電脳網庭球寺 僧房

テニスの修行僧如空の修行の日々とテニス観戦記を綴る

フェデラー

勝利を引寄せるモノ 2007全米最終日

ああ、ジョコビッチ・・・・・大きな、大きな、転機だったのに。
ジョコビッチ自身だけでなくATP全体の勢力地図を、これからを大きく変える事ができたかもしれない試合だったのに・・・・

2007年全米男子単決勝
フェデラー 76 76 64 ジョコビッチ

第一セットも1ブレークづつでTB、第二セットも1ブレークづつでTB、第三セットは1ブレークで6-4、フェデラーのストレート勝利で全米4連覇が決まった。だが第一・第二セットの各ポイントを見ていると、まるでジョコビッチがストレートでフェデラーを負かすのではないかと思うほどの勢いがジョコビッチにあった。ストローク戦では十分ジョコビッチが主導権を握っていた。手にしたブレークポイントの数はジョコビッチが上回っていた。先にブレークして先行すらしていた。でも追いつかれた。TBで逆転された。そしてジョコビッチの全身から放たれていた覇気が第三セットでは消えた。
WOWOW解説の柳恵誌郎氏がジョコビッチのリターンをさかんにほめていた。確かにフェデラーのサービスをリターンから攻めることができたジョコビッチは見事だった。先日の準決勝ダビデンコ戦でもそうだが、フェデラー攻略の鍵は、案外強くて安定していると言われるフェデラーのサービスをリターンから攻めるところにあるのかもしれない。もちろんそれをするだけのレシーブの技術と力があれば話だが。だが結局ブレークポイントをいくか握ったが取れたのは二ポイントだけだった。そしてセット後半、勝負を決める意味を持つショットが、ジョコビッチのそれはきわどくはずれ、フェデラーのそれはわずかにラインを捕らえた。運の良し悪しもあったろう。だが、ナダルがフェデラーの勝つときは、あのショットが入るのだ。そしてそれがフェデラーの自信を揺さぶる。最初の2セットの後半、勝負どころで明暗を分けたショットに、ジョコビッチがグランドスラムタイトルにまだ届かない何かを感じさせられた。

セットカウントを見れば順当だが、試合内容としてはなかなかタフなドローであったといえる今回のフェデラーの全米制覇であった。要所要所で自分のポイントを取りきり、見事な勝利で勝ち進んだフェデラーであるが、如空が勝手に「皇帝」という称号で呼ぶゆえんである「圧倒的強者」としての存在の、圧倒的という意味がやや揺らぎつつあることも感じずにはいられない。皇帝フェデラーの覇権はあとどれくらい続くのだろう。そしてジョコビッチはグランドスラムで皇帝を倒せる存在になりうるだろうか。色々と思わせる2007年全米男子決勝であった。

強者たちの土曜日 2007年全米スーパーサタディ

2007年全米男子準決勝 
ジョコビッチ 64 64 63 フェラー
フェデラー 75 61 75 ダビデンコ

ジョコビッチもフェデラーも最初のサービスゲームをブレークされ、「もしや」と思わせる展開で始まった。フェラーもダビデンコもそのテニスキャリアの中で屈指のベストパフォーマンスを披露したのは間違いない。実際一つ一つのポイント、一つ一つのゲームではすばらしいプレーが続出した好試合であった。特にダビデンコは皇帝を圧倒するシーンが何度も見られた。だが、最後にセットを取ったのはジョコビッチとフェデラーだった。トップシードらしい、多彩な技と強い力で最後にねじ伏せての勝利であった。

2007年全米女子決勝
エナン 61 63 クズネツォワ

ギアをトップに入れて入ってきたエナンに対してエンジンのかかりの悪いクズネツォワ、第一セットはエナンの最初の4ゲーム連取で勝負があった。クズネツォワはサービスゲームを一つキープするのがやっとで、最後のゲームもエナンがブレークし、6-1でエナンが先取する。
第二セット、クズネツォワにやや落ち着きが見られ始めたが、エナンはかまわず攻め続ける。ブレークをものにし、サーブインフォーザマッチで粘るクズネツォワを振り切り、最後にはお互いにネットに出たところをロブボレーでクズネツォワを抜き去り、エナンがストレートで決めた。二度目の全米制覇は失セット0優勝であった。

強者が強者らしい勝ち方で、強い挑戦者を倒して、自身が強者であることを結果で示した一日だった。そして最後の日曜日、いよいよグランドスラムの決勝でジョコビッチがフェデラーに挑戦する。この一戦は結果次第では2005年全仏準決勝のフェデラー対ナダル戦に匹敵する、重要な試合になるかもしれない。その行方を興奮と期待を持って見守ろう。


