儒灯

【温故知新】儒学の普及に力を注いでおります真儒協会 会長、高根秀人年の個人ブログです。 『論語』、『易経』を中心に、経書の言葉を活学して紹介して参ります。 私個人の自由随筆、研究発表などのほか、真儒協会が毎月行っております定例講習についても掲載しております。

2011年10月

むかしの中国から学ぶ 第3講 「陰陽相対(待)」 (その4)

(こちらは、前のブログ記事の続きです。)

《 3.陰・陽 の 色 》 
                    ◆ 講義担当 : 汐満 未佐子

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A.色の三属性と陰陽     = 陽 /  = 陰

1)【色相】 ・・・  暖色 と  寒色
2)【明度】 ・・・ ○ 明色 と ■ 暗色
3)【彩度】 ・・・  はでな色 と  じみな色
*  有彩色 と ■ 無彩色(白・黒・灰)


24色相環(PCCS) 
 −−− 略 −−−

B.国旗(日・韓)にみる色 

→ → 前のブログ記事(その1)を参照のこと
    http://blog.livedoor.jp/jugaku_net/archives/51304268.html




《 4.陰陽思想 と パーソナルカラー 》


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A.パーソナルカラー 〔自分色〕 とは     (by たかねデザイン研究所)


  ───  自分にもっとも似合う色、あなたにとっての ベストカラー  ───


◎ ヨハネス・イッテン : 
   パーソナルカラー の理論 / 色彩学者 / バウハウス(1919) 教授

・ 「 ── 調和のとれた配色とは、自分にとって快適な色の組み合わせ。
   この色は、色相・明度・彩度 ともに生徒たちが生まれながらに持っている
   髪・目・肌の色と調和する色調であった。」
・ 「 人は生まれながらにして、自分の似合う色を持っている。」
・ 「 泥のような色でさえ、まわりに持ってくる色によって、ヴィーナスの肌の色に
   見せることができる。」

1. アンダートーン 《ベースカラー》

  ・ブルーアンダートーン 《ブルーベース》             
  ・イエローアンダートーン  《イエローベース》            


2. パーソナルシーズン 

  ・ブルーアンダートーン
     A。 夏 (パステルサマータイプ)
     B。 冬 (ブリリアントウインタータイプ)

  ・イエローアンダートーン
     C。 春 (ブライトスプリングタイプ)
     D。 秋 (ディープオータムタイプ)


 ( ※ 「春・夏・秋・冬」は、一般的な季節とはことなります。)


■ パーソナル・シーズン の特徴  

*各シーズン・タイプの特色一覧表
  (肌の様子 / 第一印象/ 似合う色/イメージ/ プリント/ 芸能人では・・・ )   

     ── 略 ──


B.風水 (陰陽五行思想) と 色 

陰陽五行〔いんようごぎょう〕思想  ( 木・火・土・金〔ごん〕・水 )

・戦国時代の鄒衍〔すうえん〕による、「陰陽主運説」 :
 木・火 を陽、金・水 を陰、に配当することで“陰陽説”と“五行説”が合体しました。
 「土王説」は、五行の中心を 土 とし、黄色で表し脾臓・胃に配当しました。

「木」 = 陽中の陰
「火」 = 陽中の陽
「土」 = 太極
「金」 = 陰中の陽
「水」 = 陰中の陰   

 * 説明図 ── 略 ──


◆ 陰陽 と 色   (by たかね)

      【色相】(PC.)        【明度】 【彩度】 【無彩色】 
 : 寒色系(ブルーベース)  ― 暗 ― 低 ―― 黒(玄〔くろ〕・玄人〔くろうと〕)
 : 暖色系(イエローベース) ― 明 ― 高 ―― 白(素〔しろ〕・素人〔しろうと〕)



◆ “五色〔ごしき〕”の思想 と イッテンの“ペンタード”  (by たかね)

・ 五色〔ごしき〕 (※正色〔せいしょく〕 注 ) = 赤・青・黄・白・黒
・ “色料の 3原色” = 赤・青・黄  + 白・黒 ⇒ *すべての色がつくれる


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※ 正色〔せいしょく〕 注) ── 【孔子と色】 エピソード

  1)「紫の朱〔しゅ〕を奪うを悪〔にく〕〕む。──」 (『論語』・陽貨第17)
    と紫色(服装)を嫌いました。
    紫が濃艶〔のうえん〕で俗人から好まれ、
    正色である朱色がその地位を奪われてしまったということでしょう。
    (紫は赤味が失われているから? 孔子が単に嫌いだった?)
  2)孔子自ら易を立て、 【山火賁〔さんかひ〕】 卦を得てふさぎ込みました。
    雑色の卦であって正色ではないからです。(『孔子家語〔こうしけご〕』)
  今では考えられないことですが、孔子の時代 2次色(中間色)は嫌われたのです


