
記念公演が思い出深いこの会場で開催されました。

220507神田京子の会


久しぶりの桜木町。
少しばかりキレイになったかなと思いつつ到着すると
ロビーには懐かしい方々のお顔がいっぱい。

「にぎわい座、通ったよねーー」
「もう何回目か、わからないよねーー」

ずっと応援している私たちにとっても
さながら同窓会のよう。

もちろん、
今回が神田京子デビューという方も一緒に
ワクワク。ドキドキ。

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さて、その京子先生は
2年前にふらりと山口に移住されました。

その後、偶然の出会いから
山口県出身の詩人:金子みすゞさんの世界に引き込まれ
彼女の人生を新作にして発表することを決意。

今になって思えば
金子みすゞさんに出会うために
山口へと導かれたのかもしれません。

京子先生の透き通るように響く語り口は
金子みすゞさんの重なりあう
心のひだの奥深くを掘り起こし
「明るいほうへ」と向かわせます。

生前は報われることの少なかった
26年という短い人生です。

しかしながら、
没後90年の時を経てもなお、
彼女の詩は
今を生きる人々の心に深く染み入ります。

彼女は亡くなる前日に
写真館で写真を撮っていたそうな。

それはいつか詩集が刊行されたときに載せる
顔写真用なのではないかとも言われています。

光と影。
陰と陽。

二つの世界を併せ持つ金子みすゞさんの詩は
神田京子先生の講談によって再び輝き始めました。

彼女の詩集ノートの最後の詩
「きりぎりすの山登り」に登場するキリギリスは
山頂に到達しないままに眠ってしまいますが、
きっと京子先生がその先の道を
明るく照らしてくれることでしょう。

ヤ、ピントコ、ドッコイ、ピントコ、ナ

ますますのご活躍を期待しています!!

神田京子オフィシャルサイト
http://kandakyoko.com/

神田京子後援会 Kyoko oh! Dango club
https://www.facebook.com/kyoko.ohdangoclub


パッヘルベルのカノンが穏やかに響く幕開け。

ひとり、またひとりと
ゴーストたちの思いが重なります。

長い間共に暮らしていても
心の奥底にあるものを打ち明けていない。

どこか他人行儀。
自分を守りたい。

でも言葉に出して話すことによって
気づくことがあり、
その先の世界へと進むことができる。

そして、ポツポツと話し始める
ゴーストたちの純情。

コメディータッチで描かれる中にも
通奏低音のように流れるのは父の愛でした。

母と子ではなく、
お父さんとパパと娘であることに
心まであたたかくなりました。

コミカルな閻魔様の使いも
ゴーストたちへの愛情がたっぷりです。

セリフの中に散りばめられたキーワードが
クライマックスにむかって
組み上げられていくスピード感もちょうどよい。

よし!また頑張ろう!!!
と思わせてくれる舞台でありました。

ご案内いただいたホテルオーナー役の鼓太郎さん。
ありがとうございました。

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ゴーストたちの純情
2022.1.20(木)〜23(日)
シアターグリーン BIG TREE THEATER
http://allgreen-go.jp/2021/11/26/舞台「ゴーストたちの純情」/

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冷んやりとした休日の朝。

Twitterで飛び込んできたのは
北とぴあ国際音楽祭最終日
アクト・ド・バレ アナクレオン
当日券販売情報。

ギリ間に合ったと
午前中に用事を済ませて
王子へGO!!

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古楽を中心とした北とぴあ国際音楽祭の
第1回が開催されたのは1995年のこと。

