誰もレイカーズブログとは言ってないので映画のこと書いてもいいでしょ(適当)


映画『蜜蜂と遠雷』を見てきたのですが、モデルになったコンクールや劇中で使用された曲、あるいは劇中でピアノを実際に弾いたピアニストたちについて何となく書きたくなったので久しぶりにブログに書くことに。





劇中の芳ヶ江国際ピアノコンクールのモデルとなっているのは、3年に1度浜松で開かれる「浜松国際ピアノコンクール」。去年の11月に第10回目の節目となるコンクールが開催されたばかりです。
FullSizeRender


この浜松国際ピアノコンクール、通称浜コンですが、世界3大コンクールと呼ばれる

ショパン国際ピアノコンクール
チャイコフスキー国際コンクール
エリザベート王妃国際音楽コンクール

と比べると歴史は浅いです。しかし10年前の第7回コンクールで優勝した韓国出身のチョ・ソンジンさんが、その後チャイコフスキー国際コンクールで第3位、ショパン国際ピアノコンクールで優勝と華々しい活躍をしたこともあり国際的な権威を高めることになりました。
作中設定の「芳ヶ江で優勝すればS国際コンクールで優勝できる(だったっけ)」というジンクスは彼から来ているものでしょう。(劇中でも写真が少し映ってました)
IMG_2873


そう言えば劇中の2次予選で敗退してしまった福島リラ演じるジェニファ・チャンですが、「次のエリザベートに集中する」と話していたのは、上のエリザベート王妃国際ピアノコンクールのことなんでしょうね。


実はこの浜コンですが、日本人の優勝者はこれまでゼロ。しかし昨年の第10回コンクールでは初の日本人ピアニスト優勝が期待されていた人がいました。

名前は、牛田智大。幼い頃から天才少年として活躍しテレビ番組にも多く出演。世界的ピアニストであり、かつて浜コンの審査委員長も務めていた中村紘子さんを師と仰いでおり、その縁もあって浜コンには特別な思いを持っていました。
IMG_2874



特に幼い頃に中村さんと交わした「いつかあなた(牛田くん)のラフマニノフのピアノ協奏曲2番を聞かせて欲しい」という約束を守るべく、ピアニストとして活動を続けていたといいます。

しかしかつて中村さんが体調不良をおしてまで自分の演奏会に来てくれた際、なんと牛田さんが演奏中に体調不良に。その演奏会は結局そこで中断されてしまいました。

結局、中村さんは2016年に亡くなり、2度と中村さんの前で演奏することは叶わなくなってしまった上、約束も果たせぬまま。今回のコンクールでは1次予選から中村さんにゆかりのある曲を集め、ファイナル(本選)では約束通りラフマニノフの2番を演奏。結果は惜しくも2位でしたが、観客の心をバッチリと掴むロマンチックな演奏で聴衆賞を獲得しました。

劇中の栄伝亜夜(松岡茉優)も幼い頃から天才少女として活躍し、実際に2位入賞という形でしたね。2人の歩んできた経歴も似ています。しかも牛田くんが体調不良で弾けなかった演目は、やはり栄伝も弾けなかったプロコフィエフ。

優勝したマサル・アナトール(森崎ウィン)がアメリカ国籍というのも、日本人優勝者がいないコンクールという点で同じですね。


コンクールの背景についてはここまでにして、次は曲について。

2次予選で課題曲とされていた、宮澤賢治の作品を題材に書かれた『春と修羅』。これを作曲したのは現代音楽作曲家である藤倉大。イギリスを中心に活動する、現在の日本を代表する作曲家の1人です。

ピアノコンクールでは課題曲として、現代音楽の作曲家に新曲の作曲を依頼する事がよくあります。実際の浜コンでもそうです。そして大抵、演奏者の力量を測るために難易度の高いものが与えられます。

