2009年11月22日
■ Skipper Johnからのお知らせ:
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■テーマ: 【No. 836 セメント生産量が映す中国経済の実態】
■今日のニュース:セメント生産量が映す中国経済の実態
・英スタンダード・チャータード銀行の中国研究部長ステファン・グリーンは、「中国の統計数値の一部には疑問がある。それより、自分たちは“セメント”を信頼している。セメントは使用期限が短く、(鋼材のように)長期の在庫がきかないからだ」と話す。
・公式統計に基づく固定資産投資の曲線が上昇を続けているのに、セメント生産量は横ばい、鋼材生産量は急速に下降し、3つの曲線がまったく乖離している部分がある。それは2008年第4四半期から2009年第1四半期にかけてであり、中国経済が(金融危機の打撃を受けて)最も減速していた時期だ。
・国家統計局の公式統計では、2008年第4四半期のGDP(国内総生産)成長率は6.8%、2009年第1四半期は同6.1%である。しかし同時期のセメント生産量の増減率はほぼゼロだった。
・「当時の中国経済は、現実には公式統計より悪化していた。景気後退への中央政府の懸念を和らげようと、地方政府が数値を水増しして報告した可能性がある」と、グリーンは見る。
・地方政府が発表するGDP成長率は、国家統計局の数値より恒常的に2%ほど高い傾向がある。ところが、昨年の第4四半期から今年第1四半期にかけて、地方の数値の方が中央の数値より低くなる逆転現象が生じた。
・グリーンに言わせれば、これは不思議でも何でもない。ちょうどこの時期、中央政府の1兆1800億元(約15兆3400億円)の予算*を地元に誘導するため、地方政府は血眼になっていたからだ。自省の窮状を訴えようと、GDPを低めに見せる動機があったのだ。
・今年第2四半期からの景気回復も、公式統計だけを見れば、固定資産投資は既にピークに達したように思える。ところが、セメントの生産量から判断すると、「実際には、中国の固定資産投資は新たな上昇サイクルの途上にある」とグリーンは分析する。
■戦略ポイント: 中国ではセメントや電力指標も大切な経済動向分析のカギ
■Skipper Johnのコメント
国家統計局によると、08年のセメント生産量は前年比5.2%増の13億8800万トンでした。また08年に新設されたセメント生産ラインの本数は100本を超え、前年に比べ25%増加しました。
セメントへの投資過熱に警戒感、供給過多を危惧―中国
現在、中国のセメントの生産能力は同18億7000万トンで、さらに建設中の生産設備が418(生産能力6億2000万トン)、認可済みの未着工設備が147(生産能力2億1000万トン)あるのに対し、セメントの需要は16億トンにとどまっています。
このような状況を受けて、中国政府はセメント、板ガラス、多結晶シリコン、造船などの業種では、総生産能力を増やすことなく、製品の技術水準や生産効率を高める目的で、「等量増減(増やした分だけ減らす)」という生産調整を行うと先日発表しました。中国のセメント業界はサバイバルが大変な状況になっています。
中国政府、生産過剰7業種のリストラに大なた
また今日のニュースによれば、セメントは空気中の水分や二酸化炭素を吸収すると強度が低下するため一般的な使用期限は製造後1〜2カ月とされるそうです。従ってセメントの在庫はあまり多くなく、必要な分だけ生産されると考えられます。
08年のセメント生産量が約14億トンで、09年のセメント需要が16億トンですから、約2億トンのセメント需要が一年間で増加します。それくらい建築分野を中心にセメントの需要が増えたということです。
セメントが必要な分だけ生産される商品であるため、早いサイクルでの中国経済動向を反映しやすいという考え方は大いに参考になります。
地方のGDP計算が恣意的に変えられる状況も実在するため、GDPだけでなくセメントや電力の指標も中国の経済動向を見る大切なツールとなります。
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■テーマ: 【No. 836 セメント生産量が映す中国経済の実態】
■今日のニュース:セメント生産量が映す中国経済の実態
・英スタンダード・チャータード銀行の中国研究部長ステファン・グリーンは、「中国の統計数値の一部には疑問がある。それより、自分たちは“セメント”を信頼している。セメントは使用期限が短く、(鋼材のように)長期の在庫がきかないからだ」と話す。
・公式統計に基づく固定資産投資の曲線が上昇を続けているのに、セメント生産量は横ばい、鋼材生産量は急速に下降し、3つの曲線がまったく乖離している部分がある。それは2008年第4四半期から2009年第1四半期にかけてであり、中国経済が(金融危機の打撃を受けて)最も減速していた時期だ。
・国家統計局の公式統計では、2008年第4四半期のGDP(国内総生産)成長率は6.8%、2009年第1四半期は同6.1%である。しかし同時期のセメント生産量の増減率はほぼゼロだった。
・「当時の中国経済は、現実には公式統計より悪化していた。景気後退への中央政府の懸念を和らげようと、地方政府が数値を水増しして報告した可能性がある」と、グリーンは見る。
・地方政府が発表するGDP成長率は、国家統計局の数値より恒常的に2%ほど高い傾向がある。ところが、昨年の第4四半期から今年第1四半期にかけて、地方の数値の方が中央の数値より低くなる逆転現象が生じた。
・グリーンに言わせれば、これは不思議でも何でもない。ちょうどこの時期、中央政府の1兆1800億元(約15兆3400億円)の予算*を地元に誘導するため、地方政府は血眼になっていたからだ。自省の窮状を訴えようと、GDPを低めに見せる動機があったのだ。
・今年第2四半期からの景気回復も、公式統計だけを見れば、固定資産投資は既にピークに達したように思える。ところが、セメントの生産量から判断すると、「実際には、中国の固定資産投資は新たな上昇サイクルの途上にある」とグリーンは分析する。
■戦略ポイント: 中国ではセメントや電力指標も大切な経済動向分析のカギ
■Skipper Johnのコメント
国家統計局によると、08年のセメント生産量は前年比5.2%増の13億8800万トンでした。また08年に新設されたセメント生産ラインの本数は100本を超え、前年に比べ25%増加しました。
セメントへの投資過熱に警戒感、供給過多を危惧―中国
現在、中国のセメントの生産能力は同18億7000万トンで、さらに建設中の生産設備が418(生産能力6億2000万トン)、認可済みの未着工設備が147(生産能力2億1000万トン)あるのに対し、セメントの需要は16億トンにとどまっています。
このような状況を受けて、中国政府はセメント、板ガラス、多結晶シリコン、造船などの業種では、総生産能力を増やすことなく、製品の技術水準や生産効率を高める目的で、「等量増減(増やした分だけ減らす)」という生産調整を行うと先日発表しました。中国のセメント業界はサバイバルが大変な状況になっています。
中国政府、生産過剰7業種のリストラに大なた
また今日のニュースによれば、セメントは空気中の水分や二酸化炭素を吸収すると強度が低下するため一般的な使用期限は製造後1〜2カ月とされるそうです。従ってセメントの在庫はあまり多くなく、必要な分だけ生産されると考えられます。
08年のセメント生産量が約14億トンで、09年のセメント需要が16億トンですから、約2億トンのセメント需要が一年間で増加します。それくらい建築分野を中心にセメントの需要が増えたということです。
セメントが必要な分だけ生産される商品であるため、早いサイクルでの中国経済動向を反映しやすいという考え方は大いに参考になります。
地方のGDP計算が恣意的に変えられる状況も実在するため、GDPだけでなくセメントや電力の指標も中国の経済動向を見る大切なツールとなります。
2009年11月21日
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■テーマ: 【No. 835 一億台を超える廃棄処分のケータイ、電子ゴミの氾濫】
■今日のニュース:1億台を超える廃棄処分のケータイ、電子ゴミの氾濫
・ケータイは、近年最も成功した電子消費品であり、生活必需品から流行の消耗品へと変化していき、頻繁に買い替えるものとなっている。消費者平均約600日でケータイを買い替えている実態にあり、電子ゴミが近年増え続けている。
・香港の環境保全組織“地球の友”のある調査によると、1054名の調査対象の消費者は、平均1年8か月未満(およそ600日)で新しいケータイに買い替えているという結果となった。
・そのうち1040名は、平均5,3台のケータイを所持し、1年以内に新しく買い替える人が701名であった。
・中国における毎年の廃棄処分ケータイはおよそ1億台に上り、形や機種が異なるため、一部のケータイは廃棄後、充電器や電池等もゴミになり、環境への負担は大きい。
・SONY、MOTO,NOKIA、SAMSONG,DOPOD…等ケータイ会社は次々と新しいケータイを発売しており、新しいもの好きの人達は、およそ7 年の間に約10回ケータイを新しく買い替えているという結果も報告された。
