おいしいポテサラ作りのキモはスピードです。ゆで上がったイモの皮を素早くむき、ひと口大に切って蒸気を抜きつつ、熱いうちに油と酢をかけて混ぜる。マッシャーでつぶさず、ゴロゴロとした塊を残すほうがイモの素の味が楽しめます。

■ミニマム加工のおいしさ
 こポテトサラダ(4)れは丸元淑生さんのレシピです。ゆで上がったジャガイモを包丁で四つ割りにして皮をむき、さらに三つか四つに切り分けてボウルに放り込みます。そして油と酢を適当にかけ、カレーを食べるときの大スプーン2本で混ぜる。

 ぐちゃぐちゃとかき混ぜるのではなく、イモの塊をなるべく崩さぬよう、2本のスプーンで持ち上げて落とす感じ。それを何度も繰り返し、油と酢が全体に均等に行き渡ったらマヨネーズを少量かけ、また同様の混ぜ方をします。

 マヨネーズが多過ぎると全体がマヨ味になり、イモのやわらかな味が消されるので要注意。出来合い総菜のポテサラにありがちな飽きやすい味になってしまいますから、マヨはあくまで隠し味的に使います。

 油は、精製されたサラダ油ではなく、少し高いけれどアマニ油がお薦めです。酢はお好み次第ですが、カラスヒコは癖のない穀ポテトサラダ (3)物酢や米酢が好み。イモの素朴なうまさがストレートに出るからです。

 今回はイモだけのピュアなサラダにしましたが、マヨネーズをかけるタイミングで生玉ネギのみじん切りを加えてもうまいです。玉ネギの辛味がイモの甘みと絶妙に合い、シャリシャリした歯触りもなかなか。また、パセリを刻んで混ぜると色合いが冴えて食欲をそそります。

 ただし、自衛自炊的には、そうした飾りや演出は二の次だとカラスヒコは考えています。イモをシンプルに味わい、常備菜として3~4回調理をサボるためのサラダ作りで時短しましょう。演出で遊ぶのは暇なときだけ。

 この「イモだけサラダ」を食べていると未精製の炭水化物のうまさをしみじみ実感できます。白菜やキュウリの浅漬けなどとも共通する、ありきたりの素材の味をコンサバな調味料で引き立てるだけのおいしさ。

 調理好きな人ならともかく、調理下手で面倒くさがりな私たちの目標は「ミニマム加工でおいしく食べる技術」を極めることです。料理本や料理学校に頼らず、ひたすら自炊の現場で日々研究を重ねるのが正しい選択。 

 ※ジャガイモのゆで加減や皮むきテクについてはこちらをご参照ください。

■素の味でいただく「蒸し」ワザ
 さて、料理下手な人向きのミニマム加工ワザをもう一つ、それは「蒸し」です。肉や野菜を適当に切り、蒸気で加熱するだけ。写真ではビタクラフト鍋を使っていますが、厚手鍋で重めのフタがきっちり閉まるなら、ホーロー製や蒸し鉄鍋でもOKです。

 鍋底に水を張り、蒸しトレイの上に肉やイモ、野菜を並べた後、右上のキャベツを、全体を覆うように乗せて強火加熱。
 沸騰したら蒸気が出続ける程度の中火に落とします。キャベツは、少しやわらかくなった3~4分後、先に取り出します。

 肉には、過熱する前に塩とブラックペッパーを振っておきますが、他の野菜は一切味付けなし。口の中で肉と混ぜながら薄味で食べていきます。キャベツやニンジン、ブロッコリーなどが意外に濃く、個性的な味わいなのに驚きます。

 加熱時間を短縮するためには、イモやニンジンなど熱が通りにくい野菜を薄めに切ります。肉やブロッコリーと同時に蒸し上がればすぐに食べられるからです。
 切り方と蒸し時間の加減はマニュアル的にではなく、2、3回やってみて「技能」として身に付けるべき。

 昨今は世の中の「他炊圧力」が強まって調理技能が軽視されています。スマホでレシピを引っ張れば誰もが何でも作れる。冷凍品や水煮など半調理品を買い、○○の素を使えばプロの味が楽して出せる社会になりました。 でも、それは幻覚だとカラスヒコは思います。

 誰か他人が見立てた食材が工場で加工され、賞味期限を大きく延ばされた製品が自分で調理するより安く食べられるのはなぜ?しかも途中で利益が抜かれているのに。母親が子のためにする無償の調理労働とは全く別物だと理解しておくべきでしょう。

 安い他炊食品の場合、精製プロセスによる栄養素の欠落や、それらしい味や食感を作るための添加物混入の疑いがふっ切れません。5年10年食べ続けた後に病気になるかも。そのとき、大丈夫と言っていた国やメーカーでは担当者がとっくに変わっているはずです。

 蒸しワザのアドバンテージは精製油脂を使わず、肉や野菜を素の味に近い状態で食べられること。料理に凝らず、余分な味を外から加えないのにうまい。トクホや機能性表示食品に頼らない健食ワザの大きな柱になるのです。

 ではまた。