(↓実際の課題曲。新曲をマスターしなければならない上に40分という長丁場。ショパンコンクールはもっと長かったはず。)
FullSizeRender

今回の『春と修羅』は序盤の静かな始まり、中盤のスキルが求められる場面、終盤のスキルと独創性が求められる場面と、それぞれの場面でピアニストの力量や才能がありありと表現されていたと思います。審査員の人が退屈のあまりパンを食べたり、居眠りをしていたのもこの曲でしたね笑。つまり、それだけ演奏者によって力の差がはっきりと表れてしまう残酷な課題曲とも言えます。

(実際には2次予選が1曲ということはなく、これに数曲を加えて規定時間内に弾く、という形になっています。)

2次予選で弾かれたこの『春と修羅』ですが、この曲にも浜コン同様に賞が設けられており、「日本人作品最優秀演奏賞」というものです。劇中でこれを受賞したのは松坂桃李演じる高島明石。
「地に足の付いた、日常の中に溶け込むピアノ」という彼の理想が、どこか牧歌的な印象を曲に与えます。宮澤賢治の原作に忠実であろうとする姿勢も高島の魅力でした。それがマサルや塵、亜夜のスキルフルな演奏に対し、曲を聴いて情景が浮かぶような穏やかで美しい演奏に繋がったのではないかと思います。納得の選出。

(↓『春と修羅』について作曲した藤倉大さんのインタビュー。)






さて、2次予選を通過するといよいよ本選。オーケストラとの協奏曲が待っています。

本選はそれまでとは全く違う雰囲気があります。既にオーケストラとの経験が豊かなピアニスト(例えばマサル)もいれば、全くそうではないピアニスト(例えば塵)もおり、あるいは本選に残る事を想定していなかったために練習をしておらず、2次までは完璧な演奏をしていた演奏者が突如崩れることも。

しかも2次予選が終わって1日を空けてすぐに本選が行われるため、オケと実際に音を合わせられる機会はほぼ1度きり。その中で自分のしたい演奏を指揮者やオケに伝え、40分近い曲を作り上げなければなりません。



風間塵のような天才肌はともかく、精神的にも肉体的にもタフなのがコンクール。その中で本選に残った3人のプログラムが以下。


栄伝亜夜 : プロコフィエフ ピアノ協奏曲第2番
マサル : プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番
風間塵 : バルトーク ピアノ協奏曲第3番


日本人にも有名なショパンやラフマニノフ、チャイコフスキーといったメジャーな楽曲ではなく、プロコフィエフやバルトークを選んでくるあたり、原作者の恩田陸さんがどれだけ深くコンクールを聞いていたかが分かると思います。やけにリアル。

特に塵のバルトークはかなりレアな選曲という印象。基本的に優勝を狙いたいのであればラフマニノフ、ショパン、プロコフィエフが鉄板ではありますが、そういったものに縛られないのも塵らしいと言えばそうなんでしょうか。

プロコフィエフは20世紀前半に活躍した作曲家、ピアニスト。幅広い楽曲を残していますが、特にピアノ曲は本格的なピアノソナタから子供でも弾ける簡単な曲まで多くの名作を残しています。特にピアノ協奏曲は音楽性とスキルがどちらも非常に高いレベルで求められる楽曲で、コンクールでは好んで弾かれます。
ちなみに彼のピアノ協奏曲第3番の元となった曲は、彼が日本滞在中に構想したものだそうです。



劇中での演奏はほとんどが編集されてしまい、実際にどんな演奏だったのかは分かりません。サントラに付いてるのかな?



当初オーケストラとの合わせに苦労しながらも栄伝との連弾によって調子を取り戻し、最終的に優勝と聴衆賞を獲得したマサル。音楽のエリート街道を歩む彼が1位という結果に物語的には不満な人もいそうですが、一方でコンクールってまぁそういうもんだよなと思ってしまったり。でもその背景にある彼の「完璧な演奏」に対する苦悩であったり、エリート故の重圧を考えると、そのまま真っ直ぐにスター街道を突っ走って欲しいとも思います。
それにプロコフィエフの2番という解釈が難解な曲を弾いて聴衆賞を獲得しているというのも、彼が「受ける」演奏をした事の証拠。正直ピアニストにとっては「受ける」かどうか、ファンが付くかどうかが全てと言って過言ではないので、もうそのままショパンコンクールで優勝してくれって感じ。



