相変わらず心臓に悪い試合をする二人だ・・・・・・

2006マスターズカップ準決勝
フェデラー 64 75 ナダル
ブレーク 64 61 ナルバンディアン

予想通り、宿敵ナダルを圧倒するべくいきなりトップギアで攻め込む皇帝フェデラー。彼のデザイン通り、最初のナダルのサービス・ゲームをブレークして5-3で第一セットのサーブインフォザセットを迎えた。だが、そこからなんとラブゲームでサービス・ゲームを落とした。ナダルが反撃したのではなく、フェデラーがおかしくなった。また悪夢の再来かと心配したが、その直後のナダルのサービス・ゲームをブレークに成功、ファーストセットを取り、皇帝は先行する。
第二セット、ナダルは徐々にその驚異的なコートカバーを発揮し始める。そして恐るべきカウンターショットも決まり始めた。ナダルが目覚め始めている。あの強いナダルがコートに戻ってきつつある。完全に目覚める前に叩いておかなければならない。フェデラーもまたギアを上げる。サービスキープが続く5-4でナダルのサービス・ゲームでフェデラーがマッチポイントとなるブレークチャンスを二つ握った。だが、ナダルが押し戻す。ディースなった。白熱したラリーがさらに熱帯びて激しさを増す。長いディースの末、ナダルが取りきった。目の中に失意を浮かべながらも、次のサービス・ゲームをキープしてフェデラーの6-5となった。ナダルもまたプレッシャーと戦っている。やや、集中力が散漫になった。またフェデラーの先行を許してしまう。ナダルの粘りが逆転させるが、取りきれずにディースにもつれる。ナダルが先行する。フェデラーのバックがポールの外から巻いて入ってラインの外側を捉えた。再びディース、ナダルのフォアがラインを割った。フェデラーのマッチポイントがまた来た。長いラリー、コートを縦横無尽に走る二人、ナダルがワイドにドロップショットを放つ。フェデラーがきわどくランニングショットでショートクロスに入れた。雄たけびを上げる皇帝、フェデラーの対ナダル戦初のストレート勝利であった。

今回も神経戦となった。フェデラーもナダルも大事な部分で動揺する場面が見られ、ネットの向こうの強敵と同時に自分の中の内なる敵とも戦っていた。その二つの敵に勝利したのは、今回はフェデラーだった。この勝利はウィンブルドン決勝での勝利より価値ある結果だろう。悪夢の再来まで追い込まれながらも、そこから自力で生還して、ついにストレートで勝利したのである。この経験は来年のクレーシーズンで同じ場面に陥ったときに、窮地を脱する勇気と知恵を与えてくれることだろう。
ナダルはやや失速気味であった今年後半を思えば実にすばらしい復活劇であったといえよう。今日の敗北でフェデラーの中のナダルに対する苦手意識がかなり払拭されてしまったことだろうが、更なる進化で再びフェデラーに肉薄することだろう。彼はまだ20歳、大いに時間が残されているのだ。そしてハードコートでもその強さは十分フェデラーに対抗できることを証明したのだった。

さあ、去年その手から零れ落ちたタイトルを奪還するべく、いよいよフェデラーが最後の舞台に上がる。最後の相手はナルバンディアンでなくブレークだ。今年の最後の戦いにふさわしい熱戦を期待しよう。