電脳網庭球寺 僧房

テニスの修行僧如空の修行の日々とテニス観戦記を綴る

テニス:観戦

期待を背負うもの達 2010全英二日目

今季全仏女子単ファイナリストストーサーダウン!サファロバもダウンした。男子はベルダスコとフェレーロ、そしてアルマジロ・・・・・じゃなかったアルマグロらスペイン勢が軒並みダウン、バクダティスも初戦敗退である。昨日のスキアボーネの敗退もそうだが、クレーコートが得意な選手たちにとっては受難が続く、ウィンブルドン二日目。それでも欧州赤土同盟軍の盟主ナダルにとっては、芝は不得手な場所ではないようだ。

2010全英男子単一回戦
ナダル 62 64 64 錦織

ワールドカップに出場しているサッカーの日本代表チームと同様に、日本の期待を一身に背負う男、錦織圭。その彼がウィンブルドンのセンターコートで現世界No1に立ち向かう。日本のテニス界から見れば大いに盛り上がるだろう、この展開。そして錦織は実際にいいテニスを展開した。ストレートで敗れはしたが、その内容は善戦であるし、見事なプレーも多数披露した。けどね・・・・・錦織が素晴らしいテニスをすればするほどに、さらに引き上がるナダルのテニス。ボールのバウンドが低く、球足が速くなるこの芝のコートで、先に錦織に振られながらも、前後左右縦横無尽にコートを走り回り、ボールに追いつき、そして信じられないようなところにボールを切り返す。そしてチャンスボールが来れば構えて終わり、一発でウィナーを決めてしまう。そしてサーブの切れがさらに鋭さを増している。錦織は第一・第二セットではブレークをさせてもらえなかった。第三セットでようやくブレークに成功した。それだけでも見事な抵抗だったといってよい。その直後にナダルはすぐにブレークバックし、そしてさらにもう1ブレーク追加して勝負を決めてしまう。「ほらほら、もっとギアを上げてこいよ、俺はその上にさらにギアを上げて上回ってやるぜ。」とナダルが考えているような、そんな余裕すら感じさせられた。昨日のフェデラー・ジョコビッチ・ダビデンコの苦戦、そして女子全仏ファイナリスト二人の敗退、これらの状況下で、ランキングNo1にして第二シード、そして全仏覇者のナダルの初戦の入り方には大いに注目が集まったことではあろうが、彼は見事に期待に応えて、不安を一掃し、そして今コートの中で自分が一番強い男であることを強烈にアピールした。錦織はその格好の引き立て役になってしまった。

日本勢は他男子で添田がラッキルーザーで出場していたが、初戦を突破できなかった。全仏でサフィーナを破る大殊勲を上げた伊達も敗れた。だが森田がグランドスラム本戦で初勝利を挙げた。そしてあにより、大きなニュースは奈良が初戦を突破したのだ。グランドスラム本戦二回目にしてウィンブルドン本戦初出場の奈良くるみ、彼女のミラクルがまた一つ現実のものとなった。あの小さな体でこの先どこまで行くのだろうか。末恐ろしい。

芝の第一シード 2010全英初日

ウィンブルドンが開幕する。エントリーランキングNo1のナダルは第二シードを付けられ初戦で錦織と対戦する。ウィンブルドンはエントリーランキングを参考にしつつも独自のシードを行うことで知られる。数年前、クエルテンなどクレーコートで強い選手たちがウィンブルドンでのシードが自分たちに低く設定されるのは納得できないと抗議していたことがあった。今回はそれほど大きな問題にはならなかったが、釈然としない思いを持った選手は相変わらずいることだろう。これで第一シードを付けたランキングNo2フェデラーが初戦敗退などして、ナダルが優勝したりしたら、シードを付けた人々はかなり困ったことになるのではないだろうか、などと想像していた。そしてウィンブルドンが開幕した。すると、危うくその想像が半分現実になりかけた。

2010全英一回戦
フェデラー 57 46 64 76 60 ファジャ

センターコート第一試合は前年度男子単覇者の指定席、それは芝の皇帝フェデラーの指定席であることを意味する。そこでフェデラーは2セットダウンに追い込まれた、ではなく、自ら落ち込んだ。コロンビアのファジャは左利き、フォアはヘッドを効かせて低い打点はスピンで引っ張り、高い打点はフラットで叩いてくる。両手打ちのバックは低い打点からネットすれすれのフラットドライブを打ってくる。低い打点が強いということは、バウンドが弾まない芝のコートでは有利に働く。実際、フォアとバックのクロスが深いところに強く入って、フェデラーはディフェンスを崩された。第一セットも第二セットもファジャがブレーク先行する。ただ、ファジャが圧倒的に優位であったかといえばそうでない。ストロークもボレーもクロス主体でストレートには効果的なショットを打てていなかった。さらに詰めが甘い。サーブイングフォーザセットではプレッシャーから慎重になってしまっているのが中継の映像からでも読み取れる度に、大事な場面でスイングに鋭さがなくなっていた。ここまでファジャはフェデラーと数回対戦しているが、まだ一度もセットを取れたことがない。それゆえに慎重になる。相手が慎重になって、ミスは重ねる、攻めは甘くなると、付け入る隙が多々あったにも関わらず、フェデラーもまた慎重になっていたのか、ミスを重ねた。大事な場面で調子を落とすファジャにわざわざミスでポイントを献上して、2セットとも与えてしまった。自滅しているのはフェデラーの方である。
ファジャがこんな感じだから、2セット先行してもマッチポイントで勝ちビビりがでて、チャンスが来ても一度ではモノにはできないだろう。だがフェデラーもまた不調、ギアが上がらない、勝ちビビり状態の相手にミスしてポイントを献上して、このまま負ける可能性も大いにありうる。第三セット突入時点でそう思った。大波乱の可能性があると。
第三セットはフェデラーが取った。第四セット、ファジャがブレーク成功、リードを保って試合は進む。サーブイングフォーザマッチ、ファジャが勝利まであと一歩というとこまで来た。だがショットが甘くなる。ブレークした時の鋭いショットではなくなる。フェデラーも初戦敗退まであと一歩というとこまで追いつめられた。しかし集中力が上がらない。こちらもミスが多発する。苦しい神経戦の中、それでもフェデラーのドロップショットがファジャの気持ちを挫いた。フェデラーブレークバック、そしてTBからは圧倒、第四セットも取る。覇気を失ったファジャは、ようやく集中し始めたフェデラーのショットの前に蹂躙され、ファイナルセットは一ゲームも取れずに敗退した。

二週間前のウィンブルドン前哨戦、ドイツのハレーで行われたゲリー・ウェバー・オープン決勝でフェデラーはヒューイットに敗れた。フェデラーがNo1になって以降、ロディックと共に長年カモにし続けてきたヒューイットに1セットダウンから逆転を許したのだ。そしてもう一方のカモ、ロディックには去年のウィンブルドン決勝で5セットの最後最後までサービスをブレークさせてもらえなかった。自身のサーブは二度も破られているのにである。

芝のコートでのフェデラーのアドバンテージがなくなってきている。この初戦、ファジャには失礼な言い方になるが、ファジャレベルの相手であったからこそ2セットダウンからの逆転が可能であっただけで、シード上位の選手たちと昨日のフェデラーのテニスで対戦していれば一気にやられてしまっていたように思える。願わくば、ウィンブルドンが第一シードを付けた、そのことに値するテニスを展開して欲しいと思う。たとえ敗れることがあったとしても。

フェデラーだけではない、ジョコビッチもダビデンコもフルセットマッチの末の辛勝であった。そしてロブレドとリュビチッチ・バブリンカがシードダウンした。女子では全仏覇者のスキボーネが初戦敗退、他K・ボンダレンコがシードダウンである。

話題性という意味ではサッカーのワールドカップに埋没しつつある今年のウィンブルドンだが、試合の結果は大いに話題を呼びそうな気配が濃厚な2010全英初日であった。

覇王再臨、ストリングは黒、 2010全仏男子決勝

2010全仏男子単決勝
ナダル 64 62 64 ソダーリング

ナダル、速い、そして強い。足が速い、追いつけそうにないボールに追いつく。そしてスイングが速い。ボールにどんな時もしっかり回転がかかっている。特に短くなったボールに対して一気に走りこみ、追いついてもネットより低い打点なのに、フルスイングで速いボールを打ちきって、なおかつ入っている、あのランニングショットが凄い。そして高く弾むトップスピンはソダーリングに止まって打たせず、コートの中に入れさせない。赤土のサーフェイスの特性をもっとも効果的に活用する俊足のトップスピナー、そのテニスを存分に発揮してナダルは一気にソダーリングをたたみかける。そのショットや配球に大きな間違いはないのに、どんどんナダルに押されていくソダーリング。ブレークポイントは握れたが、ナダルのサービスゲームをブレークするには至らなかった。

流れが変わるポイントは全くなかった。ソダーリングはかなり抵抗していた方だと思うが、それでもナダルの一方的な試合だった。この試合だけでなく、この大会、そしてこのクレーシーズンを通じて強いテニスを展開して、それを持続させた。ナダルの失セット0優勝は2008年の全仏に続いて二度目だが、あの驚異的な強さを見せつけた2008年よりも今年2010年のナダルは力強く、かつスマートだ。そして2008年同様、ナダルはATP世界ツアーエントリーランキングでNo1になる。覇王の再臨である。

最後に余談だが、女子決勝のスキアボーネとストーサー、そして男子決勝のナダル、この三人は同じストリングを使っているそうだ。WOWOWの解説によると、あのストリングは今年から出たバボラの新製品で物凄くスピンがかかるらしい。ナダルのコーチであるトニー・ナダルが今季クレーシーズンのラファエル・ナダルの快進撃の原因はナダルのフィジカルの増強とこの新製品のストリングによるとまで語っているという。広告等の関係で、めったにラケットやストリングなどのメーカー情報を報道しないWOWOWであるが、そんなWOWOWがニュースとして伝えざるおえないほどに凄いらしい。スキアボーネのあの片手打ちバックハンドから繰り出されるあのスピン、ストーサーのあのサーブと回り込みのフォアハンドから繰り出されるあのスピン、どんな位置からでもどんな打点からでも強引にコートの中に入れてきて高く弾ませるナダルのあのスピン、それは、バボラの新しいあの黒いストリングが生み出しているらしい。すごおおおく興味が惹かれるな、あの黒いストリング。

フラットドライブのハードヒッターがサーフェイスを問わずにコートを席巻する中、赤土の上で最後に勝ったのはしかしトップスピンの選手であった。そんな感じのする2010全仏男女決勝戦であった。熱戦を届けてくれた選手たちに感謝。次はサッカーのワールドカップを挟んでウィンブルドンだ。

スキアボーネの頭上に輝く太陽 2010全仏女子決勝

ローランギャロスの太陽は29歳のイタリア人女性選手の頭の上で燦然と輝いていた。

2010全仏女子単決勝
スキアボーネ 64 76 ストーサー

第一セット第九ゲーム、サービスキープ合戦で来た4-4、ストーサーのサーブである。0-30になった。デュースコートからセンターへストーサーが高く弾むキックサーブを打ち込んだ。スキアボーネはコートの中にステップインして顔の高さまで跳ねたそのキックサーブを片手打ちのバックハンドで叩いた。叩かれたリターンを懸命に返球するストーサー、しかし、ネットに猛然とダッシュしてきたスキアボーネのバックハンドボレーが逆クロスに入れられた。飛び上がってガッツポーズをするスキアボーネ、クールに対応するストーサー。ストーサーは冷静にポイントを返していく。しかし、最後はダブルフォールトでスキアボーネにブレークを許してしまった。

この第九ゲームが、この女子決勝戦のすべてを象徴していたように思える。

この後のサーブイングフォーザセットも苦しみながらも取り切り、スキアボーネは第一セットを先取する。第二セット、先にブレークに成功したのはストーサー、精神的な不安など微塵も感じさせない展開で、一気にたたみかけようとする。だが揺るがないのはスキアボーネも同じである。強い意志でブレークバックし、6-6TBに突入する。第二セット途中、ストーサーに左右に振られ、疲労が足に来ていたスキアボーネであるが、セットが進むにつれて、足を気力で動かし、追いついた。そしてTBで攻めの姿勢を貫く。スキアボーネが5ポイントを連取する。ここで勝負が決まった。最後はスキアボーネの深いフォアハンド逆クロスをストーサーがフレームショットしてしまい、オーストラリア人による久しぶりのグランドスラム制覇は阻止され、イタリア人女性初のグランドスラム優勝が果たされた。

ストーサーは確かにSFまで元気の良さは感じられなかったが、それでも要所でのサーブとフォアは見事であった。しかし、ストーサーの武器である相手バックハンドへのキックサーブを、スキアボーネは片手のリターンで見事に抑えきった。キアボーネの勝負所での集中力と気迫の前にストーサーは敗れた。第一セットのブレークの場面、サーブイングフォーザセットの場面、そして第二セットのTB、スキアボーネはそれこそ勇気を振り絞って攻めの姿勢を貫き、勝利を文字通りもぎ取ったのであった。

この決勝戦に至るまでのテニスの内容を比較すれば、ストーサー優位という予想になるのは当然である。だが戦いは持っている戦力の威力と選択肢の多さによって決まるのではなく、持てる戦力をより効果的に活用した方が勝つ。テニスの内容とその持っている総合的な力はストーサーの方が上まっていたことだろうと思う。しかし100ある力を80程度でしか発揮できなった相手に対して、90しかない力を90すべて出し切ったのならば、勝つのは後者の方だ。今日はそういう試合であったのだと思う。

第十七シードの優勝というのはシード選手のGS優勝としては最下位からの優勝というし、29歳11カ月での優勝は史上二番目 の高齢の優勝者ということになった。この波乱の全仏2010女子を征したスキアボーネの勇気を讃えたい。

静かなる接戦、白熱の激戦 2010全仏男子SF 

2010全仏男子SF
ソダーリング 63 36 57 63 63 ベルディッチ
ナダル 62 63 76 メルツァー

第一試合は長かった、そして競り合っていた。だが静かだった。対戦している二人も、そして会場も静かだった。ソダーリングもベルディッチの打つときに声をあまり出さない選手なので、静かだった。序盤、ソダーリングには波があり、ベルディッチは安定していた。集中しているとソダーリングが押し、ソダーリングの集中力が落ち始めるとジワリとベルディッチが上回る。そんな感じでシーソーゲームとなった。時にソダーリングがうまくいかないと、独り言をぶつぶつと言い始め、時に自分に怒りコートにラケットをたたきつけて警告を受ける場面もあったが、総じてその印象は静かだった。両者ともにいいポイントを取りながらも、そのあとミスでポイントを失い、自分で波に乗る機会を潰しているようであった。長引く試合の中、徐々にベルディッチの集中力は落ち始め、そしてポイントの執着心が淡白になっていく。一方でソダーリングはいいところ集中し、強いサーブ、強いストロークが続くようになった。そして最後に押し切ったのはやはりソダーリングであった。フルセットマッチの末の二年連続全仏決勝進出を決めたが、その瞬間もソダーリングは静かに迎えた。

第二試合は逆に大いに騒がしかった。共に打つときに声を出す選手同士、ナダルは打つときに声を出し、メルツァーは打った後に声が出る。そして会場にはそのスペイン選手とオーストリア選手を応援する観客に埋め尽くされ、両陣営とも大声で声援を送っている。序盤二セットはナダルが押している。すぐにブレークして、メルツァーを抑える。ナダルへの声援と拍手が会場を包む。第三セットも流れは同じだった。途中までは。ナダルはブレークで先行し、サーブイングフォーザマッチを迎えた、が取れなかった。最後はダブルフォールトでブレークを許してしまった。苦笑いをするナダル、しかし、ここでメルツァーが目覚める。攻める。そして決まる。思い切りの良くなったメルツァーの前にナダルは押さ始めた。6-6となり第三セットはTBに突入した。メルツァーはQF対ジョコビッチ戦で2セットダウンから逆転した男だ。観客はそれを知っている。そしてその再現を期待している。鳴りやまぬ声援、止まらぬウェーブ、観客席の後押しを受けて、メルツァーがナダルに向かっていく。先にマッチポイントをナダルは握るが、追いつかれTBは6-6以降も続く。だが、メルツァーのウィナー級のボールがコードボールとなってナダルの前に落ちた時、ナダルはそれをフォアでたたきこみ、メルツァーの反撃を断ち切った。最後にメルツァーのボールがネットし、ナダルがストレート勝利を決めた。

