ああ、エレナよ、ディアナよ、ロシア帝国の女達よ、ここまで来ておきながら・・・・・

2009ウィンブルドン女子単準決勝
S・ウィリアムズ 67 75 86 ディメンティワ
V・ウィリアムズ 61 60 サフィーナ

トップ4シードによるベスト4揃い踏みとなった女子SF、ウィリアムズ姉妹対ロシア帝国軍団という組み合わせだったが、二試合ともウィリアムズ姉妹の勝利に終わった。だが試合内容は大きく異なる結果だった。

第一シードにしてエントリーランキングNo1のサフィーナはヴィーナスに1ゲームしか取らせてもらえなかった。これこそまさに公開処刑だろう。サフィーナの傷は今回も大きい、このまま傷ついていくだけで終わってしまうのだろうか。今後が心配である。

三セットとも5-5まで進んだセリーナ対デメはまさに大接戦だった。デメはリターンの調子がよく、セリーナのサービスゲームで楽にキープさせなかった。試合を通じてセリーナ相手にブレークチャンスを取り続けた。だがセリーナも負けていない。ピンチを何度もサーブの力と脚力で切り抜けた。デメのリターンの調子がよかったものの、デメの予測の逆を突いてノータッチエースを取る場面も多々あった。ストローク戦で押していたのはディメンティワのほうだった。ボールが低くて深い。セリーナはコーナーに慎重に入れられたボールを見送るシーンが多かった。お互い前後左右に相手を振り回し、ランニングショットの応酬を何度も見せる。フォアの切り返しでディメンティエワは素晴らしいショットを繰り出す、バックでも深い位置からのダウンザラインは見事だった。問題は浅い位置からのバックハンドで、セリーナからの短いアングルショットを、バックでストレートに切り返す球が大事なところでどうにも決まらない。第二セットも第三セットも、ディメンティエワは何度もチャンスを握りながらも、それをつかむことは出来なかった。精神的に厳しい競り合いになっていく。大事なところでポイントを決めきれず、スタンドの自身の陣営に向かって何度も大声でアピールしていた。精神的に厳しいのはセリーナも同じようで、ネットについてもミスが多く、デメの深い球に苦しみ、何度も苦悶の表情を浮かべていた。ファイナルセットで先にマッチポイントを握ったのはディメンティエワ、しかし決まらない。ウィンブルドンのファイナルセットにTBはない。二ゲーム連取するまで、6-6以降も試合は続く。セリーナが何度目かのブレークに成功した。そして淡々と次のサービスゲームをキープし、長い試合を締めくくった。

好プレーもあればミスもあり、両者共にメンタルの強さを試される厳しい神経戦であった。試合内容では流れをつかんで押していたにもかかわらず、大事なところで攻めきれず、ディメンティエワは貴重な勝利を手放してしまった。だが決して自滅したわけではなく、最後まで自分のテニスを貫き通した。一方で自身のプレーも本調子とは言えず、苦しい展開のなか、セリーナはよく耐え、最後に紙一重の差で相手を上回った。試合を観戦していて、この試合はたぶんディメンティエワが勝つと如空は予想し続けたが、最後に勝ったのはセリーナのほうであった。セリーナの地力に脱帽である。

女子決勝はヴィーナス対セリーナのウィリアムズ姉妹対決である。過去に何度となく見てきた姉妹による決勝戦であるが、その展開はどうなるのか。最後も熱戦を期待しよう。