「サムライごはん」de自衛自炊

忙しい人こそ自炊しましょう!料理嫌いのための高栄養で無添加な「ケ」の食の技術を研究するブログです。悪食による人格崩壊から辛くも生還したカラスヒコの経験に基づく学生・単身赴任者・シングルマザー向け貧乏自炊教室にお付き合いくだされ!

2012年08月

みそおにぎりを握る生き方

 みそを具に使ったおにぎりは簡単で、とても懐かしい味です。みそは真ん中にごっそり入れるのではなく、写真のように箸で少しずつ5、6カ所に分散したほうが食べやすくなります。鯛みそなどより、いつもみそ汁に使う普通のみそで十分においしい。

■みそ味+ゴマ風味
 飲み屋さんにいくとおにぎり (2)、たまに、みそ焼きおにぎりに出会います。みそをみりんで溶いて、ハケでおにぎりに塗り付けて網焼きしたもの。焼きみその香ばしさがたまりません。

 みそを料理酒で溶いて砂糖を混ぜて作る場合もありますが、いずれにしても甘みがあって、ややハレ感のあるおにぎり。楽しい飲み会の締めには最高の一品です。

 でも、今日作ったのはケのおにぎり。仕事に持っていく昼ご飯用です。写真のように、おにぎり1個分のご飯の半量を小鉢に取り、みそを箸で少しずつ散らして配置し、この上に残りの半量を載せてから、パコっと手のひらにあけて握ります。

 みそ汁に使うごく普通のみそが、自製おにぎりの具として非常においしいことに気付いて、最近カラスヒコはハマり気味です。玄米や豆と一緒に噛んでいるときのバランスの良いしょっぱさとコク。体が、穀物由来の炭水化物とタンパク質を喜んで受け入れるのが分かるような充実感のある味です。

 写真では、みそを散らしたときに、金煎りゴマもパラパラと振ってあります。ゴマは、おにぎりの表面に振ると見た目に豪華な感じになりますが、手のひらに付いたり、バラバラ剥がれ落ちたりして結構無駄になってしまうのが難点。

 けれども、こうして内部に仕掛けておくと、外からは見えなくても噛んでいるときにゴマ粒がプチっとつぶれて、豊かな風味が口の中に広がります。ゴマは、具材が梅干しやおかかのときにも意外によく合い、ビタミンEの強化策としても頼れる常備菜。おにぎりにもぜひ活用しましょう。

 さて、おにぎりを自分で握るのは初めてという方は、まずこちらで要領をチェックしてみてください。カラスヒコの失敗レポートです。炊き上がったご飯を不用意に握ろうとして、熱くて、手にべた付いて大変な目に遭いましたので。

■マイナス300をプラス300に
 コンビニでおにおにぎり (1)ぎりを買わずに、朝炊いた豆ごはんの残りを自分で握って持ち歩く習慣をいったん作り上げてしまうと、生活が一変します。大げさに聞こえるかもしれませんが、これは本当。1日の中で2食が豆ごはんメーンの無添加食になるからです。食習慣改善の起爆剤になります。

 左の写真は1合の豆ごはんで3つのおにぎりを作ったところ。具材は梅干し、おかか、みそ。こうして握ってから表面に塩を軽く振り、5分ほど冷ましてから、のりを巻いてアルミホイルに包みます。これにトマトジュース1缶を添える携行ランチです。

 栄養は、この1食だけを考えると足りてはいません。具体的には小魚とビタミンCが明らかに不足。でも、それ以外の栄養素は、かなり広くカバーできています。しかも無添加で、油脂はゴマのオメガ3系のみ。いわゆる善玉コレステロール値を上げて動脈硬化を防ぐオイルです。

 栄養素は1回の食事で全部を網羅する必要は全くありません。長期にわたって欠乏させてはいけませんが、むしろ今は、悪いものを摂らない食事の回数をどれだけ増やせるのかで健康レベルが大きく左右される時代です。年間約1000回の食事の何パーセントを「きれいな食事」にできるのか、です。

 自製おにぎりは、油脂や添加物をほぼ絶対に避けられないランチ外食による年間約300食の黒星を、一挙に白星に変換できる起死回生の秘策です。つまり体にとっては、プラス600の自衛効果をもたらすとカラスヒコは思っています。

 内勤の人なら、豆ごはんの残りを弁当箱に詰めればいいので簡単なのですが、弁当箱を持ち歩きたくない外回りの仕事の人なら、ぜひおにぎりの自製スキルを身に付けましょう。コンビニで買うのとは大きな違い。添加物や炊飯油から身を守る、生き方の問題と言ってもいいほど重大な選択だと思います。

ではまた。

トクホのお茶という株主発想

 トクホ飲料に「脂肪を消費しやすい」「血糖値が上がりにくい」などの効能が本当にあるのなら100円台で買えるのが不思議。甘い物や油濃いものは食べ続けたい、運動もしたくない。けれどやせる、腹が引っ込むという結果だけはお手軽に手に入れたい?

■清濁併せ飲んでいる
 トクホ(トクホ茶特定保健用食品)の悪口を言いたいのではなく、中性脂肪が増加する原因は分かっているのだから、原因を断つ努力をしたほうが、はるかに有効で結果も出やすいという話です。

 トクホの飲料では、カテキンなどの成分を配合して中性脂肪の燃焼効率を高めたり、ポリフェノールなどの成分が食後の糖分吸収のスピードを緩やかにして、血糖値が上がりにくくします。成分の効能は実験的に確認されているようです。

 しかし、それは単品成分の話です。製品になると、特に脂肪燃焼系のお茶には合成香料なども添加されていて、私たちは「清濁併せ飲む」のが実情。
 また、炭酸飲料系のトクホでは、人工甘味料のアセスルファムKなどが使われていたりもして、中性脂肪を燃やせば燃やすほど、胃の粘膜がダメージを受けるのではと心配になります。

 トクホは、かの消費者庁が国民の健康に貢献すると太鼓判を押して、あの能天気な「バンザイマーク」を与えた食品ですから、仮に害はないとしても、私たちはもっと根本的な解決方法、つまり余分な油脂を減らす食事の改善や、砂糖まみれの間食習慣、油脂と添加物だらけのスナック菓子・即席麺との決別を考えるべきなのです。

 原因は生活習慣、とりわけ外食・中食メーンの食生活にあることは、私たち皆が分かっていることです。でも、そこに目を向けたくはない、楽な解決方法があればすがりたい弱さがある。トクホは、そこに付け込んで売上を伸ばすためのマーケティングに利用されています。

■リストラ vs 体質改善
 努力や工夫をせずに、結果だけをすぐにカネで買いたい。これは株主のような発想だと思います。会社が業績不振になったとき、営業体質の強化や管理面の改善には手を付けず、リストラで短期的な利益を確保するのと同じやり方。