決勝戦はナダル対ソダーリングとなった。SFの試合内容は違ったものだが、それぞれ苦しい場面を乗り越え、ここまで強いテニスを表現して、ここまで来た。決勝ではお互いいい状況で挑みあうことになるだろう。勝つのはどちらだ。久しぶりにわくわくする決勝戦だ。強い奴がより強い奴に挑む。そして挑戦を迎え撃つ。超人達の頂点の戦い、これこそグランドスラムの決勝戦だ。さあ、最後に笑うのは赤土の要塞か北欧の悪童か、男子決勝は日曜日である。行方に注目しよう。

スキアボーネとストーサーが来た 2010全仏女子SF

来た、きた、来たぞ、地味な方が来たあああ。

2010全仏女子SF
スキアボーネ 76 ret ディメンティエワ
ストーサー 61 62 ヤンコビッチ

長い第一セットの末に、TBを落としたディメンティワは、自分のベンチに戻る前にスキアボーネの元に赴き、言葉をかけたあと、主審に棄権を告げた。昨日の試合を見る限り、足の故障を抱えたままの状態になるディメンティエワは、今日のSFは苦しいだろうと予想していたが、それでも第一セットの出来はそれほど悪くなかったので、第二セット以降巻き返しも可能だと思っていたところに、突然の棄権であったので、正直驚いたし、そして残念であった。今回はとてもチャンスがあったと思われるだけに、ディメンティワも無念であったろう。

で、その次の第二試合はあっという間に終わった。特に第一セットなど、雑用してちょっとTVから目を離した隙に終わっていた。第二セットは見逃すまいと凝視した。ストーサーのサーブとフォアが凄いわ、ディフェンスに定評のあるヤンコビッチの足が何度も止められてしまっていた。最後のマッチポイントもストーサーはフォアハンドのクロス一本で決めてしまった。

女子のシングルス決勝はなんとストーサー対スキアボーネという予想だにしないカードとなった。オーストラリアもイタリアも大騒ぎらしいらしいが、本人たちは喜びながらもテニスの内容は淡々としている。さて初体験となるグランドスラムシングルス決勝戦の舞台で、自分のテニスをやりきるのはどちらか、先に自分のペースを握った方が初タイトルを奪うことになるだろう。それはどちらだ。その行方に注目しよう。

そしてジョコビッチまでもが敗れ去り 2010全仏QFその三

WOWOWはデジタルBS放送で3チャンネルを持つ。全仏のQFではこの内の二チャンネルで別の試合を同時生中継した。すなわち二つのコートで同時進行している二試合をそれぞれ別チャンネルで同時生中継しているのである。これ録画してみる如空としては困るのだよね。どちらを取るか、決めにくい。ダブルチューナーでどちらも同時に録画できればよいのだけど、我が家の設備ではそれは不可能である。昨日はセリーナ対ストーサー、ナダル対アルマジロを選択した。ヤンコビッチ対シュウェドワとジョコビッチ対メルツァーよりも前者の試合の方が面白そうだし、波乱が起こる可能性が大きいのも前者だと思った。

実際第一試合ではセリーナ戦ではストーサーが好ゲームを展開し、かつ波乱を演出した。見てよかった。第二試合でもアルマジロ・・・・・じゃなかったアルマグロは試合開始直後から飛ばして3ゲームを連取した。「お、これはもしかして」と思った。アルマグロはコーチが変わって、かなり落ち着きを手に入れたらしい。いい集中力でナダルを攻め立てる。しかし、静かに押し戻すナダル。ブレークバックし、TBに持ち込み、TBで一気に決めた。第二セットもTBになりナダルが取る。アルマグロはいいテニスをしている、しかしナダルを倒すまでには至らない、そう予想して、全てを見ずに寝ることにした。昨日、第一セットを取って安心して寝たらそこからフェデラーが逆転負けしてしまったことが頭をかすめたが、たぶん大丈夫だろう、スコアをネットでチェックすると別コートのジョコビッチも二セット先取しているし、波乱はないな、と自らを納得させてTVを消した。翌朝、如空の予想は再び覆されたことを知る。ナダルではない、ジョコビッチが負けたのだ。

2010全仏男子単QF
ナダル 76 76 64 アルマグロ
メルツァー 36 26 62 76 64 ジョコビッチ

メルツァー2セットダウンからの大逆転勝利でベスト4進出である。ネットに突進するメルツァーはどちらかといえば古いタイプのテニスで、かつクレーよりもハードに向いているタイプだと思っていたが、なんとこの赤土のローランギャロスで第三シードを破ってSFまで上がって来た。

連日の波乱の末に、2010全仏男子単ベスト4SFは以下のようになった。
ソダーリング対ベルディッチ
メルツァー対ナダル

なんとも新鮮な組み合わせだこと。ナダルは今大会優勝すればフェデラーを抜いてATPエントリーランキングでNo1に返り咲くことになるそうだ。決勝はぜひソダーリング対ナダルで観戦したいところだが、しかし、SFでも波乱は起こるかもね。その行方に注目しておこう。

ストーサー進撃 2010全仏QFそのニ

女子第一シードセリーナ・ウィリアムズQFで敗退、ストーサーがエナンに続きセリーナも突破した。

2010全仏女子単QF
ストーサー 62 67 86 S・ウィリアムズ
ヤンコビッチ 75 64 シュウェドワ

試合序盤、セリーナは明らかにモチベーションを低下させており、ショットのスイングがぼやけていてミスを多発させていた。一方でストーサーのスイングは鋭く、そしてショットは切れ味抜群であった。特に回り込みのフォアではライジングでも打ち、かつボールを落としてためてからも打てるのでセリーナは足を何度も止められてしまった。さらにストーサーのスピンサーブとフォアのスピンボールはバウンド後よく跳ねるだけでなく、揺れるような独特の回転かかかっているようで、セリーナはバックハンドでのリターンやストロークでバウンド後のボールをうまくとらえらずに食い込まれるシーンが多々あった。第一セットを圧倒して奪うと、第二セットもブレーク先行、ストーサーはサーブイングフォーザマッチを得る。だがそこで決め切れず、セリーナにブレークバックされてしまう。ここでようやくセリーナも目覚めた。強いサーブ、強いリターン、強いストローク、一気にネットに詰めるオールラウンドプレー、セリーナの強いテニスが牙をむいてストーサーを襲い、TBも圧倒、セリーナが第二セットを取り返した。
だが、ここでストーサーは崩れなかった。セリーナの猛攻を耐えしのぎ、さらにスピンボールの回転を上げ、セリーナを狂わせ、競り合いに負けずに食らいつく。6-6となった。全仏はファイナルでTBはない。二ゲーム差がつくまで競い合う。この日WOWOW中継の解説は杉山愛であったが、彼女が何度も感嘆の声を上げるほどの見事なワイドサーブとアングルショットを見せつけて、ストーサーが第十三ゲームと第十四ゲームを連取してファイナルを8-6で奪取、第一シードを打ち破った。

さて2010全仏女子ベスト4は下記の通りになった。
ストーサー対ヤンコビッチ
スキアボーネ対ディメンティワ
トップ3シードがベスト4にいない。四人ともシード選手であるが、それでも地味ジャー。誰が優勝してもグランドスラムのシングルス初タイトルになる。しかもデメは足を負傷しているから、鉄人スキアボーネにやられる公算も大だ。もしストーサー対スキアボーネなんて決勝戦になったら地味度はさらに上がるぞ。いや別に如空はこのベテラン二人には頑張ってもらいたいと思っているよ、ストーサーなんか回り込みのフォアに、バックハンドでスライスの多用などグラフを思わせる男前のテニスをするからね。見ていてかっこいい。でもね、一般論からいえば地味な組み合わせだよな。

地味でも派手でもとにかくSFだ、今年の女子は面白い。さらなる熱戦を期待しよう。

ソダーリング、フェデラーを降す 2010全仏QFその1

第一セットをフェデラーが取った。そこまではWOWOWの中継で見た。第一セットの両者の出来を見るにおそらくフェデラーが3-1か3-0で勝つだろうと予想した。試合内容もそれほど面白い試合にはならないだろうと考えていた。そしてその先を見ずに寝た。翌日の朝、起きて試合結果を確認し、驚愕の事実を知る。

2010全仏QF男子
ソダーリング 36 63 75 64 フェデラー

男子第一シードフェデラーダウン!去年の決勝戦同一カードは違った結果に終わった。第二セット以降の内容を映像で見ていないので、詳細は分からないが、ネットで情報を集めた限りではソダーリングのストロークの強打に押されたようだ。球足の遅くなるこのクレーでフェデラーがディフェンスできなくなるほどの強打って一体どれほど威力があるのだろうか。恐ろしい限りである。

2008年全豪SFでジョコビッチに負けた時以上の衝撃を感じる。これでフェデラーは長年続けてきたグランドスラムでの連続SF以上進出記録が途絶えた。ナダルもジョコビッチもデルポトロも、フェデラーに勝って、そのままグランドスラムタイトルを手にした。ソダーリングは同じコースをたどるだろうか。まだQFだ。準決勝と決勝を勝たねばならない。さてどうなるか。
しかし、フェデラー、よくぞ去年全仏を取っておいたものだ。如空は個人的にはナダルをローランギャロスで倒すという過程が抜けている去年のフェデラーの優勝は少し不満であった。できれば今年決勝でナダルと戦って、そこで勝って、文句なしの全仏制覇、そして年間グランドスラムの可能性拡大というドラマを期待していたのだが・・・・・・もしソダーリングが今の強さを去年の段階で持ち合わせていれてばフェデラーは生涯グランドスラムを阻止されていたかもしれない。それはそれで恐ろしい「もし」である。恐ろしいと言えば、グランドスラムで、しかも全仏で、ナダルとフェデラーの両方に勝利した経験を持つことになったソダーリング、決勝対ナダル戦が実現したとすれば、これはまた今後のATP選手たちの力関係に大きな影響を与えることになると思う。しかし、今大会は予想がことごとく裏切られているからな・・・・そうはならないかも。

その他の結果は
2010全仏QF
男子
ベルディッチ 63 61 62 ユーズニー
女子
スキアボーネ 62 63 ウォズニアッキ
ディメンティワ 26 62 60 ペトロワ

女子第三シードウォズニアッキダウン、ベテランスキアボーネにストレートで敗れた。ベルディッチは好調だ。ユーズニーも調子が良かったと思うのだが、その難敵を比較的楽に突破した。ソダーリングといい試合が期待できる。ディメンティワとペトロワの脚の故障持ちロシア人対決はディメンティワの勝利、第一セットはディメンティワの方が動けなかった。しかしペトロワも徐々に動けなくなる。第三セットは振られるともうセンターに戻れていなかった。気迫で勝利したデメだがこのままSFに突入して大丈夫だろうか。心配である。

男女ベスト8出そろう 2010全仏九日目

全仏九日目、エナンついに敗退、ストーサーを突破できなかった。セリーナ・ウィリアムズとヤンコビッチは順当勝、QFに駒を進めた。男子はヴェルダスコがダウン!破ったのはアルマジロ・・・・じゃなくてアルマグロである。他ナダルとジョコビッチは順当勝ちだった。

というわけで今年も全仏は男女ともベスト8が出そろった。QFの組み合わせは下記の通り。
男子単QF
フェデラー対ソダーリング
ベルディッチ対ユーズニー
メルツァー対ジョコビッチ
アルマジロ対ナダル

フェデラーは対ソダーリング戦が決勝までの道のりで最大の難関になるのではないだろうか。ソダーリングはますますフォアの強打に磨きがかかり、クレーコートで球足が遅くなることなど気にせずたたきこんでくる。去年の決勝戦と同じようにはいかない気がしているが結果は如何に。一方ナダルの山はSFで予想される対ジョコビッチ戦だろうか、ここまでのジョコビッチの出来のままであると、ナダルは余裕がありそうだ。その前にアルマグロを突破しなくてはならないが、アルマグロはどうもナダル相手だと一試合集中しきれないことが多いような気がする。あくまで過去の対戦を見ての感想なので、今回がどのような対決になるかわからないが、個人的にはアルマグロには期待しているので、大いに活躍してほしいのだ。けどね・・・・

女子単QF
S・ウィリアムズ対ストーサー
ヤンコビッチ対シュベドバ
スキアボーネ対ウォズニアッキ
ディメンティワ対ペトロワ

カザフスタンのシュベドバって誰だ、知らない名前だ。4Rであの伊達を破ったグロスに勝っている。強いのかな。まだ映像を見ていない。WOWOWの放送が膨大で、すべてをとてもチェックしきれないのだ。しかし、まあランキング上位者の方がQFを突破すると思うがね。QFでも波乱は来るだろうか。

いよいよQFである。今年は去年と違って女子の方に充実した熱戦が多いように思える。
さらなる熱戦を期待しよう。

エナン、シャラポワを突破 2010全仏八日目

2010全仏八日目、男子第四シードマレー、四回戦でベルディッチの前に敗退、第八シードツォンガは途中棄権でユーズニーに勝ちを譲った。フェデラーはバブリンカを、ソダーリングはチリッチをそれぞれ突破している。
女子S第二シードヴィーナス・ウィリアムズ四回戦敗退!ペトロワがレザイに続いてヴィーナスまで突破した。他ディメンティエワ・ウォズニアッキ・スキアボーネが四回戦を突破した。

そして日没順延となっていた最後の三回戦で第二十二シードエナンは第十二シードシャラポワを突破する。

2010全仏女子S三回戦
エナン 62 36 63 シャラポワ

ファイナルセットから再開されたこの試合、いきなりシャラポワがエナンのサービスゲームをブレークしてスタートした。2-0でシャラポワリード、ここでエナンがブレークバック、2-2となる。相手がギアを上げればこちらもさらにギアを上げる。さらに1ブレークを取り合い4-3となった第八ゲームで、競り合う元女王二人、最後に競り勝ったのはエナンである。ファイナルで三度目のブレークに成功したエナンがサーブイングフォーザマッチをきっちり取って、競り合いに終止符を打った。

シャラポワは持ち前の強いハートで粘りを見せ、かつベースラインからのハードヒットで攻め立て、全盛期に近いテニスを展開していた。実際ストローク戦ではエナンが押されているシーンが多かった。しかし、エナンもまた強いハートで粘る選手だ。そして粘るだけでなくそこから切り返す。攻守一体のとなったそのテニスは男子のフェデラーに通じるものがある。勝敗の行方を決定つけた第八ゲームで、シャラポワはコートの中にかなり深く入ってボールをエナンのコートにたたき込んでいた。これでもか、これでもか、と。しかし、そこまで前に踏み込んできていながらネットには出ない。叩きこむと再びベースラインまで下がる。かと思えば、突然ベースラインの後方からネットに突進してくる。このファイナルセットに関して言えば、シャラポワにしてはネットプレーは効果的に使えた方ではあたった。がやはりネットへのアプローチを躊躇する場面があり、それが攻めているにも関わらず、決め切れずにポイントを長引かせる原因となる。そしてネットプレーでは相手の方が一枚上手であった。コートの中でボールをたたき込めば、すかさずネットに出てきて、ポイントを取りきるエナン、時にシャラポワのパスに抜かれることもあるが、この連続攻撃ができるオールラウンドプレーが大事なところで効果的に働いて、最後にエナンに勝利をもたらす結果になったと思う。

エナンの次の相手はストーサーである。そしてそのあとにはおそらくS・ウィリアムズが待っている。このタフドローをエナンは連破し続けることができるだろうか。注目してみていこう。

