2009ウィンブルドン男子単SF
第一試合
フェデラー 76 75 63 ハース

第一セットはTB、第二セットの最後でフェデラーがブレークに成功した。第三セットもフェデラーが途中で1ブレークして勝負を決めた。第二セットの第十二ゲームまでサービスゲームのキープが続いた、最終セットも1ブレーク差である。ストレートとはいえスコア上は大接戦である。だが試合内容の印象はやはりフェデラー優位の中で進んだ試合だった。WOWOWの解説陣が試合中何度も指摘していたが、キープ合戦の末、取得ゲーム数では競っているが、取得ポイント数ではフェデラーが大きくハースを上回っている。キープ合戦でこの状態はフェデラーのサービスゲームは簡単にキープされているが、ハースのサービスゲームでは競り合っていることを意味している。実際、ハースはこの日サーブもストロークもネットプレーも高いレベルで安定したが、それでもサービスゲームでフェデラーにポイントを先行される場面が多かった。フェデラーがハースよりもより高いレベルで安定しており、じわりじわりとハースに圧力を加え続けた。いい感じで集中して、プレーも好調であったハースだが、フェデラーの圧力の前に抗し切れず、最後は崩されてしまった。今年の全仏で大熱戦となった好カードであったが、フェデラーはやはり苦戦した相手には再戦で圧倒する。フェデラーの凄みを見せ付けた試合だった。

第二試合
ロディック 64 46 76 76 マレー

第一セットはロディックの豪快なサーブで始まった。ロディックの気合がみなぎっている。オーバーパワーで入ってきたロディックに対してマレーはバックハンドスライスを多用してチェンジオブペースで対抗する。キープ合戦で5-4まで来た第十ゲーム、、ロディックがテンポを速めて、マレーがペースをつかめない。両者通じて初めてブレークポイントがロディックに来た。ロディックはこのワンチャンスを生かし、第一セットを6-4で先取する。

第二セット、マレーは戦術を変える。ベースラインから強打し始めた。バックハンドのダウンザライン、フォアのショートクロス、スーパーショットを第1ゲームに集中させて、マレーはロディックのサービスゲームをいきなりブレークした。ランニングのアングルショットに3連続サービスエース、ウィナーを何度も生み出し、マレーが勢いに乗る。ロディックは耐えて、ついて行く。その後のキープ合戦の末、サーブイングフォーザセットでマレーはセットポイントを握り、一発で決めた。第二セットは

第三セット、芝のコートにふさわしい早い展開のテニスが続く。第四ゲームでマレーがエラーを続けてしまい、ロディックにブレークを許してしまう。ロディックリードでゲームは進む。だがマレーのリターンは徐々にロディックのサーブを捉え始めた。そしてロディックのサーブイングフォーザセットでマレーは猛チャージ、0-40でブレークポイントを三つ握る。一つ目は逃れたロディックだったが、二つ目でバックハンドがラインを割り、マレーはこの土壇場でブレークに成功した。盛り上がる地元の観客席。その後もサービスをキープし合ってセットはTBに突入した。競り合いの末、先にセットポイントを握ったのはマレー、しかしそれはロディックに阻まれた。次にロディックは自分のサーブでセットポイントを握った。角度の付け合いから前に出るロディック、マレーのフォアがネットにかかった。TB9-7でロディックが第三セットを取った。

第四セット、各ポイントで激しい競り合いが続くが、それでも互いに自分のサービスはキープし合い、第四セットもTBに突入する。先にロディックがミニブレークした。押すロディック、だがマレーも起死回生のショットで何度もピンチを跳ね返す。ロディックのセットポイントで一度はマレーが素晴らしいパスを抜いて、観客席を興奮の坩堝になる。だが最後にマレーはボールにネットをかけ、TBは7-5でロディックが取った。ロディックは勝利の瞬間、頭を抱えてうずくまった。第四セットもロディック連取でセットカウント3-1、勝ったのはロディック、マッチトータルでのポイントはロディック143対マレー141、わずかに2ポイント差の内容であった。

マレーの出来は上々、ビックサーバーロディックとの緊迫したサービスゲームのキープ合戦で何度もミラクルショットを出して、ロディックに行きかけた流れを引き戻した。観客席がマレーを応援したのは単にマレーが地元イギリスの選手であったからだけではなく、ピンチとチャンスで観客の期待に応える素晴らしいプレーを見せるからだろう。そういう意味でマレーはそのテニスが一見地味だがじつはスターの要素を十分に持った選手といえる。観客を味方につけ、何度も勢いを得たマレー、だが大英帝国の夢は阻止された。マレーを押しとどめたのはロディックの冷静で着実なテニスだった。じっと我慢の時間帯もあり、リスクを背負って攻める場面も多々あった、上手くいっていない場面が半分ほどであったのはポイントもゲーム数の競っているこのスコアが示している。そのせめぎ合いの中で、自分を見失わずに自分のテニスを貫き通したロディックのその姿勢は見事であった。

これで決勝はフェデラー対ロディックである。過去の対戦成績で二勝しかしていないロディック、何度も何度もフェデラーに挑んでは跳ね返されてきたグランドスラムでも挑戦、今回は違った結果を出せるだろうか。いよいよ決勝戦がせまる、熱戦を期待しよう。