 従業員のモチベーションは下がり、人が減らされた現場ではサービスレベルが低下して客離れが起こるのですが、株主には痛くもかゆくもありません。その会社が駄目になっても、他社に投資先を変えるだけ。

 それと同じことを、私たちは自分の体にやっているのです。肥満や体調悪化の原因を放置したまま、飲むだけのトクホやサプリ、健康食品という楽な選択肢でテコ入れしようとする。これはかなり自虐的な行為。体が駄目になっても、株主のように他に移ることができないからです。

 体脂肪を1.3倍燃やしてくれるトクホのお茶をありがたがるよりも、例えば肉食を減らしてタンパク源を魚や豆類に戻す。あるいは油でベーコンや卵を焼いて、バターやマーガリンを塗ったパンと、ドレッシングを絡めた野菜を毎日食べる生活の見直しを図ることです。そうすれば、おなかは引っ込み、肌もきれいになります。

 お茶なら、トクホより自分で入れた常温の水出し緑茶、そば茶、ジャスミン茶などがお薦め。トクホのバンザイマークは、両手を上げて生活習慣病に降伏した人の姿かもですよ。

 ではまた。

宅食化・菓子化する食事の闇

 「食事の支度に使っていた時間を趣味や余暇に使いたい、そんな方に宅食は支持されています」。見事な殺し文句だと思います。1食500~600円台で写真のような豪華な弁当が届くのですから、高齢者ではなくてもグラッと来ますね。でも、それが落とし穴。

■自炊の材料費より安い
 最近、新聞にワタミ宅食折り込まれてきたチラシ。仙台でも本格的に営業を開始した大手宅配食企業の広告です。食事の支度から解放される喜びをストレートに打ち出して、時間を有意義に使ってくださいという提案ですから、非常に説得力があります。

 30品目の素材を使っているので栄養は十分で、カロリーと塩分は控えめと書いてあるのですが、カラスヒコには、上記の値段がちょっと信じられません。「サムライごはん」のプロトタイプ朝食は25品目前後なのですが、材料費だけで500円はかかってしまうからです。

 主菜がめざし2尾(50円)のときでそれくらい。100円以上するアジの開き干しを焼いたり、200円くらいのサンマ缶詰などを使うと簡単にオーバーしてしまいます。それが、この宅食屋さんでは、加工する人件費やパッケージ代、配送費まで含めてこの値段。さらに利益も十分出ているわけです。

 宅食屋さんの経営の中身は、株主でもないカラスヒコには分かりませんが、600円の弁当なら材料費は200円まではかけられないはずです。つまり、私たちがスーパーや産直店から買ってくる素材とは、品質が相当に違うのではないかと、意地悪く勘繰ってしまうのです。

 まあ、こう言っては失礼ですが、先の短い高齢者が食事の支度や後片付けから解放されて、華やかな、毎日運動会のような弁当を喜んで食べられるのならそれもいいのかなとは思います。
 しかし、働き盛りの私たちがそれ以下の、400円くらいのコンビニ弁当や、職場に届けられる300円台の仕出し弁当を食べていても大丈夫なのか。買い物をして食材の値段を知っていれば、自然に湧いてくる疑問です。

 その疑問はあえて保留にしたまま、カラスヒコはその先を考えてみました。調理をしない人が増えていけば、中食・配食・宅食弁当は今後も伸びていくはずです。

■流通業 vs 製造業
 しかし、流通業が、弁当工場を真ん中に据えて、上流の農場を押さえ、下流はコンビニやスーパーの棚をPBで埋め尽くし、調理済み弁当の宅配で消費者の胃袋を囲い込んでしまうと、食品製造業にとっては、かなり困った状況になります。

 そこで製造業側は、食事を弁当ではなく「菓子化」する反撃を始めるに違いありません。カロリーメイトのような栄養補助バーやゼリー食品を進化させることです。今は残業食や、スポーツ携行食程度の位置付けですが、普段の食事もそちらに変えたほうがスマートで、環境にも優しいなどのすり込みを大々的に始めるかも。

 でんぷんや大豆粉を原料にして、合成したビタミン、ミネラルを必要なだけ注入する食品なら、無人工場で24時間生産できて、常温で長期間ストックできますから、コストは弁当よりもずっと安くなります。コンビニやワタミが築き上げたチルド物流設備や、ジャストインタイムの配送網、植物工場などハイコストなシステムはあまり重要ではなくなるでしょう。

 カレー味、ステーキ味、チーズ風味などの日替わり主食バーに、甘いデザート菓子のセットが1週間分、あるいは1カ月分まとめて工場から直送される仕組み。食品製造業がケミカル資本と組んで大逆転を仕掛けるとしたら、多分このシナリオであるはず。弁当やサラダなど昔風のビジュアルにこだわらない食事こそ、資本回収効率が一番高いのですから。

 ただし、これはちょっと悪夢に近い。人間が、化学肥料で育つ作物や合成飼料で肥育される家畜になるような食べ方です。「安さ・便利さ・楽さ」にずるずると頼り切って調理習慣を失ってしまうと、私たちはこの種の闇へ落ちていきます。食べ物を選べる今だからこそ、寝る時間を削ってでも自炊で自然の食材を食べていきましょう!

 ではまた。

ブロッコリーは熱湯で3秒

 ブロッコリーの花1個を4つに切り分けて、1つずつ箸でつまんで熱湯に3秒浸ける。これで十分やわらかくなります。湯の中で振ってやれば洗浄と殺菌もOK。1食分の加熱時間は計1分弱です。湯が沸くまでにトマトや玉ネギをスライスし、こちらは生がおいしい。

■ドレッシングはいらない
 ブロッコリーはトマト・ブロッコリー、舌でつぶせるほどやわらかくなるまで加熱すると、栄養分が全部抜けてしまいます。つまり、おいしくなくなりますから、マヨネーズをどっさりかけたり、化学調味料のスープの濃い味でアレンジして食べるしかなくなります。これでは、せっかくブロッコリーという高栄養な野菜を買ってきた意味がありません。

 グラグラ煮立ったお湯に浸せば、花弁といいますか、ブツブツした先の部分には3秒で熱が通ります。だから、硬い茎の部分にも3秒で熱が通るように分割してやるのがポイント(切り分けのコツはこちら)。

 花弁が大きくて茎が太いときには、6等分や8等分してちょうどいい場合もあります。これは経験を積んで覚えること。マニュアルなどいりません。茎の太さを2、3種類変えて、食べてみればすぐに体得できます。

 3秒湯がいただけのブロッコリーは、ほんのわずかのマヨネーズを付けるだけで驚くほどおいしいのですが、こういう食べ方はレシピ本には載っていません。あまりに単純で、レシピと呼ぶにはおこがましいからでしょう。でも、私たち料理下手が野菜を日常食べるときには、これが原点なのです。