二日がかりの接戦 2010全仏七日目

全仏七日目、二日がかりのブレーク合戦の末にレザイがメペトロワの前に敗れた。バルトリもダウン、クレイバノワもダウンした。男子は第六シードロディックダウン、そして今季好調だったフェレールもダウンした。密かに期待していたフェレーロもジネプリの前に敗れた。

注目されていたシャラポワ対エナンはセットオールになったところで日没順延となった。エナン優位と見ていたいが、第二セット終盤、怒涛の連続ゲーム奪取でシャラポワがセットオールに戻している。シャラポワの中に眠っていた牙が目覚めようとしているかのようであった。明日ファイナルセットの再開で主導権を握るのはどちらか。興味深い一戦となりそうである。

気になる人々 2010全仏六日目

第六シードクズネツォワダウン!前年度女子S覇者を倒したのは第30シードキリレンコ、全豪に続いて大物喰いだ。同じく大物食いで知られるチブルコバはヴィーナス・ウィリアムズの前に敗れた。男子はゴンザレスがダウン、しかも気付かなかったが昨日はモンフィスも負けているのだね。徐々に赤土の魔物がうごめき始めているのだろうか。

錦織はジョコビッチの前にストレート負けである。第二セット以降フォアからエアケイ、バックからジャックナイフを連発して、高い打点から強打を打ち込む錦織、対するジョコビッチは劣勢になってもギアを上げる風でもなく、じっと耐えて、数少ないチャンスを生かして勝ち切った。勝ったジョコビッチはさすがであるが、試合後半、各ポイントの内容をみると、時に錦織の方がジョコビッチよりも格上のテニスをしていいたかのように見えた。二回戦ごとき、ギアを上げなくても省エネテニスで十分勝てると思ったのか、それともギアを上げることそのものができなかったのか、錦織よりもジョコビッチの方が気にかかる試合内容だった。

さて、女子は順当にいけばエナンとセリーナ・ウィリアムズがQFで当たることに注目が集まっているが、その前にエナンは三回戦でシャラポワに当たる。こちらも注目である。というか、エナンとシャラポワの視点からすればすごいタフドローだな、これ

配球の甘さと厳しさと 2010全仏五日目

雨で中断をはさんだ全仏2010五日目、女子はラドワンスカ・ズボナレワがダウン、2008年全仏覇者イヴァノビッチも二回戦敗退である。男子はシード勢安泰、昨日敗退したと如空が早合点してしまったアメリカのアイズナーも二日がかりの末勝利した。しかし第一セットから第三セットまで連続TB、第四セットも1ブレーク差となかなか厳しい競り合いだったようだ。

四日目も五日目も雨天中断の間、WOWOWは一回戦の錦織戦と伊達戦を何度も録画再放送した。お陰で、二回戦伊達がグロスに敗退したライブ中継の試合と一回戦サフィーナに勝利した録画の試合を一日で見比べることができておもしろかった。

一回戦終了直後の日本語インタビューで伊達が語っていたが、脚の故障の悪化を恐れて、当日はほとんどポイント練習をせず、リターンも一度も打っていないという状況で伊達は試合に臨んでいた。試合序盤でリターンのタイミングが合わずにミスを多発していのは、サフィーナのスピンサーブの威力だけでなく、伊達側の故障と準備不足も原因だったようだ。一方でサフィーナも試合後に背中の故障をコメントした。試合終盤、デュースサイドからのサーブは回転がかかっているものの勢いがなく、ネットに届くのがやっというボールを何度も打ってフォールトしていた。アドサイドは入っていたので、おそらく体幹部のひねり戻しが甘くて、デュースサイドは打点が近くなっているのだと分析してみていたのだが、メンタルに加えて背中の故障もあって、サフィーナはあんな状態になっていたのだね。試合終盤は序盤とは逆に、サフィーナのサーブを伊達がうまいリターンで攻め立て、ポイントを奪っていっていた。
だが試合終盤のサフィーナのストロークでの自滅と配球ミスはやはりいただけない。特に伊達がサフィーナのコーナーにボールを運んで、サフィーナを走らせているのに、サフィーナはそれをペースのあるボールでセンターに返球していた。伊達はセンターに立ってサフィーナがコーナーからセンターに返球してくるボールを右に左にと打ち分けているだけでポイントが取れていった。おそらくサフィーナは精神的に余裕のない状態になって、厳しいボールは打ち返すのがやっとだったのだろう。ボールは同じコースに返球するのが一番簡単なので、結果として動いていいないセンターの伊達の位置に連続して打ち返すことになってしまったのではだろうか。しかもロブでもなくスピンでもくスライスでもなく、フラットで返球したので、伊達としては処理しやすいボールになっており、サフィーナはセンターに戻る時間を稼げていなかった。そして最終ゲームでは伊達は何もしていない。サフィーナが勝手に4回続けてミスをした。サーブだけでなくストロークで、ふられてすらいない状態でボールをふかした。自分を完全に見失っていた。

その一回戦の試合内容を見てから、二回戦の伊達対グロスをみると、グロスの攻めの的確で厳しい配球がよくわかる。グロスとて伊達に振られてコーナーに動かされているのだが、そこからストレート・クロスとコーナーへの厳しい返球で逆に伊達相手に動かしにかかる。一回戦より悪化していたであろう伊達の脚力では到底そのボールに対応できずに、第一セットは0-6でグロスに取られた。そしてグロスはサフィーナと違って自分を見失うことなく、最後まで厳しい攻めを見せ続け、第二セットも6-3で押し切った。

一回戦でサフィーナの犯したミスは非常に初歩的なものではあるが、それを世界ランキングNo1までいった選手にさせてしまうあたり、伊達の厳しさというか、テニスという競技の怖さを感じてしまう。

さて、二日にわたる雨天中断の影響で二回戦は消化しきれていない。日本期待の錦織戦も翌日に持ち越しである。さあ、この流れが吉とでるか凶と出るか、行方を見守ろう。

2010全仏四日目(修正追記)

全仏2010四日目、アイズナーがシードダウンした(←ウソです、まだ試合は終わっていませんでした。翌日に順延です。失礼ました。お詫びの上訂正いたします)
雨天中断をはさみ、順延になった試合も多数あったが、おおむね試合は消化され、上位シード勢は安泰であった。ここまでは順当な二回戦、明日も順当であろうか。注目しておこう。

2010全仏三日目その二

全仏2010三日目、クエリーダウン、モナコダウンそのほかのシード勢は安泰である。全仏にしては穏やかな一回戦であったようだ。それだけに全仏に二年連続決勝に進出していたサフィーナの敗退は大きなニュースだ。伊達が日本人で39歳であることを差し引いて考えても大事件だろう。

森田も初戦を突破はならなかった。さて二回戦では何が起こるだろうか、注目していこう。

伊達の闘志 2010全仏二日目その一

第九シードサフィーナが初戦でダウン!前年度ファイナリストにして元No1のサフィーナを破ったのはなんとクルム伊達公子だ!

2010全仏女子S一回戦
伊達 36 64 75 サフィーナ

第一セットで伊達は足を引きずっており、途中棄権するのではないかと見ていて危ぶんだ。サフィーナのスピンサーブは強力でリターン巧者である伊達のラケットを何度も弾き飛ばした。第一セットを取られ、第二セットでもサフィーナに先行され、これで終わったと思った。だが終わらなかった。ブレークバックして追いついた。さらにブレークして追い越した。第二セットを取り返したのだ。セットオールのファイナルセット、この辺りからサフィーナがおかしくなる。追い詰められて、焦りからミスを続けるようになる。だが厳しいのは伊達も同様で、ほとんど気力で体とラケットを動かしているかのようだった。そしてボールに執念が乗り移ったかのように、伊達のボールはきわどくラインを捕らえる。一方でサフィーナのボールは大事なところで入らない。ファイナルでも先行したのはサフィーナだったが、伊達は追いつき、追い越した。最後はサフィーナのボールが全く入らなくなり、伊達がサフィーナから勝利をもぎ取った。復帰後初のグランドスラム大会でのシングルスマッチ勝利であった。

サフィーナの自滅癖が相変わらず発揮されてしまったわけだが、そこまで追い込んだ伊達の執念には恐れ入る。足が終盤で少し痙攣もしていたという厳しい状態、しかもサフィーナのサーブに得意のリターンがはじかれるという苦しい展開、その状況下で、あきらめずに、自分のできることを粛々とこなし、時に大胆な行動に打って出て、サフィーナに逆にプレッシャーをかけ続けた。技術や体力で劣る部分を気迫で補い、そして押し切り、相手を自滅させた。その強靭な精神力にただただ感服させられた。

おそらく次の試合に出場するナダルを目当てに来ていたこともあるだろうが、観客席は満杯であった。その満員の観客が39歳の日本人女性がやってのけた快挙に総立ちで拍手を送り、伊達をたたえていた。昨日の錦織に続く、実に見事な逆転劇であった。伊達の闘志に敬意を送る。

土居、奈良、そして錦織 2010全仏二日目

全仏2010二日目、男子シード勢は安泰、注目されたマレー対ガスケはガスケが先行しマレー初戦敗退の予感をさせたが、最後はフルセットマッチの末にマレーが勝った。女子シード勢も安泰、日本期待の奈良くるみ・土居美咲は共にストレートで敗れた。

WOWOWは土居の試合をライブで中継した。奈良のダブルスパートナーとしてよく知られる土居だが、シングルスも強い。サウスポーでフォアもバックも引きつけてズバッと打つ。特にフォアが強い、フォアは柔らかい手首を生かしてトップスピンでボールを操る。回り込みのフォアが男子選手の動きをみているようで美しく、かつ強力だ。逆クロスもクロスもストレートも打点を引きつけてためて打つのでコースが読みにくい。ストロークのスタイルとしては奈良よりもはるかに王道のテニスをする。しかし、この日の相手、スロベニアのエルコグには通用しなかった。エルコグは土居と同じ19歳だが、身長も手足の長さも土居をはるかにしのいで長くて高い。その大きさを生かしたスピンサーブにトップスピンストロークは土居のスピンボールよりはるかに深く打ち込まれ、より高かく弾む。土居は高い打点で打たされて、押されたまま主導権を握れずに、破れていった。同じスピンボールの使い手に自らのテニスを封じ込められたのが悔しかったのか、試合後の彼女の眼が燃えていた。王道のテニスをさらなる成長で進化させ、このグランドスラムで活躍してもらいたものだ。

ところで土居や奈良よりもはるかに注目度が高かったはこの試合だ。

全仏2010男子S一回戦
錦織 26 46 76 62 64 ヒラルド

錦織よく勝ったな。第一セットから第三セットまで一度もヒラルドのサービスゲームをブレークできていなかったのだ。第三セットも終盤は危なかった。ヒラルドにストレートでやられると完全に思い込んでTV観戦していた。しかし、TBで回り込みのフォアハンドドロップショットという奇襲攻撃で相手を崩すと、競り勝って第三セットを奪取する。第四セットでヒラルドは疲労からか足の太もものあたりに故障発生、動きが悪くなる。武器であるサーブの確率も悪化する。第四セットはヒラルドが途中でギアを落としたこともあり、錦織が取ってセットオールになる。ファイナルセット、再び集中してゲームに臨むヒラルドに対して蓄積された疲労が出始めた錦織、両者の対決は徐々に神経戦の様相を見せ始める。それでも劣勢にならずに先にブレークをしたのは錦織の方だった。最後のサービスゲームをきっちりキープしてフルセットマッチの熱戦を錦織は締めくくった。彼にとっては全仏初勝利となる。
エア・ケイと呼ばれるフォアハンドのジャンピングショットだけでなく、バックハンドのジャックナイフもよく見せていた錦織。特にデュースサイドのリターンの時、センターに来たサーブをバックのジャックナイフで叩いてそのままネットにアプローチするという錦織の攻撃パターンは初めて見たが、なかなか効果的でかつかっこいい、あれは真似する選手が増えるのではないだろうか。飛び上がって叩いて見せたかと思えばフォアの回り込んでのドロップショットにバックハンドスライスの連続ラリーなど、緩急と多彩な技で相手を崩して見せる。このあたり、戦術面での成長がうかがえる。
疲労困憊で勝った瞬間茫然と立ちすくのみだった錦織の初戦突破であった。二回戦の相手はNo3ジョコビッチ、はたして錦織のテニスがどこまで通用するか、波乱を引引き起こすことができるか。二回戦も注目してみよう。

期待されるレザイ 2010全仏初日

日の長くなった5月末の日曜日の夕方、日本では大雨注意報が各地に発令され、薄暗い雲に覆われていたが、それでもまだ外は薄ら明るい時間帯、TVの液晶画面いっぱいにさんさんと日の降り注ぐパリのレッドクレーが映し出され、前年度全仏覇者クズネツォワが初戦でいきなりシルステアと対戦している様子が放送されていた。今年も赤土の祭典、全仏、フレンチオープンが開幕したのだ。

第十シードアザレンカダウン、クレーが得意なアルゼンチンのドゥルコに一方的にやられてしまった。マルチネスサンチェスもダウンした。ヴィーナスはいきなりシュニーダーという難敵だったが無事突破、クズネツォワも立ち上がりに少しもたついたが、それでもストレートで難敵シルステアを突破した。
男子はグルビスがダウン、MSローマ準決勝でナダルとフルセットマッチの熱戦を繰り広げ、注目を集めていただけに残念である。

WOWOWでクズネツォワ戦、ソダーリング戦、レザイ戦を観戦した。レザイは直前のバルセロナ大会で優勝しているためか注目度が高い。中継でも「モーレスモ引退後のフランス女子期待の星」のような持ち上げ方だった。その期待にどこまで応えることができるのだろうか。とりあえず初戦は期待以上の出来で突破した。今後に注目しておこう。

2010欧州赤土戦線異常なし

・・・・って一か月も更新せずにほっておいて、いきなり何事もなかったように再開するなよ、という声が聞こえてきそうなので、この河内坊如空、少々近況などの報告を。

毎年ゴールデンウィークは比較的暇になる建設業界ではありますが、今年は少し様子が違って、設備投資の動きが春先から見られるのですよ。ようやく景気が回復するのかねと少しは思わせる状況です。実際大阪では俗に「北ヤード」と呼ばれるJR大阪駅北側地区の再開発やその周辺の商業ビル・オフィスビルの増床、そしてこちらも俗に「阿倍野」と呼ばれる天王寺・阿倍野地区の再開発(ここに日本最高高さとなる超高層ビルが建設される)などが、不景気にも関わらずにストップせず、ガンガン進行しています。また大阪湾沿いのベイエリア工場群建設もシャープ・パナソニックの新工場が完成して一段落つきましたが、それに追随するわけではないでしょうが、新規工場・倉庫・物流施設の計画が水面下で多数進行しており、建築設計を生業としている河内坊如空もそれらのおこぼれの仕事が回ってきて、世間は不景気なのに自分は多忙という、苦しくもそれでも仕事がないよりはよっぽどいいという状況が継続しております。

というわけで、ゴールデンウィークも関係なく5月は結構忙しかった。

その忙しい中のささやかな如空の楽しみであるテニス観戦であるが、こちらにもケチがついた。如空はCATVのケーブルTVを利用してGAORAとWOWOWという衛星放送TVのチャンネルを視聴している。GAORAでATPのマスターズシリーズ(現マスターズ1000大会)の準決勝と決勝、WOWOWでグランドスラム4大大会二週間分の主な試合を観戦している。ライブで中継してくれているが、ヨーロッパやアメリカなどでの大会は日本時間で深夜から早朝にかけて行われることが多いので、実際には録画して翌日に観戦することがほとんどである。

CATVの受信にはケーブルを引いてもらって、チューナーを通してTVやレコーダーに接続させるのだが、このチューナーが5月に入って突然電源が入らなくなるという状態になった。しかも二度も。チェーナ?の現品交換ということで二度とも対処してもらったが、それでもこの事故の報告と処理の確認、そして交換作業の立会などでかなり時間を取られた。そして次に来たのが、断線、なんと電源は入っているのに映像が映らなくなったのだ。通報してもこればかりはすぐには復旧しない。神戸市内のケーブルを点検して、断線箇所を見つけて、復旧するのにまた数日かかった。