・ケータイの使用寿命はだんだんと短くなり、消費者も古い物を捨て新しい物を好む傾向になっているため、その結果大量の電子ゴミが生まれている現状にある。香港市場の去年末から今年10月迄においてもおよそ80台を超える新しいケータイが発売されている。
■戦略ポイント: 山寨機で増える端末廃棄は、消費者による費用負担も検討すべき
■Skipper Johnのコメント
昨日に続き携帯の話題です。今日は携帯の廃棄処分問題です。今日のニュースは論点がいまひとつ明確ではありませんが、香港での携帯の買い替え期間が約600日で、今後利用済みの携帯や電池、充電器が大量に廃棄されると心配しています。
ただ、利用済みの携帯が必ずしも廃棄されるわけではありません。二つの理由があります。一つは、思い出のためにと携帯を保管することが多いことです。今日のニュースでも、調査したうちの1040名が平均5,3台のケータイを所持していたとのこと。
日本でも利用済みの端末を手元に置いておく理由(複数回答)としては、写真やメールが残る端末を「コレクション・思い出として残す」が35%と最も多くなっています。
「思い出を手放したくない」--携帯電話リサイクルの回収台数、減少傾向続く
携帯が廃棄されにくいもう一つの理由は、有名メーカーの正規品の場合、中国や香港では端末がSIMフリーであるため携帯の中古市場があって、中古携帯を買い上げてくれます。筆者が住む上海でも、大手家電販売店では50-100元くらいで中古の正規品を買い上げて新商品を売りやすくするサービスが定着しています。
逆に、上記のように個人が退蔵したり中古市場に出回るせいもあって、端末のリサイクルはなかなか広がっていきません。日本の例を挙げると、2008年の一年間でリサイクルされた端末本体が617万台、電池が838万台、充電器が477万台です。端末本体は前年比マイナス4.7%でした。中国でも端末のリサイクルは社会的な話題になっていません。
平成20年度携帯電話・PHSにおけるリサイクルの取り組み状況について
加えて中国では、ここ2年ほど山寨機と呼ばれるコピー携帯端末が大量に市場に流通していて、09年だけでも1.5〜2億台の山寨機が製造販売されたのではないかと見られています。この山寨機は1年も耐久時間が無く、故障したら使えなくなることが多いのでかなりの割合で廃棄されると見られます。
現在中国の携帯電話契約者数は7億件を越え、かつこのような山寨機が利用される端末の中心になりつつあり、早いサイクルで廃棄され始めています。また当然正規品の利用済み携帯も継続的に廃棄されます。
今まで中国では自動車や、冷蔵庫のフロン処理、洗濯機、テレビ、パソコンなど、高価で希少金属も多い部品のある廃棄物のリサイクルは熱心に行ってきました。しかし携帯端末は小さくて価値が無い割りには台数が増えるので、リサイクル処理に手間がかかり敬遠されます。端末の処理代金を消費者にも負担させるとか、端末リサイクルの循環を確立するとか、必要な手段を打つ時期です。
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■テーマ: 【No. 835 一億台を超える廃棄処分のケータイ、電子ゴミの氾濫】
■今日のニュース:1億台を超える廃棄処分のケータイ、電子ゴミの氾濫
・ケータイは、近年最も成功した電子消費品であり、生活必需品から流行の消耗品へと変化していき、頻繁に買い替えるものとなっている。消費者平均約600日でケータイを買い替えている実態にあり、電子ゴミが近年増え続けている。
・香港の環境保全組織“地球の友”のある調査によると、1054名の調査対象の消費者は、平均1年8か月未満(およそ600日)で新しいケータイに買い替えているという結果となった。
・そのうち1040名は、平均5,3台のケータイを所持し、1年以内に新しく買い替える人が701名であった。
・中国における毎年の廃棄処分ケータイはおよそ1億台に上り、形や機種が異なるため、一部のケータイは廃棄後、充電器や電池等もゴミになり、環境への負担は大きい。
・SONY、MOTO,NOKIA、SAMSONG,DOPOD…等ケータイ会社は次々と新しいケータイを発売しており、新しいもの好きの人達は、およそ7 年の間に約10回ケータイを新しく買い替えているという結果も報告された。
・ケータイの使用寿命はだんだんと短くなり、消費者も古い物を捨て新しい物を好む傾向になっているため、その結果大量の電子ゴミが生まれている現状にある。香港市場の去年末から今年10月迄においてもおよそ80台を超える新しいケータイが発売されている。
■戦略ポイント: 山寨機で増える端末廃棄は、消費者による費用負担も検討すべき
■Skipper Johnのコメント
昨日に続き携帯の話題です。今日は携帯の廃棄処分問題です。今日のニュースは論点がいまひとつ明確ではありませんが、香港での携帯の買い替え期間が約600日で、今後利用済みの携帯や電池、充電器が大量に廃棄されると心配しています。
ただ、利用済みの携帯が必ずしも廃棄されるわけではありません。二つの理由があります。一つは、思い出のためにと携帯を保管することが多いことです。今日のニュースでも、調査したうちの1040名が平均5,3台のケータイを所持していたとのこと。
日本でも利用済みの端末を手元に置いておく理由(複数回答)としては、写真やメールが残る端末を「コレクション・思い出として残す」が35%と最も多くなっています。
「思い出を手放したくない」--携帯電話リサイクルの回収台数、減少傾向続く
携帯が廃棄されにくいもう一つの理由は、有名メーカーの正規品の場合、中国や香港では端末がSIMフリーであるため携帯の中古市場があって、中古携帯を買い上げてくれます。筆者が住む上海でも、大手家電販売店では50-100元くらいで中古の正規品を買い上げて新商品を売りやすくするサービスが定着しています。
逆に、上記のように個人が退蔵したり中古市場に出回るせいもあって、端末のリサイクルはなかなか広がっていきません。日本の例を挙げると、2008年の一年間でリサイクルされた端末本体が617万台、電池が838万台、充電器が477万台です。端末本体は前年比マイナス4.7%でした。中国でも端末のリサイクルは社会的な話題になっていません。
平成20年度携帯電話・PHSにおけるリサイクルの取り組み状況について
加えて中国では、ここ2年ほど山寨機と呼ばれるコピー携帯端末が大量に市場に流通していて、09年だけでも1.5〜2億台の山寨機が製造販売されたのではないかと見られています。この山寨機は1年も耐久時間が無く、故障したら使えなくなることが多いのでかなりの割合で廃棄されると見られます。
現在中国の携帯電話契約者数は7億件を越え、かつこのような山寨機が利用される端末の中心になりつつあり、早いサイクルで廃棄され始めています。また当然正規品の利用済み携帯も継続的に廃棄されます。
今まで中国では自動車や、冷蔵庫のフロン処理、洗濯機、テレビ、パソコンなど、高価で希少金属も多い部品のある廃棄物のリサイクルは熱心に行ってきました。しかし携帯端末は小さくて価値が無い割りには台数が増えるので、リサイクル処理に手間がかかり敬遠されます。端末の処理代金を消費者にも負担させるとか、端末リサイクルの循環を確立するとか、必要な手段を打つ時期です。
2009年11月20日
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■テーマ: 【No. 834 海賊版の携帯電話、中国で出荷急増 農村・途上国で広がる】
■今日のニュース:海賊版の携帯電話、中国で出荷急増 農村・途上国で広がる
・中国の正規ブランド品を模倣した“海賊版”携帯電話の出荷が急増している。
・米市場調査会社、アイサプライの予測によると2009年の出荷台数は前年比4割増の1億4500万台、12年には1億9200万台まで増える見通し。低価格を武器に中国の農村部や発展途上国で利用が広がっているためだが、海外では規制の動きも目立ってきた。
・中国の海賊版携帯は主に広東省など南部の中小メーカーが生産しているといわれる。特許・デザイン料や税金などを支払っていないため、 100元(約1300円)〜500元と正規品の売れ筋(1000〜2000元)に比べて格安だ。
・米アップルの「iPhone(アイフォン)」を模倣した多機能型など種類も多い。
・海外各国は中国産の海賊版携帯に対する締め付けを強めている。正規版携帯には1台ごとに「IMEI」と呼ばれる識別番号が割り当てられている。
■戦略ポイント: 09年の山寨機は1.5〜2億台流通しそう
■Skipper Johnのコメント
以前こちらでも、“海賊版携帯”=山寨機(中国語)の氾濫についてお知らせしました。山寨とは、元々山賊の砦という意味ですが、非合法的な活動という背景から、「コピー商品」という新しい意味を与えられてよく使われています。
山賊ケータイ、市場略奪
また上記記事でも指摘している通り、山寨機が市場にあふれる最大の原因として、台湾メーカーの聯発科技(Media Tech)が2007年に発売した、携帯電話用部品を実装した電子基盤(ベースバンドIC)の開発です。これで通話だけでなく、携帯のウェブ閲覧や携帯カメラの操作が格段に進みました。