フェデラーのガリア戦記2007 変わらぬままのコート

フェデラーのファーストサーブは際どくフォールトになった。ナダルはセカンドを厳しい角度にリターンしてフェデラーにミスを誘う。二ポイント目もセカンドになったが、今度はナダルがフォアをふかしてエラーした。お互いの手の内を知り尽くしている、宿命のライバルの対決は、静かに幕を開けた。

2007全仏男子決勝
ナダル 63 46 63 64 フェデラー

フェデラーは予想通り早い展開の攻めを見せる。肩を入れてのスクエアスタンスからの高い打点で叩くフェデラーのフォアの逆クロスが火を噴く。第四ゲームでナダルからブレークポイントを二つ手にした。だがナダルもギアを上げる。体を開いてのオープンスタンスからボールを落として低い打点で打ちぬくナダルのフォアの逆クロスが逆襲する。ディースに押し戻し、サービスゲームをキープした。第六ゲームでもフェデラーにブレークポイントが来た。だが今度はナダルがサーブの力でディースに戻すが、取りきれない。長いラリーが続き、ディースが繰り返される。フェデラーのライジングからの切り返しが冴え渡る。だが、ナダルは奇跡的なランニングショットでそれをさらに切り返し、最後に結局サーブの力で乗り切った。ピンチの後にチャンスあり、3-3でフェデラーのサービスゲームである。フェデラーがここでミスを連発してラブゲームでブレークされた。その後のナダルのサービスゲームで今度はフェデラーが0-40でまたブレークポイントを握る。が、そこからのポイントがフェデラーは取れない。崩れないナダルはまたもやこのピンチを乗り切りサービスゲームをキープした。さらに、フェデラーのミスは続く。第九ゲームでナダルにまたブレークポイントをつかまれてしまう。ナダルはこのチャンスでフォアの逆クロスを鋭く決めて、第一セット、6-3でナダルが先取した。10回あったブレークポイントをミスで潰したフェデラーに対して、たった二回のブレークポイントを二本ともブレークに成功した、ナダルの見事な集中力であった。

ナダルのトップスピンは、縦回転だけでなく、時に横回転も加わり、相手を惑わす。タイミングで打つフェデラーにはその処理が、他の選手より苦手なのかもしれない。この3年間で何度も対戦していながら、相変わらず、ナダルの回転にショットを狂わされて対処できずにいる。第二セットでもフェデラーは先にブレークポイントのピンチを自ら呼び込んでしまった。だが今度はサーブの力で乗り切った。ファーストの入りが悪かった、フェデラーのサーブが入りだした。いいサーブからの連続攻撃が決まり始めた。ネットに出て行く。第七ゲームでも果敢に攻めるフェデラー、ついにフェデラーがブレークに成功した。次のフェデラーのサービスゲームでフェデラーはやや不安定でブレークポイントをナダルに握られる。ファーストがまた入らなくなってきている。だが乗り切った。この日、フェデラーはバックハンドスライスを高い打点からストレートに入れてアプローチする戦術を多く採用している。このピンチも最後はこのバックのストレートへのアプローチがそのままポイントになった。5-3でナダルのサービスゲームをさらにブレークポイントまで追い詰める。だが、最後の一本をフェデラーは決められない。長いディースの末、ナダルに守りきられた。次のサービブインフォーザセットをフェデラーはすごい気合でラブゲームキープにて取った。

第三セット第二ゲーム、フェデラーのサービスゲームをナダルがブレークした。攻め込んだフェデラーが逆襲されて落とした。その後、ナダルはこつこつと自分のテニスをして、自分サービスゲームをキープして、6-3でナダルが第三セットを取った。

第四セット第三ゲームで、ナダルがまたもやブレーク。ここで勝負は決まった。ナダルはそのままサービスゲームをキープし続けた。サーブインフォーザチャンピオンシップス、フォアの逆クロスでマッチポイントをつかんだ。。ナダルのフォアの逆クロスをフェデラーがストレートに切り返したが、その軌跡はラインを割った。6-4でセットを取った。ナダルの全仏三連覇が決まった。

