長時間労働是正の本筋は、労働市場の自由度を高める解決です。つまり、ろくに残業代も支払わずに従業員をこき使う会社からは人材が流出しやすくすればいい。そうならない原因は、辞めると次の会社に就職しづらい社会だからです。

■実力を問わぬ社会
 採用する側が、前の会社を辞めた人は何か問題を起こしたに違いないとか、協調性や忍耐力に欠けるとみなし、うちで採用してもすぐに辞めるのではと思ってしまう。そんな一般論でしかみられないのは、個々の人材の実力を見極める力がないからです。

 採用担当者が、変な人を採ったら自分の評価が下がると思うから、プラスの実績よりもマイナス要素の少なそうな人を選んでしまう。リスク回避が最優先ですから、会社の未来を切り開く戦略的な人材採用とはとても言えません。

 その結果「可もなく不可もない人」が集まって常識的なビジネスを展開することになり、会社はだんだん負けていきます。よくあるパターンですが、これって採用担当者が悪いの?それともトップが悪いの?

 いえ、これはもっとスケールの大きい日本型組織の特性。簡単に「変革」などできないとカラスヒコは思います。従業員を「公平に」評価しようと、生真面目に多くのルールを作り、そのルールに忠実に従う人を優遇せざるを得ない。実力がずば抜けていてもルールを守らない人は困る人。

 その逆は、例えば小規模な自営業です。おやじ的な社長がいて弟子たちがいて、おやじの奥さんが専務で、弟子も家人のように面倒も見て叱りもするような、昔風の封建的な家業スタイル。

 でも、イノベーティブな起業家マインドはたぶんそこにあり、自営業者が一身を賭けた乱暴な決断やひらめきがしばしば、合議や経営判断の透明性を重視する大手を打ち破ります。ベンチャー的な強みのコアはリスクテイクなのです。

 デフレが続いて中小零細な企業がじわじわ廃業あるいは大手に吸収されていく中で、型破りで革新的な会社が減り続けています。ルールを盾にして野性的な活力を封じる社会。

 現政権が進める「働き方改革」には本来の生産性改善的な要素はほとんどなく、皆で一斉に働く時間を制限する横並びルールの押し付けに見えます。大手なら耐えられても中小零細はつぶれる。

 そうやって強者が改革せぬままマーケットを奪える仕掛けでしょう。口では自由競争をうたいながら、実態は明らかに競争抑制。形を変えた大企業優遇策、寡占化促進策になっています。

■キャベツの実力を見極める
 高齢ドラ認知症ドライバーイバーの事故が減らないのも実力不問の社会だからです。無事故・無違反の人なら、おざなりの安全ムービーを見るだけで更新されてしまう。
 本来なら、免許の初取得時と同じ実地乗車テストを行い、アブナイ人の免許は停止すべきです。

 それをしない理由は、コストがかかるからでしょう。免許停止を言い渡される人が増えると商売や通勤に差し支えが出て社会的損失が大きくなる。
 だから、実力を伴わないドライバーが起こす「少々の」事故を私たちも含めた社会全体が容認していることになります。

 ま、しかし、この問題は自動運転AI車の普及によって間もなく解決するはず。運転免許が不要になり、今の子供たちは運転スキルを身に付ける必要もなくなるでしょう。「免許産業」に携わる人たちは職を失いますが、社会全体で見れば技術革新のメリットのほうが大きいといえます。

 さて、私たちの食環境でも同様の技術革新が進行中です。消費者がいろんな食品の「実力」を見極められないから「少々の」健康障害が起こっています。調理スキルが不要になり、病気や不調が広がる一方でメディカル産業、ケアビズが拡大して経済成長をけん引する社会。

 運転スキルがなくても健康に直接の悪影響はなさそうですが、調理スキルを失った人は、かなりのパーセンテージでメディカル産業のクライアントにされていきます。薬物のニーズが作られている気配。

 左写真は、ワイン蒸し (25)玉ネギとキャベツをいい加減に切り、トマトと無添加ソーセージを載せて料理ワイン白、塩、ブラックペッパーを振ったところ。これを弱火で7、8分蒸せばシンプルで飽きないメインディッシュになります。高栄養&ほぼ無添加。

 キャベツなど野菜の実力、つまり鮮度やハリ・ツヤを自分で見立てて買い、塩も、精製されたNaclではなく海水を煮詰めるなどした自然系を選ぶのがポイント。それには知識や訓練がいりますし、探して歩く時間もかかり、割高でもありますが。

 そうしたコストや手間を嫌い、「安い早いうまい」の外食や調理済み食品で済ませるスタンスがヤバいのでしょう。ぼやっとしているとだまされる、けったいな社会。政府も会社も学校も守ってはくれないと覚悟を固め、人や食物を見る目を自分で鍛えていくしかありません。

 ではまた。