今日のニュースでは、米アイサプライ社の調査によると、2009年の山寨機の出荷台数が前年比4割増の1億4500万台になるそうです。別のニュースでは、前述の聯発科技(Media Tech)のベースバンドICを搭載した携帯電話が、09年には中国内で2億台近くになるだろうという同社の予想を掲載しています。
中国のホワイトボックス携帯電話〜山塞機〜
このような数字から、09年一年間で中国市場に流通した山寨機は1.5〜2億台程度と予想できそうです。中国の携帯電話契約総数は7億台を越えていますが、このうちの三分の一前後は山寨機である可能性が高いです。
また前述の聯発科技(Media Tech)は、更に山寨機向けのミドルウェアである「VRE」を開発し、携帯電話向けアプリケーション開発を支援して山寨機のハイエンド化までも狙っています。さまざまなアプリケーションを山寨機で利用できるようになると、山寨機の価値がもっと向上します。
山寨機をハイエンド化?注目集めるミドルウェア
次から次へと新機能を開発して進化する山寨機は、今後も増えていきそうです。ただ、山寨機は安い部品を使うため耐久性が無く、一年も使用しないうちに何らかの故障が出てきます。一度山寨機を使って懲りた人は、正規品の携帯電話への乗り換えも増えています。
とはいえ、農村部など携帯文化がこれから浸透する地域では安くて手軽な山寨機が人気を集めています。山寨機の卸売市場である深セン市の華強路に筆者も先日行ってきました。一瞬正規品のように見える山寨機が並べられ、中国全土から集まる各地のバイヤーと商談をしています。まだしばらくは山寨機の人気が衰えることはなさそうです。
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■テーマ: 【No. 834 海賊版の携帯電話、中国で出荷急増 農村・途上国で広がる】
■今日のニュース:海賊版の携帯電話、中国で出荷急増 農村・途上国で広がる
・中国の正規ブランド品を模倣した“海賊版”携帯電話の出荷が急増している。
・米市場調査会社、アイサプライの予測によると2009年の出荷台数は前年比4割増の1億4500万台、12年には1億9200万台まで増える見通し。低価格を武器に中国の農村部や発展途上国で利用が広がっているためだが、海外では規制の動きも目立ってきた。
・中国の海賊版携帯は主に広東省など南部の中小メーカーが生産しているといわれる。特許・デザイン料や税金などを支払っていないため、 100元(約1300円)〜500元と正規品の売れ筋(1000〜2000元)に比べて格安だ。
・米アップルの「iPhone(アイフォン)」を模倣した多機能型など種類も多い。
・海外各国は中国産の海賊版携帯に対する締め付けを強めている。正規版携帯には1台ごとに「IMEI」と呼ばれる識別番号が割り当てられている。
■戦略ポイント: 09年の山寨機は1.5〜2億台流通しそう
■Skipper Johnのコメント
以前こちらでも、“海賊版携帯”=山寨機(中国語)の氾濫についてお知らせしました。山寨とは、元々山賊の砦という意味ですが、非合法的な活動という背景から、「コピー商品」という新しい意味を与えられてよく使われています。
山賊ケータイ、市場略奪
また上記記事でも指摘している通り、山寨機が市場にあふれる最大の原因として、台湾メーカーの聯発科技(Media Tech)が2007年に発売した、携帯電話用部品を実装した電子基盤(ベースバンドIC)の開発です。これで通話だけでなく、携帯のウェブ閲覧や携帯カメラの操作が格段に進みました。
今日のニュースでは、米アイサプライ社の調査によると、2009年の山寨機の出荷台数が前年比4割増の1億4500万台になるそうです。別のニュースでは、前述の聯発科技(Media Tech)のベースバンドICを搭載した携帯電話が、09年には中国内で2億台近くになるだろうという同社の予想を掲載しています。
中国のホワイトボックス携帯電話〜山塞機〜
このような数字から、09年一年間で中国市場に流通した山寨機は1.5〜2億台程度と予想できそうです。中国の携帯電話契約総数は7億台を越えていますが、このうちの三分の一前後は山寨機である可能性が高いです。
また前述の聯発科技(Media Tech)は、更に山寨機向けのミドルウェアである「VRE」を開発し、携帯電話向けアプリケーション開発を支援して山寨機のハイエンド化までも狙っています。さまざまなアプリケーションを山寨機で利用できるようになると、山寨機の価値がもっと向上します。
山寨機をハイエンド化?注目集めるミドルウェア
次から次へと新機能を開発して進化する山寨機は、今後も増えていきそうです。ただ、山寨機は安い部品を使うため耐久性が無く、一年も使用しないうちに何らかの故障が出てきます。一度山寨機を使って懲りた人は、正規品の携帯電話への乗り換えも増えています。
とはいえ、農村部など携帯文化がこれから浸透する地域では安くて手軽な山寨機が人気を集めています。山寨機の卸売市場である深セン市の華強路に筆者も先日行ってきました。一瞬正規品のように見える山寨機が並べられ、中国全土から集まる各地のバイヤーと商談をしています。まだしばらくは山寨機の人気が衰えることはなさそうです。
2009年11月19日
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■テーマ: 【No. 833 中台自由貿易、年内に公式交渉開始で合意】
■今日のニュース:中台自由貿易、年内に公式交渉開始で合意
・中国の胡錦濤国家主席(共産党総書記)と台湾の連戦元副総統(国民党名誉主席)、シンガポールで会談し、自由貿易協定(FTA)を軸とする「中台経済協力枠組み協定」(ECFA)の締結に向け、年内に公式交渉を始めることで合意した。
・中国側は、関税撤廃などで台湾企業の対中輸出を優遇することで、景気低迷にあえぐ台湾を支援する意味合いもある。
・連氏は会談で、「中国が各種の『買い付け団』を台湾に派遣し、企業を助けて経済振興に相当の効果を上げている」と述べ、中国側が5月以降、台湾企業との間で電子部品や工業製品などの大型商談を成立させ、台湾経済の支援に乗り出していることに感謝した。
・中台双方は、来年中にECFAの締結を目指すことで今年5月に合意し、非公式協議を続けていた。
■戦略ポイント: 中台経済協力枠組み協定の今後の展開に注目
■Skipper Johnのコメント
毎日新聞は、同じニュースの背景として、「APECの場での中台代表者の会談は、昨年に続いて2回目。中台の複雑な関係を背景に、会談は中国共産党と台湾与党・国民党代表の立場で行われた。」と伝えています。
中台会談:年内に経済協力協議開始へ 胡錦濤主席と連戦氏
中国共産党と台湾の国民党の代表者同士という立場で、双方の経済交流を話し合うというところが大切なところです。
馬英九は08年3月の台湾総統選で、国民党の旧来イメージを払拭するために「党と政府の分離」を唱え、党主席選不出馬を表明していました。しかし政権発足直後から政府人事や予算案の可決が難航し、党内権力を掌握することで政権運営を強化しようという狙いで、国民党主席に正式就任しました。
馬英九台湾総統が国民党主席兼務へ 党内基盤強化狙う
馬英九が行政と党務の双方を掌握することで、経済面での中台交流を更に進める方向に拍車がかかってきました。その象徴的な動きが中国共産党と台湾の国民党の代表者同士による経済問題に関する交流です。
今回、国民党の代表として胡錦濤と会ったのは連戦国民党名誉主席です。連戦は本籍が台湾で、台湾籍で戦前からの国民党大物の父、遼寧籍の母の下に生まれ、大陸で育ちました。李登輝時代には副総統、その後国民党主席も歴任しました。連戦が台湾籍とはいえ大陸で生まれたという背景も、共産党との交渉の前面に立てやすい要因です。
連戦: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
現在台湾は、世界的な経済不況のあおりで経済運営に苦しんでいます。中国は09年も8.5%前後の経済成長を達成しそうで、中台が「中台経済協力枠組み協定」(ECFA)の締結を前提に具体的な話し合いをスタートしている点は注目です。日本はまだ中国と自由貿易協定(FTA)の話し合いさえできていません。
両岸に分かれてから60年経過し、中台が経済協力から具体的な提携を始めることは大きな一歩です。今後の進捗に注目です。
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■テーマ: 【No. 833 中台自由貿易、年内に公式交渉開始で合意】
■今日のニュース:中台自由貿易、年内に公式交渉開始で合意
・中国の胡錦濤国家主席(共産党総書記)と台湾の連戦元副総統(国民党名誉主席)、シンガポールで会談し、自由貿易協定(FTA)を軸とする「中台経済協力枠組み協定」(ECFA)の締結に向け、年内に公式交渉を始めることで合意した。
・中国側は、関税撤廃などで台湾企業の対中輸出を優遇することで、景気低迷にあえぐ台湾を支援する意味合いもある。
・連氏は会談で、「中国が各種の『買い付け団』を台湾に派遣し、企業を助けて経済振興に相当の効果を上げている」と述べ、中国側が5月以降、台湾企業との間で電子部品や工業製品などの大型商談を成立させ、台湾経済の支援に乗り出していることに感謝した。
・中台双方は、来年中にECFAの締結を目指すことで今年5月に合意し、非公式協議を続けていた。
