2008年06月

2008年06月26日

ある東京舌の焼酎日記<49>

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活性前項(ブログ<47〜48>)でも記述したが、須見先生の複数のご論説を引き続き要約させて頂くと、血栓とは血液が固まり易いから起きるのではなく、一度出来あがった血栓が溶けにくいことが問題だという。

すなわち血栓症患者は健常人に比べ血管から血液中に放出される血栓溶解酵素の活性に大きな違いがあるそうである。
この血栓を溶解する酵素群をまとめて"線溶系"と呼んでいるという。

そして適量の”飲酒”は血管の内皮細胞に作用して線溶系の酵素をたくさん作らせるそうである。
これは結果としては血液中にプラスミン(前述)が多く造られ、血栓を溶かす能力が高まるそうだ。

また、先生は宮崎医大に奉職時代には医大生を中心とした健常人に各種類の酒をアルコール量に換算して60ml相当分を飲んでもらい 、一時間後の、血栓溶解酵素活性についての測定を行ったという。
その結果が上表のような酒種類別の血液中の線溶酵素活性(単位)を測定した結果だという。

そして先生は適量の本格焼酎の飲酒こそが、血栓溶解酵素活性には最も有効であると。

では適量な飲酒とはどの位であろうか?先生は純粋なアルコール量に換算して、一日に30ml未満と考えておられるようである。
すなわち、それは本格焼酎(乙類)でいうと120ml(5対5のお湯割りでコップ一杯と1/3位)だという。

これは私にとっては実に悲しくなるほどの少ない量でもある。

だが、決して多量に飲むことは血栓を防ぐ働きを高めることにはならないと、とくに先生は警告しておられる。

しかし、上表によれば、本格焼酎の飲酒はウヰスキーの場合に比べ、実に2倍強の血栓溶解酵素活性を有することになるという、この実験結果には改めて、驚いている次第である。

のん兵衛は酒が好きだから、酒を飲みたいだけでなく、己の体の安寧のために、その隠れたる効能を本能的に感じ取り、飲みたくなるのかも知れない。

あたかも、野性の動物は人間より先に貴重な薬草を喰べてしまっているのではないかと、言われているように・・・。  
 
<この項つづく>(永田駿介記)   


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