第一・第二セットでブレークポイントを何度もつかみながら、自らのミスで失っていく。第三・第四セットではそのブレークポイントそのものが一度しか来なかった。ラリーがそれほど長くもなく、TBまで競ったわけでもないのに、試合時間が長いのは前半で長いディースがあったからであり、そのディースをほとんどものに出来なかった。ナダルの待ち受ける城塞に攻め込みながら、攻めきれずに、ミスを重ねた。攻めていてもフェデラーは攻めきれなかった。一方でナダルはまったく崩れなかった。それだけでなく、ナダルのトップスピンはフェデラーのストロークを崩し、ネットでもミスさせた。そしてここぞと言う時に出す、サーブとフォアの強打は必要なときにナダルに欲しいポイントを与え続けた。磐石にして鉄壁、不動にして揺るがず、攻めに転ずればその強打は矢のように射抜く、赤土の上の要塞は依然として落ちなかった。

フェデラーが見極めたと言っていた対ナダル対策とは何であったのだろう。全仏に入って多用した、ライジング打法を積極的に使った早い展開のラリーはほとんど使われることがなかった。高い打点からのハードヒットに相変わらず固執していた。変則的回転のかかった高く弾むナダルのスピンボールをうまく処理できずにミスを重ね、主導権を握ないまま試合が進むという、対ナダル戦におけるフェデラーのいつもの負けパターンであった。ナダルのトップスピンがハンブルグ以上で対ナダル対策を出せなかったのか、あるいは対ナダル対策は実行できているのにナダルが崩れなかったのか。敗因は良くわからない。ハッキリしているのは皇帝のガリア制覇はまた持ち越されたということだけであった。

フェデラーのガリア戦記2007 見極めたものは何か

2007全仏男子単準決勝
フェデラー 74 76 76 ダビデンコ

ダビデンコは具体的に何か対フェデラー対策を施してきたわけではない。自分が今まで築き上げて来たテニスでフェデラーに挑み、堂々と戦った。対するフェデラーも、攻撃オプションは多彩にあったであろうに、ダビデンコのアップテンポな高速ストロークに付き合った。あえてダビデンコと同じ土俵の上にのって戦った。ダビデンコが常に先にブレークして、先行する展開であった。右に左にフェデラーを振る、ダビデンコのアングルショットの鋭さ、角度の厳しさは、さらに磨きがかかり、フェデラーの足を振り切る。だがスコアでフェデラーを振り切ることは出来なかった。フェデラーもまた、このローランギャロスではライジングからの早い展開のテニスを推し進めている。まさにこの試合、フェデラーは赤土の上での自分のテニスをダビデンコと同じ方向に見出し、同じテニスでダビデンコを上回ろうとしていた。セット後半、勝負を決めようとするダビデンコを阻止して、ポイントを長引かせ、粘り、最後に追いつくことに成功する。第一セットでは逆転に成功したが、第二・第三セットはTBまでもつれた。TBもダビデンコとフェデラーは同じテニスで打ち合い、そしてフェデラーがわずかに上回ることに成功した。結果はストレート勝利であったが、いい試合だった。試合を見ていて、自分でもテニスをしたくなって、腕が疼くほどに気持ちのいい試合であった。決勝に行く前に競った試合での勝利を経験できて、フェデラーもさぞ満足であろう。

MSハンブルグでの対ナダル戦クレーコート初勝利において、フェデラーは対ナダル対策を見極めたといわれる。多くの人がそう解説しているし、フェデラー自身そう語っている。だが、その「対ナダル対策」が具体的に何かということを、言葉で語られているかというと、そうでもないような気がする。如空自身、MSハンブルグの決勝戦をTV観戦したが、具多的にフェデラーがいつもと何かを変えたとは見えなかった。全仏に入って、ライジングとクイックモーションの早い展開のテニスを繰り広げている。ナダルのスピンボールを跳ねる前に捕らえようとする意図であろうか。だが、攻撃そのものはやはり高い打点からのフォアハンド・ハードヒットからの連続攻撃である。そしてナダルと対戦するときに、いつもその肝心の高い打点のフォアが思うように打てずに崩れていくのが、フェデラーの負けパターンだった。またナダルは今年になって去年のような強打を基本的には封印して、スピンボールの配球とカウンターで戦う本来のスタイルに戻っている。フォアの強打と強いサーブは切り札として大事なところに取ってある。フェデラーはフォアからの連続攻撃が主力武器だ。だがそれを基軸にせず、ライジングからの切り替えしで、ナダルに対抗しようとしているのだろうか。

とにかく、決勝戦でその見極めたというフェデラーの対ナダル対策の全容が明らかになる。皇帝の攻城作戦はいかなるものかがそこで示される。だがナダルはそのフェデラーの対ナダル対策を見る前にジョコビッチを突破しなくてはならない。フェデラーほどには楽に決勝には進めまい。両雄の激突なるか。フェデラーは静かにその行方を見守っている。