■戦略ポイント: 中台経済協力枠組み協定の今後の展開に注目
■Skipper Johnのコメント
毎日新聞は、同じニュースの背景として、「APECの場での中台代表者の会談は、昨年に続いて2回目。中台の複雑な関係を背景に、会談は中国共産党と台湾与党・国民党代表の立場で行われた。」と伝えています。
中台会談:年内に経済協力協議開始へ 胡錦濤主席と連戦氏
中国共産党と台湾の国民党の代表者同士という立場で、双方の経済交流を話し合うというところが大切なところです。
馬英九は08年3月の台湾総統選で、国民党の旧来イメージを払拭するために「党と政府の分離」を唱え、党主席選不出馬を表明していました。しかし政権発足直後から政府人事や予算案の可決が難航し、党内権力を掌握することで政権運営を強化しようという狙いで、国民党主席に正式就任しました。
馬英九台湾総統が国民党主席兼務へ 党内基盤強化狙う
馬英九が行政と党務の双方を掌握することで、経済面での中台交流を更に進める方向に拍車がかかってきました。その象徴的な動きが中国共産党と台湾の国民党の代表者同士による経済問題に関する交流です。
今回、国民党の代表として胡錦濤と会ったのは連戦国民党名誉主席です。連戦は本籍が台湾で、台湾籍で戦前からの国民党大物の父、遼寧籍の母の下に生まれ、大陸で育ちました。李登輝時代には副総統、その後国民党主席も歴任しました。連戦が台湾籍とはいえ大陸で生まれたという背景も、共産党との交渉の前面に立てやすい要因です。
連戦: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
現在台湾は、世界的な経済不況のあおりで経済運営に苦しんでいます。中国は09年も8.5%前後の経済成長を達成しそうで、中台が「中台経済協力枠組み協定」(ECFA)の締結を前提に具体的な話し合いをスタートしている点は注目です。日本はまだ中国と自由貿易協定(FTA)の話し合いさえできていません。
両岸に分かれてから60年経過し、中台が経済協力から具体的な提携を始めることは大きな一歩です。今後の進捗に注目です。
2009年11月18日
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■テーマ: 【No. 832 消費者の住宅購入意欲が低下 上海交通大学報告】
■今日のニュース:消費者の住宅購入意欲が低下 上海交通大学報告
・中国青年報によると、上海交通大学安泰経済・管理学院の中国都市消費者行動研究課題チームは、「中国都市層別消費者指数研究報告」を発表、今年第3四半期(7-9月)には都市消費者の自動車や住宅に対する購入意欲が低下したが、消費者幸福指数は小幅ながら上昇した。
・同調査は全国44都市で行われ、2千件の回答サンプルを収集した。調査によると、消費者住宅購入意欲指数は第2四半期(4-6月)に比べて9.8ポイント低下しており、ここから住宅購入意欲の低下がうかがえる。
・「現在は住宅購入によい時期だ」とする人の割合が約5ポイント低下した一方、「現在は住宅購入に悪い時期だ」とする人の割合が約5ポイント上昇した。また住宅販売意欲指数は約20ポイント上昇した。
・自動車購入意欲指数は前回調査に比べて1.8ポイント低下した。指数は低下したが、消費者幸福指数は前期より小幅に上昇して139ポイントに達し、第1四半期(1-3月)の129ポイントに比べると10ポイントの上昇となった。
■戦略ポイント: 購入意欲低下の原因は、「価格が高すぎる」という一時的なもの
■Skipper Johnのコメント
中国国家統計局は国内70都市の住宅価格が10月に前年同月比3.9%上昇し、1年2カ月ぶりの高い伸びとなったと発表、2009年1−10月の不動産開発投資も前年同期比18.9%増加しました。
中国:10月の住宅価格、3.9%上昇−1年2カ月ぶり高い伸び
09年春から、中国の不動産価格は再び上昇しています。国内銀行の新規融資が年初から10月までで1兆2700億ドルにもなっていて、銀行融資がさまざまな形で不動産や株式などに流入していると考えられ、資産バブルが形成されています。
自動車も沢山売れています。中国汽車工業協会は09年1-10月の新車販売台数が前年同期比37.7%増の1,089万台だったと発表、09年通年では1,300万台に達する可能性もあるとのこと。ちなみに内訳は乗用車が819万台(前年同期比45.2%増)、商用車が270万台(同19.1%増)で、乗用車の伸びが顕著です。
中国の新車販売、年間で初めて1000万台超す
上海でもおかしな現象が起きています。2009年9月の上海市のマイカーナンバープレート落札額は平均価格が29500元となり、前月比で6731元の下落となりました。原因は、現在上海で車の需要が爆発的に増えて車の供給が追いついておらず、ナンバープレートを落札しても車が無いので入札しないからです。
上海市のナンバープレート、平均落札価格は29500元
今日のニュースによれば、中国で住宅や自家用車の購入意欲が低下し始めているとの事です。購入意欲低下の主な原因は、不動産価格の高騰や自動車の入手困難さがあると筆者は考えます。
仮に近い将来、不動産や自動車の価格が下がるとしたら、再び購入意欲が上がっていくと考えられます。なぜなら、中国は人口が多く、価格が下がれば買いたいという人が多くいるからです。このあたりが日本の不動産価格の変化と違うところです。
ただ、2010年後半から再びインフレになる可能性が高く、不動産や生活必需品の価格が上がっていくと思われます。そうなるとしばらく不動産や自動車の購入意欲は低くなりそうです。
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■テーマ: 【No. 832 消費者の住宅購入意欲が低下 上海交通大学報告】
■今日のニュース:消費者の住宅購入意欲が低下 上海交通大学報告
・中国青年報によると、上海交通大学安泰経済・管理学院の中国都市消費者行動研究課題チームは、「中国都市層別消費者指数研究報告」を発表、今年第3四半期(7-9月)には都市消費者の自動車や住宅に対する購入意欲が低下したが、消費者幸福指数は小幅ながら上昇した。
・同調査は全国44都市で行われ、2千件の回答サンプルを収集した。調査によると、消費者住宅購入意欲指数は第2四半期(4-6月)に比べて9.8ポイント低下しており、ここから住宅購入意欲の低下がうかがえる。
・「現在は住宅購入によい時期だ」とする人の割合が約5ポイント低下した一方、「現在は住宅購入に悪い時期だ」とする人の割合が約5ポイント上昇した。また住宅販売意欲指数は約20ポイント上昇した。
・自動車購入意欲指数は前回調査に比べて1.8ポイント低下した。指数は低下したが、消費者幸福指数は前期より小幅に上昇して139ポイントに達し、第1四半期(1-3月)の129ポイントに比べると10ポイントの上昇となった。
■戦略ポイント: 購入意欲低下の原因は、「価格が高すぎる」という一時的なもの
■Skipper Johnのコメント
中国国家統計局は国内70都市の住宅価格が10月に前年同月比3.9%上昇し、1年2カ月ぶりの高い伸びとなったと発表、2009年1−10月の不動産開発投資も前年同期比18.9%増加しました。
中国:10月の住宅価格、3.9%上昇−1年2カ月ぶり高い伸び
09年春から、中国の不動産価格は再び上昇しています。国内銀行の新規融資が年初から10月までで1兆2700億ドルにもなっていて、銀行融資がさまざまな形で不動産や株式などに流入していると考えられ、資産バブルが形成されています。
自動車も沢山売れています。中国汽車工業協会は09年1-10月の新車販売台数が前年同期比37.7%増の1,089万台だったと発表、09年通年では1,300万台に達する可能性もあるとのこと。ちなみに内訳は乗用車が819万台(前年同期比45.2%増)、商用車が270万台(同19.1%増)で、乗用車の伸びが顕著です。
中国の新車販売、年間で初めて1000万台超す
上海でもおかしな現象が起きています。2009年9月の上海市のマイカーナンバープレート落札額は平均価格が29500元となり、前月比で6731元の下落となりました。原因は、現在上海で車の需要が爆発的に増えて車の供給が追いついておらず、ナンバープレートを落札しても車が無いので入札しないからです。
上海市のナンバープレート、平均落札価格は29500元
今日のニュースによれば、中国で住宅や自家用車の購入意欲が低下し始めているとの事です。購入意欲低下の主な原因は、不動産価格の高騰や自動車の入手困難さがあると筆者は考えます。
仮に近い将来、不動産や自動車の価格が下がるとしたら、再び購入意欲が上がっていくと考えられます。なぜなら、中国は人口が多く、価格が下がれば買いたいという人が多くいるからです。このあたりが日本の不動産価格の変化と違うところです。
ただ、2010年後半から再びインフレになる可能性が高く、不動産や生活必需品の価格が上がっていくと思われます。そうなるとしばらく不動産や自動車の購入意欲は低くなりそうです。
2009年11月17日
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■テーマ: 【No. 831 身を寄せ合って暮らす大卒のフリーター「蟻族」、全国に100万人】