塵はオーケストラの配置、特にコントラバスをティンパニーの横に置くという「風間シフト」!コントラバスが本来置かれている床が軋むため、しっかり音が出ない事を塵は見抜いていたという事でした。
一見風変わりなようですが、ホールの響きを考えてオケの配置まで変えてしまう姿勢は、実は3人の中で音楽に対して最も真摯な姿勢であるとも言えます。ただ、良くも悪くも伝統と格式を重んじるコンクールには受けなさそう。コンサートピアニストとしてであれば受けるでしょうから、今後どんなピアニストになるのかが楽しみな素材型。

そういえば明石が塵の本選を聞いている最中に「鳴ってるなぁ…」と呟いたシーン。これは「風間シフト」によって音がよりしっかりとホールに響くようになった事を受けてのことなんでしょうかね。個人的な印象ですが、この「鳴らす」「響かせる」というのは抽象的で曖昧なものである一方、ここをクリアしないとコンサートピアニストとしては大成できない、そんな技術かなと思ってます。でも先天的にそういうのが上手い人もいて、塵は多分そのタイプ。



栄伝は「天才少女、復活なるか!?」というストーリーが先行して、そこに自身の演奏を追いつかせられない状態が続いていました。本選のリハでもオケの音にピアノが呑まれてしまい、指揮者からダメ出しされる始末。
1度は帰ろうと荷物をまとめ駐車場を歩いていた栄伝ですが、塵の演奏の影響もあり、母とピアノを弾いていた頃を思い出します。本選では覚悟を決めた様子で堂々たる演奏を披露、見事2位入賞を果たします。

エリートとして着実にキャリアを重ねているマサル、経験は無いけれど天才肌として観客を魅了する塵。そんな彼らに対して、栄伝は完璧ではないものの、演奏を重ねるごとに自らの音楽を進化させ成長させていったピアニストとして描かれています。
「過去の失敗やトラウマの克服」という、極めて人間的な一面を見せてくれた栄伝。ピアニストという非日常的な世界の中に身を置きながらも、世界の誰もに起こり得る側面を観客の前で披露したことにより演奏がドラマチックなものに聴こえてきます。
別世界の中にもある極めて日常的な部分を表現できる彼女だからこそ、「あなたが世界を鳴らすのよ」という母の言葉を体現できるのではないかなと思います。そしてそれは、ある種ピアニストの誰もが理想とするところでもあるわけです。






何となく書いてるうちに長くなりました。

浜コンの話から劇中の演奏の話まで、思い付くままに書いてしまいましたが、スッキリしたので良かった。自己満足。

そうだ、あの「ピアノの神様」として塵を紹介していたホフマン先生ですが、彼のモデルはおそらくピアニストのヨーゼフ・ホフマンではないでしょうか。あのラフマニノフと同じ時代を生きた現代における大ピアニストの1人です。なぜホフマンなのかは分かりませんが。

そういえば最初の方に触れた牛田くんですが、来年のショパンコンクールに出場するみたいです。日本の貴公子がどれくらいやってくれるか注目ですね。

多分映画を見て思った事はこれくらいで終わりだと思うので終わります。なんか思い出したら追加しとこ。





The Athleticのレイカーズ番記者であるBill Oram氏の記事。レイカーズのフロントを結構痛烈に批判した内容になってます。

https://theathletic.com/860710/2019/03/11/luke-waltons-last-days-how-the-lakers-strayed-from-their-values-and-are-now-set-to-betray-their-coach/#click=https://t.co/aFatuiRrPi