延べ二週間ほどCATVが視聴できなかった。お陰でせっかくGAORAで中継してくれたマドリッド大会も、欧州赤土戦線の天王山MSローマ大会も映像で見ることができなかったのだ。フェレールやベルダスコの活躍を見たかったのに・・・・すっかりテニス観戦モードのモチベーションが低下してしまい、仕事の忙しさにかまけて、ブログ記事の更新も滞ることになりました。

幸いマスターズ1000シリーズ第五戦マドリッド大会を観戦することはできた。

ここにきてようやくフェデラーがGAORA中継に今季初登場である。全豪以来優勝がない、どころかSFまで勝ち上がれないとうい苦しい状況であった。しかしSFの対フェレール戦を見る限りはいい状態であるように思えた。フルセットマッチになったが、それはフェレールのフットワークがいつも以上に良いからで、フェデラーは強い時の攻守一体の流れるようにテニスを展開して、うまく好調のフェレールを破った。いい調子に見えた。一方でナダルはSFの対アルマジロ・・・・じゃなかった対アルマグロ戦の出来はあまり良くなかった。地元のクレー大会でありながらマドリッドはサーフェイス・気候共にあまりナダルのお好みではないらしい。去年のマドリッド大会でもそうだが、ボールコントロールにも少し苦労しているようだった。だがそれでもフルセットの末にアルマグロを振り切ったのは見事であった。

マドリッドの決勝はライブで見た。SFを見る限りフェデラーの方がやや優位かなと思った。実際第一セットの序盤ではフェデラーが優位にあった。だが徐々に調子を上げるナダル。フェデラーのサービスゲームを何度もブレークし、第一セットは6-4、第二セットはTBでフェデラー撃破に成功する。去年はここでフェデラーに負けたが、今年はストレートで勝利である。最後はナダルのボールがイレギュラーしてフェデラーがフォアを空振りするという珍しいシーンで幕が閉じられた。
フェデラーはサーブが強く、ドロップショットが冴えていた。また腰の高さで打つ片手打ちのバックハンドは強烈で、フォアからの連続攻撃も相変わらず見事である。実際、ナダルに負けじとフェデラーもナダルのサービスゲームを何度もブレークしているのだ。だがフェデラーのバックハンドにナダルの高いバウンドのスピンボールを集められてベースラインの後方に押し下げられていく場面や、コーナーにアプローチショットを放ってナダルにストレートのパスを抜かれる場面など、対ナダル戦の負けパターンのシーンも相変わらずの展開であった。なによりゾーンに入ったナダルの強いこと。フェデラーの速い展開の猛攻に敢然と立ちはだかる姿はまさに赤土の上に高くそびえる城塞そのものである。

ナダルはこれでクレーでのマスターズ1000シリーズ主要3大会の連続優勝を成し遂げた。クレーでの連勝記録を何度も長く更新しているナダルだが、このMS主要3大会連続制覇はこれが初である。かつてこのクレー主要三大会はモンテカルロ・ローマ・ハンブルグの順で、決勝戦のみ5セットマッチであった。ナダルが台頭してきた2005年はローマでコリアと壮絶な5セットマッチを行い、勝利したものの疲労困憊でハンブルグを欠場、2006年はフェデラーとこれまたローマの決勝で壮絶な5セットマッチを行い、またも疲労困憊でハンブルグを欠場した。2007年マスターズシリーズの決勝戦も3セットマッチになり、少しは楽になったのか、モンテカルロ・ローマを連破してハンブルグにナダルは乗り込んだ。だが決勝戦でフェデラーに敗れ、クレーでの連勝記録もここで止められてしまう。翌2008年、ハンブルグの決勝でナダルはついにフェデラーを破りハンブルグの初タイトルを奪取したが、この年はローマで途中敗退してしまっており、3大会連続優勝にはならなかった。2009年よりマスターズ1000シリーズはハンブルグ大会の位置にマドリッド大会がつくことになる。モンテカルロ・ローマを連覇してマドリッドに乗り込んだナダルであったが、SFでジョコビッチと3セットマッチとしては史上最長時間となる大激戦を戦い、勝ち上がりはしたがそこで決勝対フェデラー戦に敗れ、またもクレー主要3大会の連続優勝を逃し、しかもこの年は全仏までも途中敗退してしまった。

今年のクレーシーズンは主要な3大会から格落ちするバルセロナ大会をスキップしてモンテカルロ・ローマ・マドリッドの3大会のみにナダルは集中した。適度な休息と試合での献身的なパフォーマンス、まさに選択と集中がうまくなされた結果のクレー主要3大会連続優勝であったといえよう。欧州赤土戦線はこうして例年通り、いや例年以上に完璧な形でナダルに制覇されてしまった。文字通り赤土の覇王である。

ナダル覇業の総仕上げは全仏タイトル奪還であろう。それをただ見ているだけになるのか、それともフェデラー初め他の選手たちの巻き返しがあるのか。いよいよ日曜日から全仏オープン開幕である。注目しよう。

全仏ドロー2010

今年もフレンチオープン、全仏のドローが出た。例によって男女シングルスのドローを4つの山に分けて、独断と偏見による展望を見てみよう。

男子はデルポトロ・ダビンデンコが不在である。

第一シードはフェデラー、前年度覇者にして生涯グランドスラムを達成し、今季も全豪を取り年間グランドスラムの可能性を拡大するべくローランギャロスに乗り込んでくる現時点のATPツアーNo1である。彼の山であるトップハーフの上半分は、第五シードソダーリングを筆頭にチリッチ、モンフィス、バブリンカ、グルビス、ロペス、モンタネスらシード勢が続く。他にティプサレビッチ、マスー、ツルスノフ、ベネトー、ラペンティ、デントらが集う。フェデラーから見て、なかなかタフなドローになったのではないか。全豪からタイトルがないフェデラー、ここを突破できるかどうかで真価が問われよう。

第四シードはマレー、彼の山であるトップハーフの下半分は第八シードツォンガを筆頭にユーズニー、ベルディッチ、アイズナー、ロブレド、バグタティス、ガルシアロペスらシード勢が続く。他にガスケ、チェラ、マチュー、トロイッキ、シュトラーらが集う。元気のないマレーには初戦の対ガスケ戦からきついドローだ。どちらかといえばハードコートが得意な選手が集まっているので混戦状態になるのではないだろうか。

第三シードはジョコビッチ、彼の山であるボトムハーフの上半分は、第六シードロディックを筆頭に、フェレール、フェレーロ、クエリー、メルツァー、モナコ、ハネスクらシード勢が続く。他にニーミネン、セラ、マリッセ、ジネプリ、錦織らが集う。元気がないのはジョコビッチも同じである。今季好調のフェレールがいるこの山を突破でいるだろか。

第二シードはナダル、過去全仏四連覇、今季クレーコートでは常勝無敗、赤土の上の要塞、難攻不落の城塞、元No1にして、再びNo2にまで戻ってきたクレーコートの覇王である。彼の山であるボトムハーフの下半分は第七シードヴェルダスコを筆頭にゴンザレス、リュビチッチ、アルマジロ・・・・じゃなかったアルマグロ、ベルッキ、ヒューイット、コールシュライバーとシード勢が続く。他にセッラ、セッピ、クレメン、フィッシュ、ロドラ、ベッカーらが集う。実力者がそろっているが、このヨーロッパクレーを最高の形で駆け抜けてきた覇王ナダルを止められる選手はいるだろうか。

直前でナダルがマスターズ1000シリーズクレー3大会連続優勝という過去最高のクレーシーズンを迎えている。去年ローランギャロスでの連勝を止められたナダルであるが、それだけに勝利にも飢えていることだろう。そのナダルを阻止しうる者は現れるだろうか。去年、優勝して念願の生涯グランドスラムを達成したフェデラー、しかし去年はナダルが途中敗退しての結果であった。フェデラーとしては決勝で今年こそナダルを破っての優勝を果たしてみたいところであろうが、それが可能かどうか、ここまでの経緯を見る限りは難しい。他ジョコビッチとマレーは元気がなく、ベスト4も読みづらい。サッカーのワールドカップのある年はスペイン勢が活躍するというジンクスがテニス界にはある。実際、このヨーロッパークレーシーズンでナダルの3大会連続優勝だけでなく、フェレール、ヴェルダスコを始め他のスペイン勢がよい成績を残している。オールスペイン勢のベスト4もあるかと予想していたが、実際のドローではスペイン勢はかなり偏って配置された。これではお互い星をつぶしあうことになるだろう。ナダル以外の選手の動向が読みにくい、それだけに面白くなりそうな予感もするが結果は如何に。

女子はクライシュテルスが不在である。

第一シードはセリーナ・ウィリアムズ、今季の全豪覇者である。彼女の山であるトップハーフの上半分は第七シードストーサーを筆頭にシャラポワ、バルトリ、ピアー、エナン、チェン、パブルチェンコバらシード勢が続く。他にコルネ、ペン、森田、スレボトトニックらが集う。エナンとセリーナが同じ山だ。しかも今季好調のストーサーまでいる。最高にタフなドローをセリーナは突破しうるのだろうか。

第四シードはヤンコビッチである。彼女の山であるトップハーフの下半分は第八シードラドワンスカを筆頭にサフィーナ、ウィックマイヤー、ズボナレワ、ハンチェコワ、A・ボンダレンコ、クレイバノワらシード勢が続く。他にモリック、カネッピ、タナスガーン、スワレスナバロ、クルム伊達、イヴァノビッチ、エラニーらが集う。元NO1が3人いる実力者も多数。ここは大混戦だろう。

第三シードはウォズニアッキである。彼女の山であるボトムハーフの上半分は第六シードクズネツォワを筆頭にリー、ペネッタ、スキアボーネ、サファロバ、キリレンコ、DULGHERUらシード勢が続く。他にシルステア、ラッツアーノ、土居、ドキッチらが集う。ウォズニアッキはクレーでどこまで実力を発揮できるのだろうか。前年度覇者クズネツォワの方が若干優位であるように思うが結果は如何に。

第二シードはヴィーナス・ウィリアムズである。彼女の山であるボトムハーフの下半分は第五シードディメンティワを筆頭にアザレンカ、レザイ、ペトロワ、マーチンサンチェス、チブルコバ、K・ボンダレンコらシード勢が続く。他にウダン、メディナガルゲス、オズニアック、ドゥルコ」、チャクベターゼ、サバイ、奈良、シュニーダーらが集う。粘り屋に曲者と多彩な実力者がそろってしまったこの山、それでもヴィーナスは一気に突破するか。

直前の前哨戦で復帰後初優勝を遂げているエナンが早い段階でセリーナに挑む。ここが一つの山か。反対側の山のヴィーナスとクズネツォワの調子も気にかかる。決勝がウィリアムズ姉妹の対決になればセリーナの優勝で終わると予想するが、姉妹対決をエナンなりクズネツォワなりが止めれば面白くなるし、またそうなってほしいものである。

WOWOWは今年も初戦から全力中継だ。18:00から翌日05:00までに二つのチャンネルでリレー中継する。一日合計11時間近い中継を毎日してくれる。これをすべてライブで見ている人は日本にどれだけいるのだろうか。男子は錦織が本選ストレートインし、女子では伊達・森田の他に予選から奈良くるみと土居美咲が本選入りを決めた。こちらも注目が集まることだろう。
今年も全仏は日曜日からスタートだ。熱戦を期待しよう。

去年の全仏オープンの模様はこちらから。

火山灰にも負けず

欧州がアイスランドの火山灰で覆われ航空網が分断され、ツアー選手たちは移動に苦労しているようだ。それでも欧州赤土戦線は継続する。

スペインのバルセロナではバルセロナオープンが開催されている。このATPツアー500クラス、アウトドアクレーコート大会の第一シードはナダル、以下ソーダーリング、ツォンガ、ゴンザレス、ヴェルダスコ、ベルディチ、フェレーロ、フェレール、ロブレド、モナコ、メルツァー、ヒューイット、ベルッチ、モンタネス、アルマジロ・・・じゃなかったアルマグロ、ロペスとシード勢が続く。MSモンテカルロで六連覇を達成した赤土の覇王ナダルの地元凱旋・・・・・とはなるはずだったが、直前で欠場を表明した。去年クレーシーズンでの連戦から故障して全仏を落とした事の反省による計画的欠場だとのこと。その翌週のMSローマ大会には出場するという。鉄人ナダルもスケジュールを計画的にするようになりましたか。これで今年の全仏・全英を面白くしてくれることが期待できるかな。さてナダル欠場を受けてトップシードとなるソダーリングに他のツアー500クラスにしては豪華メンバー、ナダル不在でも大いに盛り上がることではあろう。

WTAは今週はお休み、ITF主催の国別対抗女子テニス団体戦フェドカップの2010年準決勝が行われるのだ。イタリアがチェコをローマで、アメリカがロシアをアラバマ州バーミングハムで、それぞれで迎え撃つ。アメリカはウィリアムズ姉妹は出ずにウダンがトップ、ロシアもトップランカーはディメンティワだけという力の抜けた陣容となっている。イタリアはペネッタとスキアボーネの二枚看板、チェコはサファロバがトップ、SFにしては地味な対決となりそうである。

ワールドグループ以外にも世界各地で入れ替え戦が行われる。日本はスロベニアとアウェイでの対決となる。日本チームは伊達・森田・瀬間・藤原である。スロバキアとよく間違うスロベニアは地中海に面した国の方で、マリボルという都市で行われる。サーフェイスはもちろんクレー、日本勢は苦手のクレーでスロベニア勢を突破することはできるだろうか。

今週末GORAではバルセロナオープンの準決勝と決勝を生中継してくれる。ランキング4強が不在の大会となっただけに新鮮なカードが実現するに違いない。こちらも熱戦を期待しよう

ベテランの貴重な優勝と覇王の6連覇と

スペインのバルセロナで行われていたバルセロナ女子オープンは第一シードスキアボーネが優勝した。決勝戦では同じイタリアのビンチ相手に61 61 という圧倒的スコアで勝利した。ベテランスキアボーネはこれがツアー生涯3勝目となるタイトルであったそうだ。

アメリカのサウスカロライナ州で行われたファミリーサークルカップはSFで第一シードウォズニアッキ対第七シードズボナレワ、第四シードストーサー対第八シードハンチェコワと好カードが実現した。だがウォズニアッキは途中棄権、ハンチェコワもストレートで敗れた。決勝はズボナレワ対ストーサーのベテラン対決、勝ったのはストーサー、60 63 の圧巻の出来であった。ベテランストーサーにしてこのタイトルはシングルスでは生涯二勝目となるものであったという。

さて女子がベテラン達にうれしい何回目かの優勝がもたらされていた一方で、先週はナダルがマスターズ1000シリーズモンテカルロ大会で6連覇を達成していた。この同一大会6連覇はテニスのオープン化以降初の快挙であるそうだ。そういえばフェデラーはウィンブルドンも全米も5連覇までで6連覇は阻止されたからね。凄いねクレーの上のナダルって。しかもマスターズ格大会のタイトル数がついに通算16個とフェデラーに並んでしまった。それでもまだ世界記録には達していない。記録はアガシの17回優勝だそうだ。しかし、確実に今期中にこの記録は塗り替えられることだろう。

赤土の覇王の帰還 MSモンテカルロ大会2010決勝

去年のマスターズ1000ローマ大会以降、ナダルには優勝がなかった。No1であった彼はその後No1を陥落し、今ではNo3までランキングを落としている。大きな大会で満足いく結果を出せず、フィジカルも万全でなく途中棄権も多かった。だが、そんあ不本意な現状を微塵も感じさせずに、赤土の上の城塞は再び高く築かれた。

マスターズ1000第三戦モンテカルロ大会2010決勝
ナダル 60 61 ヴェルダスコ

これが決勝戦のスコアだろうか。ヴェルダスコは首を少し痛めていたようで、サーブにはやや問題があったようだ。だが、それでもショットやフットワークに大きな問題があるようには思えなった。そのヴェルダスコに対して1ゲームしか与えない完勝、クレーコートの上で覇王ナダルによる公開処刑執行である。

