ジョコおおおおおお、こんなところで負けるなよ!

2009ウィンブルドン男子単準々決勝
フェデラー 63 75 76 カルロビッチ
マレー 75 63 62 フェレーロ
ハース 75 76 46 63 ジョコビッチ
ロディック 63 67 76 46 64 ヒューイット

第四シードジョコビッチダウン!おいおい、全豪はQFで棄権、全仏は三回戦敗退、そしてこのウィンブルドンはQF敗退かい。トップ4シードの一人としてどうよこの成績は。マスターズシリーズでは活躍しているジョコビッチだがグランドスラムはどうも成績もプレーも安定しない。一方でフェデラーはほぼ6年近くグランドスラムではベスト4に連続して進出し続けている。No1の連続在位記録最長もすごいが、今もって更新中の連続GSベスト4進出の記録もすごいものだ。

マレーはストレートでフェレーロを突破した。勝った4人の中では一番楽にQFを突破したことになる。フェレーロの試合を見るのは久しぶりだった。鞭のようにしなる右手から左右のコーナーに放たれるフォアハンドのトップスピンは相変わらず素晴らしいが、マレーの堅い守りを崩すにはいたらなかった。一方でマレーはリターンが素晴らしい。いつの間にかマレーはATPツアーで最高のレシーバーという評価を得るようになるまでに成長している。ファーストに対しては堅実、セカンドは果敢に叩いて攻めていく、リターンゲームで主導権を握り続けるあのプレッシャーは素晴らしい。またサーブもストロークもプレースメントが抜群によく、エラーをせず相手の嫌なところにボールを集め、フェレーロを先に崩していた。フェレーロは調子が上向きだったと思うのだが、それでもマレーには通用していなかった。

リターンといえばフェデラーが対カルロビッチ戦で見せたリターンも素晴らしい。こちらはバックが片手打ちなわけだが、やっと届いた強打に対してもラケット面とタッチのコントロールで際どく返し、時にそれが鮮やかなエースになる。攻守一体、守りながら攻めていくフェデラーの自在なテニスが発揮されていた。ビックサーバーの産地クロアチアの巨人カルロビッチのサーブは安定した威力を発揮しながらも、フェデラーを崩すにいたらなかった。

かつてのリターンの名手、ヒューイットはツアー最速サーバーロディックのサーブに見事に対応していたが、このQFでロディックはサーブ以外のリターンやストロークで実に堅実であった。崩れないロディックに対して、ヒューイットは攻勢に出ざるをえず、そこでオーバーペースになってミスしてしまった部分があったように思う。それでもこの元No1にしてGSタイトルホルダー同士の元王者対決は流れが一方的にならずにフルセットマッチにもつれる。夏の残り日が芝を黄昏に染めるなか、二人の元王者は競り合い続けたが、最後に競り勝ったのはロディックであった。

これで男子ベスト4SFはマレー対ロディック、フェデラー対ハースである。現時点で最強リターナーマレー対最強サーバーロディックの対決は大いに見ものである。一方、全仏四回戦でフェデラーを2セットダウンまで追い込んだハースが今度はウィンブルドンSFでフェデラーにまた挑む。フェデラーは過去に苦戦した相手との再戦ではオーバーパワーで封じ込めようとする傾向がある、この対戦ではどう出るか。いよいよ準決勝である。更なる熱戦を期待しよう。