荒木先生の雑誌でのインタビュー記事を紹介していこうかと思います。
まずは、恐らく最も古いものであろう、「ファンロード」86年5月号から。
baofan_01
この号の「シュミの特集」が「バオー来訪者」でした。
ファンロード読者には結構人気がある作品だったらしく、バオー来訪者の連載が終了してから1年後にも関わらず特集が組まれました。
表紙と付録の中折ポスターは描き下ろしイラスト!更に先生のカラー写真付き!その上ファンとの対談も載せていました。なんて豪華!
baofan_02
25歳の頃の荒木先生。
baofan_03
当たり前ですが若いです。
左から2番めの描き下ろしイラストがポスターとして付いていました。
 
------------------------------------
シュミの特集★バオー来訪者
これが! 荒木飛呂彦先生だッ!!
——ついにファンロードが前代未聞の特集をやってしまった!
本誌ウラ人気の続く「バオー」シュミ特に、表紙&カラーとジャンプ・バリバリの荒木先生の描きおろし♡ そしてさらに、ビューティー・ジャンプガイ、荒木先生とファンの対談が実現した!!
------------------------------------
baofan_04
なんとインタビュアーは女性ファンの方々。今考えると凄い企画ですね。
以下がインタビュー記事全文です。
------------------------------------
★連載が終ってもファンロードでウラ人気の続くジャンプのマンガはな〜んだ!?
とくればあがるのは、「バオー来訪者」と「コマンダー0」!
幸い今回は、少年ジャンプのスペシャル協力で、こんなリッチな特集を組むことができちゃった♡
おまけに先生との対談もできることになりまして、近辺のファンの方を急募!
この日集まったインタビュアーは、小見山典子さん、ふうま連さん、エリカ・クローゼさんの3人。
カッコイイ荒木先生に向けて、いかにも女の子らしい質問が出たりしましたが…!?
(そうそう、荒木先生は、ファンロードも、台湾のご自分の海賊版コミックスのこともご存知でしたよ!)

 * * *
——それでは、何でも聞いて下さい。
エ「写真と同じ顔の人なんですね♡ お店に入ってきた時、すぐわかりました」
荒「ああ、そうですか(笑)」
——でもコミックスの写真は白黒でしょう?
荒「あれは白黒って決まってるんですよ。スーパー・コミックスの方はカラーなんですけど」
エ「生年月日などを…?」
荒「35年6月7日です。双子座です。B型です」
エ「マンガ家になったきっかけは?」
荒「80年の冬ぐらいに、ジャンプに持ちこんだんです。原稿を——『武装ポーカー』という、手塚賞準入選に入ったやつです」
——ああ、今回の特集に集まったハガキで、名前だけ知っているけど読んだことがなくて残念ってのが多かったですよ。
荒「西部劇です。異色の……」
ふ「今とずいぶん感じが違いますね」
荒「そうですね。ポーカーゲームみたいなのしてガンマンが戦うって話で……31枚でした。それでデビューしました。その後は、短編を3本ぐらいのっけて、『魔少年ビーティー』に入りました」
baofan_05
——そのころのものは、じゃあ今は読めないわけですね。
荒「ああ、短編集は出ていません。もうあのへんのやつは、闇にほうむりたいんです(笑)」
一同「え〜っ!?」
エ「その前に、投稿とか同人誌は?」
荒「高校のころ、けっこう投稿してた」
ふ「どういった雑誌に?」
荒「やっぱりジャンプ。好きだったから……」
——そのころの少年ジャンプというと、どんな作品がありました?
荒「…『ドーベルマン刑事』とか…あと忘れた(笑)。マガジンだと『愛と誠』なんかね」
エ「影響を受けた人とかはいました?」
荒「梶原一騎さんの原作の」
一同「え〜っ(笑)え〜っ(笑)(笑)」
荒「え〜って…何で!?(笑)」
ふ「梶原一騎さんってマンガ描いてるんですか?」
——『愛と誠』の原作とかやってるでしょ。
ふ「あ、そうか」
小「え〜っ!?」
荒「えっ!? そんな世代なの〜っ!? 今、読んでもあれはおもしろい!」
——小見山さんも、何かありません?