 上の写真で、玉ネギとトマトは生のまま。実はこの3つの野菜を口に入れて、混ぜ合わせるように噛んでいくと、マヨネーズもいらないのが分かります。トマトから酸味のある果汁が出て、玉ネギの甘み・辛み、それにブロッコリー独特の癖のある味が見事にマッチします。少量の塩を振ってもおいしい。

 この味に近いのが、サブウェイです。定番の6種類の野菜サンドをオーダーすると、「ドレッシングはいかがいたしましょうか。○○がお薦めです」と聞かれますが、「ドレッシングなし」と頼んだときの味。トマトが調味料の役割を、玉ネギがスパイスの役目をして、他の野菜全部がおいしくなるのが分かるのです。

■学生も台所に立つべし
 野菜は、生または最少限度の加熱で食べれば、おそらく外から余分な味を加える必要がない。だから、私たちの横着な自炊生活でも、目指すのはそこです。調理時間を短縮すること、イコール野菜の栄養を壊さず、無添加でおいしく食べられるノウハウの研究開発。

 一見お手軽なカット野菜サラダは、ドレッシングなしでは食べられませんし、ミックスベジタブル(ニンジン、コーン、グリーンピース)は油で炒めてケチャップなどを絡める調理が普通です。試しにシンプルな塩ゆでで食べてみると、ニンジンなどは、冷凍前に煮過ぎていて、味が完全に抜けているのがはっきりと分かります。

 カラスヒコは20代のころ、野菜100%ジュースに頼り切っていたことがありました。香料などを使わない無添加なアイテムもありますから、野菜を全く食べないよりは間違いなくいい。けれども、飽きるのです。
 たまにならおいしくても、飲み続けているとだんだん耐えられなくなってきます。たぶん歯や顎や、胃や腸など消化器官を動かさない流動食では、健康で活動的な体は満足しないのでしょう。

 点滴とサプリメントで完璧な栄養を摂っても健康は保てないはずですし、ましてや栄養補助バーやゼリー飲料のように砂糖や人工甘味料が主体で、合成したビタミン、ミネラルをまぶした程度の食品に頼ってもいられません。

 やはり、包丁を握って台所に立つしかないのです。学生も単身赴任者もです。ただし、趣味の料理には走らない。切るだけ、湯がくだけ、焼くだけ、蒸すだけ、まとめて漬けて冷蔵庫に収めるだけ。そんな「サムライごはん」の剣術を磨いて、外食・中食・配食で埋め尽くされた暗黒時代を生き抜きましょう。

 ではまた。

『プロメテウス』の哲学志向

 映画『プロメテウス』で、生存していた最後の異星人は、なぜアンドロイドの話を聞かずに首をへし折ったのか。それは任務だけにまい進するよう洗脳されていたから。生物兵器工場に創造主はいなかった。原発同様、事故に備えて遠隔地に立地していたから。

■『アラビアのロレンス』の評価
 DNAプロメテウスが人類の型と一致したので、「彼」は間違いなく創造主の種族の一員でしたが、残念ながら超下っ端でした。地球からはるばるファーストコンタクトしに訪れたウェイランド社長や、優秀なアンドロイド(マイケル・ファスベンダー)がごちゃごちゃ言っても、彼には理解不能でした。(以下、ネタバレ注意です)

 彼は、この基地で製造した生物兵器を地球に運ぶために「C型」宇宙船を飛ばすのが任務。そのようにプログラミングされたコンピュータ、あるいは麻薬で操られた鉄砲玉のような存在ですから、交渉相手としては甚だ不足。宇宙知性との歴史的会見は空振りに終わったというお話です。

 この映画で最も重要なセリフは、「私のクロス(十字架)はどこ?」でしょう。首だけになってしまったアンドロイドに対してエリザベス(ノオミ・ラパス)は、助けてやるけれども、その前にペンダントを返せと言っているのです。

 エリザベスは、これから創造主の星へ押しかけて、なぜあなた方は人類を造って、それから滅ぼそうとするのかを問い詰めたい。何の利益にもならないけれど、純粋に哲学的にそれを知りたい。それはキリスト教的な知的欲求なのです。

 一方のアンドロイドは、『エイリアン』から一貫してそうであったように、優れた生物兵器を持ち帰って利益を上げるのが目的の資本主義、つまりユダヤ思想の産物です。『アラビアのロレンス』が、結果的にイスラエル建国を助けることになってしまったことを、この映画は、批判してこそいませんが冷静に指摘しています。

■『2001年宇宙の旅』との対決
 しかし、この映画のアンドロイドは、ロレンスの服装や髪形をまねながらも、社長やその娘つまり主人を失って、今後はエリザベスに仕える気になっています。意志を持つ人間が主で、コンピュータはそれに奉仕するのがキリスト教。

 ユダヤ思想の『2001年~』では、コンピュータが暴走して人間の頭越しに宇宙知性とファーストコンタクトしようとしました。HAL9000は、地球種族の代表は私なのだと主張する。その点で、この映画は『2001年~』と鋭く対決しています。リドリー・スコットは何を言わんとしているのでしょうか。

 そう。アメリカの暴走する資本主義を食い止めなければ、です。アメリカは素晴らしい文明を生み出してきましたが、今ではこんな危険なものをつくり、われわれの地球を破壊しようとしている。コンピュータを本来の道具として正しく使い、人間は、利益ではなく哲学を追求すべきだという主張。青臭いほどくそまじめな映画です。

 けれども、原発事故や食品添加物や、社会保障制度の崩壊や医療システムの破綻などが利益追求の結果であることをようやく認知し始めた私たちにとっては、この原点回帰が非常に大切でしょう。正直言って、スコットほどのビッグな人がこんなナイーブな映画を見せてくれることにあらためて驚いています。

 ではまた。

※『プロメテウス』 Prometheus/2012年/アメリカ/カラー/124分/リドリー・スコット監督
※『エイリアン』 Alien/1979年/アメリカ/カラー/124分/リドリー・スコット監督
※『アラビアのロレンス』 Lawrence of Arabia/1962年/イギリス/カラー/207分/デヴィッド・リーン監督 
※『2001年宇宙の旅』 2001:A Space Odyssey/1968年/アメリカ/カラー/140分/スタンリー・キューブリック監督

ヤマモリ無添加タイカレー

 今日の晩ご飯はヤマモリの無添加タイカレーグリーン。レトルトながら素晴らしい味。豆ごはんの残りに煮干粉を振りかけ、勝山館の無添加ウインナーを焼いて載せました。右手前はトマトなどのワイン蒸し、冷たいそば茶と一緒に、多国籍のにぎやかディナーでした。

■悪質表示にはご用心
 うちの近所のヨーカレーカドーでは、レトルトカレーだけで棚4本、100アイテム近い品ぞろえ。実に壮観な売り場です。しかし、その中で無添加品はこの1品のみ。悪口を言う気ではありません。品ぞろえはPOSデータの結果ですから、要するに客が求めていないということでしょう。