以来形を変えながらも
25年にわたりボランティアとして
関わらせていただいたことは
私にとってかけがえのない財産です。

最終日のメイン公演は
バロックヴァイオリン:寺神戸亮氏率いる
古楽オーケストラ:レ・ボレアードによるもの。

メゾソプラノ:波多野睦美氏による歌声は
忘れていた何かを思い出させるように
心に響きます。

華を添えるバロック・ダンスは
コロナ禍の中フランスから来日された
ピエール=フランソワ・ドレ氏の振付&演出。

金色の布の柔らかな動きが
風景や心情を見事に感じさせてくれました。

オケメンバーもエキストラ参加。
ワインのグラスを重ねて居眠りまで。

面白すぎてバロック・ダンスが目に入らなかったのは
私だけではないはずです。

北とぴあ国際音楽祭も本日が最終日。

コロナ禍によって2年に渡って上演できなかった
アルミードを来年こそはと期待しています。

ドラキュラを描く作品は数あれど
ドラキュラバーは
人間とドラキュラ族の共存を探る形をもって
現在の社会のあり方や
未来への期待を込めた作品でありました。

彼らは生まれながらにして
ドラキュラであったのではなく
生き延びるために人の道を外れ
ドラキュラとなってしまった負い目が闇となる。

それに引き換え人間たちは
この世界は人間が牛耳っているというがごとくに
傲慢に華やかに人生を謳歌する。

負い目を持ったドラキュラたちからみれば
さぞ情けなく映ることであろう。

こんなことでよいのかと
さぞ嘆くことであろう。

人間には寿命があることの理由も考える。

ある意味、
こんな人間たちが永遠の生命をもったなら
大変なことになるであろうと。

永遠の生命をもったドラキュラ族からみれば
人間の寿命なんてほんの一瞬。

でも短いからこそ
その短さを完全燃焼させる方法を編み出す力を
人間はもっているのだと改めて感じます。

光と闇は表裏一体。

ドラキュラ族に期待をこめてバトンを渡された人間は
現世で頑張るしかないのです。

アフタートークで
オサム役を熱演された津田英佑氏が
レ・ミゼラブルから「スターズ」を歌ってくれました。

まさにドラキュラ伯爵が人間への期待をこめた
メッセージのように感じ、胸が熱くなります。

まさに「時が来た」(ジキル&ハイド)
停滞していた年月が明け、
今こそ動き出す時なのだと力強いエールをいただきました。

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ドラキュラバー
2021年10月26日〜31日
萬劇場






【大人もかつては子どもであったのだ】

ミュージカル「オリバー !」のプレビュー公演。

少年スリ団の親玉:フェイギン役を
キャメロン・マッキントッシュ氏から
ご指名を受けたのは
ミュージカル界の重鎮:市村正親氏。

重ねた経験の厚みから醸し出される雰囲気と
狡猾なユーモアにグッと気持ちが引き込まれます。

そして、悪党なのにどこか憎めない
スクルージ(クリスマスキャロル)を彷彿とさせました。

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それもそのはず。
原作は共にチャールズ・ディケンズです。