クレーコートに入ってのこのいきなりの好調ぶりはなんだ。ここまでの不調はなんだったのだ。クレーコートの申し子ラファエル・ナダル、赤土の上に戻ってくると、突然元気になる。この調子で今年のクレーコートシーズンも彼が引っ張っていくのだろうか。

赤土の上の要塞、難攻不落のナダル城が再び出現した。欧州赤土戦線はまたしても覇王ナダルに占拠されてしまうのだろうか。そう感じずにはいられない、2010モンテカルロ大会の決勝戦であった。

マスターズ1000モンテカルロ大会SF2010

No1フェデラー不在、第三シードマレー敗退、マスターズ1000シリーズ2010第三戦モンテカルロ大会のベスト4は第一シードジョコビッチと第二シードのナダルにヴェルダスコとフェレールが挑む形になった。だが、結果は大きく違った形になる。

マスターズ1000シリーズ2010モンテカルロ大会SF1
ナダル 62 63 フェレール

ナダル、強い。フェレールの強打を拾い、スピンボールを左右に打ち分けているだけだが、それでフェレールが振り切られる。フェレールはブレークポイントを何度か握り、最後のサーブインフォーザマッチでもブレークに成功したが、全体を通じて主導権をほとんど握らせてもらえなかった。フェレールにとっては厳しい内容であり、ナダルの強みが大いに発揮された試合であった。

SF2
ヴェルダスコ 62 62 ジョコビッチ

ジョコビッチ、どうした。ヴェルダスコのフラットドライブに切れとサエがあったのは事実だが、ここまで一方的になるほどヴェルダスコのテニスに凄みがあったわけではない。ジョコビッチの集中力とフットワークに問題があった。サーブの確率も悪く、ダブルフォールトを集中させてしまった。なんとも残念な結果である。

これで決勝戦はナダル対ヴェルダスコというスペイン対決となった。ナダルはこのモンテカルロ4連覇中である、クレーコートでの連勝記録を再び再開させるのか、それともヴェルダスコがそれを止めるのか。決勝戦での熱戦を期待しよう。

欧州赤土戦線2010開幕

さあ、今年も欧州赤土戦線が開幕だ。

モナコ公国モンテカルロでモンテカルロ・ロレックス・マスターズが開催される。この2010年ATPツアーマスターズ1000第三戦、アウトドアクレーコート大会の第一シードはなんとジョコビッチ、以下ナダル、マレー、チリッチ、ツォンガ、ヴェルダスコ、ユーズニー、リュビチッチ、フェレーロ、ベルディッチ、フェレール、ロブレド、バブリンカ、モナコ、メルツァー、バクダティスとシード勢が続く。
No1フェデラー不在のこの大会、No2のジョコビッチがマスターズでの堂々の第一シードをはる。しかし、ここはクレー、赤土の覇王ナダルの庭である。両雄は決勝で対戦できるだろうか。その時は、去年のMSマドリッド準決勝の再現となる熱戦となるだろうか。そこに至るまでに、他のクレーコートスペシャリスト達の抵抗や如何に。見どころ満載のヨーロッパクレーコートシーズン開幕戦である。

WTAでは一足先に欧州赤土戦線が開幕している。その二戦目はスペイン、バルセロナのバルセロナ女子オープンである。このWTAツアーインターナショナル22万ドルクラス、アウトドアクレーコート大会の第一シードはスキアボーネ、以下レザイ、マンチェスサンチェス、キリレンコ、シルステア、ドルゥコ、スワレスナバロ、サファロバである。

アメリカでもつかの間のクレーシーズンが進行している。アメリカのチャールストンでは有名なファミリーサークルカップが開催される。このWTAツアープレミアム70万ドルクラス、アウトドアグリーンクレーコート大会の第一シードはウォズニアッキ、以下ヤンコビッチ、アザレンカ、ストーサー、バルトリ、ペトロワ、ズボナレワ、ハンチェコワ、ボンダレンコ、ヴェッシーナ、ラッツアーノ、オズニアック、ウダンらシード勢が続く。プレミアム格にしては地味だがトップランカーたちは主戦場を欧州に控え、ここは出てこないのだろう。その間隙をぬってポイントを稼ぐかウォズニアッキ・ヤンコビッチ、アザレンカ、このあたりの活躍を期待したい。

今週末もGAORAで中継がある。マスターズモンテカルロ大会が生中継、ファミリーサークルカップが録画中継である。

今年も始まるクレーの戦い、熱戦を大いに期待しよう。

ようやくエンジンがかかるのか

モロッコ・カサブランカのハッサン二世グランプリ、優勝したのは第一シードのバブリンカである。決勝でハネスクを破っての優勝。今季初優勝、生涯二勝目のツアータイトルであった。

アメリカ・ヒューストンのUS男子クレーコート選手権、優勝したのはノーシードのチェラであった。決勝で第三シードクエリーをフルセットマッチの末の逆転劇で勝利した。チェラは今季初優勝、生涯五勝目となるツアータイトルであった。

スペイン・マルベーリャのアンダルシア・テニス、優勝したのは第二シードのペネッタ、決勝スワレスナバロとフルセットマッチの末に勝利し、今季初優勝を遂げた。この大会、第一シードのアザレンカと第三シードのクライシュテルスは途中敗退し波乱の大会となっていた。

アメリカ・ポンテ・ベドラ・ビーチのMPSグループ選手権、優勝したのは第一シードのウォズニアッキであった。決勝はノーシードのゴボルツォバ相手にストレートで勝利である。だがSFでは第四シードベスニナ相手に第一セットダウン、第二セットTBという苦しい展開であった。

ウォズニアッキもようやくこれで今季初優勝である。これでエンジンがかかるか。今後に注目しよう。

赤土の前哨戦2010

2010年クレーシーズン開幕、ATPは北米・アフリカの二大陸で二大会である。

北アフリカ・モロッコ王国最大の都市カサブランカでは有名なハッサン二世グランプリが開催される。このATPツアー250クラス、アウトドアクレーコート大会の第一シードはバブリンカ、以下ガルシアロペス、ハネスク、クボット、マチュー、Greul、ロクス、セッラとシード勢が続く。
http://www.frmt.ma/

アメリカ合衆国テキサス州のヒューストンではUS男子クレーコート選手権が開催される。このATPツアー250クラス、アウトドアクレーコート大会の第一シードはゴンザレス、以下アイズナー、クエリー、ヒューイットらシード勢が続く。
http://www.mensclaycourt.com/

WTAではクレーのヨーロッパシーズン、欧州赤土戦線が始まる。

スペイン南部アンダルシア州、地中海に面するリゾート地マルベーリャではアンダルシア・テニスが開催される。このWTAツアーインターナショナル22万ドルクラス、アウトドアクレーコート大会の第一シードはアザレンカ、以下ペネッタ、クライシュテルス、レザイ、マンテスサンチェス、キリレンコ、メディナガルゲス、スワレスナバロとシード勢が続く。
http://www.andaluciatennis.com/?i=2

アメリカ南東部フロリダ州ポンテ・ベドラ・ビーチではMPSグループ選手権が開催される。このWTAツアーインターナショナル22万ドルクラス、アウトドアクレーコート大会の第一シードはウォズニアッキ、以下A・ボンダレンコ、シブルコバ、ベスニナ、パベルチェンコバ、オズニアック、ラッツアーノ、ウダンとシード勢が続く。
http://www.mpsgroupchamps.net/

来週にはATPマスターズ1000のモンテカルロ大会も始まる。本格的に欧州赤土戦線が開幕するが、今週はその前哨戦といったところだろうか。

静かなる大河のごとく

で、録画してあったGAORAの中継で2010MSマイアミ大会男子決勝戦をTV観戦した。

うむ・・・・ベルディッヒ、惜しい。第一セット終盤5−5になってからの第11ゲーム、ここで少し「魔が差した。」プレーがやや雑になり、不用意にエラーでポイントを献上した。それが自身のサービスゲームであった為にロディックにブレークされてしまった。雑なプレーは続く。第二セットの最初の自分のサービスゲームでも同様の展開でロディックにブレークを許してしまう。
全体を見てこの二つのゲーム以外のプレーは堅実でかつ圧力があった。フォアのフラットドライブも、バックハンドスライスも、ベルディッヒのショットの方が上だったし、サーブ力もネットプレーもほぼ互角であった。特にバックハンドからのトップスピンロブはかつてのヒューイットに匹敵する見事なキレで、ネットに突進してきたロディックを一度ならず何度も抜き去った。
しかし、勝ったのはロディック。静かに自分のプレーに集中し、集中を切らさなかった。大事な場面でベルディッヒに時に押されながらも、緩急をつけ、ネットにも出る、要所でサービスエースを決め、深いフォアのスピンとバックハンドスライスで粘る、主導権をベルディッヒに渡さず、しかもベルディッヒを崩す、数少ないチャンスをシッカリとものにした。

圧倒的ではないが、静かなるロディックの静かなる強さに、激流が合わさって、大河の河口の緩やかで、おおらかで、かつ力強い流れとなる、一連の様を見たような気がした。そんな2010MSマイアミ大会決勝戦であった。

マイアミ2010男子単決勝速報

2010ソニーエリクソンオープン男子単決勝
ロディック 75 64 ベルディッヒ

おお、二セットとも1ブレーク差だ。渋いスコアで勝っているじゃないかロディック。GAORAの中継の録画を今夜見るのが楽しみだ。

キムクリ トップランカーヘ

2010ソニーエリクソンオープン女子単決勝
クライシュテルス 62 61 V・ウィリアムズ

ヴィーナスの自滅、とまではいかないもののミスが多くてほとんどポイントを取れなかった。両足に問題を抱えていることが映像を通じてもよくわかったが、それならばSFまでの快進撃には足の問題は影響していなかったのだろうかと疑問を感じてしまう。一方でクライシュテルスも万全のテニスではなかった。サーブが不安定でダブルフォールト多々あり、フォアハンドストロークの圧力も調子のよいときのキムのショットではなかった。だがバックハンドストロークの切れは抜群だった。高い打点、低い打点、短い球、深い球、相手の球種・コースに関係なく、コンパクトで鋭いキム独特のバックハンドは相手のコーナー深くにボールに運び、ヴィーナスの脚力を振り切った。特に打点を引きつけてからの逆クロスが効いていた。フォアの逆クロスはよく見るが、バックハンドの逆クロスを効果的に使う選手は珍しい。クライシュテルスにセンターから左右に打ち分けさせると、もうエナンでもウィリアムズ姉妹でも振り切られてしまう。相手が振ってくる前に、こちらがキムを振らなければならないのだが、この大会を通じてそれができた選手はいなかった。

クライシュテルスはこれでエントリーランキングでトップ10に上がる。いよいよ本来彼女の居るべき位置、トップランカーに戻ってくる。追撃するエナン、迎撃するウィリアムズ姉妹とロシア勢は今後どう出るのか。若手に元気がなかったことが少し気になった2010マイアミ大会女子決勝であった。

ロディックとベルディッヒ MSマイアミ2010SF

ロディックがあの難攻不落鉄壁の要塞ナダル城を突き崩した。

2010MS第二戦マイアミ大会SF第一試合
ロディック 46 63 63 ナダル

第一セット、サーブで押せてもストロークでも押せない、競り合いで押し戻されるロディック、主導権を握っているのはナダル。予想通りの展開で1ブレークを捥ぎ取り、ナダルが第一セットを先取する。
第一セットとほぼ同じ流れで第二セットは推移する。違っているのはロディックのフォアハンドストローク。第一セットでは短くなったったり、長くなったり、逆クロスがサイドに割れたりと、ナダルのストロークに押されてロディックのフォアは機能していなかった。だが第二セットが進むにつれ、ロディックのフォアは徐々に安定し、深いところに集中し始めた。ナダルのプレッシャーが徐々に薄れる。4−3でロディックのサーブとなった第七ゲームで、ロディックのフォアが火を噴いた。4ポイント連取でキープに成功すると、次のナダルのサービスゲームをラブゲームでブレーク、そしてサーブイング・フォー・ザ・セットもだ部ゲームキープ、畳み掛けるように第二セットを取った。
第三セットナダルもギアを上げてロディックのフォアに対抗する。だがロディックの圧力は衰えず、さらに会場の声援が地元の英雄を後押しする。ロディックに押され、ナダルは第三ゲームをブレークされた。リードしてロディックはやや固くなったのか、ボールが短くなるが、ナダルはそこを押し込めず、ロディックはブレークピンチを切り抜け、5−3の第九ゲームまで来た。ナダルのサービスゲーム、ロディックの深いフォアが再びナダルを圧倒し、最後はナダルのフォアが大きくラインを割り、ロディックが勝利を決めた。対ナダル戦連続3試合ストレート負けの後の勝利であった。

ロディックは自分の最大の武器であるサーブを効果的に使い、またスライスアプローチとネットプレーを随所に見せ、見事なオールラウンドプレーを見せたが、勝利した最大の要因はフォアハンドストロークが深いところに連続して入っていったことだろう。それにより序盤押されていたナダル相手に途中からストローク戦で互角以上の競り合いをすることができた。ナダル相手にこれだけ打ち合えるのである。他の選手に対してはもっと強い圧力となってストロークでも押していけることだろう。

SF第二試合
ベルディッヒ 62 62 ソダーリング
北欧の虎対東欧の竜とでも言うべき注目だったこのカードはベルディッヒの圧勝で終わった。ベルディッヒのゆったりとした力強いフラットドライブのサーブとストロークにソダーリングが押されてしまった。途中でソダーリングは戦意を失ってしまうほどに、ベルディッヒは強くて、そして静かだった。

さて、決勝はロディック対ベルディッヒである。両者とも安定して力強い。さて決勝戦の行方はいずれに勝利をもたらすだろうか。決勝は日曜日である。

姉の圧力、月と太陽の泥 ソニーエリクソン2010女子SF

2010ソニーエリクソンオープン女子SF
第一試合
V・ウィリアムズ 63 64 バルトリ

第一シードクズネツォワを突破してきたバルトリ、第五のグランドスラム呼ばれるこのマイアミ大会のベスト4に充分ふさわしい。しかしヴィーナスの前にストレートで敗れた。ダブルフォールトの多発が大きな敗因であったが、それもヴィーナスのリターンからの強打に対する警戒からのプレッシャーゆえであったという。そのヴィーナスのリターンのプレッシャーは決勝でベルギー勢にもかけることが出来るだろうか。

第二試合
クライシュテルス 62 67 76 エナン

スコア上は大接戦である。ベルギーの月と太陽、宿命のライバルの激突にふさわしい熱戦・・・・と思えるが、実際GAORAの中継を見ている限り、印象は違って見えた。悪く言えば泥仕合、GAORA解説の森上氏も再三指摘していたが、いいポイントの後にイージーミス、ブレークの後に不用意なプレーでブレークバックされるという、両者ともに調子に乗り切れそうで乗り切れない、ストレスの溜まる展開であった。特に問題が大きいのは負けたエナンよりも勝ったクライシュテルスの方に思える。ブレークポイントでダブルフォールトを犯し、さらにブレークされた後のゲームで無茶をしてプレーが雑になる場面が多々あった。

宿敵エナンを突破したクライシュテルスではあるが、決勝でヴィーナスからのプレッシャーの前に平常心で立ち向かうことはできるだろうか。今日のプレーと同じ姿勢ならば難しいと思うが、結果はいかに。

IWと似たような男子の展開 マイアミ大会2010ベスト4

第二シードジョコビッチダウン、二回戦で伏兵ロクス弟にフルセットの末に競り負ける。
第三シードマレーも二回戦でダウン、地元フィッシュの前に去年の覇者はストレートで敗退した。
第一シードフェデラーダウン、四回戦でベルディッヒ相手に一度はマッチポイントを握るとこまで追い詰めながらも、そこから逆転負けを喫す。2010MS第二戦マイアミ大会のベスト4SFは下記の通り
ナダル対ロディック
ソダーリング対ベルディッヒ