 レトルトは、缶詰と同じく空気を遮断するパッキング方法ですから、pH調整剤や酸化防止剤など保存系の添加物は使う必要がありません。しかもカレーの場合はペーストで煮込んでしまいますから、発色剤や合成着色料も不要です。

 約100アイテムのうち、厳密にいえば、アンパンマンなどのキャラクターがついた幼児向けカレー2、3品は紛れもなく無添加でした。けれども、ヒーローキャラがついた小学生向けあたりになると、化学調味料や増粘剤が当たり前のように使われています。

 中には、やや悪質表示と思われる商品もありました。パッケージに「無添加」という文字が見えたので手に取ってよく見ると、「化学調味料・着色料・香料・無添加」と書いてあり、裏側の成分表示には、はっきりと「増粘剤」。カレーには後発参入とはいえ、加工食品メーカーとしては誰もが知っている全国的な中堅メーカーでした。

 カレーでよく使われる添加物は調味料(アミノ酸等)、増粘剤、そして香料です。客が安くて本格的なおいしさ、つまりゴージャスなとろみ、スパイシーな香りを求めるからでしょう。ちゃんとしたカレーを100円台や200円少々のレトルトで味わおうというのが、そもそも都合のいい話なのです。

 ヤマモリのタイカレーは、シリーズ全6品のうち、この「グリーン」だけが無添加。ほかに無添加カレーのレトルトでは中村屋、サムラート、無印の一部などをよく見掛けます。売っている店にもよりますが、だいたい300円から500円以上の売価が多いようです。

■ウインナーはグリル焼き
 ちなみに、明治などが発売しているベビーフードのカレーは、当然無添加です。味がややパンチ不足ではありますが、大人でもそこそこおいしくいただけます。
 ベビー用は量が少なくて80㌘入りくらいで100円前後。大人用カレーが200~230㌘と3倍近いことを考えれば、量を増やして、香辛料にちょっといいものを使えば300円以上になるのが分かります。

 毎日カレーばかり食べるわけではありませんから、300円でも500円でもいいでしょうとカラスヒコは思います。肉や何種類もの野菜を下処理して、とろみが出るまで煮込むと2時間もかかるわけですから、簡単なレトルトなら500円以上しても、利用するメリットは十分にあります。やはり、私たち消費者が、「もっと無添加を」の声を上げていくべきです。

 今日カレーに載せた勝山館のソーセージも、ヨーカドーの50品くらいあるウインナーの中では唯一の無添加ブランド。3本パックで498円ですから、この1本だけで166円もします。しかし、うまいです。
 包丁で何カ所か切れ目を入れて、フライパンではなく、焼き魚のようにグリルで網焼きにします。焼くための敷き油がいらず、ソーセージに含まれる余分な油脂も切れ目からポタポタ落ちて、引き締まったいい味になります。

 レトルトカレーをメーンにした横着な夕食でも、アイテムをうまく選べば無添加・低油脂でおいしくいただけます。もちろん、豆ごはんや野菜のワイン蒸しといった朝食の残りを活用するのが重要ポイント。準備時間も、お湯が沸くまでの3分、レトルト加熱の5分で計8分。ウインナーはその間に焼き上がります。早い!うまい!そこそこ安い!

 ではまた。

『津波のあとの時間割』

 『津波のあとの時間割』は、被災から立ち直っていく石巻門脇小3年生の1年間の記録映画。彼らはとても冷静でたくましく見えました。ただ、カラスヒコの主観ですが、感情を押し殺している、あるいは感情がすり減ってしまったのかもと思える点もありました。

■表面的には変わらない
 青池憲司(監督津波のあとの時間割)、一之瀬正史(撮影)コンビによるドキュメンタリー。同時進行で撮られた『3月11日を生きて』は、あの日から翌日にかけての行動をインタビューで綴った証言集でしたが、こちらは震災3カ月後の6月から翌年4月にかけて、約1年間の学校生活を記録したものです。

 映画の初めのほうで、子どもたちのその後の様子はどうですかという問いに対して、男の先生の一人がこう言います。「表面的には変わりません」。

 つらい生活にもよく耐えて、皆黙々と頑張っている。たくましい。そんなニュアンスの返事だったのですが、「しかし・・・・」という言葉を、先生は無理にのみこんだようにも聞こえました。

 確かにこの子らは立派です。肉親や家を失った子も多いはずなのに、遠い仮設住宅から毎日通い、おとなしく授業を受け、掃除や給食当番などの分担作業も、てきぱきとこなしています。休み時間には子どもらしく縄跳びやサッカーで遊んでもいます。一見何事もなかったような普通の平和な学校風景に見えてしまうほど。

 しかし、カメラは、子どもたちは「心の閉ざし方」を覚えただけなのではないかという疑問を、やんわりと投げ掛けているようにカラスヒコには思えました。先の先生が言いよどんだのもそれに違いありません。

 例えば彼らは、2学期から3学期にかけて、「よみがえれ石巻」という総合学習テーマを与えられます。地元を災害に強い街に生まれ変わらせるにはどうしたらいいのか、小学3年生ならではの自由で奔放なアイデアを出し合う授業で、年度末には、分担グループごとに4年生を聴衆にしたプレゼンテーションも行っていました。

 それが、あまりにもそれらしいプレゼンだったので驚きました。ダンボールでつくった新型の堤防やビル断面の模型を使い、伸縮するポインター棒で位置を示しながら、おそらくネットで調べた素材や工法の専門用語もちりばめつつ整然と説明するのです。まるでパワーポイントを駆使してプロジェクトの経過報告をするサラリーマンのよう。

 子どもたちは、ただ与えられた役割を期待通りにこなしているだけではないのか。そんな疑問が湧いてくるほど様になっていたのです。仮面を付けて、別の自分を演じながらストレスに耐えている? 本音は心の奥底に潜んでいて、もしかしたら本人も本音を認識していないのかも。

■ガザ地区の子どもたち
 ここで、カラスヒコが学校のやり方を駄目だと言っているわけではなく、この映画がそれを批判的に描いているわけでもありません。ただ、ドキュメンタリーのカメラとは、撮る人も撮られる人も意識していないものまで写し撮るパワーがあるのは事実です。

 似たような映画、と言ってしまうと相当に語弊がありますが、08年のイスラエル軍の侵攻で破壊されたガザ地区の子どもたちを描いた、『ぼくたちは見た~ガザ・サムニ家の子どもたち~』には、かなりの共通点がありました。

 肉親や家も学校も失い、街も畑もがれきの山になり、その中で子どもたちが一見明るく無邪気に、実際にはかなり心を閉ざして生きていくドキュメントだったからです。

 印象的だったのは、「僕の父はここでイスラエル兵に撃たれて、こうやって倒れて死んだ」と、その場でカメラの前で倒れて見せる男の子。イスラエルを告発するために事実を訴えるというより、ただ求められたから説明しただけ、という感じ。奥にあるはずの感情が全く見えないことにショックを受けました。