ざっっっくりと言えば、レイカーズはルークに対してしっかりとしたサポートをしてこなかった、それが今季の低迷の原因である、というもの。

これについては確かにと思う反面、いやそれだけではないだろう、もっと色んな問題が複雑に絡んでるはずだ、とも思うわけです。

という事で今回は自分の頭を整理するためにも、レイカーズが抱えるいざこざを整理してみたいと思います。





【主な登場人物】
ジニー...オーナー、ボス
マジック…バスケットボール運営部門責任者
ルーク…HC
レブロン…選手

大雑把すぎる気がするけどとりあえずこれで。



今のレイカーズは組織としての一貫性が皆無と言える状況で、今回の記事はそれを裏付けるようなものでもあります。

主な対立軸は2つ、

①ジニー⇄マジック
②マジック⇄ルーク

です。あと前提として、ジニーはルークを完全サポートする、という事実があると思ってください。ジニー=ルーク的な。


①のジニーvsマジックについては推測の域を出ない訳ですが、どうやらルークの今後を巡った意見の対立、もしくは対立とは言えないまでも意見の相違があるような感じです。

前提の通りジニーはルークを完全サポートする姿勢を示しています。インタビューでも「ルークが今後のレイカーズを10年、15年と担うHCだ。」的な事を言ってましたね。また前政権を解雇しマジックを採用した時にも、ルークについてどう思うかが採用にあたって大事な点だったと話しています。

一方のマジックですが、彼は明言こそ立場上しないですが、ルークのコーチングスタイルには不満を持っている雰囲気がひしひしと。18-19シーズンを2勝5敗とスロースタートで迎えた際、マジックが直々にルークを呼び出して叱る、なんて事件がありました。まぁこれにはマジックにも責任がありそうなんですが、それは後ほど。

また、ロンゾの父親であるラバーがルークについて「ロッカールームでの求心力を失っている」と発言した際にも、フロントはすぐに声明を出す事なく、数日間放置していました。これを「マジックはルークのことをどうでも良いと思っているから放置していたんだ」と考えるのは安直でしょうが、フロントが取るべき対応として理想的でなく、ルークを不安に陥れたのは確かです。

さらに、マジックはかつてショータイム時代のレイカーズを率いたパット・ライリーを理想のコーチとして掲げているという話もあり、果たしてルークがその理想に近い存在なのかも疑問が持たれています。ただ信憑性は定かではありません。



このようにいくつかの事実を総合して考えてみると、どうやらジニーとマジックの間にはルークについて違う考えを持っているのかもしれない、と読めるわけです。マジックにとってジニーはボス、機嫌を伺いながら仕事をしないといけないというのも、また事態をややこしくしています。






次に②のマジック⇄ルークの対立軸について。

まず昨季終了時点で、マジックはルークに対してシューティングコーチを新たに雇うよう提言していました。これはリーグ最低レベルのFTと3Pを向上させるためでした。しかしルークはこれを拒否、コーチ陣はNYKに引き抜かれたブシュラーを除き全員が昨季と同様のメンバーでした。なおFTと3Pについては大きな改善は見られていません。(ここから、コーチ陣の選定についてはルークが選定権を握っているらしいというのも読み取れる。ルーク就任の際に今のACを選んだのも彼自身。)

そして今回の記事から、コーチ陣がランドルとロペスの残留を望んでいたのに対しマジックがそれを拒否した、という出来事があったのが分かりました。マジックが代わりに契約したのはマギー、ランス、ビーズリーなどでしたね。マジックが契約すると決めたこの3人がルークのしたいバスケットに適合していたかどうか…少なくとも今季の結果を見る限りではそんな事はなさそうです。
(プラスαの事実 : A ルークは昨季開幕戦のスタメンをナンスにし、しばらくランドルをベンチ出場としたが、ランドルはどうやらそれが不満だったらしいという事。  B ロペスは大きく役割を減らされていたが、それについてのロペスの真意は不明、ただレイカーズにスターが来れば安価での再契約も検討すると発言していた。 C マジックはあくまでもオフの目標をFAでのスター2人の獲得としており、そのためにはランドルとロペスの契約はリナウンスしなければならなかった。)
(リナウンス…簡単に言えば、再契約の際に他チームよりも良い条件を提示できる権利を破棄するということ。なおロペスは完全FA、ランドルは制限FAだった。)

