今週も波乱が続出した。

豪華メンバーで行われたドーハのWTAティア饗膕顳咤討魯劵鵐ス対モーレスモ、杉山対ペトロワであった。モーレスモは因縁の相手ヒンギスをストレートで一蹴、杉山を破ってきたペトロワと決勝で対戦した。ここでペトロワも一蹴、見事に優勝してエントリーランキングNo1となり、モーレスモは名実ともに2006年の女王となる予定であった。しかし、予定は未定、なんと、ヒンギスを倒しておきながらモーレスモはペトロワに敗れた。これでまたモーレスモはNo1お預けとなった。
相変わらず大事なところでピリッとしないモーレスモである。先週末、GAORAで録画中継されていたベルギーの大会の決勝戦対クライシュテルス戦をTV観戦したが、あの試合、クライシュテルスは足がまだ完治していない状況で戦っていたのだね。大事なところで下半身のふんばりが利かずに、ボールがそれる事が多く、それがミスとなり、モーレスモにポイントを献上することが多い試合であった。「試合に出るからには故障を負けのいい訳にしてはいけない。」とは故障をしている側に対して言われる現実的な意見だ。故障をしていない側は「勝って当然の上で、相手が万全でも勝てなかったと自他共に納得させる試合をする」事が大事だ。全豪の決勝対エナン戦はそういう意味でモーレスモは素晴らしいテニスをしていた。だが、このベルギーの大会は残念ながらクライシュテルスのミスに助けられた勝利だった。春になり暖かくなるとベルギー勢が万全の体制を整えてくるぞ。そこで勝ちきるためには、体力的に苦しい連戦の上の決勝進出でも勝てる力がなくてはならない。少なくても今のモーレスモがいる地位ではティア競ラスの大会の取りこぼしは許されない。このところ好調で、毎週決勝まで残っている彼女は疲労もそろそろたまり始めているころではあろう。しかし、その状況を克服して連勝するからこそ、過酷なツアーで女王と呼ばれる存在になりうるのだ。これは彼女を女王にするための産みの苦しみなのか、モーレスモが宿命として背負う限界なのか。彼女のこの数ヶ月の動向は今後数年にわたるモーレスモの地位を左右することとなるだろう。

ATPも波乱であった。

メキシコのアビエルト・メヒカーノ・テルセルではコリアもモヤもマシューもシードを守れず、一人気を吐くガウディもSFで敗退、決勝はチェラ対ナルオとなり、ノーシードのナルオが優勝してしまった。

ラスベガスではヒューイットが順当に決勝に進出、決勝の相手は対戦成績6連勝中のブレークであった。ヒューイットの優勝は確実と思われた決勝戦、フルセット7-5, 2-6, 6-3の末、優勝したのはブレークのほうだった。ブレークは今季すでに二勝目、いよいよ遅咲きの花が開くのだろうか。ハースといい、ブレークといい、片手打ちの遅咲きのオールラウンダーが台頭してきそうな気配が漂う。

そして最大の波乱はドバイの決勝戦で起こった。

 ナダル 2-6, 6-4, 6-4 フェデラー

皇帝フェデラー、宿敵ナダルの前に痛恨の逆転負けだ。いつも負けるときはフィジカルに問題があるときだが、このナダル戦だけはなぜか万全の体制で負けてしまう。しかもここはハードコートだ。去年のマイアミ決勝で2セットダウンまで追い詰められ、全仏SFでは日没順延かと思われた直前のブレークで試合を決められてしまった。それから10ヶ月、全米オープンでもマスターズカップでも実現しなかった二人のハードコートでの対決が季節はずれの中東で実現し、しかもハードコートの上で打倒フェデラーをナダルが成し遂げてしまった。
去年、ハードコートの上で負けたのは全豪SF対サフィン戦とマスターズカップ決勝対ナルバンディアン戦だった。この二試合に関してフェデラーは足に故障を抱えての参戦だった。今回、フェデラーは足に特別問題がある訳ではない。その状態で復帰明けのクレーコートスペシャリストに敗れてしまった。いよいよナダルがハードコートをも征する赤土の王となるのか。かつてクエルテン・モヤ・フェレーロ・コリアなどが挑み、果たせずにいるその夢を、手に届くところまですでにきているというのか、ラファエル・ナダル。

「フェデラーは全仏を征して生涯グランドスラムを達成するのか」「フェデラーは年間グランドスラムを達成することができるのか」「誰がフェデラーを止めるのか」今季ATPの話題は全てフェデラーの記録への挑戦にかかっていた。しかし、もうひとつの期待が現実のものになりつつある。「ナダルは全仏を連覇することができるのか。」「ナダルはクレーを征した上で全仏以外のGSタイトルを取る事ができるのか。」そしてその期待が実現したとき、更なる大いなる野望が頭をもたげてくる。
「今年のシーズン終了直後にNo1になっているのは誰なのか」と。