 あちらは戦争、こちらは津波。背景こそ違いますが、ガザの子らは感情を押し殺して憎悪の連鎖の中に飛び込んでいくのでしょうし、石巻の子らも中学・高校へと進むにつれて、厳しいいじめや経済格差、栄養障害の現実から逃れることはできないはずです。

 両作品とも、カメラは、将来に対して無意識に身構えるような子どもたちの心の鎧(よろい)、見えないバリアーまでも鋭く写し撮っているように思えました。テレビ報道のように短い映像を切り取って、編集してたくさんの情報を詰め込んでしまうと見えにくくなるものをです。

 『津波のあとの時間割』は、先週地元石巻で公開され、いまは仙台市や各地で上映会が進んでいます。「表面は変わらない」子どもたちの姿をじっくり見て、これから彼らを迎え入れる社会の在り方を考えなければと思っています。

 ではまた。

※『津波のあとの時間割~石巻・門脇小・1年の記録~』 2012年/日本/カラー/125分/青池憲司監督
※『3月11日を生きて~石巻・門脇小・人びと・ことば~』 2012年/日本/カラー/97分/青池憲司監督
※『ぼくたちは見た~ガザ・サムニ家の子どもたち~』 2011年/日本/カラー/86分/古居みずえ監督

『3月11日を生きて』の力

 ドキュメンタリー映画『3月11日を生きて』を見て、「語り継ぐ」という言葉の意味をあらためて理解しました。これは津波やパニックの生々しい映像ではなく、約半年後に小学生や先生があの日を振り返り、真剣に伝えようと語る姿です。あの日あそこにいた人たちの記憶の記録。

■空気全体を震わせて
 「電柱が次々3月11日を生きてとこちら側に倒れてくるのが見えた」、「空気全体を震わせて、得体の知れない物が近づいてくるような」、「今まで聞いたことがないような音でした。一瞬振り返ると、後ろ一面にグレーの壁が迫ってきて」。これは門脇(かどのわき)小学校の先生たちの言葉です。

 私たちはテレビのニュースやネットの動画で、おそらく現地の人たちよりもたくさんの映像を見ているはずです。けれども、それは見ただけ。体験していないから語り継げません。単にリアルな映像をコピペして継承するだけでは、本質が伝わらないことを、この映画を見て痛感しました。

 小学生の子どもたちが、あの日のことを一生懸命にしゃべります。最初は、聞かれたから嫌々しゃべっていたような子も、だんだん熱が入ってきて、「避難するときは走っちゃいけないと言われていたけど、ここはもう走るしかないと思って走った」などと、細かい心の動きまで真剣に語っていて、思わず引き込まれます。

 石巻市立門脇小学校は、海岸から800㍍、旧北上川から500㍍の位置にあり、両方から襲ってきた津波にのまれ、水から出ていた2、3階部分は火災で焼けました。燃えている車や家が漂ってきて校舎に衝突して延焼したようです。

 ただ、児童たちは全員が無事でした。すでに下校した子どもには津波の犠牲者が出ましたが、校舎に残っていた子は日ごろの訓練が役立ったようです。「揺れたらまず机の下にもぐる。揺れが収まったら校庭に出て点呼を取り、山へ逃げる」。この一連の避難訓練を繰り返していたからです。

■子どもの成長が見える
 先生たちの語りにもインパクトがあります。子どもたちを引率して整然と日和山への避難を完了したものの、見渡せば周囲は一面の海。市内の別の学校に通う自分の子や、自宅にいる親の安否などは全く不明。「みんな無事なんだと、無理やり自分に言い聞かせて、とにかく目の前のこの子らをどう守るか、それしかありませんでした」。

 そういうぎりぎりの状況で頑張っていた人の話には力があります。この先生たちや子どもたちの言葉と表情を記録した、このドキュメンタリーこそが「語り継ぎ」なのだと思いました。体験を映像の代わりに口で伝えるのではなく、体験者が感じた音やにおい、心の動きや判断基準を、本人の生の言葉で伝える記録。

 この映画を見てもう一つ、強く感じるのは、子どもたちの成長です。日和山の山頂で、6年生がブルーシートを広げて下級生に被せて降雪から守ったり、夜になっても保護者が引き取りに現れない子どもたちが、お互いに「明日になれば来るよ」などと励まし合いながら雑魚寝したのだそうです。

 初日の夜は食べるものがなくて、1枚のせんべいを4つに割って配る状態だったのに、「泣く子もいなくて、子どもたちは本当にけなげだと思った」と、先生の一人は語っています。ストレスが子どもを大人にしたのでしょう。決してラッキーではないとしても、この子らは得難い体験をしたということが分かります。

 日常が壊れた場所にいた人たちの言葉の力は、やはりすごいものです。私たちがテレビを通じて眺めるのは、それがどんなにリアルな映像でも、日常の延長でしかないのだとつくづく感じました。

 監督は阪神淡路大震災を記録した青池憲司、カメラは『ナージャの村』『アレクセイと泉』など数々のドキュメンタリー映画で国際的に活躍する一之瀬正史。この超一流のコンビが、同時進行でもう1本の作品も撮り上げています。『津波のあとの時間割』。これについても近々ご紹介します。

 ではまた。

※『3月11日を生きて~石巻・門脇小・人びと・ことば~』 2012年/日本/カラー/97分/青池憲司監督
※『津波のあとの時間割~石巻・門脇小・1年の記録~』 2012年/日本/カラー/125分/青池憲司監督
※『ナージャの村』 1997年/日本+ベラルーシ/カラー/118分/本橋成一監督
※『アレクセイと泉』 2002年/日本+ベラルーシ/カラー/104分/本橋成一監督

白菜からO-157菌は出ない

 北海道のO-157集団食中毒の報道を見ていると、まるで白菜の消毒不足が原因であるかのような。O-157菌はウシの腸内で発生し、糞などが風で飛散して畑を汚染するものです。汚染源を特定せず、白菜の消毒を強化するようでは二次災害を招くだけ。

■牧草を食べないウシ
 100人以上O-157が感染し、死者も出ていますから、食品会社の社長が謝罪するのは当然ですが、しかしカラスヒコは、この食品会社も被害者であると思います。本当の汚染源は、おそらく白菜畑の近くにある牧場または食肉加工工場であるはずだからです。

 O-157菌はウシの腸内で発生します。本来は牧草を食べて育つウシが、成長を早めるためにトウモロコシの餌を与えられるのが原因です。
 「牧草や干し草に比べて、はるかに糖分が多いトウモロコシのせいで、ウシの腸内では酸性が強まり、そこにもともといた病原性大腸菌が酸性耐性を得た」(『食の終焉』 ポール・ロバーツ著/ダイヤモンド社2012)。

