十三の話-不動産会社で生きるということ

古人曰く「どこへ行くのかがわかっていなければどの道を通っても何処にも着かない」。何処に行くかさえわかっていればたとえまわり道をしてもそこに着く。徒然の大いなるまわり道の記録が本ブログの趣旨である。 ※このブログはリンクフリーです。コメントは承認制ですのでご了承ください。

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ときどきユニクロで買い物をするが、レジの横にかごを置いただけで、店員が商品を確認なしで支払額が表示されるシステムがあってずいぶん便利だ。一方で、スーパーやコンビニで買い物をするとき、後ろに長い列ができていても、カードを使わずに、財布の中から10円玉、5円玉を掻き出して支払う人もいる。老人だけではない。現物の小銭が世間との関わるという意味を持つ人もいる。

便利を不便だと感じる人もいる。メールがあってもファックスが無くならないのと似たようなものか。先日、1回目のコロナワクチンの接種を受けてきた。1か月前に接種券の封筒が届いて、ネットでは集団接種はすぐに予約が一杯で予約がとれず、対応してくれる病院をいくつか探してようやく予約が取れた。診察券がないと当院では接種できませんと極めて事務的な対応の病院もあった。特急列車が必要なのに線路をせっせと敷いているように見える。

ワクチンンの接種後、台紙に接種済みのシールを張ってくれたが、マイナンバー制度とか、行政のサービスをもっと効率的に運用できないのかと感じたが、民間の小さな医院では対応に馴れていないのか、見ていてもどかしい印象だ。1軒の家をお客さんに買ってもらうときに、こういうもどかしさを与えないようにはしないようにしたい。

資料であれ、物件の情報であれ、必要な時に必要なものをいつでも提供できるという手際の良さが必要だ。この人は大丈夫かなという印象を与えてしまえば、何れどこかで必ず買うお客さんを逃がしてしまう。そうしないためには準備が必要で、お客さんや業者さんから想像もつかない思いがけない質問はまずないので、想定されることはあらかじめこたえられるようにはしておきたい。

我々の仕事はすべてのことが可視化できるという前提に立っている。善も悪も有利も不利も、損も得も。境界標が見えないからないのではない。埋まっているか剥がれているだけだ。リバーシブルの帽子やコートは裏返せば白にも黒にもなるがどう使うかの差で一つのものだ。財布から小銭を掻き出しているがそれを手際よく見せる仕事だ。担当者は不安や不満は見せないから存在しない。

かつての同僚は、仕事のできない上司にウンザリしてほかの大手の仲介業者に移った。そしてしばらくしてビルダーに転職。月に15件の販売、決済を担当して疲れ果ててまた転職。地場のフランチャイズ業者にいてカラシ色のジャケットを着ていたが、今はどうしているのだろう。その後はわからない。稼げなかったのだろうが、それぞれの場所で何か築いたものもあったろう。あまり幸せな話には聞こえないだろうが一般的な話だ。

巣ごもり需要も一段落したと思っていたのに、ウッドショックで建築費が上がり続けている。便乗値上げもあるだろう。街に失業者が溢れているのに、家の価格が上がってきている。もう地場の建売業者では家が建てられないという。張り詰めた糸は何れは切れるが、複雑に考えず、見えているモノだけを注視して進むほかはないだろう。場所を移っても白旗を掲げない限り負けではない。夏もようやく終わったな。

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ロッキー・ザ・ファイナル (吹替版)
マイロ・ヴィンティミリア
2015-10-07


「ロッキー」シリーズ最終話だが、やはり「1」がいい。続編が出るたびにウンザリしたが、、このファイナルにはそれなりに敬意を払いたい作品だ。「人を指差し、自分の弱さをそいつらのせいにするな」というセリフが気に入った。過去の自分は変えられないが、まだ、ファイティングポーズを取り続けている。


周囲の人が2回目のがワクチンの接種を済ませたという話はちらほら聞いている。早く元の生活には戻りたいが、感染者が増えるばかりだ。医療体制がパンク寸前に追い込まれる中、今、感染することは避けたいので、休みの日はできるだけ家にいるが、幸いというかこれまで、オリンピックが開催されていて退屈はしていない。

期待されていた選手が予選で落ちたり、銀メダルでも悔し涙を流す選手がいたり、精神的な重圧の中、最後の一瞬まであきらめずに競技する姿に、自身の状況を落とし込んで、熱心に見て、選手たちから力を貰うような気がした。格闘技系の種目は力が入る。柔道とレスリングがいい。