小「『ビーティー』のトリックなんか、いつも自分でお考えになるんですか?」
荒「アレンジするのもあるし、自分で考えるのもあります」
——それではそろそろ、『バオー』のお話を……。ファンロードの読者に人気がある原因のひとつは、短い連載だったにもかかわらず、中途はんぱな打ち切りラストではなく、ジャンプの作品の中でも理想的な完結をむかえた作品であるかららしいんですが……。
荒「ああ、あれはラストだけは考えてたの。こういう終わり方にするんじゃないかなって……」
——終わりの方で、やっと“来訪者”って意味がわかるのも、いいですね。最初は、逃げてばかりなのになぜ“来訪者”なんだろうかと……。
荒「ボクもそう思った(笑)」
エ「あれ、続編とかは……?」
荒「作りたいですけどー……」
ふ「17歳のスミレちゃんが見たいで〜す♡ どういうイメージですか?」
荒「そうですね、あんまり活発じゃなくて女らしい人」
エ「スミレちゃんのモデルは?」
荒「現実には、いませんね」
ふ「理想のタイプとか……」
——そういえば、コミックスの2巻目の描きたしページのスミレは、ずいぶん感じが変わっていましたね。
荒「絵はね、なるべく変化させるようにこころがけてます。修行中と思ってますから」
ふ「絵の方で影響受けた方は?」
荒「白土三平……最初はね」
——『バオー』でもいましたね。爆弾投げた2人組なんて、爆弾の代わりに手裏剣にしたら忍者モノのノリですもんね。
荒「その通りです。(笑)『サスケ』とか好きでしたから」
エ「なぜ、スミレちゃんとかマユ毛が太いんですか?」
荒「太すぎますか?(笑)」
ふ「慣れるとかわいいんだけど、パッと初めて見た時は……」
エ「最初、飾りかと思った」
荒「60年代のメーキャップみたいのが好きなので、あのへんをちょこっとやってみた。(笑)ファッション・デザインの学校に行っていたことがあるので」
ふ「ツリ目の人が好きだとか……」
荒「そう、ツリ目でね、くちびるはちょっと厚めがいいな。描いてはいませんけどね」
——ツリ目じゃないの、あのおばあちゃんぐらいですね。(笑)
小「バオーをどうして、寄生虫にしたんですか?」
ふ「あたしも聞きたかった! 気持ち悪〜いの!(笑)」
荒「あのへん、ちょっと不評だったかも……(笑)」
——でも、ホラー映画では、軍の機密とかなんとかでそういうのって、よくあるんですよ。
荒「リアリティーがあると思ったし……変身する理由がちゃちいと、迫力の面で違ってくると思うんですよ。こいつなら変身しかねないぞと、思わせるためには……」
エ「読んだ時、『サイボーグ009』みたいな感じがした♡」
——女の子の感想ですねえ。たしかに、自分のからだに秘密の力があって組織に追われる孤独なヒーローっていうのは、『009』、『ウルフガイ』、『キマイラ』なんかも、みんな共通の悲劇的な魅力を持ってますからね。そうそう、ここで読者の質問をちょっと……。“バオー”をとじこめた時に、ネペンテス液なんて入れずに水を入れてしまえば、バオーは眠ってしまったんじゃないんですか? というんですが……。
荒「それは、アシスタントからも指摘がありました。(笑)それはね、水を入れている間に、バオーだと扉をとかして脱出しちゃうわけ!」
一同「あっ、なるほどー!」
荒「霞の目は、ちゃんとそこまで考えていたわけ!」
——ボケてたんじゃなかったんですね。
ふ「生物とかはお好きだったんですか?得意科目だったとか……」
荒「そうかもしれません(笑)」
エ「じゃあ英語も? あれだけいろんなことばが出てくるから……」
荒「英語は——(笑)、あれは不得意だから、わざとむずかしくしてる」
ふ「○○フェノメノンとかいろいろ出てくるから、『試験に役立つマンガ』とか(笑)」
荒「あれ書いたら絶対に落ちます!」
エ「子供のころは、どんな子でした?やっぱりマンガ家にあこがれていましたか?」
荒「あんまりあこがれてなかったね。けっこう外で遊んでて、年上のガキ大将の後ろとかチョコチョコついて歩いてた」
——そういえば、同じ宮城の学校の後輩の人からもハガキ来てましたよ。
荒「あっ、ボク、宮城出身です。仙台です」
——寒さに強いそうですよ。
荒「寒さ強いです。夏は——仙台に逃げて帰ります」
エ「マンガ家になろうと思ったのは、いつごろですか?」
荒「デザイン学校入ってからかなあ。高校卒業してからデザイン学校入って、職がないんで、えらいとこに入った〜っと思って、マンガ家になろうと思って持ちこみをやった……」
エ「じゃあ、努力の人なんですね」
荒「努力というよりは……泣きつきです。(笑)お願いしまーすって……」
一同(笑)
ふ「やさしかったですか、編集さんは?」
荒「恐いです!(笑)」
小「でもホントに思ったわ、私。どうしてこんなお坊っちゃまみたいな人がマンガ家になったんだろうって(笑)」
——そうですか?