■今日のニュース:身を寄せ合って暮らす大卒のフリーター「蟻族」、全国に100万人=さらに増大へ
・人民網によれば、中国で大学を卒業しても安定した職に就けず、劣悪な環境で共同生活を送る「蟻(アリ)族」と呼ばれる若者が増えている。
・「蟻族」とは、高学歴だが低所得、劣悪な環境で共同生活を送る若者の集団を指す。北京だけでも10万人。上海や広州、西安などの各大都市にも多数存在し、その数は全国で100万人を超えると推計される。
・最初にこの問題を世に知らしめたのは、北京大学の博士号を持つ廉思(リエン・スー)氏。廉氏は「蟻族」を「農民」「出稼ぎ農民」「リストラ失業者」に次ぐ、第4の弱者集団としている。
・「蟻族」の若者たちは、物価は安いが交通の便は比較的良い都市部と農村部の境界辺りで暮らしている。
・北京郊外の唐家嶺は有名な「蟻族」の村。ここに住む張さんは同級生2人と共同生活を送る。部屋は狭く衛生状態も良くない。IT企業の臨時職員で、毎月の給料は1500元(約1万9000 円)。家賃は月400元(約5200円)で冬は暖房費がさらに100元(約1300円)。ここから毎日すし詰めのバスに揺られ、北京市内まで通っている。
・中国では99年から大学の募集人数を毎年大幅に増やしている。卒業生の多くは都市部での就職を希望するが、就職口の数が追いつかない状態だ。廉氏は、「蟻族」は今後も拡大を続けるとの見方を示している。
■戦略ポイント: 蟻族に対して再就職や起業のチャンスを与える
■Skipper Johnのコメント
今年の中国で流行語大賞を取りそうなのがこの「蟻族」です。住友商事総合研究所の北村豊シニアアナリストによれば、蟻族の特徴は以下の通りです。
1)この新語の起源は『蟻族:大学卒業生が集まり住む村の実録』(陝西師範大学出版社刊)という本の題名にあること
2)“蟻族”は「集まって暮らす大学卒業生集団」を意味し、高学歴、弱小、群居(群れを作って住むこと)を特徴とすること
3)彼らは大学教育を受けたが、臨時的な仕事にしか就いていないか、失業あるいは半失業の状態にあること
4)平均月収は2000元(約2万6000円)未満で、大中都市の都市部と農村部の結合部分にある“城中村(都市化に立ち遅れて生活水準が低い「都市の中の村」)”に集まって暮らしていること
北村氏はまた、「大学は出たけれど、満足な職に就けず、低賃金で劣悪な環境下で苦しい日々を送らざるを得ない“蟻族”。彼らの不満が爆発したらどうなるのか。そうしたリスクを防ぎ、高学歴を持つ彼らを弱者集団から引き上げるにはどうしたらよいのか。」とコメントしています。
「蟻族」急増中、大学は出たけれど
今日のニュースにもあるとおり、蟻族の名づけの親である廉氏は、「蟻族」を「農民」「出稼ぎ農民」「リストラ失業者」に次ぐ第4の弱者集団だとしていて、社会的な問題として今後拡大していく可能性を秘めています。
09年7月初旬の大学新卒者の数は610万人で、その就職率は68%でした。また、今年と昨年就職できなかった大卒者を合わせると300万人以上に達しています。
依然厳しい中国の雇用情勢 大学新卒者の就職率68%
新卒者が仕事を見つけられないのには二つの原因があります。一つは中国企業が経験者の中途採用に積極的で、新卒を歓迎しないこと、もう一つは大学が乱立していて、大学生がまともな教育を受けていないことです。
大学の多くは設備投資が不要で経費の軽い英語、観光、政治、ジャーナリズムなどの専攻で学生を集めて質の低い学生を量産し、企業は景気減速で人材をより選別しているため、大学教育システムと経済の人材ニーズにズレが生じています。
大卒者の就職難に悩む中国
新卒の未就職率を引き下げるには、大学生も「学部に入学できればどうにかなる」という幻想は捨てて、学部在学中に就職戦線をよく調査し、自分にあった職業を目指して少しでも即戦力になれるよう、在学中から知識や技能を磨く努力が必要です。
また、各大学の教育の質を向上させるため、就職担当の教員養成や関連施設の充実化、特色のあるカリキュラム作成を進める必要があります。加えて大学の就職サポート部門を充実させて大手企業人事部や卒業生とのパイプづくりなどを実施し、長期的視点で学生の就職支援を行う必要があります。
そして、残念ながら努力しても新卒で就職できない人も出てきます。一度は蟻族になるかもしれません。それはそれでいいのです。そこからでも再び就職にチャレンジできる環境を整備したり、起業家として夢を追って小さなビジネスを立ち上げたりすることも可能です。
蟻族たちに再就職や起業のチャンスを与えられるようなしくみ作りが必要とされています。
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■テーマ: 【No. 831 身を寄せ合って暮らす大卒のフリーター「蟻族」、全国に100万人】
■今日のニュース:身を寄せ合って暮らす大卒のフリーター「蟻族」、全国に100万人=さらに増大へ
・人民網によれば、中国で大学を卒業しても安定した職に就けず、劣悪な環境で共同生活を送る「蟻(アリ)族」と呼ばれる若者が増えている。
・「蟻族」とは、高学歴だが低所得、劣悪な環境で共同生活を送る若者の集団を指す。北京だけでも10万人。上海や広州、西安などの各大都市にも多数存在し、その数は全国で100万人を超えると推計される。
・最初にこの問題を世に知らしめたのは、北京大学の博士号を持つ廉思(リエン・スー)氏。廉氏は「蟻族」を「農民」「出稼ぎ農民」「リストラ失業者」に次ぐ、第4の弱者集団としている。
・「蟻族」の若者たちは、物価は安いが交通の便は比較的良い都市部と農村部の境界辺りで暮らしている。
・北京郊外の唐家嶺は有名な「蟻族」の村。ここに住む張さんは同級生2人と共同生活を送る。部屋は狭く衛生状態も良くない。IT企業の臨時職員で、毎月の給料は1500元(約1万9000 円)。家賃は月400元(約5200円)で冬は暖房費がさらに100元(約1300円)。ここから毎日すし詰めのバスに揺られ、北京市内まで通っている。
・中国では99年から大学の募集人数を毎年大幅に増やしている。卒業生の多くは都市部での就職を希望するが、就職口の数が追いつかない状態だ。廉氏は、「蟻族」は今後も拡大を続けるとの見方を示している。
■戦略ポイント: 蟻族に対して再就職や起業のチャンスを与える
■Skipper Johnのコメント
今年の中国で流行語大賞を取りそうなのがこの「蟻族」です。住友商事総合研究所の北村豊シニアアナリストによれば、蟻族の特徴は以下の通りです。
1)この新語の起源は『蟻族:大学卒業生が集まり住む村の実録』(陝西師範大学出版社刊)という本の題名にあること
2)“蟻族”は「集まって暮らす大学卒業生集団」を意味し、高学歴、弱小、群居(群れを作って住むこと)を特徴とすること
3)彼らは大学教育を受けたが、臨時的な仕事にしか就いていないか、失業あるいは半失業の状態にあること
4)平均月収は2000元(約2万6000円)未満で、大中都市の都市部と農村部の結合部分にある“城中村(都市化に立ち遅れて生活水準が低い「都市の中の村」)”に集まって暮らしていること
北村氏はまた、「大学は出たけれど、満足な職に就けず、低賃金で劣悪な環境下で苦しい日々を送らざるを得ない“蟻族”。彼らの不満が爆発したらどうなるのか。そうしたリスクを防ぎ、高学歴を持つ彼らを弱者集団から引き上げるにはどうしたらよいのか。」とコメントしています。
「蟻族」急増中、大学は出たけれど
今日のニュースにもあるとおり、蟻族の名づけの親である廉氏は、「蟻族」を「農民」「出稼ぎ農民」「リストラ失業者」に次ぐ第4の弱者集団だとしていて、社会的な問題として今後拡大していく可能性を秘めています。
09年7月初旬の大学新卒者の数は610万人で、その就職率は68%でした。また、今年と昨年就職できなかった大卒者を合わせると300万人以上に達しています。
依然厳しい中国の雇用情勢 大学新卒者の就職率68%
新卒者が仕事を見つけられないのには二つの原因があります。一つは中国企業が経験者の中途採用に積極的で、新卒を歓迎しないこと、もう一つは大学が乱立していて、大学生がまともな教育を受けていないことです。
大学の多くは設備投資が不要で経費の軽い英語、観光、政治、ジャーナリズムなどの専攻で学生を集めて質の低い学生を量産し、企業は景気減速で人材をより選別しているため、大学教育システムと経済の人材ニーズにズレが生じています。
大卒者の就職難に悩む中国
新卒の未就職率を引き下げるには、大学生も「学部に入学できればどうにかなる」という幻想は捨てて、学部在学中に就職戦線をよく調査し、自分にあった職業を目指して少しでも即戦力になれるよう、在学中から知識や技能を磨く努力が必要です。
また、各大学の教育の質を向上させるため、就職担当の教員養成や関連施設の充実化、特色のあるカリキュラム作成を進める必要があります。加えて大学の就職サポート部門を充実させて大手企業人事部や卒業生とのパイプづくりなどを実施し、長期的視点で学生の就職支援を行う必要があります。
そして、残念ながら努力しても新卒で就職できない人も出てきます。一度は蟻族になるかもしれません。それはそれでいいのです。そこからでも再び就職にチャレンジできる環境を整備したり、起業家として夢を追って小さなビジネスを立ち上げたりすることも可能です。
