岩本健一朗/トヨタ自動車ヴェルブリッツ WTB
1984年1月27日生 185cm/85kg

トヨタ自動車ヴェルブリッツと言えば「激しさ」という言葉が思い浮かぶ。FWもBKも激しいコンタクトを厭わない。ちょっとペナルティが多いのが欠点だが、そのラグビーは破壊力満点で魅力に溢れている。

もうひとつイメージされるのが、誰が名付けたか「F1バックス」だ。バックスリーには水野、久住、内藤ら実績を残してきたスピードスターがひしめく。そこに今シーズンから7人制のスーパースターであるライダーが加わりますますパワーアップ。いまや日本代表のエースになりつつある遠藤ですらスターターを確保できないほど層が厚い。そしてこの「F1バックス」に今シーズン頭角を現してきたのが岩本だ。

岩本は今シーズンが2年目。昨シーズンの終盤に交代で数試合に出場したが、実質今シーズンがルーキーイヤーと言っていいだろう。石井監督体制に変わってからはがっちりとスターターの座を確保した。
その岩本がラグビーを始めたのは中学1年生のときだという。これはラグビースクールで、未就学児のときにラグビーを始めたトップリーガーが多いなかでは異色の部類に入るだろう。ラグビーが盛んな大阪北部で生まれ育ったことや、父親の勧めから始めたラグビーだったが、当初は練習がキツかったり、先輩が厳しかったりしたためあまり楽しくなかったという。

普通はこれでラグビーを止めてしまうのだが、履正社高校に進学してからもラグビーは続けられた。この高校時代も名門高校、ハナゾノが常連の高校出身者が多いトップリーガーでは異色。なんと履正社高校ラグビー部は部員数不足のため、大会には他校と一緒にチームを組んで出場するしかなかったのだった。全国大会の予選には他の部員不足の学校と「合同チーム」を作って参加していたトップリーガーは岩本だけではないだろうか。

決してラグビーエリートではなかった岩本の才能が開花したのは大阪体育大に進学してからだ。しかし在校中の4年間はリーグ戦で同志社大に勝つことはできず、大学選手権も1回戦突破がやっということで、その名前が中央に届くことはほとんどなかった。
しかし、見ている人は見ている。その爆発的なスピードと、185センチと恵まれた体格を見込まれ、卒業時には7人制代表に選ばれた。昨春来日したニュージーランド学生代表と対戦した23歳以下日本代表にも選ばれ、次代のジャパンを担う人材のひとりと目されている。

年が明け、トヨタは絶好調。トップ4入りまであと少しだ。マイクロソフトカップ、日本選手権と岩本が暴れる舞台はまだまだありそうだ。