トップ4シードの内、ジョコ・マレー・フェデラーがダウン、ベスト4はナダル・ロディック・ソダーリング+東欧のビックサーバー・・・・・二週間前のインディアンウェルズ大会とほぼ同じ展開じゃないか。しかしSFの組合せは違う。地元アメリカの英雄ロディックと復活したコートの上の要塞ナダルがSFで激突する。一方でソダーリングの前に立ちはだかるのは、今度はベルディッヒだ。ベルディッヒはフェデラーだけでなく、ベルダスコもフルセットの競り合いの末に突破している。これを苦戦と見るか、高いレベルでの安定と見るかは試合を映像で見ていないので難しいが、それでもソダーリングにとって強敵となろう。

インディアンウェルズと違ってマイアミはグランドスラムと同様に木曜日から女子SF、男子SF、女子決勝、男子決勝と順番に行ってくれる。こちらの方がTV観戦するほうとしてはありがたい。GAORAで生中継してくれるし。女子SFの組合せは下記の通り
V・ウィリアムズ対バルトリ
クライシュテルス対エナン
来たー、ベルギーの月と太陽エナンとキムの直接対決である。復帰直後の今年年頭に一度二人は当たった。そのときはクライシュテルス競り合いの末に振り切った。今度はどうなるか。反対の山からウィリアムズ姉妹の姉が勝ちあがってきているのも、バルトリ突破は簡単ではないだろうか、それでも決勝でのベルギー勢との激突を予感させる。さあ、春の祭典第二弾もクライマックスである。熱戦を大いに期待しよう。

技と緩急と我慢で乗り切るベテラン達 2010IWSF

去年もインディアンウェルズは強風が吹き荒れていた。今年も去年ほどではないが強い風がコートを舞い、選手達を翻弄した。

2009マスターズ1000第一戦インディアンウェルズ大会準決勝
第一試合
リュビチッチ 36 64 76 ナダル

第一セット第1ゲームでナダルはブレークに成功し先行する。GAORA解説の丸山氏が指摘していた通り、この日のナダルは攻めが早かった。いつもようなストロークからの展開でポイントを取るのではなく、ショートポイントで一気に勝負を決めに来ていた。ナダルリードで5-3まで進み、最後のリュビッチのサービスゲームもナダルがブレークして6-3で第一セットをナダルが先取した。
第二セット第三ゲーム、ナダルのサービスゲームで、リュビッチは素晴らしいカウンターショットをフォアとバックで二発見せ、15-30と先行する。リュビッチ反撃開始なるかと思いきや、ナダルは回り込みのフォアハンド逆クロスで3回連続ウィーナーを決め、あっさりキープに成功した。ストローク戦では勝機が見出せないと知ったリュビッチはネットに出る。柔らかいタッチのリュビッチのボレーにナダルは得意のパスを封じられた。しかもリュビチッチのストロークの強打はこの日なかなかの冴えを見せている。ストロークの威力とネットプレーの柔らかさが相乗効果を発揮してナダルを押し始める。4-4となった第九ゲームで、ついにリュビッチはナダルのサービスをブレークし、そのまま第二セットを6-4で取りきった。
ファイナルセット、集中力を欠くナダルは第1ゲームを不用意に落としてしまった。だがすぐに切り替え、第二ゲームでブレークバック、以後、試合は緊迫したサービスゲームのキープ合戦が続き、6-6TBに突入した。この日スピンサーブ主体で組み立てていたリュビチッチはこのTBにビックサーブを集中させ、リターンゲームでも強いショットで攻勢に出る。一気にナダルのサービスを二度破り、リードを広げ、最後は7-1でナダルを圧倒、TBを取り勝利、決勝進出を決めた。

復帰戦ではあったが、ナダルの調子は抜群で、第一セットを取った時点ではこれはナダルの圧勝とTV中継を見ていた如空は思った。だがリュビッチのテニスが見事であった。絶妙なボレー、見事なカウンターショット、そして試合終盤まで温存していたフラット・サーブによる連続サービスエース、劣勢な状況でも、相手を勢いに乗せずに追走し、じわりとプレッシャーをかけて追いつき、最後に一気にギアを上げてナダルを抜き去った。握られたブレークポイントの数ではナダルの方が多かったのだが、リュビッチは何度もピンチを切り抜け、自らの少ないチャンスを確実に生かして勝利につなげた。リュビッチ会心のテニスではなかっただろうか。

第二試合
ロディック 64 36 63 ソダーリング

ロディックってこの大会出場していたんだ。確か欠場するとかいう情報が流れていなかったっけ・・・ま、いっか、とにかく地元の星ロディックが決勝に進出である。去年の全仏ファイナリストと全英ファイナリストの対決もフルセットマッチにもつれる長い試合になった。戦前の予想とは違ってハードヒットの応酬にならなかった。ロディックがチェンジオブペースでソダーリングが早い展開に持ち込もうとするとこを上手く阻止していた。ある意味ロディックらしからぬ展開であったが、それが功を奏して第一セットを1ブレークで先取した。
問題は第二セット、同じ展開でロディックは1ブレーク先行するのだが、セット中盤でソダーリングにブレークバックを許してしまう。ここから流れがソダーリングに傾く。ソダーリングはリターンの調子がよい。センターに来たサーブを上手く逆クロスの深いところに返球する。これ効いてロディックはビックサーブから畳み掛けるパターンが使えない。第八―ゲームはロディックのこの試合初のダブルフォールトで始まり、ソダーリングに攻め込まれ、ブレークを許してしまう。ソダーリングはこのリードを守り、6-3で第二セットはソダーリングが取り返した。
ファイナルセットはブレーク合戦、ロディックが先行するが、ソダーリングが追いつく。中盤長いラリーを我慢でつないで、ロディックがブレークを捥ぎ取った。この1ブレーク差を今度は守りきり、ロディックが6-3でセットを取り、決勝進出を決めた。

我慢するロディック、ペースを変えてくるロディック、追いつかれても自分を見失わず、再び相手を突き放せるロディック、なかないいテニスではなかったのではないだろうか。

さて、トップ4シードにしてエントリーランキングトップ4はSFまでに全滅した。決勝はリュビッチ対ロディックである。ビックサーバー同士、しかし緩急と我慢で耐えるベテラン同士、主導権を握るのはどちらだ。
熱戦を期待しよう。

IWは今年も荒れて

2010年テニス世界ツアー春の祭典第一弾、BNPバリバオープン、インディアンウェルズ大会は例年通り荒れ模様である。

第一シードフェデラーが三回戦でダウン、相手はバクダティス、この2006年全豪ファイナルの再現はフルセットマッチ57 75 76という大接戦の末の大逆転でバクダティスが勝利する。
第二シードジョコビッチは四回戦でダウン、相手はリュビチッチ、75 64 でリュビチッチのストレート勝利であった。
第四シードマレーは準々決勝でダウン、相手はソダーリング、61 76のストレートでソダーリングのストレート勝利である。

全豪で膝の故障を悪化させ、戦線を離脱して休養中だったナダルは第三シードとしてこの大会で戦線に復帰した。彼はこの大会の前年度覇者である。復帰直後とはいえ、しかもハードコートではあるが、守るべきポイントの多いこの大会、ナダルは四強中三人が崩れる中で、一人ベスト4に勝ち進みシードを守る。もちろんシードを守ったところで満足はしまい、彼が守るべきはタイトルそのもである。

という訳で2010年インデアンウェルズ大会のベスト4準決勝の組合せは下記の通り。
ナダル対リュビチッチ
ロディック対ソダーリング

新鮮な組合せだ。ここから二試合がナダルの真価が問われるところだろう。ロディックとソダーリングのハードヒットの応酬も期待されるところだ。

さてこの大会は男女同時開催である。グランドスラム同様に女子は男子より1日早く予定を消化している。土曜日には決勝戦が行われるのだ。決勝まで勝ち進んできたのは第二シードウォズニアッキと第六シードのヤンコビチである。こちらも新鮮な顔ぶれだ。ここまで波乱続出であったことが伺える。果たして春の祭典第一弾のタイトルを取るのは誰か。運よく日本で連休に当たるこの週末。好試合の観戦を大いに楽しみたい。それにふさわしい熱戦を期待したい。

2010インディアンウェルズドロー

三月だ、春だ、春の祭典だ!今年も春の祭典インディアンウェルズ大会BNPパリバオープンがやって来た。このアメリカ合衆国カリフォルニア州インディアンウェルズで開催されるこの大会は男女同時開催シングルス96ドロー、ダブルス32ドローで二週間にわたって繰り広げられる。その規模から次のマイアミ大会と共に「第五のグランドスラム」と呼ばれるプロテニスツアーの春の祭典である。

ATPはマスターズ1000のシリーズ第一戦となる。このアウトドアハードコート大会のシングルス第一シードはフェデラー、以下ジョコビッチ、ナダル、ダビデンコ、ロディック、ソダーリング、チリッチ、ツォンガ、ヴェルダスコ、フェレーロ、モンフィス、フェレール、ステパネック、アイズナー、シモン、クエリー、ロブレド、ベルディチ、リュビチッチ、モナコ、メルツァー、カルロビッチ、モンタネス、コールシュライバー、ベルッチ、バグダティス、ロペス、トロイッキ、ティプサレビッチ、ベネトー、アンドレーフらシード勢が続く。ナダルが戦線復帰である。彼は去年の覇者でもある。復帰戦でいきなりこの大舞台は少し酷だろうか。ナダルの視点から見れば準決勝でジョコビッチ、決勝でフェデラーと当たる位置になる。順当にいけばフェデラーのSFの相手はマレーだ。苦手にしてるが今年の全豪決勝では見事に抑え込んだ。ここではどうだろう。それよりトップ4シードのベスト4そろい踏みはなるだろうか。デルポトロは不在だがダビデンコ以下、大物食いが結構シード勢にうようよしている。QFあたりで波乱続出という結果もありそうだ。

WTAはプレミアム450万ドルクラス、アウトドアハードコート大会の第一シードはクズネツォワ、以下ウォズニアッキ、アザレンカ、ディメンティワ、ラドワンスカ、ヤンコビッチ、リー、ストーサー、ペネッタ、シャラポワ、バルトリ、ズボナレワ、ウィックマイヤー、クライシュテルス、スキアボーネ、ぺトロワ、ピアー、チェン、レザイ、A・ボンダレンコ、ハンチェコワ、リシキ、クレイバノワ、イバノビッチ、パヴェルチェンコバ、チブルコバ、サバイ、マルティンサンチェス、メディナガルゲス、オズニアック、ドゥルコ、キリレンコとシード勢が続く。第五のグランドスラムという割には地味ジャー、ウィリアムズ姉妹は例年この大会を敬遠しているので今年も出ない。そしてサフィーナが不在でドローに名前がない。第一シードがクズネツォワ、第二シードがウォズニアッキになった。ここにディメンティエワとクライシュテルスが優勝争いに加われば面白い展開になると思うが、結果は如何に。何気にシャラポワが第十シードにまで戻って来ているのが不気味だ。それ以上にワイルドカードで出ている全豪ファイナリストのエナンが怖い。

GAORAは男子準決勝・決勝を生中継、女子準決勝・決勝も中継してくれる。さあ春の祭典第一弾インディアンウェルズ大会、その盛り上がりを大いに期待しよう。

復活のナルバンディアン

先週行われていたツアーは一大会のみ、そのメキシコのモンテレー・オープンでは第一シードのヤンコビッチが初戦敗退、第二シードのハンチェコワは決勝にまで勝ち進んだ。三年ぶりのツアータイトルに王手をかけたハンチェコワを決勝で破ったのは第三シードバブリチャンコバ、18歳には見えない貫禄ある態度でツアー初優勝を遂げた。バブリチェンコバは雨天順延のため、最終日にシングルスの準決勝と決勝を連戦することになった。しかも二試合ともフルセットマッチである。それでも勝利する18歳、若さとは末恐ろしい可能性を時に見せる。

さてATPツアーはお休み、代わりに国別対抗男子テニス団体戦デビスカップの2010年一回戦が世界各地で行われた。
結果は以下の通り。

スペイン 4-1 スイス
フランス 4-1 ドイツ
ロシア 3-2 インド
アルゼンチン 3-2 スウェーデン
クロアチア 5-0 エクアドル
セルビア 3-2 アメリカ
チェコ 4-1 ベルギー
チリ 4-1 イスラエル

アルゼンチンとスウェーデンは2-2で最終シングルス決戦までもつれた。ここで登場したのが復帰したばかりのナルバンディアン、二日目もダブルスに出場して勝利し、最終日のシングルスでも勝利した。これはナルバンディアンにとって大きな財産となる勝利だろう。

で二回戦はQFとなる。組み合わせは
スペイン対フランス
ロシア対アルゼンチン
クロアチア対セルビア
チリ対チェコ
である。どれも主力選手を投入してくると面白くなりそうな組み合わせだ。特にクロアチアとセルビアは要注目だろう。

さてGAORAでも中継されていた日本チームの対フィリピン戦は5連勝で日本突破である。大阪のなみはやドームで行われていたので、如空の知り合いも数多く観戦に行った。とりあえずめでたい。この調子で次も突破してもらいたいものである。

春の嵐の前の静けさ・・・・・か

今年の春の祭典、インディアンウェルズ・マイアミ大会が近付いてきた。今週はその直前の週になる。

というわけでWTAは一大会、メキシコのモンテレーでモンテレーオープンが開催される。このWTAツアーインターナショナル22万ドルクラス、アウトドアハードコート大会の第一シードはヤンコビッチ、以下ハンチェコワ、パベルチェコバ、チブルコバ、サバイ、メディナガルゲス、オズニアック、サファロバとシード勢が続く。この時期のメキシコの大会だがクレーではない。来週の春の祭典の前哨戦となる。メンバーは何気に豪華だ。ここで勝って勢いをつけたいところだろう。特にヤンコビッチは元No1だけに負けられまい。

今週ATPはお休み、代わりにITF主催国別対抗男子テニス団体戦デビスカップの2009年一回戦が行われるのである。

組み合わせは下記の通り
スペイン対スイス(会場:スペイン・ログローニョ)
フランス対ドイツ(会場:フランス・トゥーロン)
ロシア対インド(会場:ロシア・モスクワ)
スウェーデン対アルゼンチン(会場:スウェーデン・ストックホルム)
クロアチア対エクアドル(会場:クロアチア・ヴェラジュディン)
セルビア対アメリカ(会場:セルビア・ベルグラード)
チリ対イスラエル(会場チリ・コキンボ)
ベルギー対チェコ(会場ベルギー・ブリー)

チリは大地震があったばかりだが、会場は大丈夫なのだろうか。各国ともNo1選手を出せる国、主力を欠く国と状態は様々である。どこが抜け出してくるか予想しにくい。

さて日本はワールドグループ進出のために、まずグループ?アジア・オセアニアゾーンの一回戦を突破しなくてはならない。対戦国はフィリピン、大阪のなみはやドームで迎え撃つ。選手メンバーは伊藤・添田・鈴木・松井である。何と錦織が出なくてもGAORAはこの試合を三日間放送してくるという。しかし、時間があるなら直接会場で見てみたいな。忙しいから無理だろうけど・・・・



「なんと」「なんと」「なんと」

UAEのドバイで開催されたバークレイ・ドバイ・テニス選手権、第一シードフェデラーに棄権され、第三シードマレーが早々に敗退したこの大会、しかし最後は去年の覇者ジョコビッチが今年も優勝して幕を閉じた。SFの対バクダティス戦までフルセットの接戦が続き、決勝の対ユーズニー戦も雨天順延による二日がかりの競り合いであったようだが、最後はジョコビッチが競り勝った。実力者が拮抗するこのトーナメントで苦しみながらも最後まで勝ち切ったことを大きな財産となるだろう。いよいよNo1を狙うか双頭の鷲ジョコビッチ、彼の今後に注目しよう。