蟻族たちに再就職や起業のチャンスを与えられるようなしくみ作りが必要とされています。
2009年11月16日
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■テーマ: 【No. 830 オバマ米大統領のアジア政策演説内容(要旨)】
■今日のニュース:オバマ米大統領のアジア政策演説内容(要旨)
(一部のみ抜粋)
・新興国がアジア太平洋や世界でより大きな役割を担おうとしている。インドネシアやマレーシアなどは民主主義を受け入れ、経済を発展させ、人々の潜在力を生かしている。米国がどのように中国の台頭を受け止めるか質問する人が多いが、国力は必ずしもゼロサムゲームではなく、国々は他国の成功を恐れる必要はない。影響力を競うのではなく、協力を培うことがアジア太平洋の前進につながる。
・中国とは現実的な協力を追求することが大事だ。どの国も独力では21世紀の課題に対処できない。中国が世界でより大きな役割を果たそうとするのを歓迎するのはこのためだ。役割とは責任を伴った経済成長をすることだ。中国の協力は経済を急回復させるうえで重要だ。中国はアフガニスタンやパキスタンで安全と安定を促進してきた。核不拡散体制にも関与しており、朝鮮半島の非核化も支援している。
・米国は中国を押さえつけようとは思わないし、中国との関係強化が他の2国間関係を弱めることもない。むしろ、強く繁栄した中国は(アジアの)国々のコミュニティーの強さの源になる。中国との戦略・経済対話を深め、軍部同士の対話を改善する。すべての案件では合意できないだろうし、米国は宗教や文化の尊重といった基本的な価値観に言及することを迷わない。だが我々は憎しみよりも協力の精神で議論を進めていける。
■戦略ポイント:米国は、各地域が問題を解決する現実路線外交を始めた
■Skipper Johnのコメント
日本における上記オバマ米大統領のアジア政策演説を受け、中国外務省は秦剛副報道局長の談話として、「中国を封じ込めようとは思わないとの発言を称賛する。良好な中米関係は世界の平和と発展にも資する。米国と一緒に対話を強化し協力を拡大したい。米国がアジア太平洋地域の平和と安定に向けて建設的な役割を果たすことを歓迎する」と発表しています。
中国、オバマ大統領演説の「協調姿勢」を歓迎
国営通信社の新華社は、15日の時点ではオバマの演説内容を伝えるのみで、はっきりした反応を示す記事を掲載していません。まだ中国政府の公式見解が出ていないことと、15日夜に上海から始まるオバマ大統領の中国訪問を通じて、米国政府の真意を探りつつコメントをしようということだと思われます。
読売新聞は15日の社説で、「アジアでは、台頭する中国が影響力を拡大するにつれ、相対的に米国の存在感は低下している。今回の演説の背景には、そうした現実への危機感があるのだろう。」と述べています。
読売社説 オバマ演説 アジア戦略の要は日米同盟だ
日経新聞は15日の記事で、「オバマ米大統領が演説でアジアに関与し続ける姿勢を鮮明にしたのは、政治・経済両面で存在感を増す中国の台頭をにらみ、この地域で握り続けてきた主導権を渡さないという決意が見え隠れする。」としています。
オバマ演説、中国の台頭を意識 域内での存在感低下危惧
筆者がオバマ演説から感じることは、米国が「中国が低迷する世界経済の回復モデルになっていること、そして中国が近隣諸国との安全と核不拡散を維持してきたこと」を高く評価しているというメッセージが込められている点です。
その上で米国は、中国と更なる対話を通じて問題点をある程度解決し、東アジアの問題は主に中国や近隣諸国で解決していってほしいという、現実的な外交路線を基本政策に据えています。これは米国の危機感の表れというより、「世界の警察」を続けられないのが明確になってきて、各地域の問題をある程度各国で処理していく時代がきているということです。
日本の民主党新政権も、鳩山総理が「米国との対等な関係」を標榜したのにもかかわらず、最初の訪米で米マスコミから非難を浴びることがありませんでした。米国はオバマ大統領になって現実的な外交路線を歩み始めていることが明快になってきました。
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■テーマ: 【No. 830 オバマ米大統領のアジア政策演説内容(要旨)】
■今日のニュース:オバマ米大統領のアジア政策演説内容(要旨)
(一部のみ抜粋)
・新興国がアジア太平洋や世界でより大きな役割を担おうとしている。インドネシアやマレーシアなどは民主主義を受け入れ、経済を発展させ、人々の潜在力を生かしている。米国がどのように中国の台頭を受け止めるか質問する人が多いが、国力は必ずしもゼロサムゲームではなく、国々は他国の成功を恐れる必要はない。影響力を競うのではなく、協力を培うことがアジア太平洋の前進につながる。
・中国とは現実的な協力を追求することが大事だ。どの国も独力では21世紀の課題に対処できない。中国が世界でより大きな役割を果たそうとするのを歓迎するのはこのためだ。役割とは責任を伴った経済成長をすることだ。中国の協力は経済を急回復させるうえで重要だ。中国はアフガニスタンやパキスタンで安全と安定を促進してきた。核不拡散体制にも関与しており、朝鮮半島の非核化も支援している。
・米国は中国を押さえつけようとは思わないし、中国との関係強化が他の2国間関係を弱めることもない。むしろ、強く繁栄した中国は(アジアの)国々のコミュニティーの強さの源になる。中国との戦略・経済対話を深め、軍部同士の対話を改善する。すべての案件では合意できないだろうし、米国は宗教や文化の尊重といった基本的な価値観に言及することを迷わない。だが我々は憎しみよりも協力の精神で議論を進めていける。
■戦略ポイント:米国は、各地域が問題を解決する現実路線外交を始めた
■Skipper Johnのコメント
日本における上記オバマ米大統領のアジア政策演説を受け、中国外務省は秦剛副報道局長の談話として、「中国を封じ込めようとは思わないとの発言を称賛する。良好な中米関係は世界の平和と発展にも資する。米国と一緒に対話を強化し協力を拡大したい。米国がアジア太平洋地域の平和と安定に向けて建設的な役割を果たすことを歓迎する」と発表しています。
中国、オバマ大統領演説の「協調姿勢」を歓迎
国営通信社の新華社は、15日の時点ではオバマの演説内容を伝えるのみで、はっきりした反応を示す記事を掲載していません。まだ中国政府の公式見解が出ていないことと、15日夜に上海から始まるオバマ大統領の中国訪問を通じて、米国政府の真意を探りつつコメントをしようということだと思われます。
読売新聞は15日の社説で、「アジアでは、台頭する中国が影響力を拡大するにつれ、相対的に米国の存在感は低下している。今回の演説の背景には、そうした現実への危機感があるのだろう。」と述べています。
読売社説 オバマ演説 アジア戦略の要は日米同盟だ
日経新聞は15日の記事で、「オバマ米大統領が演説でアジアに関与し続ける姿勢を鮮明にしたのは、政治・経済両面で存在感を増す中国の台頭をにらみ、この地域で握り続けてきた主導権を渡さないという決意が見え隠れする。」としています。
オバマ演説、中国の台頭を意識 域内での存在感低下危惧
筆者がオバマ演説から感じることは、米国が「中国が低迷する世界経済の回復モデルになっていること、そして中国が近隣諸国との安全と核不拡散を維持してきたこと」を高く評価しているというメッセージが込められている点です。
その上で米国は、中国と更なる対話を通じて問題点をある程度解決し、東アジアの問題は主に中国や近隣諸国で解決していってほしいという、現実的な外交路線を基本政策に据えています。これは米国の危機感の表れというより、「世界の警察」を続けられないのが明確になってきて、各地域の問題をある程度各国で処理していく時代がきているということです。
日本の民主党新政権も、鳩山総理が「米国との対等な関係」を標榜したのにもかかわらず、最初の訪米で米マスコミから非難を浴びることがありませんでした。米国はオバマ大統領になって現実的な外交路線を歩み始めていることが明快になってきました。
2009年11月15日
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■テーマ: 【No. 829 CPI発表:今後の推移は?専門家の予想割れる】
■今日のニュース:CPI発表:今後の推移は?専門家の予想割れる
・中国新聞社によれば、中国国家統計局は2009年10月の経済指標を発表した。このうち消費者物価指数(CPI)は前年同月比で0.5%下降した。下げ幅は前月より0.3ポイント%縮小という。
・国家統計局広報担当の盛来運氏は「中国では現在インフレは発生しておらず物価は低水準で推移している」と述べた。
・一方で国家信息中心経済預測部の祝宝良首席エコノミストは「11月と12月のCPIは上昇に転じるだろうが今はインフレ圧力がかかっている段階にある訳ではない」と指摘。
・さらに中国社会科学院中国経済評価中心の劉〓輝主任は「『CPI=インフレ』という図式は必ずしも社会の物価水準の真相を表すことにはならない。むしろM1に着目すると10月は実に32%の伸びを示している」と説明。
・その上で「過去20年を振り返るとM1が20%以上伸びた後の6カ月はCPIが急上昇している」と語った。(〓は火へんに日+立)