つまりマジックはルークに提案したコーチ変更を拒否され、逆にルーク(ルーク側)は望んだ選手との再契約をマジックに拒否されている訳です。

さらに前述したように、シーズン序盤にマジックはルークを呼び出して成績の低迷を叱り、特にハーフコートオフェンスの拙さを改善するよう指摘したそうです。

目指したいバスケの方向性の違いやコーチ陣に対する信頼の揺らぎがあってもおかしくない事実ばかり。明確な対立とまではいかなくとも、両者お互いに思うところがあるままシーズンここまで進んできてしまったのかもしれません。




取り敢えずメインの対立軸について見てみました。

次はルーク本人について。

ルークについては同情できる点とできない点があります。

【同情できる】
・怪我人や欠場者が多く変則的な布陣を敷かざるを得なかった。シーズンを通して安定したラインナップを見つける事が困難だった。
・シューターを使うのが得意なルークだが、十分なシューターを与えられず、代わりにボールハンドラーばかりが集められた(先程マジックにも責任が…と言ったのはこれ。)

【同情できない】
・それにしたって変な布陣が多すぎる。もしくは時代に逆行した布陣を敷きすぎている。
・攻守ともに明確な決まり事があるように見受けられず、良い時と悪い時の差が大きい。
・試合中のアジャストに難あり。
・長期的な視点から選手を起用できない(もっともこれには「勝つためには仕方ない」という意見も)

ざっと思いつくのはこんな感じ。個人的な印象とSNSや各種記事の意見を総合したらこんな感じかなーと。

自分を全面的にサポートしてくれるジニー
万全の信頼関係を気付けているとは言い難いマジック

ルークはそんな両者の間で板挟みになっているのかもしれません。それでもシーズン序盤に勝ち星をなんとか重ねている間はマシでしたが、事ここに至り、ルークもかなり憔悴している様子。




解決策はないのか?

結局のところ、オーナー、フロント、コーチ、選手(レブロン)でしっかりと話し合い、チームの将来について合意形成するしかありません。

実際どのようにして組織内で話し合いが持たれるのかは想像するしかないですが、もし本当に今回話したような対立軸が存在するのであれば、問題はルークの解雇だけで解決するとは思えません。

仮にルークを解雇し戦術に長けたコーチを連れてきたとしても、その人もまたフロントやオーナーとのいざこざに巻き込まれかねません。組織の上の方がゴタゴタしてれば、どんなに優秀なコーチでも優勝までチームを引っ張るのは困難です。そもそも最初からその手の面倒ごとを避け、誰もレイカーズのコーチになりたがらないかもしれないけれど。

まぁルークを解雇するならジニーとマジックはそれに当然合意してるはずなので、心配する必要はないのかもしれないけど。でも何がきっかけでまた仲違いが始まるか分からない、今のレイカーズの組織としての不安定さ。不安です。

とにかくまずは組織としての一貫性を早急に取り戻す事。そしてFAに魅力的なマーケットであると再度認識してもらう事。

「ここまでダラダラ書いといて結局それかよ!」
と言われそうだけど、でも結局そうなんだよ多分。




ほんとに大丈夫かな…不安です。

おしまい。




シーズン20試合が経過しました。レイカーズは予想通り、アップダウンの激しいシーズンを過ごしてますね。忍耐の時。

レブロンがパープル&ゴールドを身に纏っている姿にもやっとこさ慣れてきました。やっぱカッコいいね。様になるというかさ。その実力も存分に発揮してくれている18-19シーズンここまでのレブロン。



さて、今回はシーズンクオーターレポートです。vol.1という事でvol.2、3、4と続いていく予定です。

ルークがマジックに怒られたり、スタメンが変わったり、ロンドが骨折したりと色々ありましたが、ぶっちゃけここまでのレイカーズは総合的に見てどうなんでしょうか。

今日は個人編とチーム編に分けて見ていきたいと思います。データも使いながらね。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


