歯磨きは、歯と歯茎の境い目を丁寧に磨くのがポイントです。歯茎にブラシを当て、そこからスッスッと毛先を歯のほうに滑らせて払う感じ。力を入れず、ブラシの先端で歯茎と歯の表面をシャカシャカと軽くこする。歯磨き時間は約4分。

■マッサージ&歯垢取り
 カラス歯磨きヒコは若い頃、力任せに歯や歯茎をこすっていましたが、あれは全く無駄でした。磨き残しをチェックする歯垢(しこう)染色剤で歯が全部真っ赤になり、がっくりきたことがありました。

 1日3回、一生懸命に磨いていたにもかかわらず歯茎が腫れて膿(うみ)がたまり、それがつぶれて出血することもしばしば。いま思えば磨き方のポイントが分かっていなかったのです。

 ある日、デンタルクリニックのお姉さんに「全然駄目ですねー」と笑われ、教えてもらったのが「歯と歯茎の境い目中心」の磨き方。これがよかった。以来、カラスヒコの歯茎は健康的に引き締まり、染色剤でもほとんど色が付かなくなりました。

 磨くべき場所は、上の歯でいえば歯茎の下半分と歯の上半分なのです。歯の先端近くには歯垢や食べ残しが付きませんし、付いても自然に取れてしまう。確かに、丸一日歯を磨かないと歯の上半分に白っぽく歯垢がたまり、爪でかき取れるほどになるのが分かります。

 つまり、歯磨き=ブラッシングの目的とは、歯茎の下半分をマッサージして血行をよくしてやり、なおかつ、歯の歯茎寄り表面に付いた歯垢を掃き取ってやること。それが口腔衛生の基本ですよ、と優しく教えてくれたあのお姉さんは偉い!

 さて、具体的な磨き手順ですが、まず上の歯列の外側というか表側から。右ききの人なら右手で歯ブラシを持って上下にシャカシャカと動かしながら、左奥歯からゆっくり右へ移動します。
 3分の2くらいまで来たら手首を返してバックハンド。歯1本当たり、最低でも5~6回は磨くペースでいくと、右の奥歯に到達するまでに1分間ほどかかります。

 力を入れてブラシを押し付けると毛が寝てしまい、効果がなくなります。タワシでフライパンの底をこするときと同じ。無数の毛の先端に力が伝わるから卵焼きの焦げたカスも落ちるわけで、圧力よりもシャカシャカと回数を稼ぐのがコツです。

 表側上下が済んだら歯の裏側です。裏側はブラシを縦に構えますが、やはり境い目を中心にシャカシャカやるのは同じ。上下裏表合計で約4分間で磨き上がりです。

 カラスヒコの経験では、目をつぶって磨くのがお薦め。ブラシの当たる位置や角度に意識を集中しやすいからです。
 特に一番奥の歯の向こう側を磨くときが難しい。ブラシが斜めになっても極力縦方向の動きを保ちながら、ぐるっと180°回り込む複雑な動きになりますから集中度が大事。

■歯ブラシは安物で十分
 歯ブラシを横に動かして、歯と歯茎の間の「ポケット」にたまった食べカスを掻き出すのが良いとする説もあります。そのためにブラシの毛の先端を細くして「ポケットの奥まで入りやすい」とうたう歯ブラシも多数出ています。ただ、カラスヒコも一時実行してみましたが、効果がいまいちピンと来ません。

 そもそも歯茎が健康な状態ではポケット自体がありませんし、それができたときには冷たいものが染みて痛み、ブラシでひっ掻くと出血して大変。これはもう歯磨きでどうなるものではなく、すぐに歯医者にかかるべき状態だと思います。

 さて、使う歯ブラシは安物で構わないと思っています。カラスヒコは昔から歯ブラシフェチで、高級工芸品や電動ブラシも含めていろんな歯ブラシを使いましたが、今はビジネスホテルから持ってくる超安物でも用が足ります。要は使い方。弘法ブラシを選ばず、です。

 磨くのは今は1日2回、起床時と就寝前。食後にいちいち磨くのは面倒だからパス。それでもべつに虫歯にもならず口臭も出ないので洗口液は使いません。歯間ブラシは隔日、デンタルフロスを使うのは週一くらいです。

 まあ、頻度は各自の好き好き。ただ、過剰な潔癖感から毎食後に歯を磨き、口腔ケア製品を儀式のように全部使わないと落ち着かない人にはならないようにしましょう。マッサージ&歯垢落としでお口の中は大丈夫。

 ところで、将来、歯槽膿漏になるかならないかは、歯磨き習慣とは別に、食習慣の影響が大きいとの説もあるようです。血圧が上がりにくい食べ方によって歯茎の毛細血管が活性化していれば歯槽膿漏リスクが減ると。まあ、一般論にすぎないのかもしれません。

 しかし、カラスヒコの場合で言えば、若い頃のサトチュー生活がたたって虫歯が多く、特に上の歯は差し歯や被せ物だらけなのですが、「サムライごはん」が軌道に乗ってからは、確かに歯茎は健康そのもの。外からのブラッシング効果に加えて、内側からの血行促進も効いている感じです。

 玄米や煮干しなどやや硬めの食品をじっくり噛んで、将来にわたって食べ続けるためにも、歯と歯茎のコンディションには気を配っていきましょう!

 ではまた。