小「ジャンプでよく、新年号なんかで表紙で先生方の顔が出るでしょ。あれ見て、あーって思って……」
——そうそう、荒木先生は、バレンタインのチョコを、大きな箱に2つだか3つだか、ファンからもらうそうですよ。
一同「わ〜っ、すごい〜!」
荒「どうも、ありがとうございます」
小「キャラクターじゃなくて先生あてに? それはすごい!」
ふ「そういうチョコレートは、みんなどうしていますか?」
荒「全部、食べてます。返事もいくつか書いてます!」
——ああ、これもハガキでありましたけど、お正月にマンガ家やミュージシャンに年賀状を出したら、荒木先生からはお返事を、しかも早くもらえたって。
荒「(笑)ボクはマメです!」
——ファンは細かいとこ見てますね。
荒「週、1通か2通は返事を書いてんじゃないかな?」
——公認のファンクラブみたいなものはあるんですか?
荒「あります……あったかな?」
一同「ええ〜!?」
荒「いいよって、言ったかもしれないけど……」
ふ「『バオー』は、アニメ化の話とかないんですか?」
——う〜ん、ビデオアニメの話とかは耳にしますけど、はっきり決定したものはないですね。
荒「レコードの話は……」
——イメージ・レコードの話はあったんだけど、これは流れちゃいました。
荒「ありゃ残念でした」
エ「自分の作品のアニメ化なんてのは、見てみたいとか思いますか?」
荒「……見てみたいですね。うれしいとかいうのとはちょっと違うけど」
——声優さん、たいへんでしょうね(笑)。
ふ「実写版とかいうのは——はやりのスプラッタで……」
荒「ピキピキピキって(笑)」
ふ「でも気持ちわるそう(笑)」
小「そうしたら先生が主役だ!」
一同「あっ、似合いそ〜ッ!」
荒「やだよ(笑)」
——あっ、荒木先生は苦手なんですって。こう、バルバルってポーズとかとったりするの。
ふ「ポーズは、ほらJACとかスタントの人にやらせて、育朗の時だけ」
エ「ああいうの、海外で受けそう」
——台湾では『魔界訪客』ってコミックスになってますよ。
エ「そうじゃなくて、アメリカとか、もっとメジャーに……」
荒「ことばのギャップがなきゃいいんですけどね」
ふ「こういう英語は使わないとか言われたりして(笑)」
——それは恐い。よくアメリカとかの映画で変な日本語が使われるのといっしょですね。
荒「バオーとかビーティーってのも造ったことばですね。どーゆー名前にしようかと思って……発音で決めるんですね」
——じゃあ何かの略ではない?
荒「ぜんぜんない。ティーってのがいい響きするなあと思って、頭文字でいこうと思って——AT、BT、あっ、ビーティーでいこうと」
——それではそろそろおしまいですよ。早くジャンプで新連載が見れるように、みんなヨイショしましょーね!
一同「がんばって下さーい♡」
-------------------------------------
baofan_06
プレゼント用のイラスト入りサイン色紙
baofan_07

ちなみに、OVAバオー来訪者のDVD版の特典として、このインタビュー内容をまとめた紙が付いていました。