■戦略ポイント: 2010年後半から、中国がインフレになりそうな勢い
■Skipper Johnのコメント
現在、多くの中国ビジネスパーソンが心配しているのは、「中国がいつからインフレになるか?」という点です。
インフレになると物価が上昇するだけでなく、人民元と米ドルの為替レートも人民元高に拍車がかかります。そして何より、GDPを計算する上で、経済成長分からインフレ分を差し引かなければならないので、インフレになるとGDP成長率が下がる計算になります。
一般的に、中国ではGDPが急成長するとその9-12ヵ月後にインフレになると言われています。中国経済は09年の第4四半期(10-12月)が10%近い急成長になりそうなので、上記の説に従うとすると、2010年の後半には中国がインフレになるかも知れません。
また、今日のニュースでは、M1(通貨供給量で、現金通貨と預金通貨の合計)が20%以上伸びた6ヵ月後にCPI(消費者物価指数)が上昇しているとのこと。09年10月にM1が32%上昇しているので、もしかしたら2010年4月頃からCPIが上がるかもしれません。
また、人民元と米ドルの為替レートもインフレとの関連性があります。米国サブプライム問題を発端とする世界的な金融危機を背景に、中国は人民元の対米ドルレートをじわじわと切り上げてきました。
しかし、リーマンショックの数ヶ月前から実質上1米ドル=6.83元前後にペッグして一年以上が経過しました。なぜドルにペッグしたかというと、輸出競争力を維持するためです。元が高くなると同じ商品でもドル建ての価格が上昇します。それを防ぎたいので為替レートを固定化しました。
為替レートを固定化すると、逆に輸入商品は安くなりません。ましてや、このところ原油や鉄鉱石など中国が大量に輸入する商品の国際的な価格が高騰しています。為替レートがもっと人民元高になると、元建ての輸入価格は下がります。
つまり中国のインフレを少しでも防ぐために、為替レートがもっと人民元高になっていく可能性が非常に高くなってきています。中国がいつインフレになるかという問題と並行して、いつ人民元高が始まるかという点も注目しましょう。
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■テーマ: 【No. 829 CPI発表:今後の推移は?専門家の予想割れる】
■今日のニュース:CPI発表:今後の推移は?専門家の予想割れる
・中国新聞社によれば、中国国家統計局は2009年10月の経済指標を発表した。このうち消費者物価指数(CPI)は前年同月比で0.5%下降した。下げ幅は前月より0.3ポイント%縮小という。
・国家統計局広報担当の盛来運氏は「中国では現在インフレは発生しておらず物価は低水準で推移している」と述べた。
・一方で国家信息中心経済預測部の祝宝良首席エコノミストは「11月と12月のCPIは上昇に転じるだろうが今はインフレ圧力がかかっている段階にある訳ではない」と指摘。
・さらに中国社会科学院中国経済評価中心の劉〓輝主任は「『CPI=インフレ』という図式は必ずしも社会の物価水準の真相を表すことにはならない。むしろM1に着目すると10月は実に32%の伸びを示している」と説明。
・その上で「過去20年を振り返るとM1が20%以上伸びた後の6カ月はCPIが急上昇している」と語った。(〓は火へんに日+立)
■戦略ポイント: 2010年後半から、中国がインフレになりそうな勢い
■Skipper Johnのコメント
現在、多くの中国ビジネスパーソンが心配しているのは、「中国がいつからインフレになるか?」という点です。
インフレになると物価が上昇するだけでなく、人民元と米ドルの為替レートも人民元高に拍車がかかります。そして何より、GDPを計算する上で、経済成長分からインフレ分を差し引かなければならないので、インフレになるとGDP成長率が下がる計算になります。
一般的に、中国ではGDPが急成長するとその9-12ヵ月後にインフレになると言われています。中国経済は09年の第4四半期(10-12月)が10%近い急成長になりそうなので、上記の説に従うとすると、2010年の後半には中国がインフレになるかも知れません。
また、今日のニュースでは、M1(通貨供給量で、現金通貨と預金通貨の合計)が20%以上伸びた6ヵ月後にCPI(消費者物価指数)が上昇しているとのこと。09年10月にM1が32%上昇しているので、もしかしたら2010年4月頃からCPIが上がるかもしれません。
また、人民元と米ドルの為替レートもインフレとの関連性があります。米国サブプライム問題を発端とする世界的な金融危機を背景に、中国は人民元の対米ドルレートをじわじわと切り上げてきました。
しかし、リーマンショックの数ヶ月前から実質上1米ドル=6.83元前後にペッグして一年以上が経過しました。なぜドルにペッグしたかというと、輸出競争力を維持するためです。元が高くなると同じ商品でもドル建ての価格が上昇します。それを防ぎたいので為替レートを固定化しました。
為替レートを固定化すると、逆に輸入商品は安くなりません。ましてや、このところ原油や鉄鉱石など中国が大量に輸入する商品の国際的な価格が高騰しています。為替レートがもっと人民元高になると、元建ての輸入価格は下がります。
つまり中国のインフレを少しでも防ぐために、為替レートがもっと人民元高になっていく可能性が非常に高くなってきています。中国がいつインフレになるかという問題と並行して、いつ人民元高が始まるかという点も注目しましょう。
2009年11月14日
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■テーマ: 【No.828 日本 中国人観光客誘致に本腰、昨年100万人突破】
■今日のニュース:日本 中国人観光客誘致に本腰、昨年100万人突破
・環球時報は共同通信の記事を引用し、中国人の訪日観光を推進するため日本の前原誠司国土交通相が今月23日に訪中し、中国国家観光局と協議を行う、と伝えた。
・同報道によると、日本の鳩山政権は今後、観光を経済成長戦略の柱にしようと考えている。
・日本の国土交通省が先月発表した新たな観光客増加目標では、 2019年までに日本を訪れる外国人観光客数毎年延べ2500万人を目指すことを掲げた(昨年実績は延べ835万人)。中国人訪日観光客数は昨年、初めて延べ100万人を突破した。
・日本の観光庁が先月末に発表した最新統計によると、9月に訪日した中国人は9万8800人で、昨年同期比 5.2%増加、9月としては過去最高を記録した。
・日本政府は既に、外国人観光客誘致のための広告宣伝予算およそ50億円の25%を中国への宣伝に充てることを決定しており、来年には中国国内に3カ所の宣伝拠点を新たに設ける。
■戦略ポイント: 日本の観光地は、中国人観光客を取り込む努力を
■Skipper Johnのコメント
2008年に中国で公開された映画「非誠勿擾(日本語での意味は【誠実な交際を望む】)」は馮小剛監督のメガホンで、コメディ俳優の葛優と台湾の人気女優、舒淇が主演し、北海道を舞台にしたコメディ・ラブストーリーが受けて映画が大ヒット、中国から北海道を訪れる人が一気に増えました。
映画「非誠勿擾」が火を付けた北海道ブーム
全日空が発売している「日本まるごとツアー」の価格は、滞在期間が6日を超えると航空券のみで6100元(約8万円)です。北京、上海、大連など中国主要10都市から日本への往復料金と、日本国内の任意の4路線が料金に含まれています。
No.795 全日空 「日本まるごとツアー」で中国人観光客に勝負
今日のニュースにもあるとおり、中国人訪日観光客数は2008年通年で初めて延べ100万人を越えました。このように、北海道を含めて中国から日本への観光ブームが到来していて、航空会社や旅行会社は中国人観光客向けにさまざまなパッケージ商品を開発しています。
また、中国人観光客が使う買い物の売上高も、各観光地の大切な収入源になっています。買い物で威力を発揮するのが、中国の「銀聯カード」です。銀聯カードはいわゆるデビットカードで、利用したらすぐ中国の銀行口座から代金が引き落とされる仕組みになっています。また、キャッシュカードでもあるので、ATMで現金を引き出すことも可能です。
日本国内では、すでに約1万3000店で銀聯カードの利用が可能で、かつ5万台以上の日本の銀行ATMで現金の引き出しができます。今年4月のデータによれば、来日した中国人観光客約10万人の銀聯カード利用額合計は約25億円に達したそうです。この額は中国人観光客による総消費金額の25%を占めています。
<銀聯カード>中国人の財布替わり、利用急増!観光客消費額の25%占める―日本
09年7月からは、中国人の個人旅行目的の訪日ビザ取得が以前より簡単になり、個人旅行も今後増えていきます。日本の各観光地は、中国人観光客をいかに取り込めるかで業績が変わってくる時代が到来しました。
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■テーマ: 【No.828 日本 中国人観光客誘致に本腰、昨年100万人突破】
■今日のニュース:日本 中国人観光客誘致に本腰、昨年100万人突破