フェデラーのガリア戦記2007 競った、崩れた、そして完璧になった。

何じゃ、この試合は。

2007全仏準々決勝
フェデラー 75 16 60 61 ロブレド

第一セット、フェデラーはゲームを取るときはラブゲームで取る、攻めは好調であった。だが気合の入ったロブレドに押されるシーンも多々あり、ブレークを取り合って5-5まで競ることになった。だがここはフェデラー、その後のロブレドのサーブを破り、自分のサーブをキープして第一セットを先取する。

第二セット、フェデラーの攻めているボールがふけてラインを割るシーンが目立つ。フレームショットも目立つ。何より攻めが単調でロブレドにタイミングを合わされている。ロブレドはいいテンポでフェデラーと打ち合い、フェデラーから長いラリーの末にポイントを取る。フェデラーのテニスが狂い始めた。フェデラーのエラーが続く。第七セットで長いディースが何度も続くが、最後にロブレドが取りきった。なんと6-1でセットを落とした。去年の全米決勝第二セット、ロディックに第二セットを取られて以来のグランドスラムの失セットである。

そして第三セット、フェデラーのテニスは突然完璧になった。軽くラリーを続けた後、回りこみのフォアを高い打点から叩き込みウィナー、サーブをセンターに叩き込んでウィナー、ポイントで先行するとネットに出てさらにウィナー。連続ウィーナーでセットを連取し続け、ロブレドが1ゲーム取る間に12ゲームも取って第三・第四セットを連取して準決勝進出を決めた。

第二セットのフェデラーに今年のMSモンテカルロ大会のフェデラーがダブって見えた。あの時もフォアの強打が入らずに自滅した。ただ、今日の第二セットでフェデラーはショットが入らず、アンフォーストエラーを重ねてもなぜか落ち着いていた。ひょっとすると試していたのかもしれない、何かを。

さて、準決勝でフェデラーを迎え撃つのはカナスでなくダビデンコになった。二連勝しているという対戦成績だけでなく、テニススタイルからも、フェデラーを苦しめるのはカナスのほうだと思っていたので残念ではある。だが、今年のMSローマSFでナダル相手に激しいドックファイトを演じたダビデンコである。フェデラーに対しても大きな壁になるかもしれない。その行方に注目しよう。

神の領域に足を踏み入れつつある皇帝 2007年全豪男子決勝

2007全豪男子シングルス決勝
フェデラー 76 64 64  ゴンザレス

ゴンザレスは先日のロディックほどではないが、それでもやはり気負いがあった。SF対ハース戦で見せた完璧なプレーは出来ていなかった。だが、それでもスロースターターのフェデラーを波に乗せることなく、キープ合戦になった。だが第一セット第9ゲーム、先にブレークしたのはその気負っているゴンザレスだった。フェデラーが珍しく先にエラーを続けてゴンザレスに付け入る隙を与えてしまった。5-4でゴンザレスのサーブインフォーザセットが来る。15-40になってセットポイント、フェデラーが決勝でようやくセットを落とすのかと思っているとフェデラーが静かにディースに戻してディースにして、ブレークバックした。ゴンサレスがギアを上げる。だが、それ以上にフェデラーがギアを上げる。6-6になってTB、ゴンザレスにはまだ力みがある。だがフェデラーの側は完全に力が抜けた。TB7-2でフェデラーが先行した。

フェデラーはSFロディック戦ではベースラインからの攻撃に終始して、それだけで勝った。だが今日は連続攻撃からネットにも出て行く。それだけゴンザレスのほうが粘ってはいるのということなのだろう。それでもフェデラーの勢いは止まらない。フォアのクロスの打ち合いでどんどん角度がついていって、最後にゴンザレスを振り切ってしまう。鋭い、早い、力がある。逆クロスのキレもよい。フェデラーのフォアの前にゴンザレスは止まって打つことが出来ずに、持ち味の強打がなかなか打てない。かといって最近富みに進歩著しいスライスの粘りあいも出来ない。第七ゲームでフェデラーがブレークした。そのまま畳み掛ける。6-4でフェデラーが取った。

ゴンザレスは確かに気負いがあったが、決して不調ではない。それどころか、テニスの内容は徐々に上がっている。だがフェデラーのテニスはそれを常に上回る。また第七ゲームでブレークポイントが来た。そしてフェデラーが決めた。それは優勝を決定付けた瞬間であった。チャンピオンシップポイントが来た。バックハンドのダウンザラインがきれいな軌跡を描いてベースラインを抜けていった。6-4でフェデラー勝利。二年連続3回目の全豪優勝である。一セットも落とすことなく、全てをストレートでの優勝である。