アメリカ・フロリダ州のデルレイビーチで開催されたデルレイビーチ国際テニス選手権、第二シードカルロビッチが決勝まで進出するが、そこで彼を止めたのがラトビアのガルビス、何と今季初優勝と同時に生涯初タイトルとなった。ラトビア人としてもツアー初優勝になるらしい。一昨年の錦織にその姿がダブるな。ちなみにこの大会で復帰を飾った錦織はベッカー相手に初戦敗退であったが、錦織自身は試合を違和感なく最後までプレーできたことに満足しており、これからという感じのようである。

メキシコのアカプルコで開催されたアビエルト・メキシコ・テルセル・オープン、スペインのファン・カルロス・フェレーロがこの春の南米赤土戦線三大会連続決勝進出を果たす。過去二大会は優勝している。 これはクレー三大会連続優勝なるかと大いに期待した。決勝の相手は同じスペインのフェレール、先週の大会の決勝の相手でもある。彼もまた好調なのだ。準決勝ではゴンザレスに競り勝っている。決勝戦はフルセットマッチ、最後にはフェレーロが蓄積した疲労の前に崩れ、フェレールが勝利をもぎ取った。しかし、フェレーロもフェレールもいい感じではないか、この調子で初春の南米赤土戦線だけでなく、初夏の欧州赤土戦線でも活躍してほしいものである。赤土でナダルの牙城を脅かす存在になってくれ。

アカプルコ大会は男女同時開催である。女子大会は第一シードV・ウィリアムズが予想通りに優勝を決めた。決勝ではセットを落としたものの、それでも貫禄の二大会連続優勝である。生涯ツアータイトル数はこれで42、現在の現役WTA選手の中では最多だそうだ。この十年間絶えず優勝し続けている。いつまでの強い選手だ。しかもこの大会は球足の遅くなるクレーで、ヴィーナスにはあまり得意としていないサーフェイスであろう。それでも勝ちきるところに彼女の凄みを感じる。

マレーシアのクアラルンプールで開催されたマレーシアオープン、こちらも第一シードのディメンティエワがぶっちぎりで優勝するかと予想していた。実際決勝まで勝ち進んできた。しかし、決勝で止められた。止めたのは何とクレイバノワ、ストレートでディメンティエワを破った。これで勢いに乗るのだろうか。ちなみクレイバノワとSFで当ったのは日本の森田である。ツアーでベスト4にまで進出している。こちらも勢いに乗ってほしいものである。

錦織再登場

今週もツアーは世界を駆け巡る。

ATPは三大会、UAEのドバイではバークレイ・ドバイ・テニス選手権が開催される。このATPツアー500クラス、アウトドアハードコート大会の第一シードはフェデラー、以下ジョコビッチ、マレー、ダビデンコ、ツォンガ、チリッチ、ユーズニー、 シモンとシード勢が続く。報道によれば第一シードフェデラーは感染症により欠場したらしい。となるとジョコビッチとマレーに期待がかかるが、ダビデンコ・チリッチ・ツォンガがいい感じなんだよね、今季前半は。さあどんな結果が待っているか。これは楽しみである。

アメリカ・フロリダ州のデルレイビーチデではデルレイビーチ国際テニス選手権が開催される。このATPツアー250クラス、アウトドアハードコート大会の第一シードはハース、以下カルロビッチ、ベッカー、Chardy、Korolev、メイヤー、ブレーらシード勢が続く。玄人好みのベテランの布陣だ。アメリカ国籍を習得したり、婚約をしたりとなにかと最近ニュースになるドイツのトミー・ハースが第一シードだ。彼のテニスはアメリカ留学で身につけたものらしいから、彼にとってここは半分地元か。ここは一昨年前日本の錦織がツアー初優勝を遂げた大会でもある。その大会で錦織本人がいよいよ復帰する。まずは順調な回復ぶりを見せてもらいたいものである。

春の南米赤土戦線、メキシコのアカプルコではAbierto Mexicano Telcel が開催され る。このATPツアー500クラス・アウトドアクレーコート大会の第一シードはヴェルダスコ、以下ゴンザレス、フェレール、フェレーロ、アイズナー、アルマグロ、モナコ、モンタネスとシード勢が続く。何気に豪華じゃー、南米赤土戦線のクライマックスの一つになる。赤土職人達のしのぎ合いを大いに期待しよう。

アカプルコ大会は男女同時開催である。WTAツアーインターナショナル22万ドルクラス、アウトドアクレー大会の第一シードはV・ウィリアムズ、以下サヴァイ、ドゥルコ、シルステア、スワレスナバロ、エラニーらシード勢が続く。地味な面子の中、ひときわ輝く第一シードにしてランキングNo5のヴィーナス・ウィリアムズ、サーフェイスの違いなど気にもかけずにぶっちぎるのか。

マレーシアのクアラルンプールではマレーシアオープンが開催される。このWTAツアーインターナショナル22万ドルクラス、アウトドアハードコート大会の第一シードはディメンティエワ、以下リー、チェン、クレイバノワとシード勢が続く。全豪で台頭してきたチャイニーズコンビ、リーとチェン、ここでロシア勢の実力者ディメンティワを喰うことができるか。アジアの大会だけに少し期待したい。

男子のドバイ大会はマスターズ格ではないがGAORAが中継してくれる。熱戦を大いに期待しよう。

地元勢活躍と復活の人々

フランスのマルセイユで行われていたオープン13は地元フランス勢が活躍した。フラ ンスのロドラはQFで第一シードのソダーリングを撃破し、SFも突破、決勝に勝ち 上がって来る。第二シードのツォンガはSFで同じフランスのベネトーに止められ た。決勝はフランス勢対決ベネトー対ロドラとなった。地味ではあるが地元フランス 勢の決勝に観客席は沸いただろうか。結果はロドラのストレート勝利、今季初優勝、 生涯4勝目となるツアータイトルを獲得した。

アルゼンチンのブエノスアイレスで行われていたテルメックス杯では決勝で1・2 シードが激突、第二一シードのフェレールを第二シードのフェレーロが57 64 63  という見事な逆転劇で勝利した。フェレーロはこれで南米赤土戦線二週連続優勝、生 涯14度目のツアータイトルを手に入れた。フェレーロのことは好きな選手なので応 援はしていたが、いやはや、二週連続ツアー優勝するところまでは予想していなかっ た。この調子で頑張ってくれ、大舞台に帰ってくることを願っている。ちなみにこの 大会で長期戦線離脱していたナルバンディアンが復帰している。途中で棄権してしま っているが、彼にも復活を期待したい。

アメリカのメンフィスで行われていたリージョン・モーガン・キーガン選手権でも地 元アメリカ勢によつ活躍があった。第一シードロディックは初戦で同じアメリカのブ レークと対戦、苦戦しながらも突破し、ベスト8まで進出するが、QFでアメリカの クエリーにフルセットマッチの末に止められた。クエリーはそのまま勝ち進み決勝進 出、決勝戦の相手はこれまた同じアメリカのアイズナーだった。決勝戦は二セット連 続TBのフルセットマッチ、先行したのはアイズナー、勝ったのはクエリー、67 76  63 の逆転でクエリーが今季初優勝、生涯3勝目を挙げた。直前の予想でも思った が、アメリカ勢の新しい勢力が育ってきているな。こちらも大いに期待である。

メンフィスの大会は男女同時開催である。女子の方は第一シードシャラポワがぶっち ぎりで優勝、今季初優勝を決めた。プレミアム格が行われている週に、下位大会に出 場してしっかりと優勝する。一度調子の落としたトップ選手として少し遠回りしても 結果を出して自信と実績を積む。これをやれるシャラポワはやはり現実主義者であ り、そのハートの強さは健在だ。

さて注目を集めたのはUAEのバークレイ・ドバイテニス選手権である。シードダウ ンが相次ぐ中、第三シードV・ウィリアムズが決勝に勝ち進む。決勝の相手は第四 シードのアザレンカ、決勝戦はヴィーナスのストレート勝利で終わった。これでV・ ウィリアムズは今季初優勝、生涯ツアータイトルが何と42勝目である。

南米赤土戦線のWTA編、コロンビアのボダコで行われたコルサトニーサス杯は第一 シードドゥルコがSFで敗退、優勝したのはそのドゥルコを破った地元のデュケマリーノで ある。ノーシードからツアー初優勝を決めた。赤土の波乱は今年も起こるのか。そん な不安というか期待というか、漠然とした思いが駆け巡る。

三大会三様2010

世界中でツアーが進行する。これこそワールドツアーだ。

ATPは三大会、地中海に面する南フランスのマルセイユではオープン13が開幕する。このATPツアー250クラス、インドアハードコート大会の第一シードはソダーリング、以下ツォンガ、モンフィス、ロブレド、シモン、ユーズニー、バクダティス、ベネトーらシード勢が続く。地元フランス勢の実力者たちがひしめき合う中、ソダーリングは二週連続優勝を果たせるだろうか。週末は大いに盛り上がることだろう。

南米赤土戦線は進行中、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスではCopa Telmex が開催される。このATPツアー250クラス、アウトドアクレーコート大会の第一シードはフェレール、以下フェレーロ、アルマジロ・・・・じゃなかった、アルマグロ、モナコ、モンタネス、アンドレーフ、ハネスクらシード勢が続く。地元アルゼンチン勢よりスペイン勢の方が多い、この二大クレー王国の実力者たちの激突をもっと見てみたいものだが、デルポトロ以外のアルゼンチン勢は最近元気がない。せっかくのアルゼンチンでの大会である、ノーシードの地元勢にも頑張ってもらいたいところである。

アメリカテネシー州のメンフィスではRegions Morgan Keegan Champが開催される。このATPツアー500クラス、インドアハードコート大会の第一シードはロディック、以下ヴェルダスコ、ステパネック、ハースベルディッヒ、アイズナー、コールシュライバー、クエリーとシード勢が続く。一時期の低迷を乗り越えて、またアメリカ勢が元気になりつつある。しかし、筆頭のロディックがここで頑張らないと意味がない。ここは彼の活躍に期待しよう。

Regions Morgan Keegan Champs / Cellular South Cupとかいう長ったらしい名前の大会は男女同時開催である。女子はWTAツアーインターナショナル、22万ドルクラス、インドアハードコート大会の第一シードはシャラポワ、以下ウダンらシード勢が続く。シャラポワがプレミアム格の大会のある週に別の大会に出ているとは・・・・・何とも新鮮な驚きである。ウダンもファイターだ、決勝でシャラポワと当たると面白いと思うが結果は如何に。


そのプレミアム格大会とはUAEのドバイで開催されるバークレイ・ドバイ・テニス選手権である。WTAツアープレミアム200万ドルクラス、アウトドアハードコート大会の第一シードはウォズニアッキ、以下クズネツォワ、v・ウィリアムズ、ディメンティワ、ヤンコビッチ、ラドワンスカ、リー、ストーサー、ペネッタ、バルトリ、ズボナレワ、ウィックマイヤー、スキアボーネ、ぺトロワ、チェンらシード勢が続く。No3ウォズニアッキがプレミアム格大会で堂々の第一シードを張って登場である。この豪華メンバーが並ぶ大会でシードを守って決勝まで行くかウォズニアッキ、彼女の勝ち進み方に注目しよう。

さて、WTAでも春の南米クレーコートシーズンが開幕する。コロンビアの首都ボゴタでXVIII Copa BBVA Colsanitasという名の大会が開催されるのだ。このWTAツアーインターナショナル22万ドルクラス、アウトドアクレーコート大会の第一シードはドゥルコ、以下スアレス・ナバロ、エラニーらシード勢が続く。女子の世界ではサーフェイスの違いは男子ほど顕著に出ないが、それでもクレーを得意とする女子選手たちが揃ってくる。この南米赤土戦線を大いに盛り上げてもらいたいものである。

ドバイの大会はGAORAが中継してくれる。時間の許す限り、女王候補達の戦いを観戦するとしよう。

第一シード選手達の戦い

仕事も家庭も多忙モードに突入しまして、ツアーのチェックもままならぬ状況です。という訳で、二月第二週のツアーを軽くチェックだけしておきます。

ATPは三大会、アメリカ西海岸カリフォルニア州のサンジョゼではSAPオープンが開催された。このATPツアー250クラス、インドアハードコート大会の第一シードはロディック、以下ヴェルダスコ、ステパネック、ハース、ベルディッチ、コールシュライバー、クエリーらシード勢が続く。大会は1・2シードのロディックとヴェルダスコが勝ち進み決勝でぶつかる。この決勝戦は見ものだ。

オランダのロッテルダムではABNアムロ世界テニストーナメントが開催された。このATPツアー500クラス、インドアハードコート大会の第一シードはジョコビッチ、以下ダビデンコ、ソダーリング、モンフィス、ロブレド、ユーズニー、リュビチッチ、トロイッキらシード勢が続く。こちらは1・2シードがベスト4まで勝ち進むも揃ってSFで敗退、決勝に勝ち進んだのはジョコビッチを倒したユーズニーとダビデンコを突破したソダーリングである。こちらも注目であろう。

ブラジルのコスタ・ド・サウイペではブラジルオープンが開催された。このATPツアー250クラス、アウトドアクレーコート大会の第一シードはフェレーロ、以下モンタネスらシード勢が続く。第一シードフェレーロはシードを守って決勝戦まで勝ちあがっている。さあ優勝なるか。

WTAは二大会、タイではPTTパッタヤ・オープンが開催された。このWTAツアーインターナショナル22万ドルクラス、アウトドアハードコート大会の第一シードはズボナレワ、以下シード勢が続く。結果は予想とおりズボナレワの優勝で幕を閉じている。

フランスのパリではオープン・GDF・SUEZが開催された。このWTAツアープレミアム70万ドルクラス、インドアハードコート大会の第一シードはディメンティワ、以下ペネッタ、ウィックマイヤー、スキアボーネ、レザイ、ピアー、ラッツアーノらシード勢が続く。有名なこのプレミアム格大会はGAORAでも中継された。第一シードディメンティワはSFでウダンに第一セットを落とすものの、そこから2セット連取して決勝へ勝ち進んだ。しかし第二シードのペンネッタはノーシードのサファロバに逆転負けを喫した。決勝は第一位シードディメンティワ対ノーシードサファロバ、第一セット、サファロバは1ブレークして先行するが、ディメンティエワはセット後半にブレークバック成功、TBに突入する。TBを取ったのはサファロバである。第二セットはディメンティエワが怒涛の攻めで先行、6-1でセットオールに戻した。ファイナルセットは一進一退の攻防が続く。ディメンティワが抜け出した。マッチポイントを何度か握るが逃してしまうディメンティエワ、それでも最後に取りきって6-4で勝負を決めた。詰めの甘さが良く指摘されるディメンティワ、しかし徐々に勝負強さを身につけつつあるのではないと思わす善戦であった。

パリの会場ではモーレスモが来ていた。先週半ばに引退セレモニーが行われたらしい。あのヘビートップスピンのストロークと柔らかいネットプレーという、男子選手でも見かけない独特のプレースタイルで全豪と全英を取った遅咲きの女王、モーレスモ、彼女のこれからの人生に幸多かれと祈りたい。

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ガンバレ日本

南アフリカのヨハネスブルグで開催されていたSAオープンは1・2シードだったモンフィスとフェレールが揃ってSF敗退、決勝は第三シードのロペスと第八シードのロバートの対戦となる。結果はロペスのストレート勝利、今季初優勝で生涯二勝目のツアータイトルである。この優勝は価値があるだろう。ここで花が開くかロペス。今後に注目である。

クロアチアのザブレブで行われていたPBZザブレブ室内は第一シードにして地元のチリッチがぶっちぎりのストレート勝利で決勝まで勝ち進む。決勝の相手はドイツのベラー、試合はここで第二セットをTBで落とし、フルセットマッチにもつれるが、それでも最後は6-3で取りきり、期待通りの優勝を決めた。チリッチは今季早くも二勝目、生涯通算でも5勝目である。今年の出世頭となるだろうか、チリッチの更なる活躍に期待である。