【個人編】

・イングラムのシューティング

20試合ならスモールサンプルとは言われないでしょう。という事でイングラムのチャート。
得意場所は昨季と似通っています。
強いて言うなら8-16ft(2つ目の円内)のシュート全体における割合が増えてます。ポストアップが増えた影響ですね。

FullSizeRender
FullSizeRender

そのポストアップですが、昨季に比べて頻度が激増し効率も改善しています。


             Freq    PPP
17-18    3.6%    0.78
18-19    14.5%  1.18


逆にペイント内のアテンプトはだいぶ減っています。昨季は半数が8ft以内でしたが、今季は4割4分ほど。本人もミドルレンジのアテンプト増についてはインタビューで言及していましたね(ソース忘れた)。

原因としてはインサイドがランドルとロペスからレブロンとマギーへ移ったことでしょうか。
ランドルのポストアップに対するダブルチームとロペスのスペーシングが失われた結果、リムへのカッティングとドライブのためのスペースが失われました。昨季はランドルのポスト→イングラムのカットのラインは有効でしたね。
(For Brandon Ingram, it's not just who's here but also who's not on the Lakers 
https://theathletic.com/653413/2018/11/14/for-brandon-ingram-its-not-just-whos-here-but-also-whos-not-on-the-lakers/ )

多くの記者がシーズン前にMIP候補に挙げていたイングラムですが、今のところ昨季とスタッツは大きく変わってません。ですがレブロン加入によるボールタッチの減少(56.7回、チーム内2位→52.8回、チーム内4位)にも関わらずスタッツを落としていないと考えれば、オフのスキルアップの成果が出ていると言えそうです。

ちなみにボールタッチの回数で言うと大きく落としているのはロンゾ。1試合平均80回から53回まで減っています。スタッツ大幅減もこれでは仕方ない。

・チャンドラー万歳

チャンドラーのon/off

      OffRtg   DefRtg
on  96.6       96.2
off  106.3     105.9

やはりコート上の守備での存在感は大きいですね。印象でも数字でも。ATL戦の決勝ブロックとか。望んだ仕事をしっかりこなしてくれるチャンドラー。もう少し望んで良いのなら、ペイント内でもう少し点を取って欲しいところ。まぁ今のレイカーズだと難しいか。

スモールラインナップ

が試合を通してほとんど使われなくなり、クズマのセンター起用がなくなりました。ただマジックはチャンドラーの加入でクズマがナチュラルポジションに集中できるのを良く思っている様子。

なおスモール自体は試合終盤に使われる事が多いです。ルークは48分のうち45分間はマギーorチャンドラーを立たせておいても、残り2、3分でスモールを敷く場面が目立ちます。

ただスモールのNetRtg自体は悪くないです。レブロンと若手の組み合わせ。

Ball-Hart-Ingram-Kuzma-LeBron   112.9/96.9

シーズン前にデスラインナップと呼ばれていた布陣は数字の上ではたしかに強力。ミニッツを増やしても良いと思うのだけどね。

ペースが下がった。

現在のペースは102.8でリーグ5位。
加入前の10試合で102.8を切った試合は1試合のみ、SAS戦の102.79。
加入後の10試合で102.8を切った試合は5試合。

ただしペースの低下はチャンドラーの加入によるセカンドユニットの鈍足化というより、ロンドの離脱の方が影響は大きそう。欠場した6試合でペースが100を切るのが3試合も。

・ロンドの離脱でどうなった?