フェデラーはこれで去年の対マレー戦の敗退の次の試合から始まったシングルスの連勝記録を36に伸ばした。一昨年末、マスターズカップ決勝でナルバンディアンに破られてストップした記録35連勝を上回った。2005年のウィンブルドンより7大会連続決勝進出し、6回勝った。グランドスラムの決勝での勝率は11戦10勝1敗である。つまり彼はもう10個のグランドスラムタイトルを取ったのだ。あの若さで。

今年もまたフェデラーの生涯グランドスラム、そして年間グランドスラムへの挑戦が始まる。もはやこのブログで如空が勝手に与えている「皇帝」という称号ですら役不足になりつつあるほどの強さである。人間業とは思えない。いよいよ神の領域に足を踏み入れつつあるというのかフェデラー。それほどまでにフェデラーのテニスは強いだけでなく、美しい。
だが、だからと言ってこの全豪男子シングルスのトーナメントがフェデラーの存在同様に輝きに満ちていたかというとそうは思えない。あまりにも他の選手が対抗できなさすぎた。結果としてフェデラーに優勝を許しても、「打倒フェデラー」の可能性を少しでも感じさせてくれる選手がいなければ、決して観戦するテニスの試合としては面白いものではない。強い奴がさらに強い奴に挑んでいく、そして圧倒的強者の圧倒的な力に迫り、その勝利への確信を一時的にでも揺るがしてみせる。そんな選手が一人でもいなければ大会としての盛り上がりに欠ける。
ATPの選手たちよ、牙を研げ、そして困難なる大きな壁に挑め、そしてその壁を突破してくれ。生きている人間を神になどさせるな。

フェデラーはもう手の届かないところにいってしまったのではないだろうかと思わせる、そんな2007年の全豪男子決勝であった。

男女ベスト16 2007全豪8日目

ナルバンディアンダウン!ブレークダウン、ダビデンコ辛勝、ナダル大苦戦、女子に引き続き男子も大荒れだったボトムハーフの4回戦である。

ハースがナルバンディアンを倒した。そしてボトムハーフの決勝進出第一候補と如空が見ていたブレークがゴンザレスに敗れた。ゴンザレスはヒューイット・ブレークを連破してQF進出である。ダビデンコはベルディッヒ相手に苦戦したが、それ以上に苦しんだのは第二シードのナダルである。常にセットを先行される苦しいフルセットマッチだったが、ファイナルは61でマレーを突き放した。しかし、マレーは強くなってるなあ、ベルディッヒ・ジェコビッチ・モンフィス・ガスケらともに先行する同世代のナダルを追い越し、フェデラーに迫るべく台頭してきている。ナダルがハードコートでも同世代のトップでいられるのはそう長くないかもしれない予感をさせる接戦である。

ところでジェコビッチである。フェデラーの第一週最大の難関として立ちふさがり、セットの一つや二つは取ってくれるだろうと、その成長ぶりに期待していたいのだが、案外淡白に終わった様子だ。フェデラーがしめるべきところをしっかり締めている。それはそれをするだけの実力差があるからこそ、圧勝でないまでも試合をコントロールできるのだ。フェデラーの山は去年の全豪同様、タフドローかと思われたが、ふたを開けてみると案外順当にここまで来た。おそらく第二週に入ってギアをさらに上げてくるだろう。さて迎え撃つ準備はできているのだろうかロディックのほうは。

これで男子のベスト8が出揃った。QFは次の通り
フェデラー対ロブレド
ロディック対フィッシュ
ハース対ダビデンコ
ゴンザレス対ナダル

SFでロディック対フェデラーが実現すれば、今季のATPを占う意味で大きな試合になることだろう。一方でボトムハーフの4人はそれぞれに決勝進出の可能性を秘めている。だが決勝で打倒フェデラーの可能性を探るならハースが一番面白い存在だと思うのだが、それでもそれぞれに熱戦が期待される。もちろんロブレドもフィッシュも存在を忘れてはならない。

女子のベスト8は予想を大きく覆された。QFは次の通り
シャラポワ対チャクペターゼ
クライシュテルス対ヒンギス
Sウィリアムズ対ペール
バイディソワ対サファロワ

こちらもトップハーフのSFでシャラポワ対クライシュテルスが実現する可能性が濃厚、そしてこれが大一番になる。不気味なのセリーナ・ウィリアムズ。全盛期の強さを完全に取り戻したわけではないのだが、やはり最後まで勝ちきることを知っている者である。黒い刺客は虎視眈々と牙を研いでいる。

さあ、男女ともQFベスト16が激突する。熱戦を期待しよう。
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