ナダルがATPチャンピオンズ・レースで2位になっている。3位はヒューイットで全豪覇者のサフィンはなんと4位。全仏が終わる頃には勢力地図がいったん塗り替えられることになるだろう。出遅れたサフィン・ヒューイット・ロディックが後半のハードコートシーズンでどれだけ巻き返せるか。終盤は混戦になるかもしれない。それでも一位は不動のままだろうが。

スペインのバルセロナ大会での第一シードはその4位にまで落ちたサフィン。以下、第二シードガウディオ、第三シードモヤ、第四シードコリアで、コリアの山にナダルがいる。マスターズシリーズ並に豪華な顔ぶれを揃えているこの大会。コリアには早速ナダルにリベンジのチャンスが与えられるだろう。だがさて、返り討ちに合わなければよいが。これでモヤを倒せば最高のシーズン出だしとなるナダル君。それだけに、この大会も当然優勝を狙ってくるだろう。止めるか、コリア、モヤ、ガウディオ。サフィンもそろそろエンジンをかけないと忘れられるぞ。スペイン育ちの君はけしてクレーが苦手な訳ではないだろう。

北米で数少ないクレーの大きな大会、アメリカのヒューストン大会は第一シードロディック、第二シードアガシ、第三シードハース、第四シードマシューの布陣。がシードを守ることがこれほど苦しそうな1・2シードも珍しい。ロディックはここらで脱皮した姿を見たいものだ。

先週のWTAチャールストンの大会ではエナンが優勝した。QFでダベンポート、SFでゴルビン、決勝でディメンティエワと難敵を下しての価値ある勝利である。これでキム・クライシュテルスに続きジャスティーヌ・エナンも復活を遂げた。クライシュテルスとエナン、ベルギー勢として何かと一括りにされる二人だが、プライベートでは世間で言われているほど仲がよい訳でもなく、かといって悪い訳でもなく、ただの同じ国籍の選手としてお互いをとらえているだけらしい。しかし、この二人には国籍だけではない繋がりというか因縁のようなものを感じる。

同じ時期にベルギーでジュニアの強化選手となり、ツアーで台頭してきたのも同じ頃、グランドスラムの決勝まで進出したときも同じ時期、その後3回も続けてグランドスラムの決勝で対戦し、共にNo1を経験し、同じ時期にスランプに陥り、そして今年、同じ時期に復活を果たした。面白いのはそれぞれのイベントで時期が重なってもまったく同時に二人が活躍する訳でなく、タイミングが少しずつ、ずれていることである。

スポーツライターの記事などでよく「月と太陽」と比喩されるこの二人。そのもって生まれた性格や生い立ちはキムが太陽でエナンが月であろう。しかし、後から上ってきた太陽の輝きが夜の女王である月の明かりを霞めて消し去ってしまうように、常に先をいく年下のキムはいまだにグランドスラムのタイトルに恵まれず、後を追う年上のエナンは常に最後にキムを越える。少し遅れて片方の光がもう片方の輝きを奪ってしまう。そのテニス選手としてのキャリアではキムが月でエナンが太陽になってしまっている。お互いがどれだけ相手のことを意識しているかはわからないが、意識の有無にかかわらず、天は二人にそういう宿命を与えたようだ。

キムの復活の光をエナンの輝きが再び打ち消すのか。最後の勝者は一人だ。そこにウィリアムズもロシア勢もダベンポートとモーレスモも絡んでくるはずだが、なぜかベルギーの二人はいつも他の強者の存在はかかわりなく、お互いを最大のライバルとして頂上を競い合うことになる。そういう宿命にあるのならば、今年もまた一昨年のごとくキムとエナンの年になるのかもしれない。