南米赤土戦線の開幕戦となったチリ・サンデァイゴのモヴィスターオープンは、第一シードにして地元の英雄ゴンザレスがSFで敗退、決勝に勝ち進んだのは第二シードのモナコとゴンザレスを破った第三シードのベルッチである。2・3シードの対決となった決勝戦はフルセットマッチの激しい乱戦となる。ファイナルセットを6-4で取ったのはベルッチ、今季初優勝にして生涯二勝目のツアー優勝を挙げた。ベルッチはブラジルの選手でクエルテン以来の久しぶりのブラジル人の活躍となる。やはり南米クレーコートシーズンは南米の選手が活躍してくれなければ面白くない。今後も活躍して欲しいものである。

さて、世界各地で行われていたフェドカップ一回戦の結果は以下の通り

ワールドグループ1
イタリア 4-1 ウクライナ
チェコ 3-2 ドイツ
ロシア 3-2 セルビア
アメリア 4-1 フランス

ワールドグループ2
オーストラリア 3-2 スペイン
ベルギー 3-2 ポーランド
エストニア 4-1 アルゼンチン
スロバキア 3-2 中国

注目のロシア対セルビアコンビはセルビアのヤンコビッチがシングルス二勝、イバノビッチがシングルス二敗、でヤンコビッチ・イバノビッチペアで挑んだダブルス決戦で敗北と、完全にイバノビッチの不調が響いての敗戦となってしまった。

さて、伊達の復帰で注目された日本女子はアジア・オセアニアゾーンのグループ1でラウンドロビンを無事突破、入れ替え戦に進出を決めた。伊達さんは勝負強いところをまた見せた。それはそれでいいのだけれど、早く若手に育ってもらわないと正直、ここからがきつくなる。なんだかんだいっても、日本を応援しているのである。ガンバレ日本。

落城

ATPツアー2010年二月第一週時点のエントリーランキング
一位 フェデラー 11350p
二位 ジョコビッチ 8310p
三位 マレー 7800p
四位 ナダル 7670p
五位 デルポトロ 6400p

ナダルNo2陥落、去年の全豪覇者が今年はベスト8QF敗退だったため、大きくポ イントを失ったことによる後退である。しかし、フェデラーがNo1から陥落した 時、それでのNo2をキープして、再びNo1に戻った。しかし、ナダルは長年、フ ェデラーとともに君臨していた1・2トップの座から落ちてしまった。この数年間、 フェデラー・ナダルの二強体制を見慣れていた如空にとっては、ある意味フェデラー のNo1陥落の時と同じくらいインパクトのあることなのだが、世間はそれほど大騒 ぎをしておらず、キム・クライシュテルス親子のバービーちゃん人形が発売されるだ の、引退したサフィンの隠し子疑惑騒動などのニュースの方が騒がれているようだ。

ナダルは全豪直後の発表では痛めた膝の治療に四週間かかるという。復帰は三月か。 ツアー春の祭典マスターズ1000インディアンウェルズ・マイアミ大会に調子を間に合 わすことはできるだろうか。去年マイアミはQF敗退だったが、インディアンウェル ズは優勝だったナダルである。ここで早い敗退をしてしまうと大きくポイントを失う ぞ。もしナダルがずるずるとランキングを落としてNo5以下となると今年の全仏、 シードの関係でフェデラー対ナダルがSFより前のラウンドで対戦するということが 実現してしまうかもしれない。それは見てみたいような、見たくはないような、複雑 な心境にさせてしまうことだろう。

ツアー世界に展開2010 

全豪が終わりツアーは世界に転戦する。

南アフリカ最大の都市ヨハネスブルグではSAテニスオープンが開催される。このATPツアー205クラス、アウトドアハードコート大会の第一シードはモンフィス、以下フェレール、ロペスとシード勢が続く。地味じゃー、モンフィスの活躍に期待しよう。

東欧クロアチアの首都ザグレブではPBZザグレブ室内が行われる。このATPツアー250クラス、インドアハードコート大会の第一シードはチリッチ、以下リュビチッチ、メルツァー、トロイッキ、ティプサレビッチ、ベッカー、カルロビッチとシード勢が続く。全豪ベスト4進出の登り竜チリッチが地元凱旋である。インドアハードとはまらビックサーバー優位のサーフェイス、ここはビックサーバーの産地クロアチアのエースとして豪快に勝ち進んでほしいものである。

南米チリの首都サンティアゴではモヴィスターオープンが行われる。このATPツアー205クラス、アウトドアクレーコート大会の第一シードはゴンザレス、以下モナコらシード勢が続く。南半球は秋ではあるが春の南アメリカ大陸クレーシーズン、今年の南米赤土戦線の開幕を告げる大会であるが、少しさびしい顔ぶれだ。地元チリの英雄ゴンザレスの活躍を期待しよう。

WTAツアーは今週はお休み、代わりにITF主催国別対抗女子テニス団体戦フェドカップの一回戦が行われる。

ワールドグループ1の組み合わせは、ボンダレンコ姉妹擁するウクライナ対ペネッタ・スキアボーネのツートップが率いるイタリア(開催都市ウクライナ・ハルキウ)、チェコ対ドイツ(開催都市チェコ・ブルノ)、ヤンコビッチ・イバノビッチのセルビアコンビが揃うセルビア対クレイバノワ以下ランキング上位選手を温存して乗り込むロシア(開催都市セルビア・ベオグラード)、フランス(開催都市フランス・Lievin)対ウィリアムズ姉妹不在オーディンが出るアメリカである。ロシアもアメリカもこれで勝ち進むのだろうか。

ワールドグループ2はドキちゃんがいなくてストーサーとモリックをツートップに持ってくるオーストラリア対メディナガルゲスのいるスペイン(開催都市オーストラリア・アデレード)、ラドワンスカを筆頭にしたポーランド(開催都市ポーランド・ビドゴシュチュ)対エナンもクライシュテルスも不在でウィックマイヤーが筆頭のベルギー、エストニア(開催都市エストニア・タリン)対アルゼンチン、チブルコバ・ハンチェコワがいるスロバキア(開催都市スロバキア・ブラチスラバ)対チェン・ペン・ルー・ツァンと参加メンバーの名前だけでは誰が誰だがわかりにくい中国である。

さて、去年ワールドグループ2から陥落した日本女子チームは、今年アジア・オセアニアゾーンのグループ1から昇格を狙う。マレーシアのクアラルンプールで対戦がある。ラウンドロビン方式で8カ国を4チームに分け、それぞれから一位をワールドグループ2とのプレーオフ入れ替え戦に出場させる。参加する8カ国とは台湾、インドネシア、カザフスタン、韓国、ニュージーランド、タイ、ウズベキスタン、そして日本である。現時点での日本チームは伊達、森田、瀬間、藤原の四人を選出させている。杉山引退後の、そして伊達復帰後の日本、ワールドグループ2への復帰なるか。その活躍を楽しみに待とう。

(アジアオセアニアゾーンの日程に誤りがありました。お詫びの上、上記本文修正しております。失礼しました。)


自信を失うもの、取り返すもの 2010全豪男子単決勝

マレーは自信があったようだ。今日自分が勝つとことに。その自信は入場してきたときから全身から放たれていた。対フェデラー戦の勝率の高さは伊達ではない。その自信は実績によって裏付けられているのだ。しかし、その自信は、試合開始後すぐに打ち砕かれ、最後まで取り戻されることはなかった。

2010全豪男子単決勝
フェデラー 63 64 76 マレー

フェデラーが久しぶりにのびのびと自分のやりたいテニスでポイントを稼いでいく。一方でマレーは大事なところで決めきれない。第三セットのTBなんてその典型的展開である。チャンスがありながらも決めきれず、マレーのセットポイントとフェデラーのマッチポインとが繰りかえれ、13-11までもつれた。しかし、もつれたというよりマレーがチャンスで決めきれなかったことと、フェデラーが要所で攻めてマレーに勢いをつけるための芽を摘んで上手くマレーに対して火消しを行い続けたことにより、もつれたのだろう。フェデラーは自分のテニスを上手く展開させながらも、マレーを上手く自滅させたとも言える。

WOWOW解説の柳恵四郎はフェデラーのバックハンドクロスのストロークをさかんに褒めていた。思えば一昨年、ナダルが全仏決勝でフェデラーを公開処刑して、ウィンブルドンでも勝ち、No1になったときも、フォアの逆クロスだけでなく、バックの高い打点からのクロスへの豪打を打ち込めるようになってから、一気に強さを増した。フェデラーもまた、バックのクロスを充実させて強さを増したのは、TVの解説通りであるが、それを確かなものにしているのは強いサーブと、フォアの回り込み逆クロスと、そこからの連続攻撃があればこそである。フェデラーは本来の強いテニスをシッカリと体現し、かつ更にオプションを増やして強さに幅を広げた。体力や集中力の持続力という意味で、フェデラーは全盛期の力を取り戻すことはないだろうが、別の形で柔軟性を持たせつつ、力を充実させてきたようだ。

フェデラーは三年ぶり4回目の全豪優勝、生涯通算グランドスラムタイトルは16個目である。去年の全豪決勝でナダルに敗れた直後の表彰式で涙した、フェデラーは勝って泣くときが多々あったが、負けて泣いたのは始めて見た。これでフェデラーも終わった、と正直思ってしまった人も多いことだろう。そこから全仏・全英を連勝し、生涯グランドスラムとグランドスラム史上最多優勝を達成した。だがそれ以後優勝もなく、全米を落とし、ツアー・ファイナルも取れなかった。かつて如空が「皇帝」と呼んだ圧倒的強者にフェデラーが再びなることは難しいだろう。だがナダル・ジョコビッチ・マレー・デルポトロ・チリッチ他頭角を見せつつも抜け出すことない若手を際どく抑えながら、王者の座をもう少し守り続けることは出来るのではないだろうか。そう思えた。

マレーにも打ち砕かれた自信を取り戻す日が来ることを願っている。マレーもまた、今日、決勝戦後の表彰式で負けて泣いていた。去年、フェデラーに向けて心の中で言った言葉をマレーにも言おう、心の中で、「負けて泣くな、競技者なら勝ってから泣け。」と。

エナンは目覚め、静かなるセリーナが押さえる 2010全豪女子単決勝

準決勝で相手に1ゲームしか与えない省エネテニスで乗り切ったエナン、対するセリーナは接戦続きの上、昨日は姉ヴィーナスと組んだ女子ダブルスで決勝まで進出し、優勝までしている。何年かぶりに実現するセリーナ・ウィリアムズとジスティーヌ・エナンの頂上対決、ここまでの経過がどのように作用するのだろうか。土曜日の夕暮れのメルボルンで、二人は激突した。

2010全豪女子決勝
S・ウィリアムズ 64 36 62 エナン

第一セット第1ゲーム、いきなり長いデュースが続く。それでもセリーナがサービスをキープした。第三ゲームでもセリーナはサービスゲームのキープに苦しむが、それでもキープした。その次の第四ゲーム、セリーナは4ポイント連取でエナンのサービスをブレークした。だがセリーナがキープに苦労しているのはエナンのリターンがセリーナのサービスとタイミングで合っており、かつ、徐々にコースも読まれ始めているからだ。リターンから攻め立てて、エナンが第七ゲームでブレークバックに成功する。だがエナンのサーブは安定しない。第十ゲーム、ダブルフォールトでセリーナにセットポイントを与えてしまう。デュースにもつれたが、それでも最後にエナンのボールがラインを割り、セリーナが6ゲーム目を取った。第一セットは6-4でセリーナが先取する・

第二セット、ミスの応酬があるかと思えば、ウィナーの応酬がある。キープし合ったかと思えば、ブレークし合う。1ブレークづつで3-3まで進む。エナンが徐々にギアが上がってくる、果敢に攻め立て第七ゲームをブレーク、そして第八ゲームをラブゲームでキープする。更に第九ゲームで4ポイント連取、ラブゲームでセリーナのサービスゲームを破った。6-3でエナンがセットオールに戻した。エナンが目覚めたのだ。

二人ともバスルームブレイクを取った後、第三セットは始まった。エナンのギアは第二セット途中から上がったまま、セリーナを圧倒する。だが、セリーナは慌てず、静かに対応する。そして静かに圧力をかける。第三ゲーム、先にブレークをしたのは押されているはずのセリーナだった。第四ゲームでブレークポイントをエナンはすかさずブレークバックする。それでも静かなセリーナ、静かに第五ゲームで再びブレークする。静かなセリーナのペースにエナンはギアが上がらず、調子を落とし始めた。そして4-2となった第七ゲームで、エナンはミスを続けてセリーナにこのセット三度目のブレークを許した。5-2でセリーナにサーブイング・フォー・ザ・チャンピオンシップが来る。サービスエースで15-0、エナンにリターンミスさせて30-0、更にサービスエースで40-0、チャンピオンシップポイントが来る。セカンドサーブをエナンが懸命のリターンでライン際に返す、これをセリーナは拾いきれずに40-15となる。だが二つ目のチャンピオンシップポイントで、セリーナはエナンのリターンをセンターからバックでクロスに切り返した。エナンはコートに吸い込まれるボールを見送った。第三セット6-2セリーナ奪取、ラケットを放り投げ、セリーナはコートに倒れ込んだ。セリーナ・ウィリアムズ全豪二連覇にして5度目の優勝、グランドスラム通算12回目の優勝である。

第二セット途中で完全に目覚めたエナン、そのテニスはサーブこそ確率が悪いが、それ以外の内容は全盛期に匹敵する凄みのあるテニスだった。だがそのエナンに気迫とオーバーペースで対抗するのではなく、静かに、スローペースで、力を抜きながらも確率の高いテニスで、ギアの上がったエナンを押さえ込み、流れを自分に引き込み、エナンを崩し、そして最後には強力サーブを集中させて、完勝を見せ付けた。見事なセリーナの勝利であった。

第二セット途中で目覚めたエナンは心配されたスタミナも回復つつあるようだ。あとサーブの調子も戻れば、その時、セリーナはエナンを押さえ込めるだろうか。その答えはおそらく数ヵ月後に示されることだろう。

今年は名勝負にならず 2010全豪男子SF2

つまらん、実につまらん。ツォンガよ・・・普通に負けるなよ。

2010全豪男子SF第二試合
フェデラー 62 63 62 ツォンガ

全豪の男子シングルス準決勝といえば名勝負の宝庫だ。去年2009年はベルダスコとナダルの死闘があり、一昨年2008年はジョコビッチがフェデラーを破りツォンガがナダルを破るという「二強時代の終焉」を演出した。またフェデラー時代の幕開けだった2005年ではサフィンが連勝中の「フェデラー・エクスプレス」をフルセットマッチで止めた名勝負がある。そのサフィン自身、三度全豪SFを突破するが、他の二試合も2004年の対アガシ戦、2001年対ハース戦でそれぞれ壮絶な準決勝を戦った。全豪で何度も優勝しているアガシもまた、優勝への過程で山場は準決勝に来ていた。対サンプラス戦や対ラフター戦がそれである。また名勝負の宝庫であるが、同時に皇帝フェデラーが未完の大器ロディックを残虐非道冷酷無比の公開処刑に処したのもこの全豪準決勝である。

それだけに今年の全豪も期待していた。トゥルーブルーを震撼させた2008年の準決勝がまた再来するのではと期待していた。それだけに、このツォンガの惨敗は受け入れがたい。公開処刑というほどでもないが、初めからギアをトップに入れて、相手を押さえ込みにかかっていたフェデラーを前に、ほとんど何もさせてもらえなかった。なんとも残念な結果である。

2010全豪男子単決勝はマレー対フェデラーとなった。この大会の勝ちあがり方を比較すれば、フェデラー優位であると予想できよう。だがマレーはグランドスラムの決勝でフェデラーと対戦することを事前に準備している数少ない選手の一人だ。2008年全米決勝、初のグランドスラム決勝でフェデラーに敗れてから一年半、リベンジの機会を狙い澄ましてここまで来た。ジョコビッチがたどった道を、少し時間をかけながらも、マレーがその同じような道を歩んでいるのかもしれない。果たしてマレーのグランドスラム初制覇なるか。そして去年の全英以降優勝のないフェデラーはここでマレーを叩き潰して、圧倒的強者としての復活の狼煙を上げるのか。いよいよ日曜日、全豪2010男子決勝である。熱戦を期待しよう。
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