答えは単純。10人ローテから9人ローテになりました。

ルーク曰く、「プレーメイカーが多いから大丈夫だ」とのこと。でも各プレーメイカーが得意とするプレーが全く違うから一概に言えないんじゃないかな。ロンドの離脱でアイソレーションは増えたし、欠場中の6試合で平均アシストはたったの18.7。ハートもリズムを失った感じするね(ロンドのパスの出し先は1位がレブロン、2位がハート。期間中はFG%40.5%、3P%23.5%)。

セカンドユニットでイングラムをPGとする起用

が増えた。PTも30分前後から34分ほどまで増。
ただ同時に起用するプレーメイカーがランスというのが悩みどころ。プレシーズンからこの組み合わせはあまりよろしくない。

ロンゾは終盤の起用も増えた。

でも丸々4Qに出ない試合もあったり、この辺りはルークの采配に疑問が生まれるところ。ORL戦だったかな。
相手PGにはイングラムを付かせて長さのプレッシャーを使うことも多いけれど、オーガスティンのような相手には通用しなかったり一長一短。

・使われないビーズリー

ビーズリーのPTを増やしたいと考えているらしいルーク。

でも先日のDEN戦で久々に起用されたはいいが、レブロンのポストアップから外に待つビーズリーにキックアウトとか何がしたかったのかよく分からなかったり。

レイカーズのオフェンスにおいてポストからプレーを展開できる選手は重要。クズマのポストがイマイチ期待できない今、レブロン、イングラムに続いてポストからの展開に厚みを持たせられるか。

・行儀の良いランスは何故生まれた?

明確に変わったのは11/4のTOR戦。
メインのスタッツは落ちてるけれど、1人で6秒も7秒も持つようなサーカスポゼッションは減り、コーナーで大人しく待っていたり、C&Sの割合が増えました。実際それでゲームフローは良くなってるし、なによりチームが勝ち出している。

ただそんな時にロンドが離脱。ランスにもハンドラーをやってもらわなければいけない時間がどうしても出てくることに。

ドライブがファーストオプションの選手ではありますが、シューティングを鍛えたいとシーズン前に話してたので現状の役割自体はシーズン前に受け入れていたんだと思います。

ランスは己を貫く選手、イングラムは周りに合わせて自分を変えられる選手、というプレシーズンの評価が逆転してしまった印象があります。意外とルークやマーミーズの存在が影にあるのでは。KCPもマーミーズと話して自分の役割を受け入れることにしたみたいだしね。

【チーム編】

・スタメンどうしよう?

①ロンゾ イングラム レブロン クズマ マギー

OffRtg 107.8  DefRtg 105.6

②ロンゾ ハート イングラム レブロン マギー

OffRtg 107.1  DefRtg 96.1

マシなのは下の方だし各々の役割的にも下の方が良さそうだけど、どうやらルークはサイズに拘りたい様子。ハートなんてサイズが関係ない選手代表だと思うんだけど。

①はたしかに夢のあるラインナップではありますが、シーズン残り3/4もこのままいくんでしょうか。

・オフェンスの狙いは?

「3全盛の時代に3で真正面から対抗するのではなく、プレーメイクができ守備を怠らない選手を集め、チーム全体のI.Qを高める。その上で早い展開から多くのイージーシュートに持ち込み流行の3&リム周り型高効率バスケに対抗、イージー2重視型高効率バスケを目指す。」

ではできているんでしょうか?


ペース→ 102.8 リーグ5位
3PA/FGA→ 29.7/91.0  32.6% リーグ22位
イージー2を打てているか
→0-3ft以内のFGAにおける割合 36.5% リーグ1位
→0-3ft以内のFG% 67.2% リーグ10位
トランジション成功率
→Freq 23.2% リーグ1位
→PPP 1.08 リーグ20位
→Score Freq 50% リーグ14位


0-3ftでのFG%とトランジションでのPPPの低さがなんとなく気になるところ。
前者に関してはTop10に入ってるし良いじゃんという気もしなくはないですが、「ここで他のチームと差をつけたい!勝負したい!」というエリアの割には良くない印象。

トランジションはSACと大きな差がついてます。ポゼッション全体に占めるトランジションの割合自体は2%程しか変わりませんが、SACのトランジション効率(PPP)はリーグ3位。

今のスタメンだとトランジションでコーナーに走る選手、45度で待つ選手、トレーラーで付いてくる選手といったような役割分担が不明確です。KCPやハートがいない影響。

・スモールラインナップは諦めるべき?

