2011年03月30日
Elle de Ange芦屋 (エル・デ・アンジュ)
【JR ×芦屋】
仏、三ツ星シェフの
エスプリを伝える
創造性豊かな料理
Elle de Ange芦屋 (エル・デ・アンジュ)
「普段は出会えないような料理を味わってほしい」と、華やかな野菜の一皿を運んでくれた江見シェフ。契約農家から届く珍しい西洋野菜や、土の味を楽しむゴボウのアイスクリーム。歓喜の声に包まれたテーブルからは、シャッター音が聞こえる。
非日常的かつ、創造性豊かな料理の原点はフランス。今年、三ッ星レストランに昇格した「オーベルジュ・デュ・ビュー・ビュイ」にて経験を積んだ江見さんは、オーナーシェフであるジル・グジュン氏の料理に惚れ込んだ。「来日したシェフと初めて会ったとき、絶対にこの人の下で料理を学びたい!と感じました」と振り返る。フランス行きを誓い一年後。南仏まではるばる出向き、「働かせてほしい」と願い出た。フランス語はまったく話せなかった。
そんな江見さんを驚きつつも受け入れてくれたシェフは、「柔軟で大らかな人。独創性と人間性が一皿に滲み出ているんです。」 今でも、食材を見るとまず、「シェフならどう料理するだろうか?」と自分に問いかける。朝一番に冷蔵庫を開け、食材と対話する時間が何よりの楽しみだ。
この夏、三周年を迎えた同店。ブライダル主体であった営業体制からリニューアルし、レストラン営業にも力を入れ始めた。「この6月からはスタッフも入れ替わり、レストランとしてより上質な素材を扱うようになりました。兵庫・岡山の農家から届く野菜や瀬戸内産を中心とした魚貝。フランスからはオマール海老や肉も仕入れるようになりました。」 対するブライダルの料理は、新郎新婦の出身地の素材を調べ、メニューを彩るなど、ウェディングシーンを見据えたオーダーメイド。それぞれの場で、江見さんのインスピレーションが存分に発揮される。
「自分は24才でフランスに渡りましたが、日本でフレンチを学んでいたときは正直、ルールと規則の中で息苦しさを感じていたこともありました。」 だからこそ、発想の豊かさと情熱を重んじる本場のシェフたちに、大きな影響を受けた。今、後輩たちを見ていて感じるのは、「技術よりも料理に対する“熱さ”を大切にしてほしい」ということ。レシピを欲しがるのではなく、情熱で料理をしてほしい。それは決して難しいことではなく、「たとえば家族など、大切な人に心を込めて料理する気持ち」である。
「毎日異なる素材と対話していく中で、100点を出し続けるのは至難の業。自分もまだ20代、経験と技術では他の料理人の方に負けることもあります。しかし、一皿に対する情熱は、絶対に忘れたくありません。」
「野菜の一皿、大地のアイスクリーム添え」。 それぞれの野菜に応じた調理法で、一つひとつ丁寧にアレンジ。シェフと素材の会話が聞こえてきそうな一皿だ。
■レストランもウェディングも■
平日はレストラン営業、週末は貸し切りでブライダルの料理を手がけています。それぞれ仕入れも異なり、まったく違う料理を経験できます。
『レシピを覚えるより、料理は「情熱」が大事です。』
江見シェフ
Elle de Ange芦屋 (エル・デ・アンジュ)
電話:0797-25-1288
住所:兵庫県芦屋市大原町4-10
営業時間:11:30〜14:00
18:00〜21:00(L.O.)
定休日:火曜日
交通:JR神戸線「芦屋駅」徒歩5分
「グルメキャリー2010年10月28日号」掲載