・環球時報は共同通信の記事を引用し、中国人の訪日観光を推進するため日本の前原誠司国土交通相が今月23日に訪中し、中国国家観光局と協議を行う、と伝えた。
・同報道によると、日本の鳩山政権は今後、観光を経済成長戦略の柱にしようと考えている。
・日本の国土交通省が先月発表した新たな観光客増加目標では、 2019年までに日本を訪れる外国人観光客数毎年延べ2500万人を目指すことを掲げた(昨年実績は延べ835万人)。中国人訪日観光客数は昨年、初めて延べ100万人を突破した。
・日本の観光庁が先月末に発表した最新統計によると、9月に訪日した中国人は9万8800人で、昨年同期比 5.2%増加、9月としては過去最高を記録した。
・日本政府は既に、外国人観光客誘致のための広告宣伝予算およそ50億円の25%を中国への宣伝に充てることを決定しており、来年には中国国内に3カ所の宣伝拠点を新たに設ける。
■戦略ポイント: 日本の観光地は、中国人観光客を取り込む努力を
■Skipper Johnのコメント
2008年に中国で公開された映画「非誠勿擾(日本語での意味は【誠実な交際を望む】)」は馮小剛監督のメガホンで、コメディ俳優の葛優と台湾の人気女優、舒淇が主演し、北海道を舞台にしたコメディ・ラブストーリーが受けて映画が大ヒット、中国から北海道を訪れる人が一気に増えました。
映画「非誠勿擾」が火を付けた北海道ブーム
全日空が発売している「日本まるごとツアー」の価格は、滞在期間が6日を超えると航空券のみで6100元(約8万円)です。北京、上海、大連など中国主要10都市から日本への往復料金と、日本国内の任意の4路線が料金に含まれています。
No.795 全日空 「日本まるごとツアー」で中国人観光客に勝負
今日のニュースにもあるとおり、中国人訪日観光客数は2008年通年で初めて延べ100万人を越えました。このように、北海道を含めて中国から日本への観光ブームが到来していて、航空会社や旅行会社は中国人観光客向けにさまざまなパッケージ商品を開発しています。
また、中国人観光客が使う買い物の売上高も、各観光地の大切な収入源になっています。買い物で威力を発揮するのが、中国の「銀聯カード」です。銀聯カードはいわゆるデビットカードで、利用したらすぐ中国の銀行口座から代金が引き落とされる仕組みになっています。また、キャッシュカードでもあるので、ATMで現金を引き出すことも可能です。
日本国内では、すでに約1万3000店で銀聯カードの利用が可能で、かつ5万台以上の日本の銀行ATMで現金の引き出しができます。今年4月のデータによれば、来日した中国人観光客約10万人の銀聯カード利用額合計は約25億円に達したそうです。この額は中国人観光客による総消費金額の25%を占めています。
<銀聯カード>中国人の財布替わり、利用急増!観光客消費額の25%占める―日本
09年7月からは、中国人の個人旅行目的の訪日ビザ取得が以前より簡単になり、個人旅行も今後増えていきます。日本の各観光地は、中国人観光客をいかに取り込めるかで業績が変わってくる時代が到来しました。
2009年11月13日
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■テーマ: 【No.827 中国輸出、回復緩やか 10月減少率縮小も景気は公共投資依存】
■今日のニュース:中国輸出、回復緩やか 10月減少率縮小も景気は公共投資依存
・中国の輸出に持ち直しの兆しが出ている。税関総署が発表した10月の輸出は前年同月比13.8%減の1107億6200万ドル(約10兆円)と、4カ月連続で1000億ドルの大台を超えた。
・しかし、世界経済の先行きはなお不透明で、輸出の回復は緩やかなペースにとどまるとの見方が多い。 2009年の貿易黒字は6年ぶりに前年の水準を下回る見通し。中国経済の回復は当面、公共事業など投資頼みの局面が続く。
・中国の輸出は昨年11月に前年同月比で減少に転じてから、今年10月まで1年にわたってマイナスが続いている。
・ただ、減少率は5月の26.4%を底に改善傾向が鮮明になっており、輸出額も7月に今年初めて1000億ドルの大台に乗せた。
・11月以降は前年の落ち込みの反動が出ることもあって、市場関係者の間では「12月にも輸出はプラスに転じる」との観測が増えている。
■戦略ポイント: 中国でGDPに占める純輸出高の割合はまだ低い
■Skipper Johnのコメント
GDPの構成要素には4つの大切なものがあります。それらは消費、企業投資、財政支出、純輸出高(=総輸出高−総輸入高)の要素です。
米国ではGDPに占める消費が70%近くあります。つまり米国のGDPの約三分の二は消費で構成されています。また、先進諸国では消費の比率が50-60%くらいあります。
ところが中国ではGDP内での消費の比率が35%程度と、約三分の一です。これは発展途上国ではよくある話です。経済発展を目的として途上国政府が多くの財政支出を拠出するからです。
また、消費の比率が少ないということは、中国では消費が今後伸びるという見方もできますし、現在のところ消費以外でGDPを支えているとも言えます。
今日のニュースでは、中国の輸出の回復が見えてきて、昨年末に輸出が落ち込んだという関係もあり、今年末には輸出が昨年比で増加しそうとのことです。
ロイターの報道によれば、10月の貿易黒字(=純輸出高)は240億ドルで、9月の129億ドル、エコノミスト予想の191億ドルを上回りました。
10月中国指標は世界の工場復活示す、経済リバランスに向けた変化の兆候も
また上記ニュースでは、「4兆元(約5850億ドル)規模の景気対策の効果が先細りする中、投資と融資のペースが減速している」とも指摘、今年のGDP成長は8%強で推移するものの、来年度以降のマクロ経済はまだ予断を許さないといった状況です。
08年の中国の純輸出高(貿易黒字)は2,900億ドルです。これがGDP総額に占める割合は6.7%です。上記の一次的な4兆元の財政支出がGDPに占める割合は13.5%で、中国では純輸出高がGDPに占める比率はまだ低く、財政支出でGDP成長を支えています。
輸出の回復はGDP拡大に大切ですが、中国でGDPに占める純輸出高の割合はまだ低いということを覚えておきましょう。
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■テーマ: 【No.827 中国輸出、回復緩やか 10月減少率縮小も景気は公共投資依存】
■今日のニュース:中国輸出、回復緩やか 10月減少率縮小も景気は公共投資依存
・中国の輸出に持ち直しの兆しが出ている。税関総署が発表した10月の輸出は前年同月比13.8%減の1107億6200万ドル(約10兆円)と、4カ月連続で1000億ドルの大台を超えた。
・しかし、世界経済の先行きはなお不透明で、輸出の回復は緩やかなペースにとどまるとの見方が多い。 2009年の貿易黒字は6年ぶりに前年の水準を下回る見通し。中国経済の回復は当面、公共事業など投資頼みの局面が続く。
・中国の輸出は昨年11月に前年同月比で減少に転じてから、今年10月まで1年にわたってマイナスが続いている。
・ただ、減少率は5月の26.4%を底に改善傾向が鮮明になっており、輸出額も7月に今年初めて1000億ドルの大台に乗せた。
・11月以降は前年の落ち込みの反動が出ることもあって、市場関係者の間では「12月にも輸出はプラスに転じる」との観測が増えている。
■戦略ポイント: 中国でGDPに占める純輸出高の割合はまだ低い
■Skipper Johnのコメント
GDPの構成要素には4つの大切なものがあります。それらは消費、企業投資、財政支出、純輸出高(=総輸出高−総輸入高)の要素です。
米国ではGDPに占める消費が70%近くあります。つまり米国のGDPの約三分の二は消費で構成されています。また、先進諸国では消費の比率が50-60%くらいあります。
ところが中国ではGDP内での消費の比率が35%程度と、約三分の一です。これは発展途上国ではよくある話です。経済発展を目的として途上国政府が多くの財政支出を拠出するからです。
また、消費の比率が少ないということは、中国では消費が今後伸びるという見方もできますし、現在のところ消費以外でGDPを支えているとも言えます。
今日のニュースでは、中国の輸出の回復が見えてきて、昨年末に輸出が落ち込んだという関係もあり、今年末には輸出が昨年比で増加しそうとのことです。
ロイターの報道によれば、10月の貿易黒字(=純輸出高)は240億ドルで、9月の129億ドル、エコノミスト予想の191億ドルを上回りました。
10月中国指標は世界の工場復活示す、経済リバランスに向けた変化の兆候も
また上記ニュースでは、「4兆元(約5850億ドル)規模の景気対策の効果が先細りする中、投資と融資のペースが減速している」とも指摘、今年のGDP成長は8%強で推移するものの、来年度以降のマクロ経済はまだ予断を許さないといった状況です。
08年の中国の純輸出高(貿易黒字)は2,900億ドルです。これがGDP総額に占める割合は6.7%です。上記の一次的な4兆元の財政支出がGDPに占める割合は13.5%で、中国では純輸出高がGDPに占める比率はまだ低く、財政支出でGDP成長を支えています。
輸出の回復はGDP拡大に大切ですが、中国でGDPに占める純輸出高の割合はまだ低いということを覚えておきましょう。