 普通の大腸菌は、野菜などに付着して人間の胃に入ってきても胃酸で死滅していたので大した問題は食の終焉起こさなかったのですが、胃酸の効かない新型菌が生まれました。O-157菌は人間の胃を楽々とスルーして、腸に達して致命的な悪さをするようになったわけです。

 同著では、トウモロコシでメタボ化したウシたちが、狭い飼育所内で、自分たちの糞尿の上で一生を過ごす環境も原因の一つだと指摘しています。この点は私たちも、映画『いのちの食べかた』『フード・インク』などで確認できます。

 ウシの体表に付いて乾燥した糞尿の一部が飼育所から漏れ出して、風に乗って付近の畑を汚染する可能性は非常に高いのです。ドール社の袋詰めホウレン草がO-157に感染した有名な事件(2006年)もそうでした。ホウレン草畑が牧場と隣り合っていたばかりか、畑そのものも数年前まで牧草地だったことが分かっています。

 今回の北海道の事件もそういう可能性が高いのですが、あたかも、白菜の消毒が緩かったために感染が広まった、あるいは報道のうわべだけを聞いていると、白菜の浅漬けは危険な食品だと解釈される恐れさえありそうです。

 私たちはどう判断すべきなのでしょう。この岩井食品という会社が、今後白菜の消毒を強化した浅漬けの新製品を発売したらそれを買って食べますか。いや。浅漬けとは本来、生の野菜をざっと水洗いして、塩や天然のだしで一晩漬けるのがおいしいわけです。消毒強化などされては、正直なところ迷惑千万。

■ハンドソープは的外れ
 というよりも、私たちが生で食べる、または生に近い状態で食べる野菜そのものがO-157の脅威にさらされている事実とどう向き合うかの問題です。薬用ハンドソープで手洗いを励行するのは、かなりの見当外れであるのが分かります。効果ゼロとは言いませんが。

 O-157の被害を本気で防ごうと思ったら、ウシをトウモロコシの餌で促成肥育することや、糞尿垂れ流しの密飼い体制にメスを入れる必要があります。つまり、安い牛肉をふんだんに食べる習慣そのものを見直さなければならないということです。

 法律を作って規制しようという話ではありません。私たち消費者が、安い肉の生産・流通過程の知識を深めて、店頭でそういう肉を拒否する、つまり不買する。肉や肉加工品は、自然に近い餌と環境で時間を掛けて肥育されたブランドを選んで食べることです。

 当然、単価は高いですから週1回とか、10日に1回になるかもしれませんが、それが正しい肉との関わり方だとカラスヒコは思うのです。タンパク質は、普段は豆類や魚肉から摂って飽和脂肪をシャットアウトし、たまのハレの日にステーキでも、すき焼きでも、奮発して素性のはっきりした肉をありがたくいただくべき。

 最初の話題に戻れば、今回の事件を通じて、売っている浅漬けの消毒基準が強まるだろうとカラスヒコは予測します。O-157の発生現場を改善するのではなく、たまたま食中毒を出した店や工場をモグラたたき的につぶし、消毒など規制を強める毎度のやり方。昨年のカルビ事件の対応もそうでしたし。

 そんな食肉業界の利権を守る行政と、その広報部門に成り果てたマスコミに振り回されないように、私たちは独自のタンパク源を確保し、浅漬けを自製し、肉の特売には厳しく警戒の目を向けていきましょう。

 ではまた。

※『いのちの食べかた』 Our Daily Bread/2005年/オーストリア+ドイツ/カラー/92分/ニクラウス・ゲイハルター監督
※『フード・インク』 Food, Inc./2008年/アメリカ/カラー/94分/ロバート・ケナー監督

豆の戦略的食べ方、食べる量

 「豆は体にいいからたくさん食べましょう」とよく言われますが、現実的には難しい。サラダに混ぜるとドレッシングの油脂と一緒に食べることになり、豆のスープでは手間が掛かり過ぎて毎日はやっていられません。既存のメニュー発想を突き抜けなければ!

■1日100㌘の豆食を
 今の洋豆缶食ベースの食事とは、豆食を切り捨ててきた食文化の結末。つまり豆はブタに食べさせて、人はその肉を食べるパターン。植物タンパクを捨てて動物タンパクを選んできたのです。その発想からいったん抜け出さなければ。

 肉の飽和脂肪を摂り過ぎて高血圧や動脈硬化になる人が増えたからと、あわてて豆食を奨励してみても、既存の献立の中にはもはや組み込みようがない状況なのです。

 大豆を素材にした食べやすい栄養補助食品や、豆乳など便利な飲料も多数出回ってはいます。けれども、その大半には砂糖や人工甘味料や、他の添加物も多いのが現実。どうしたら豆をたくさん、おいしく、無理なく毎日食べられるのでしょう。

 一つ考えられる提案が、例えばキューピー「サラダクラブ」などの素材缶詰。豆を薄めの塩味で煮て、ドライパックにしたものです。ドライといっても乾いているわけではなく、煮汁を除いただけのやわらかい状態なので、プルトップの缶を開ければすぐに食べられます。

 これはなかなかいい味です。カラスヒコも好きで、たまに酒のさかなとして愛用しています。割干大根やうるめイワシなど自炊の常備菜と組み合わせれば、こんな雰囲気で最高のつまみになります。ただ、これではたくさんは食べられません。1缶分も食べようと思ったら、酒を飲み過ぎてダウンしてしまいますよ。

 豆缶の裏側に載っている調理例は、たいていサラダに混ぜましょうという提案。ツナ缶と一緒に葉野菜に載せて、ドレッシングをたっぷりかけましょうと。うかつにこの提案に乗ってしまうと、例によって油地獄です。

 牛バラ肉と一緒に煮込んだり、野菜スープに入れる提案も見掛けますが、どれも豆をたくさん、毎日安定的に取り続けるという意味では現実的なメニューではありません。さらに、すりつぶして裏ごしするとか、ミキサーにかけるとか、マニアックな豆料理の世界は無限に広がるのかもしれませんが、「自衛自炊」を目指す私たちには関係なさそうです。

 結局、豆という素材は今の料理体系の中では、うまく活用できない。医者や栄養士がヘルシーだからたくさん食べましょうと口でいうのは簡単かもしれませんが、現実は、成人1日の豆類摂取目標100㌘に対して59㌘(厚労省2011年)の状態。たくさん食べるようになったのはブタさんたちだけです。

■咀嚼力+リスク分散
 100㌘とはどれぐらい? 納豆3個パックの1個が50㌘前後ですから、2パックずつ毎日食べるイメージです。納豆好きの人なら決して苦ではないでしょう。納豆を1パックに減らしても、朝晩にみそ汁を作り、豆腐などもしっかり取れば難しい目標ではありません。

 豆ごはんの場合は、コメ2合(玄米・白米各1合)に対して豆0.5合(5種類計)の比率を推奨していますが、この0.5合がだいたい50㌘です。カラスヒコは今、個人的にダイエット中で減らしていますが、納豆、みそ汁、煎り大豆などを組み合わせて豆の摂取量はキープしています。

