ちなみにダービーの語源はWikiによると以下のとおりです。
「地名」説
イングランド中部、イースト・ミドランド地方のダービシャー州にある都市のダービーでは毎年、聖ペテロ教会とオールセインツ教会の二つの教会区に分かれ、町内を二分して行われるフットボール(現在のサッカーとは異なる)の試合があった。そのため、現在の様に町、あるいは該当する地域を二分して激しい試合が行われることを「○○ダービー」と呼ぶようになった。
「チーム名」説
ダービーにある二つのチーム(ダービーカウンティとダービーシティ)は本拠地までもが同じで、この二チームが同一リーグで対戦することになった時に「観客側から見ればどっちがホームでどっちがアウェイと言っても意味が無い。」との理由で当時の新聞などで特別の感慨を含めたわけでもなく、単にダービーで行われる試合という意味でダービーのマッチという表記をした。元々同じ町や近隣同士では以前からアウェイ側もスタジアムに来ることが容易な事等もあってエキサイトしていた。そのことを結び付けて報道した新聞があらわれ、やがてダービー以外でも同じ町や近隣のライバル関係にあるチーム同士の対戦にもこの呼び方を使うようになった。
本来は同じ地域の枠内で行われる、歴史的、経済的、政治的な対立要素を含んだチーム同士の戦いを指す言葉だったようです。が、最近はクラブ側の経営戦略としてダービーと銘打って試合を開催することもあったり、何らかの共通点のあるチーム同士の試合をダービーと称して盛り上げようとしてみたりもされています。そういえばサンガーサンフレッチェ戦を紫ダービーと呼んだり、サンガーガンバーヴィッセルーセレッソの試合は全部関西ダービーだったり、サンガー佐川印刷は京都ダービーだったりしていますが、決定的に欠けているのは、スポーツ以外の面を含めた地域的な歴史ある対立構造です。
さて、映画「クラシコ」のキャッチコピーの一つに「日本で“クラシコ”と呼べる 試合は、AC長野パルセイロ VS 松本山雅FCしかない!」とあります。長野は1990年、松本は1965年の創立で、2つのチームが同じカテゴリーで闘うようになってから、まだそれほど経っていない。なぜ、長野と松本なのか。その背景は映画を見ていただくことにして、この映画がテーマにしているのは、タイトルにあるクラシコ、伝統の一戦、対立構造そのものではなく、実はむしろそれとは反対の、いや、反対ではなくてその根本にある地域への愛情なんですね。
サンガの試合でも少ない時は2000人くらいしか客が入らない時もある。今年の元旦、天皇杯決勝の前に行われた女子サッカーの決勝ですら、ドイツでワールドカップで優勝してきたというのにサポーターは1ブロックの半分を埋めるほどしかいなかった。3部リーグに当たるJFL佐川印刷に至っては熱く応援しているサポーターは両手両足の指で足りるくらい。そのさらに下の地域リーグに属するチームのサポーターって。。。
J1やJ2にいたサンガしか知らずにサポーターになった私には想像の出来ない世界かと思っていたけど、何も変わらない。チームを愛する気持ち、地域を愛する気持ち。クラブの経営基盤がずっと弱く、メディアでの取り扱われ方が少ない分、松本や長野のサポーターの方が強いんじゃないだろうかと思うくらい。それどころか、自分達の町の、手を触れ、話をし、一緒に戦う自分たちのチームという感覚はずっと強いんじゃないだろうかと羨望すら覚える。地域リーグで優勝しJFLへ昇格することを、JFLで勝ち残りJ2へ昇格することを強く望んで闘い続ける彼らを前に、改めて今自分たちがいる場所がいかに恵まれた素晴らしい場所であるかを実感する。それは、そこに甘んじるという意味ではなく、常に上を目指すという姿勢はどこにいても変わらない。
ここまでが「クラシコ」のもともとの内容。ところがこの後起こった二つの出来事でこの映画はさらに深い意味をもつようになった、と思う。
この映画が完成したのは2010年。いよいよ上映を開始しようとしていた矢先の2011年3月にあの大震災が起こる。次々に中止になる上映会。試合の出来なくなってしまった北関東、東北チームのサポーター。彼らによる自主上映会の開催。地域を愛する気持ち、自分の地域にチームのあることの幸せ。後付けで編集された部分はあるにせよ、奇しくも震災前にこのことを表現していた。
そして松本山雅、松田選手の死。彼の死によってチームの知名度は飛躍的に向上した。彼の死に報いるだけの成績をチームは残した。映画は松田選手の入団前に撮影されていて、彼は一切登場していないけど、サポーターにとってこの映画の存在とJ2への昇格は松田選手への最大の供養になるんじゃないかと思う。
さあ、今年はその松本山雅と闘うことになります。何年か前の天皇杯でその名前を見て松本さんが?どこのチームや?なんて思っていた地域リーグ出身のチームと戦うことになります。楽しみです。開幕が楽しみです!