静かな、とても静かな決勝戦だった。

2009ウィンブルドン女子単決勝
セリーナ・ウィリアムズ 76 62 ヴィーナス・ウィリアムズ

淡々とサービスキープが続く第一セット、厳しいショットに姉妹のうなり声が上がったりするが、それでも、会場は静かだ。プレーをしているウィリアムズ姉妹も、それを見ている観客席も、いつもより静かだ。キープ合戦の末に第一セットはTBに突入するが、両者共にそれほど気負いはない。TBでもセリーナがややギアを上げた感があるが、ヴィーナスの方が淡白にミスしてしまい、TB7-3でセリーナが取った。

第二セットでセリーナが完全に優位に立ってしまった。ヴィーナスの方に覇気がない。淡白なミスが増える。サーブのキレはヴィーナスも負けてはいなかったが、試合が進むにつれて左足の負傷が悪化してきたのか、キレを失っていく。そしてストローク戦、特にフォアの精度と威力でセリーナが上回り、あっという間に6-2で第二セットも連取した。マッチポイントでややもつれたが、最後はヴィーナスのショットがネットにかかり、セリーナがうずくまった。

予想以上に静かな、そして淡白な決勝戦になってしまった。ヴィーナスの側に途中から覇気が消えてしまったのが残念だった。だがそれが単に弱くなったというわけではないのは、その後この姉妹が女子ダブルス決勝に続けて出場し、ダブルスの優勝も決めてしまったことからも伺える。

若手の台頭、めぐるましく変わるNo1の座、混迷のWTAの中で、それでも静かに健在振りを見せるウィリアムズ姉妹、静かであるほどに、不気味なまでの強さを見せ付けているかのような、そんな2009ウィンブルドン女子単決勝戦であった。