2006年01月14日

特別会計の誤解

母屋で粥、離れですき焼き

塩川元財務大臣が一般会計と特別会計の様子についてこのように表現し、テレビも特別会計を扇情的に取り上げたことから、巨大な特別会計で無駄使いがされているとの認識が国民に広まっています。 今日では、400兆円の特別会計を官僚が好き放題に使っているとの誤解が、市民権を得ています。 経済や財政についての知識が乏しいキャスターやコメンテーターは、これに疑問を感じることもないのでしょう。

しかし、GDP(国内総生産)が500兆円の日本で、80兆円の一般会計に加えて、さらに400兆円の特別会計が一般会計のように使われているとすれば、中央政府だけで480兆円、GDPの96%を消費していることになるのです。 国民と地方自治体は残りの4%で生活をしているとなるわけです。 明らかに間違いであると云うことがご理解頂けると思います。

特別会計は不透明だから分からないのだと、一部の政治家やエコノミストが発言していれば、テレビの視聴者が特別会計に怪しさを感じることも無理はありません。 しかし特別会計の種類と規模については、以前から統計局のウェブサイトに掲載されているのです。 一般会計より遥かに大きい特別会計が無駄遣いの温床だ云々と主張している政治家は、要は不勉強なのです。

400兆といわれる特別会計の半分を占めるのが、国債整理基金です。 これは国債の償還や借換をしているだけで、実消費を伴うものではありません。 長期債を中心に運用すればこの規模は小さくなるでしょうし、逆に短期債を中心に運用すれば大きくなるでしょう。 それだけのことです。 実態は単なる数字なのです。 他の特別会計も殆どは、保険・年金や自治体との金のやりとりを記載したものです。

特別会計はいくつもありますし、全く全て適正だとは、勿論いえません。 目的外の支出を国会が認めたが為、国民の望まない使い方をされている例もあるでしょう。 しかしながら、多くの国民がメディアの情報に接して想像していることは、現実と大きく異なるということは言えます。 400兆円との数字が一人歩きをして、国民が大きな勘違いをするに至った責任はどこにあるのか、よく考えなければならないでしょう。 「母屋で粥、離れですき焼き」という全く奇怪で、意味不明の説明をした塩川氏にも責任があるでしょう。 もし塩川氏が、そのような認識で財務大臣を務めていたとすれば、それこそとんでもないことです。 しかし恐らく塩川氏は、小泉内閣の中枢から、特別会計を無理にでも悪に仕立てるよう指示されたのでしょう。 私はそのように思います。


追 塩川氏の表現について、「粥を食っているというのは国民で、」と説明をした番組を観た記憶があります。 勿論、国民は一般会計で生活しているのではありません。 政府と国民を同じ側に位置づけて、官僚を別の側に位置づける。 このような意図があったとすれば、実に巧みな情報操作と言えるでしょう。

追 テレビは「我々の保険料を官舎にした」と騒いでいますが、民間の保険会社も保険契約者の掛け金を用いて従業員に給与を支払い、宿舎を建てて、或は福利厚生費にも使っているのです。 一方で、外資系保険会社AがテレビCMを必要以上に流していますが、これについては、テレビ局が保険料を吸い取っているとは批判されていません。

追 関連のブログを閲覧すると、特別会計を政府の借金返済に充てたらよいというものや、政府債務や増税と関連付けて論じるものが多く見受けられました。 そこで政府債務についても簡単に触れたいと思います。 政府の債務が増えていることについて、国民の殆どは政府の無駄使いが原因であると誤解をしていますが、本当の原因は、民間(個人+企業)の貯蓄にあります。 老後の備えとして、民間がお金を銀行に預けてしまうと、お金の流れがそこで止まってしまうわけです。 本来なら消費に使われるお金が銀行の金庫に眠ってしまえば、その分消費が減って、勿論、仕事も減ってしまうわけです。 つまり、不況です。 不況になれば、国民は実際に生活水準を落とさざるを得なくなります。 それでは都合が悪いので、政府が銀行からお金を借りて、公共投資として使ったり、或は、減税をして、足らなくなった財源を銀行からの借金で補うわけです。 公共投資をするということは、民間が貯蓄する為に抑えた分の消費を、政府が変わって行うということで、減税をするということは、抑えた分の消費を再び民間が使えるようにする=貯蓄の譲渡ということです。 尚、政府の借金は問題視されていますが、実は、全く問題ありません。 長くなりますので、このあたりについては、後日の掲載と致しましょう。 メールを頂ければ、掲載した際にお知らせ致します。 journals@brown.livedoor.com

