口蹄疫や豚・鶏インフルエンザなどが流行すると感染ルートを特定して責任者を処罰しますが、家畜の抵抗力の弱さや感染が広がりやすい密飼い環境はあまり問題になりません。自然環境から隔離されればひ弱になるのは当然で、私たちは肉が硬くても自然環境で育った家畜を選んで食べるべきなのです。
■家畜はなぜひ弱になった?
先日、H・G・ウェルズ原作の『宇宙戦争』の映画版を2本、久しぶりに見直しました。
昔初めて見たときは、侵略者たちが地球の細菌のためにあっさり滅び去るのがあっけなくて、ストーリーとしてやや物足りなく思いましたが、今回はドキリとしました。
今の地球人、つまり私たちは自滅する宇宙人たちと同じことをやっているのではないかと思ったからです。
例えば、口蹄疫とか、豚や鶏のインフルエンザなどが最近はよく流行し、その対応として、感染ルートを特定して管理責任者を処罰するわけですが、それでいいのかという問題。
ウイルスの侵入が原因なのは間違いないとしても、感染すると即発病する家畜たちの抵抗力の弱さや、感染が短期間に何万頭にも波及する密飼い環境の問題が大きく取り上げられることはありません。
もともと太陽光を浴びながら自然の牧草などを食べて育つウシなどに、抗生物質やホルモン剤を添加した飼料を与えて異常発育させ、効率化のために密閉空間に閉じ込めているのですから、どんな動物だってひ弱になるはずです。
ウイルスが悪いというよりは、自然界にいくらでもいるウイルスと共生できず、無菌に近い環境でないと生きられない家畜をつくり出したことが問題の本質に思えてきます。
『宇宙戦争』に続篇があるとしたら、宇宙人は地球の細菌に抵抗力のある軍隊を育成して送り込んでくるでしょう。逆に、単にリーダーの首をすげ替え、シールドを強化して再来する宇宙人なら大した脅威にはならんでしょうね。
■文明の温室から飛び出そう!
無菌環境で育った動物がいかに弱いか、それを100年前に見抜いていたのがH・G・ウェルズでした。私たちは今、その教訓を全然生かせていないのです。
植物でも同様です。窒素、リン酸、カリという化学肥料の3要素がありますが、3要素だけで植物が育つからと、それ以外の微量栄養素を切り捨てた農業がいまの主流です。
野菜や果物の生産は効率化されましたが栄養価が下がり、害虫に侵されやすくなって農薬散布が欠かせなくなりました。
農薬を使わないことがウリの植物工場では、「温室育ち」どころか滅菌クリーンルームで発芽し、紫外線も雨風も、気温の変化などの外的刺激を受けないまま促成栽培される野菜。ヒトでいえば、生まれてからずっと保育器の中で点滴で育つようなもの。病気に弱くなるわけです。
「サムライごはん」とは、そういう純粋培養された虚弱で病的な動植物を敬遠して、非効率でも厳しい自然に身をさらして生き抜いてきた生命体を食べるイデオロギーです。
硬くて噛み切るのに苦労する肉や、苦みのある野菜、骨ごと食べる煮干しや丸干し、そして未精製の黒っぽい穀物こそが健康に暮らすための本物の食材だと思うからです。
自炊を武器にして、ますます無菌度を強める温室から飛び出さないと、『宇宙戦争』の宇宙人の二の舞ですよ。
ではまた。
※『宇宙戦争』 The War of the World/1952年/アメリカ/カラー/85分/バイロン・ハスキン監督
※『宇宙戦争』 War of the Worlds/2005年/アメリカ/カラー/116分/スティーブン・スピルバーグ監督
■家畜はなぜひ弱になった?
先日、H・G・ウェルズ原作の『宇宙戦争』の映画版を2本、久しぶりに見直しました。
昔初めて見たときは、侵略者たちが地球の細菌のためにあっさり滅び去るのがあっけなくて、ストーリーとしてやや物足りなく思いましたが、今回はドキリとしました。
今の地球人、つまり私たちは自滅する宇宙人たちと同じことをやっているのではないかと思ったからです。
例えば、口蹄疫とか、豚や鶏のインフルエンザなどが最近はよく流行し、その対応として、感染ルートを特定して管理責任者を処罰するわけですが、それでいいのかという問題。
ウイルスの侵入が原因なのは間違いないとしても、感染すると即発病する家畜たちの抵抗力の弱さや、感染が短期間に何万頭にも波及する密飼い環境の問題が大きく取り上げられることはありません。
もともと太陽光を浴びながら自然の牧草などを食べて育つウシなどに、抗生物質やホルモン剤を添加した飼料を与えて異常発育させ、効率化のために密閉空間に閉じ込めているのですから、どんな動物だってひ弱になるはずです。
ウイルスが悪いというよりは、自然界にいくらでもいるウイルスと共生できず、無菌に近い環境でないと生きられない家畜をつくり出したことが問題の本質に思えてきます。
『宇宙戦争』に続篇があるとしたら、宇宙人は地球の細菌に抵抗力のある軍隊を育成して送り込んでくるでしょう。逆に、単にリーダーの首をすげ替え、シールドを強化して再来する宇宙人なら大した脅威にはならんでしょうね。
■文明の温室から飛び出そう!
無菌環境で育った動物がいかに弱いか、それを100年前に見抜いていたのがH・G・ウェルズでした。私たちは今、その教訓を全然生かせていないのです。
植物でも同様です。窒素、リン酸、カリという化学肥料の3要素がありますが、3要素だけで植物が育つからと、それ以外の微量栄養素を切り捨てた農業がいまの主流です。
野菜や果物の生産は効率化されましたが栄養価が下がり、害虫に侵されやすくなって農薬散布が欠かせなくなりました。
農薬を使わないことがウリの植物工場では、「温室育ち」どころか滅菌クリーンルームで発芽し、紫外線も雨風も、気温の変化などの外的刺激を受けないまま促成栽培される野菜。ヒトでいえば、生まれてからずっと保育器の中で点滴で育つようなもの。病気に弱くなるわけです。
「サムライごはん」とは、そういう純粋培養された虚弱で病的な動植物を敬遠して、非効率でも厳しい自然に身をさらして生き抜いてきた生命体を食べるイデオロギーです。
硬くて噛み切るのに苦労する肉や、苦みのある野菜、骨ごと食べる煮干しや丸干し、そして未精製の黒っぽい穀物こそが健康に暮らすための本物の食材だと思うからです。
自炊を武器にして、ますます無菌度を強める温室から飛び出さないと、『宇宙戦争』の宇宙人の二の舞ですよ。
ではまた。
※『宇宙戦争』 The War of the World/1952年/アメリカ/カラー/85分/バイロン・ハスキン監督
※『宇宙戦争』 War of the Worlds/2005年/アメリカ/カラー/116分/スティーブン・スピルバーグ監督