フェイギンがスクルージに繋がるのか否かは
ディケンズのみぞが知るところですが。。。

そして、あちらの世界とこちらの世界を繋ぐ
「橋」にかかる演出は
マッキントッシュ氏が手掛けた他の作品同様
物語の中に生かされていました。

どん底に這いつくばって生きる貧民と
人生を謳歌する裕福な民が同じ橋を行き交います。

光と闇は表裏一体。

のびやかに響く歌声の中に
幸せと不幸せが同居します。

どうしようもない悪党である
ビル・サイクスにも涙します。

ラストシーン。
フェイギンが行く道の
ほのかな明かりは何を意味するのか。

捉え方はそれぞれでしょう。

オリバー !は大人の事情に翻弄されつつも
力強く生きようとする子どもたちを描きます。

しかしながら、登場する大人たちも
かつてはそんな子どもたちであったと
気づいた瞬間から本当の物語が始まると思うのです。

生きるために前を向く少年たちと
諦めの中にも生きていく大人たちの生き様が
クロスする舞台をぜひにも。


<公演情報>
ミュージカル「オリバー !」
東急シアターオーブ
10月7日〜11月7日
プレビュー公演:9/30-10/6

詳しくはこちらの公式サイトから
↓↓↓
https://www.oliver-jp.com/

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【東京パラリンピック:閉会式】

先の東京オリンピック記事でこんなことを書いた。

5年前のリオ。
激しい雨の中で
受け取ったオリンピック旗は
東京でパリへと引き継がれた。

果たしてリオの雨は上がったのだろうか。

http://blog.livedoor.jp/jo_an/archives/52287870.html

東京オリンピックの閉幕から約半月後。
東京パラリンピックが開幕した。

衝撃的な開会式だった。

13才の女の子が片翼で飛ぶ。

全ての人は自由であり、
型や枠にはめることは一切無用。

それぞれが
できることをやればいい。

なぜなら
やろうと思えばできるのだから。

そんなことを思った。

今大会の日本人メダル第1号となった
水泳の山田美幸選手は14才。

座右の銘は渋沢栄一翁の言葉
「無欲は怠惰の基である」

彼女はインタビューで
将来の夢は外交官になることだと語った。

きっと彼女なら夢を叶えられると思った。

その後もパラアスリートたちの
躍進は続いた。

日を重ねるにつれて
彼らは障害者であることすら忘れていた。

そして、最終日。
女子マラソンで道下美里選手が金メダルを獲得した。

そのゴールの瞬間、天から光が差し込んだ。

キラキラと輝くその笑顔は
関わった全ての人々への神の祝福に思えた。

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さらに思った。
リオの雨は今、上がったと。

続く閉会式に単独の主役はいなかった。
その場にいる全員が主役であった。

開会式の片翼の少女ですら
その一人になっていたように感じる。

東京オリンピックがこじ開けた扉は
東京パラリンピックによって開け放たれ
新しい世界に向かっての第1歩を踏み出した。

現実の世界を見渡せば
まだまだ混沌としている。

しかしながら
東京オリンピック・パラリンピックを通して
何かが変わり、何かが始まったことは確かだ。

そこに気づくのは自分次第。
誰が教えてくれるわけでもない。

本気で生きるからこそ見える景色。
自らが輝くことができる場所をみつけたい。

【東京オリンピック:閉会式】

5年前。
TV画面越しでもそれとわかる雨の中
東京都知事はリオデジャネイロ市長から
オリンピック旗を受け取った。

そして今日。
雨上がりの東京でその旗は
パリ市長へと引き継がれた。

蒸し暑さが残る夜にふと思う。

もしかしたらリオの雨は
あれからずっと
振り続いていたのかもしれないと。

雨は本当に上がったのだろうか。

降り続いた雨に流されたのか
過剰なショーアップは影を潜めた。

アスリートたちの息遣いまでが
感じられる競技の数々は
とてもシンプルで心地よかった。

雨はこれまでを支えていた
アスリートたちを世代交代へと誘った。

新しい世代のアスリートたちは
国境や人種の垣根を超えて
ただ純粋に雨上がりの時代を生きている。

新しい時代はすでに始まっているのだ。

パリ五輪まであと3年。

5年前のあの日に
5年後の今日を予想だにしなかったように
今日から3年後のその日は霧の中にある。

しかしながら
止まない雨はない。

降り続く雨の中
ただひたすらに研鑽を積んできた
アスリートたちと関係する方々によって
東京オリンピックは
新しい時代の幕開けを告げることができた。

パリ五輪は
今までにみたこともない
新しい時代にふさわしいオリンピックになることを
期待している。

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ロシアの作家:ゴーリキー「どん底」に
インスパイアされて書き下ろされた「DONZOKO」

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舞台は昭和22年。
第二次世界大戦の大きな傷跡から
抜け出すことができないどん底の人々を
赤裸々に描き出します。

原作がロシアで書かれた作品であることと
役者さんたちの服装から想像するに季節は冬。

なかなかに凍れます。

内も外も閉鎖された空間に息苦しくなった人々が
現実から解放されるキーポイントは酒。

原作はウォッカであったかもしれません。

舞台ではどぶろくから清酒。
そして米軍が持ち込んだウィスキーと
場面によって酒が変わります。

一貫して閉鎖された空間。

たったひとつの
外界との接点から吹き込む風すらも
淀んでいる。

社会の底辺で生きる人たちの
生と死が交差して
どん底感が半端ない。

いい人も悪い人もいない。
狂気の中にただ生きている。

何かを成就して死を選ぶのか。
何かを成就して生を取り戻すのか。

何も成就せずにそのまま止まるのか。
何も成就せずに終わっていくのか。
何も成就せずに旅立っていくのか。

3年前に他界された演出家から
この舞台を引き継がれたという鼓太郎さんの
演出が光ります。

コロナ禍から抜け出せずにいる
今だからこそ観る人に響くものは大きい。

久しぶりに重厚感のある舞台でありました。

DONZOKO 〜シアターバイキング〜
場所:萬劇場(大塚)
期間:2021年7月27日〜8月1日

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初演は2006年。
根強いファンが多く再演を繰り返しているという。

立ち呑みパラダイス
〜昭和45年天満商店街〜

第1作のリメイク版は
コロナ禍に沈む令和の池袋(東京)と
万博で賑わう1970年の天満(大阪)をつないで展開します。

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大阪万博といえば!

三波春夫先生の
世界の国からこんにちは

まさに!!!
日本に新しい時代がやってくる
ワクワク感が満載で
戦後復興に尽力した世代の人々が
若者たちにかける未来を期待させる舞台でした。

一見ドタバタにみえる若者たちの熱狂は
1970年代を知っている私にはとても親近感があり、
こんな面倒くさい人たちは確かにいたなぁと
第一部が終わるころにはすでに一筋の涙が。

第二部の旅立ちにはハンカチが手離せません。

今の日本に足りないものはこの「熱狂」なのだと
改めて実感。

新型コロナ感染症に振り回されている場合ではありませんね。

元気いっぱいの舞台に元気と勇気をいただきました。

ご案内いただいた五味ひろえ役
さくらえりかさん、ありがとうございました!

楽しくて、面白くて、泣かされました。

前作 RED WING の舞台は東京都北区赤羽。
今作 立ち呑みパラダイスの舞台は大阪市北区天満。
劇団の稽古場所は東京都北区文化芸術拠点ココキタ。
主人公テツヤの仕事先は赤羽の立ち食いうどん屋(笑)

北区とは切っても切り離せないご縁にビックリです。

立ち呑みパラダイス
〜昭和45年天満商店街〜

2021年7月15日(水)〜19日(月)
池袋シアターグリーン Box in Box THEATER
https://theater-green.com/20210715-2/

ご予約はこちらから
↓↓↓
https://www.quartet-online.net/ticket/tachinomi45?m=0rgaijj

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#さくらえりか
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