マグロ、サーモン、ホタテ、イカなど数種の刺し身アソート「切り落とし」がなんと390円!の超お買い得。さすがAコープ。形はバラバラ、魚種も日によってまちまちですが、これを見付けたら買うしかない。食べ残しを翌日、ワイン蒸しにすると、これもたまらぬうまさです。

■1パックで二度おいしい
 店内調理で刺し身刺し身や寿司をパックした後、半端な切り落とし部分をかき集めたのでしょう。切り身の形は三角あり四角あり、不自然にひょろ長い台形カットもあったりして見た目はともかく、味も鮮度も申し分ない刺し身がセットでいただける絶品。

 日によって300~500円台の値付けで、もちろん数量限定というより、あったりなかったり。見付けた日には買わなきゃ損です。たとえ食べ切れない量だと思っても。

 新鮮な刺し身をたっぷり堪能し、残りはラップをかけて冷蔵。翌日ワイン蒸しにすると二度おいしい。全く別のうまさで味わえるのです。ご飯+みそ汁の自炊ベースがあればこそ。

 下の写真のように、厚手フライパン、またはビタクラフトのようなステンレス多重構造鍋を使います。なるべく重ならないように並べ、料理ワイン白をかけ、塩とブラックペッパーを振ってフタをして弱火で蒸すだけ。
刺し身 (2)
 4、5分間放っておいてもいいですし、2、3分蒸してから一度ひっくり返せばさらに早く上がります。丼に盛ったご飯に魚を載せ、煮詰まった蒸し汁をたらたらとかけ回せば、やや洋風テイストの豪勢な蒸し魚丼が一丁上がり。これも実にうまい!

 カラスヒコは、翌日のこれが楽しみで、わざと前日に刺し身を食べ残すほどハマっています。蒸し汁が多く残ったときは、長ネギを10㌢ほど斜めにざくざく刻んで、強火でさっと半生に炒めて添えれば、これも相性抜群のおいしさ。

 ワインと塩ではなく、料理酒としょうゆで蒸せば和風テイストになります。七味唐辛子を振りかけ、ゴマや刻みのりを散らせば、ちょっとしたもてなしメニューにも使えます。外食では食べられないごちそう。

 外食では、鮮度のいい魚は刺し身や寿司として消費され、こうした切り落とし部分は、例えば寿司屋の「賄い食」としてインサイダー消費されてしまいます。商品として外部に出回ってこないのです。

 それがスーパーマーケットの店内調理の余りものとして安値で買えるのは、とてもうれしいことです。でも、それは今のうちだけではないかと、カラスヒコは心配しています。

■効率化で空洞化する店
 リアルのスーパーはコンビニやネット販売との業態間戦争に耐え切れず、店内加工設備を削減するのが今の業界トレンド。専用の総菜工場からアウトパックされた商品を仕入れる形へと急速に変わりつつあります。

 そうなると、余りものはもはや店では発生しなくなります。かつて個人経営の飲み屋や定食屋で、店主が「よかったらどうぞ」と、常連客に煮物やフライの余りを提供してくれていたのがチェーンストアになると皆無になったのと同じ流れ。

 それが寂しいという情緒的な話ではなく、それなりに機能していた「無駄」がなくなる。刺し身の場合、一定のグラム数にパックされた「規格品」だけが流通し、切り落とし部分は「ロス」として廃棄されたり家畜の飼料に回るだけです。流通の効率はよくなって株価は上がるかもしれませんが。

 私たちの暮らしにスライドして考えれば、自炊の加工力を失って外食・中食に切り替えると生活が効率化するように思えます。包丁を使う技能がいらなくなりますし、キッチンスペースも節約でき、調理時間や後片付けの手間も不要。浮いた時間は仕事や趣味に大いに生かせる?

 スーパーでは、バックヤードで魚をさばく職人やてんぷらを揚げる主婦パートがいらなくなり、そのうちレジ打ちパートもセルフレジに取って代わられ、発注作業もフォーキャスティング(自動予測発注)システムになるでしょう。店は無人に近くなる、というよりウォークインタイプの特大の自動販売機になる?

 たぶん、そうなる前にスーパーという600坪ものリアルなハコモノはいらなくなるはず。効率化を突き詰めれば店は空洞化していくからです。コンビニだって、ネット注文の受け取り場所としての機能がメーンになり、今の手間を掛けた30~40坪の「売場づくり」は大した意味を持たなくなりそう。

 ヒトも同じ。今日のお昼に何を食べようかと悩まなくても、いま一番食べたいものがビッグデータや個人履歴、体調データからフォーキャスティングされて、GPSで特定された現在位置までアマゾンのプライムエアが持ってきてくれるようになるでしょう。それが理想の生活なのか空洞化地獄なのかはともかく。

 蒸し魚丼を頬張りながら、この材料がいつまで買えるのだろうかと考えていました。今の安定した社会も戦争や大規模な天災・人災が起これば一気に壊れるかもしれませんし、壊れずに効率化がこのまま進んでも住みやすい世の中にはなりそうもありませんね。

 いずれにせよ、デジタルリテラシー一辺倒の暮らし方は結構リスキーな賭けになるとカラスヒコは思います。アウトドアでの調理とか、ポンコツ機械を修理して使うとか、板きれを縄で縛って雨風を防ぐとか、そんなサバイバルリテラシーもバランスよく身に付けておかねば。

 ではまた。