スモールボールのセンターという課題を解決できないまま、チャンドラーの加入でラインナップが固まってしまいました。クズマのスモールはほとんどが機能してませんでしたが、レブロンのスモールは前述したように数字上は強力。良し悪しはあるにせよ、使い続ける価値はあったのでは?

いずれまた使い始める時期が来ると思うので注目。

・ハーフコートオフェンスの課題

人が動かないバスケ

→コートのあらゆるところにハンドラーを配置して様々なところからPnRを仕掛けられるのは良いんですが、それだけだと対策は容易。オフボールでの動きが組み合わさってこそ複数プレーメイカーシステムが真価を発揮できるというもの。
レイカーズはオフスクリーンからの得点効率で、ぶっちぎりのリーグ最下位(PPP 0.49)。Freqは5.1%、リーグ14位。

パスが少ないバスケ

→ルークの目標は1試合300回のパス。
実際には1試合あたり266.3回でリーグ27位。アシストは23.8で13位タイ。アシストは前述した通り、ここ数試合で一気に減ったね。

じゃあパスをせずアイソレーションばかりなのかというとそうでもない。アイソレーションのFreqは7.5%でリーグ13位、PPPは0.71でリーグ26位。

・ルークウォルトン

ここからは完全に個人の見解。まとまりがないけど、最近また何かと話題のルークについて。

ルークに関しては色々言われてますね。これを書いてる間にも「レブロンがルークを無視して好きなプレーコールをしてる。」なんて記事が。

ルークは戦術構築をはじめ、たくさん問題があるのはご存知の通り。でも最大の問題点は、「言ってることとやってることが一致していない」という事ではないのかな。ベースアップ以外。

上で見たように、レイカーズのやりたいバスケ自体はハッキリしてます。勝つためにどこを重視しているのか、どこで相手チームと差をつけて勝っていくのかは本人の発言を見ていると分かってくる。

でも試合を見てもデータで見ても、どうも発言と結果が一致してるような感じはしない。正確に言うなら「一致しきってない」という感じ。

数字にもプレーにも「ここでは絶対にどこのチームにも負けない」と言えるような「極端さ」がまだないのです。

例えばトランジションでの得点を増やしたいなら、まずはDRをしっかり確保して、誰が運んで、誰がコーナーに走り、誰がフィニッシュするのか、そういうのを決めないといけません。
でも決まってる感じはしないよね。みんながリバウンドを取るし、みんなが運ぶし、みんながなんとなく空いたスペースに走る感じ。

こういうのが試合中の色んなところに見受けられるわけです。「そこで負けてたらどこで勝つのさ!?」みたいな。

ここでは詳しく書かないけど、TORなんかはとってもしっかりしてるよ。それだけが強い理由というわけではないけど。

これが今季だけの問題ならまぁ仕方ないかという感じもするけれど、これが3シーズン続いてるんだ。昨季はマシな方だったけどね。

ただルーク本人は、ATOの戦術のバリエーションだったり、成長してるところも無いわけじゃないです。扱いの難しい選手たちを集められて激動のウエストでなんとか5割を超えてるわけだから、課題が山積みの中でも良くやってる方。

シーズンを通してやりたいバスケを貫くというのは結構難しいもんです。どこのチームも必ず問題点が出てきて、その修正を図るために攻守のスタイルを微調整したり、ロスターを変えたりします。そういえばHOUは守備を大胆に変えたって話だったけどどうなったの?

今季残り3/4、サッカー日本代表じゃないけれど、レイカーズが「自分たちのバスケ」をどれだけ確立できるかはルーク次第。でもあんまり期待できないんだろうな…


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


いかがでしたか?

今回は色々調べたので疲れました。シーズン中から色々調べてはいたんですけど、小分けにしてツイッターでいちいち呟くよりまとめちゃった方が良いかなという事でこのような形に。

最後のルークについては思いついたのをツラツラと書いてたらまとまりのない文章に。ごめんね。でもストレス発散にはなったよ。

じゃあ疲れたのでこの辺で。

じゃあの(^U^z)


↑このページのトップヘ