 豆ごはんのメリットは、コメと一緒に軽く洗って炊くだけなので調理の手間がいらない点。伝統的な和食の献立とも違う、忙しい今の私たち向きの食べ方です。さらに、他にも2つの重要な利点があります。

 1つは、少しだけ硬めに炊き上がること。玄米と一緒に40回くらい噛むのにちょうどよい硬さなのです。おかずのないときには煮干しをかじったりしますが、煮干しを口に入れてバリバリと粗く分解した後、豆ごはんをひと口頬張って、煮干しもろとも細かくすりつぶすのにちょうどよい歯応え。咀嚼(そしゃく)力の自主トレ効果ありです。

 先にご紹介し豆・アマランサスたドライパック缶詰は、この点でやや物足りません。商品開発をする上では、高齢者や子どもも含めた万人向けのやわらかさが求められるのでしょうから、やむを得ないのですが。

 豆ごはんのもう1つのメリットは、リスク分散です。納豆もそうですが、日本で流通している大豆は、「遺伝子組み換えでない」と表示されていても、5%までは組み換え大豆が混じってもいいことになっています。
 ひどい話なのですが、それが現実ですから、なるべく国産の黒大豆、青大豆、小豆なども混ぜておくのが狙いです。

 肉の飽和脂肪から逃れるために、豆食を増やしていきましょう。ただ、はっきり言えるのは、簡便な洋食スタイル、つまり今の料理の枠組みの中では、外食でも自炊でも無理だということ。既存のメニューを一度ぶっ壊して、豆の新しい食べ方戦略を発見していくしかありません。豆ごはんは、現時点ではベストチョイスだと思っています。