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特別会計の記事に物言い
財政特集 特別会計400兆円の闇を解説-1


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この記事へのコメント

1. Posted by にかわ    2006年01月14日 11:30
はじめまして。
TBありがとうございます。

TBをいただいた記事に、追記という形で疑問点を書いてみました。
何で、国のことというのは、こんなに難しいことばかりなのでしょう。
そんな簡単に国が立ち行くか、と言われてしまえばそこまでですが、
わざと、難しくなっているのでは…とか最近は邪推しています(笑)。
2. Posted by ニュースの研究所    2006年01月14日 14:01
難しいですね。 テレビがしっかりしてくれると、分かりやすくなると思うのですが、あまり期待できそうもありません。 むしろ、おかしな情報を流して分かりにくくしている犯人がテレビではないかとさえ思っています。
3. Posted by tk19xx    2006年01月15日 03:31
はじめまして。
コメントありがとうございました!

つまり、特別会計には無駄もあるけれど、ほとんどは有効利用されているということでよろしいのでしょうか?
公共事業は建設すること自体が社会的に役には立っているんですね。
それが建設後、どう有効利用されるかはさておき…。

また見に来ます!
4. Posted by ニュースの研究所    2006年01月15日 11:04
tk19xxさん、コメントありがとうございます。 特別会計の殆どは、資金の移動を記しただけのもので、実消費は伴っていないということです。

公共事業は景気を良くするということで役立っています。 しかし、それだけでしたら、減税の方が良いということになります。 私は、人工漁礁設置等の水産資源拡大事業や、住環境の改善を目的とする新しい都市の建設事業等を提案しています。
5. Posted by toshi    2006年01月16日 21:57
はじめまして。TBありがとうございました。メディア側の報道姿勢というものに、責任があまり見受けられないまたは課すことができない現状では、誤解が生じやすいことだろうと常々思います。
ヒステリックで世論迎合型な意見でなく、物事の本質を見極めたうえでの客観的判断をするべきだと思いますし、そこに責任があるのではと個人的には考えています。こちらからもTBさせていただきます。
6. Posted by ニュースの研究所    2006年01月19日 05:43
toshiさん、コメントありがとうございます。 マスメディアのいい加減さは、全く信じられない水準です。 ブログの双方向性を活かして、国民がこれに気付く環境を作ることが重要だと思います。
7. Posted by it1127    2006年01月19日 16:55
5 ニュースの研究所さん こんにちは。
貴エントリ、大変参考になりました。わたしは、この分野に関しては、まったくのど素人です。こういった冷静なご意見は、貴重です。また、拙エントリTBさせて頂きました。
8. Posted by ニュースの研究所    2006年01月20日 17:08
it1127さん、コメントありがとうございます。 財政特集の記事を通じて、財政問題の真の姿を明らかにしていきたいと思います。
9. Posted by INOU    2006年01月26日 13:34
まったく官僚寄りの官僚サポートの
コメントである。

特別会計の裏に隠れて天下り先の確保、
巨大な尼蔵李先の給与と退職金
やりたい放題である。
予算執行にのチェックは国会議員の
チェックもできない。


440兆円もあればほんのちょっと掠めるだけでも
巨大な金額となる。

国会での一般会計の議論が
むなしく聞こえてくる。

10. Posted by ニュースの研究所    2006年01月28日 17:47
INOUさん、コメントありがとうございます。 国会がチェックできないと云うのは嘘です。 歳出に実態のある予算は、国会に提出されています。 いいかげんなマスメディアを信用し過ぎない方が良いと思います。 彼らのつくるエンターテイメントに乗っかって、官叩きをして喜んでいては、国民の利益を守ることはできないでしょう。

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