8月というのは、不動産業界は厳しい時期だ。お盆休みがあるので、お客さんの動きが鈍い。どうしてもその前後に数字を残さないといけない。9月になれば住宅シーズンが始まり、人も物もカネも市場が動き出す。なんとかなるが、特異月ではあっても、8月は8月の数字が必要だ。

いつも訪問する不動産業者の社長は営業マンに言い聞かせることは、調子がいいときは流れに任せればいいけれども、調子が悪い時は必死になって頑張れと言う。数字の落ち込みを時期のせいや誰かのせいにするなと。電話や訪問やポスティングや、DM、あれもこれも必死になってやれと言う。

大手の業者は固定給だが地場の業者はそうではない。当月売上がないと翌月給料がない。支えきれなくていつの間にか消えていく者も少なくない。だから、特異月は必死になる。そういうことを部下に伝えている。社長は高級車に乗っていても営業担当は厚生年金にすら入れてもらえない。昭和の続いている業界だ。

厳しい陽射しの中で、マスクをして外を歩くのは辛いが、そういう時期にオリンピックがあってよかったなと思う。努力が必ずしも日の目を見るとは限らないが、やるべきことをやらないと可能性も出てこない。蒔いた種しか芽が出ないとはどこの会社でも言うことだが、今、やれることはやっていきたい。自助精神のない者は負け犬と見做され淘汰される。

やはりな、、、と思うこと。8月に入った途端に、辞めますという担当者があちこちの会社でひしめいている。7月にボーナスが出て一区切りか。他社へ行き同じエリアで仕事をする。忠誠心から解放されたわけではない。また行った先で忠誠心を誓う。将棋で言えば取り駒だな。

強みは経験か。失敗談は値打ちがあるようで実はたいした意味はない。塵も積もれば山となるが、ゴミはいくら積み上げてもやはりゴミだ。負けない方法という本を読んで勝った者はほとんどいない。挨拶ができて握手すべき相手を間違えなければ意外とことは進むものだ。健闘を祈る。重圧に耐えメダルをとることはたいへんだ。

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第二次大戦末期、米軍の圧倒的な戦力に制空権を奪われた日本が、敗勢を回復するため全国各基地の優秀なパイロットを集め最新鋭の局地戦闘機紫電改で編成された航空隊があった。米軍と互角に戦った。隊員たちは紫のマフラーを締めていた。著者は終戦後も生きたが、あの時代を必死に戦った搭乗員たちの名前が出てくる。不屈の精神を称えたい。



ずいぶん悩んだが、会社に辞表を提出した。いま決断しないと結局、決断をしないという決断をしたことになる。後手後手ではジリ貧になるに決まっている。なんといっても横着者だから。トラブルを起こしたわけでなし、人間関係の軋轢に疲れたわけでもない。仕事が嫌いなわけでもない。このまま朽ち果てるのも癪だ。会社に対しては、こんなぐうたらでいうことをきかぬ者をよく食わせてくれたことに感謝している。

これまで取引のあった業者、担当者、司法書士、土地家屋調査士、銀行員、・・・そして、顧客への挨拶をしてまわっている。「早くてよかったんだよ」と定年退職した人や「いい家を紹介してもらってありがとう」と言ってくれた人。まことにありがたく、今の会社が長かっただけに感謝の思いひとしおだ。次は別の業界というわけではないだろうが、よく考えて次を決めたい。

ずっと走ってきて、毎日が日曜日ならぬ水曜日になる。時間がないからこそ本も読めたし、ブログも書けた。早く決めないと、無為にだらけた状態が続いてしまう。仕事はもちろん自分のためにするのであるが、周りの役に立たないと、自分のためにもならないという相関関係にある。望まれる職場を急いで探すとしよう。身体も少し絞らねばな。いい年を迎えたいから。しばらく、このブログは不定期ながら続けるつもりだ。・・・なんにしてもいこれまでいろんな人に支えられて生きてきたことを痛感する。改めて感謝の意を申し上げたい。




大阪市の橋下市長が代表を務める新党「日本維新の会」というのは、政治版「AKB48」のような印象を受ける。背伸びをしても背が高くなるわけでないから、何ができるか何ができないかという説明が必要だろう。民主党が政権を取って鳩山総理の在任中のようなことにならなければよいが。アメリカと疎遠になり、中国や韓国のようなならず者が幅をきかせる素地を作ったあの内閣の悪夢再び。

20歳から60歳まで、会社で働く時間が10万時間。60歳から平均寿命まで家にいるとしたら、その時間が10万時間。後半の10万時間というのは、考えてみれば恐ろしくもある。長生きすることは、決して幸福とは思わない。前半の10万時間のうちの残りを大切に使いたい。

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