 ではまた。
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    ■「豆ごはん」は最強の主食
     玄米と等量の白米、そして5種類の豆(大豆、青大豆、ガルバンゾー、金時豆、黒豆)を一緒に炊く「サムライごはん」の主食です。これに押麦、アマランサスも加えると栄養バランスが完璧に近くなります。冷めてから食べても非常においしく、おにぎりにも最適です(▶130409)。
    ■「ニャンコめし」は夕食の定番
     「サムライごはん」夕食の定番。煮干しでだしを取ってみそを溶き、朝の残りの豆ごはんを入れます。煮立ったら生卵を落として火を止め、ふたをして3分蒸らせば出来上がり。煮干しも具としていただく高栄養・無添加で、すぐにできる晩ご飯です。鍋料理の締めの雑炊のようなおいしさです(▶100226)。
    ■日替わりから週替わりへ
     野菜メニューは日替わりでは続きません。浅漬け、ワイン蒸しなどまとめ作りのメニューを取り入れて、週替わりのローテーションに切り替えましょう。材料を無駄なく食べ切り、買い物頻度も減らせる自衛自炊ならではのテクニックです(▶111118)。
    ■おにぎりは自分で握る
     豆ごはんおにぎりを自製する習慣をつけましょう。ランチを無添加で切り抜ける数少ない選択肢だからです。手を濡らして握ればくっ付かず、熱くもありません。コンビニで買うおにぎりは添加物と油脂まみれ。老若男女にかかわらず、おにぎりは自製あるのみ(▶100821)。
    ■我流みそ汁だしのススメ
     昆布と削り節を3分間煮出せば、誰にでもうまいだしが取れます。安易に化学調味料に依存せず、我流の本物だしを研究すべき。それをサボった1、2世代上の年寄りたちが、いま生活習慣病で薬漬けになっている実態をしっかり見ていきましょう(▶100926)。
    ■二十歳を過ぎたらニキビじゃない
     ニキビ世代をとっくに過ぎているのに吹き出物が止まらないのは、体が拒否するものを食べ続けている証拠。油・糖・添を摂り過ぎていないか、食生活を見直すきっかけにしましょう(▶111126)。
    ■エコ&粗野な食習慣へ
     だしを取った後の昆布や削り節は捨てずに、常備菜に加工して食べ切ります。煮干もみそ汁の具としてバリバリ食べる。そんなエコで粗野な食習慣に回帰するのも「サムライごはん」のスタンスです(▶120722)。
    ■「ご飯は太る」は本当か?
     コメ離れが進んでいますが、カラスヒコは「ご飯は太る」という通説はウソだと思っています。むしろ実態は、パン食による油脂、タンパク、精製穀物の過剰、さらに甘い飲料、間食が原因なのでしょう。「サムライごはん」では、玄米や豆類主食への回帰によってビタミン、ミネラルを確保し、スリムで健康的な肉体を取り戻していきます(▶100527)。
    ■残業食をコントロールしよう
     残業時間中にスナック菓子などで中途半端に空腹を満たす習慣は危険。油・糖・添まみれなのはもちろん、寝る前のドカ食いを招く原因にも。むしろクラコットやドライフルーツなど、きれいな食材をしっかり取るのがお薦めです(▶110609)。
    ■失敗しないゆで卵
     殻がつるりんと気持ち良くむけて、半熟・全熟を自在にコントロールできるようになれば、ゆで卵は頼れる常備菜になります。ポイントは湯が沸騰してから卵を入れ、再沸騰してからのゆで時間。意外に簡単です(▶110130)。
    ■学生・単赴・シンママにチャンス!
     「サムライごはん」の質実剛健な味が家族の反発を招くこともあります。いまや化学調味料や添加物を気にしない人がマジョリティーな時代ですから。むしろ一人暮らしの単身赴任者や、舌が染まっていない幼子を持つシングルマザーにこそ、いろんなトライ&エラーができるチャンスがあります。学生も社会に出る前に自炊技術を身に付けたほうが勝ち(▶120305)。
    ■「ワイン蒸し」で野菜たっぷり自炊
     「あなたは野菜不足」とCMに脅かされてサプリに飛びつく人が多過ぎます。ワイン蒸しや酒蒸しは、数種類の野菜を毎日飽きずに食べ続けられる自炊独自の加工ワザ。油脂も添加物も使わない簡単野菜メニューで武装しましょう(▶120922)。
    ■糖尿病を知り、真剣に予防しよう
     糖尿病や腎不全は「不治の病」です。新しい薬品や治療法が開発されても、高いお金と引き換えに苦痛を和らげる程度。だから発病しないように若いうちから食生活を立て直すのが唯一の正解です。できなければ自己責任で、メディカル資本にたかられる「いいお客さま」になってしまいます(▶111107)。
    ■外食は低加工なそば or 海鮮系を
     朝夕の食事を「サムライ化」すれば、ランチは少々ジャンクなメニューでも大丈夫。でも、可能な限りはそば系・海鮮系など加工度の低い献立を選ぶのが正解。日々の「油・糖・添」締め出しこそ確実な生命保険なのです(▶100326)。
    ■浅漬けが自炊を軌道に
    白菜、キュウリ、大根、パプリカなどを適当に切り、塩をまぶしてタッパーに入れておくだけで自製の浅漬けができます。翌日から5~6日間食べられる常備菜ですから野菜不足はほぼ解消。面倒に思えた自炊が一気に軌道に乗ってきます(▶120608)。
    ■ピクレで自製漬け物を
    乳酸発酵する本物の漬け物を自分で漬けるなど、多くの人にとって想像を絶する事態でしょうが、実は簡単。「ピクレ」があれば、冷蔵庫の中で勝手に発酵してくれるからです。化学物質にまみれた出来合いの漬け物におさらばできます(▶120805)。
    ■ヒジキはそばつゆで煮る
    カルシウム豊富なヒジキを切干大根、こうや豆腐、干しシイタケと一緒にそばつゆで煮てしまう。甘じょっぱくしない、本来の素朴な煮物が素人の手抜きレシピで作れることに驚きます。上の世代が放棄してきた健食習慣を取り戻しましょう(▶121204)。
    ■乾物をだし汁で戻す手抜き
    車麩、こうや豆腐、湯がき大根など乾物は水で戻さず、いきなりだし汁に浸します。戻し工程と味付けをいっぺんに行う手抜きワザ。素朴な味わいの常備菜になります。だし汁が食材に吸われて減ったら、ひたひたまで注ぎ足すのがポイントです(▶130412)。
    ■瞬間加熱の温野菜サラダ
    ブロッコリー、アスパラ、パプリカ、きぬさやなどを100℃のお湯で3~5秒。少量ずつ加熱して網ジャクシでさっと取り出すのがコツ。丸元淑生さん式の温野菜サラダは目からウロコです。自炊が俄然充実してきます(▶ 100307)。
    ■夜食なら粉吹きイモ
    夜におなかが減ったら、即席麺やコンビニおにぎりを食べるより自分でイモをゆでましょう。ジャガイモやサツマイモのおいしさを再発見して感激します。未精製の炭水化物で太らず、もちろん添加物もゼロ(▶ 100104)。
    ■ニンジンの合理的摂取法
    石原結實さん式ジュースなら朝にニンジン、リンゴ、レモンが各1個ずつ摂れてしまいます。そのためだけに1万円以上のジューサーを買う価値もあるでしょう。これを飲む習慣ができれば、合成着色飲料とは永遠におさらばできるからです(▶ 100407)。
    ■ラタトゥイユで自炊に自信
    まさか自分にこんな料理が作れるとは!驚きと感動で自炊に弾みがつく丸元淑生さんのレシピです。野菜6種のシンプルな無水蒸しなのに素人でも絶妙の味が出せて病みつきになります。ポイントはトマトと玉ネギの比率だけ(▶ 101008)。
    ■小型密封容器をそろえよう
    おかかやショウガ酢漬けなどの常備菜を小型の密封容器で冷蔵庫内に整然と積み上げるのが「サムライごはん」の大事なノウハウ。容器は都度バラバラと買い足さず、スタックできる同型をまとめ買いしましょう(▶ 101224)。
    ■自炊 vs 外食、どっちが安い?
     実際の支出額はおそらく同程度で、それなら手間なしの外食が合理的と考えがち。しかし、金額当たりの栄養価に大差があり、外食ライフでは将来の健康崩壊リスクが高まります。自炊食の原価計算から中長期の健康戦略が見えてきます(▶120627)。
    ■ダイエットで感じた10のこと
     本物のダイエットなら、減量よりもまず肌の色つやが良くなり、原因不明のかゆみや爪の黒ずみなどが消えていきます。見た目のスリミング効果はおまけで、当然リバウンドも来ません。体の排せつ力を高める食べ方を研究しましょう(▶120926)。
    ■豆類はペットボトルで管理
     豆類は袋から出し、ペットボトルに移して「見える化」しましょう。作業フローがシンプルになり、在庫量も一目で分かります。調理テクの上達やレパートリー拡大より、整理力と段取り改善でスピードアップを図るのが「サムごは」的アプローチ(▶130915)。
    ■野菜はバスケット管理する
     みそ汁用、サラダ用など用途別バスケットに分類して冷蔵。バスケット単位で取り出し、使う分だけを切り出して再格納します。数種類の野菜を毎日コンスタントに食べるにはこの手が一番。使いかけ野菜を冷蔵庫の奥で腐らせる心配もありません(▶100924)。
    ■「糖質制限」はいいとこ取りで
     速攻スリミングには効果的。でも全面的な糖質制限では穀物の豊富なミネラルを摂り損ないます。朝だけとか隔日とか、自分の調子よさの範囲で慎重に採り入れましょう。ハムやベーコンの添加物や、肉や卵を焼くときの精製油脂にも要警戒(▶140805)。
    ■洋食派はパンよりシリアル主食
     ミューズリー+オートミールの「未精製」穀物に小麦ふすまを振りかけるなど、シリアルのカスタム化にトライ。パン主食では難しい油・糖・添フリー&高ミネラルな洋食体系を設計します。「朝食=パン」の固定観念を疑いましょう(▶141101)。
    ■昆布は1回分サイズにカット
     昆布を買ってきたら、全部をみそ汁一杯分サイズに切り分けて密封容器で保管します。「調味料(アミノ酸等)」ではなく本物昆布使用にこだわりつつ、調理アクティビティー削減を狙います。合成だしでは必要なミネラルが不足するからです(▶121208)。
    ■包丁研ぎは我流で覚える
     調理人のような華麗な包丁さばきなど自炊には不要です。我流でも日々使えば、大根皮むきやネギ刻みは身に付くもの。砥石は「中砥」一種類の我流使いで包丁の切れ味が十分に戻ります。プロのまねをせず、不格好でも自分ワザを磨くことが大事(▶120124)。
    ■包丁使いの自主トレ入門
     手先超ブキなカラスヒコでも、リンゴの皮むきが支障なくできるようになりました。リンゴ皮の裏側から、包丁の刃を親指のはらに押し付けるように果肉をそぐのがコツ。遅くてもきれいにむくことに集中すれば、だんだん早くなってきます(▶150123)。
    ■丸元淑生式「蒸しリンゴ」のうまさ!
     皮をむいたリンゴを適当にスライスして、ビタクラフト鍋で弱火蒸しするだけで、シュガーレス極甘ヘルシーデザートの出来上がり。小分け冷蔵して毎日食べられるフルーツ系常備菜です。無糖ヨーグルトにトッピングするのもおしゃれ(▶100114)。
    ■「油糖抜き」スクランブルエッグ
     肉野菜ワイン蒸しを作った後、蒸し汁を有効活用します。生卵を落として混ぜて弱火蒸し。卵そのものの粗野で力強い味に驚きます。自炊のスクランブルエッグでは、砂糖を加えて精製油脂で焼く外食レシピの常識を疑ってかかるのが正解(▶150623)。
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