男子第一シード、ラファエル・ナダル故障により欠場!衝撃のニュースが駆け巡る中、2009年ウィンブルドン大会のドローが発表された。例によってドローを4つの山に分けて独断と偏見による無責任な展望を見てみよう。

欠場する第一シードの代わりにトップハーフの筆頭位置に入るのは第五シードデルポトロである。彼の山であるトップハーフの上半分は第六シードロディックを筆頭にダビデンコ、フェレール、ベルディッヒ、ステパネック、ツルスノフ、メルツァーらシード勢が続く。他にもクレメン、ヒューイット、ジネプリ、アカスソ、マチュー、ベッカーらが集う。ナダルの欠場でここは大根戦だ。誰でも出てくる可能性があるが、やはりロディックが本命だろうか。もちろん速いサーフェイスにも強いデルポトロがその可能性を大いに発揮する可能性もある。

第三シードはマレー、イギリスにウィンブルドンタイトルをもたらすべく遣われた大英帝国復興の牙である。彼の山であるトップハーフの下半分は第八シードシモンを筆頭にゴンザレス、サフィン、バブリンカ、トロイッキ、ハーネスク、キーファーらシード勢が続く。他にグルビス、デント、フェレーロ、ユーズニー、サントロ、ナバロ、ラペンティらが集う。名の知れた選手が多いのだが、この時期調子が上向きな選手が少ない。ゴンザレスあたりが波乱を起こしてくれるかもしれないが、それ以外にマレーの進撃を阻止しうる選手が見当たらない。

第四シードはジョコビッチ、サーフェイスを問わず覇権を目指すセルビアの鷲である。彼の山であるボトムハーフの上半分はチリッチを筆頭にロブレド、ブレーク、シュトラー、ハース、フィッシュ、アンドレーフらシード勢が続く。その他にセッピ、ロドラ、クエリー、リュビチッチ、セラ、マリッセ、ティプサレビッチらが集う。このところ調子を上げているロブレド・ブレーク・ハースらベテラン勢が不気味である。ジョコビッチは安定した強さをシーズン通じて発揮しているものの、グランドスラムではどうも成績が伸びない。去年の全英は二回戦でサフィンにストレート敗退している。今年は堂々の横綱相撲でSFまで押し切って欲しいものである。

第二シードはフェデラー、ナダル欠場を受けた今、事実上のトップシードである。彼の山であるボトムハーフの下半分はヴェルダスコを筆頭にツォンガ、ソダーリング、カルロビッチ、ロペス、コールシュライバー、モンタネスらシード勢が続く。他にマスー、カナス、アルマジロ・・・・じゃなかったアルマグロ、モナコらが集う。ヴェルダスコにツォンガにソダーリング、カルロビッチにアルマグロと突然爆発して大活躍する核弾頭みたいな選手が散らばる地雷原のようなこのドローを、芝の覇権奪回に向け進むフェデラーは無事突破できるだろうか。ここは大いに注目するべきドローであろう。

No1にして前年度覇者ナダルの欠場は大きな影響を与えるだろう。芝でのベストオブ5セットマッチという特殊な状況下では過去5連覇を成し遂げているフェデラーが優位にあることは間違いない。だがマレーにしろ、ジョコビッチにしろ、いよいよ本格的なNo1奪取に向けギアを上げ始める頃合だ。特にマレーにはイングランドの大いなる期待がかかっている。トップシードがベスト4に揃い踏みしたときには今後の覇権をかけた激戦が予想される。一方でここ数大会、グランドスラムでは4強以外の選手から爆発的に大活躍する選手が出てきている。今年のウィンブルドンも注目されていない誰かが出てくる可能性は大いにありうる。それが誰なのか。注目していこう。


女子の第一シードはサフィーナ、未だグランドスラム無冠の女王である。彼女の山であるトップハーフの上半分はクズネツォワを筆頭にウォズニアッキ、ペネッタ、モーレスモ、メディナガルゲス、サバイ、チャクベターゼらシード勢が続く。他にヴァイディソワ、E・ボンダレンコ、スレボトニック、中村、キリレンコ、森上、クルム伊達らが集う。さてサフィーナはベスト4までは凄まじい勢いで駆け上がる。それを阻止しうる選手は現れるだろうか。全仏覇者のクズネツォワはここでもサフィーナを破れば一気に駆け上がる可能性があるだけに注目である。

第三シードはV・ウィリアムズ、芝では圧倒的な強みを見せる前年度覇者である。彼女の山であるトップハーフの下半分はヤンコビッチを筆頭にラドワンスカ、イバノビッチ、ストーサー、リー、カネッピ、バーマーらシード勢が続く。他にK・ボンダレンコ、ドキッチ、ベネソバらが集う。中々のタフドローであるが鍵を握るのはヴィーナスが本来のテニスを出来るかどうかであろう。

第四シードはディメンティエワ、彼女の山であるボトムハーフの上半分はズボナレワを筆頭にバルトリ、チブルコバ、コーネット、オズニアック、ラッザーノ、クレイバノワらシード勢が続く。他に、ラドワンスカ、森田らが続く。ここはデメ対ベラのロシア勢対決がQFで実現して欲しいが、両者共にそこまで勝ち進めないのが今年の状況なのだよね。

第二シードはS・ウィリアムズ、自らが真の女王であると言ってはばからない生涯グランドスラマーである。彼女の山であるボトムハーフの下半分はアザレンカを筆頭にペトロワ、チェン、シュニーダー、シャラポワ、シルステア、パブリチェンコバらシード勢が続く。他にデシー、グローエンフィールド、ミルザ、ドゥルコ、ハンチェコワ、杉山、サファロバらが集う。今季好調な成績を残している選手が集まっている。セリーナの力が十分発揮されたとしても突破は容易ではあるまい。波乱の起きる可能性は大だと思う。

さて全仏とほとんど同じ構図になっているが、クージーがサフィーナと同じ山におり、セルビアコンビがヴィーナスと同じ山にいるという厳しいドローでもある。今度こそサフィーナのグランドスラムタイトルの奪取を見てみたいと思うが、その可能性は全仏より今回の方が厳しいと思う。それでもその厳しい状況を打開できるかサフィーナ。その行方に注目しよう。

さて、今年もWOWOWNHKが初日より中継してくれる。去年は歴史に残る大熱戦の男子決勝で終わったウィンブルドン、今年はどんなドラマが待っているだろうか。熱戦を期待しよう。