◆ 命学 (気学・四柱推命) にみる色  (by たかね)

 A。 九星気学 : 本命星 〔First Color 〕(  )
            月命星 〔Second Color 〕(  )
            傾斜宮 〔もう一人の自分・無意識〕(  )

      五行と九星図 / 略


                       《1》      《2》
 B。 四柱推命 : 年柱干支         ── 幼年(  )  
            月柱干支 ── No.2  ── 青年(  )
            日柱干支 ── No.1  ── 壮年(  )
            時柱干支         ── 晩年(  )


C.パーソナルカラー 〔自分色〕の易学的(東洋的)考察     (by たかね)

◆ ロバート・ドアー [Robert  Dorr]、 「カラーキー・プログラム」 (1928) :
    KEY 1 ── ブルーベース = (  の気 )

    KEY 2 ── イエローベース= (  の気 )  の 2タイプ (2元論)

◆ ヨハネス・イッテン の 調和論

◆ キャロル・ジャンクソン、『カラー・ミー・ビューティフル』 → 春・夏・秋・冬の考案


(1) アンダートーン  《ベースカラー》

   ・ブルーアンダートーン  《ブルーベース》
      *寒色系(陰の気)/短波長

   ・イエローアンダートーン  《イエローベース》
      *暖色系(陽の気)/長波長     


(2) パーソナルシーズン

   ・ブルーアンダートーン
      A。 夏 (パステルサマータイプ)
      B。 冬 (ブリリアントウインタータイプ)

   ・イエローアンダートーン

      C。 春 (ブライトスプリングタイプ)
      D。 秋 (ディープオータムタイプ)

 ( ※ 「春・夏・秋・冬」は、一般的な季節とはことなります。)



     【 太 極 】 

 ──────────    【両儀】

老 陰 ─── 少 陽     少 陰 ─── 老 陽   【四象(ししょう)】


  Winter   輝く、 枯れはてる、 氷/厳しい

  Summer  爽やか、 少々活動、 淡にして水

  Autumn  深い/こい、 実を結ぶ

  Spring   はずむ/活動、 花が咲く


「易に太極 (たいぎょく) あり。 これ両儀 (りょうぎ) を生ず。
 両儀は四象
(ししょう) を生じ、四象は八卦 (はっか) を生ず。」
 (『易経』・繋辞伝)


 − − − − − − − − − − − − − − − − − − 

◆ 嬉納(きな) 禄子(さちこ) 
プロフィール :真儒協会副会長、たかね易学研究所教授。 
高根秀人年 氏高弟として、各種の講座・講演を担当。
経験・実績の豊かなベテランです。
◎認定易学鑑定士/宅建主任者/カラーC/アロマテラピスト/福祉住環境C ほか

◆ 汐満(しおみつ) 未佐子(みさこ) 
プロフィール :真儒協会理事、たかね研究所教師。
真儒協会特別セミナー、たかね研究所特論を中心に担当。
風水やカラーのスペシャリストとして、広く社会の各界で実際的に活躍しています。
◎1級カラーC/P.カラーアナリスト/アロマテラピスト/ヨガ教師 ほか

    
以上。


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(この続き、“むかしの中国から学ぶ” 第4講 「五行(中国医学) 」 は
次のブログ記事に掲載しております。)


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むかしの中国から学ぶ 第3講 「陰陽相対(待)」 (その3)

(こちらは、前のブログ記事の続きです。)


《 2.日本の 陰陽相対〔相待〕思想 》
                    ◆ 講義担当 : 汐満 未佐子


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 むかしの日本(倭〔わ〕と呼ばれていました)は、文字を持っていませんでした。
応神〔おうじん〕天皇 16年(西暦4世紀ごろ?)、
朝鮮(百済〔くだら〕)の王仁〔ワニ〕博士によって、
『論語』 10巻と 『千字文〔せんじもん〕』 1巻 がもたらされました。

つまり、むかしの中国の文字(= 漢字)の伝来は、
同時に、中国の儒学思想(= 易・陰陽論) の伝来でもあったのです。

 それ以後、わが国の先人たちは、その優れた創造的受容・吸収力
(= 陶鋳力〔とうちゅうりょく〕)
 をもって、
中国の学術文化を採り入れ自分のものとしてゆきました。

 とりわけ、わが国の平安時代には、
大帝国「唐」から熱心に学び、吸収いたしました。

この時代、「遣唐使」という留学生を直接 唐土〔もろこし〕に送ったこと、
漢文訓読法の普及、“ひらがな”・“カタカナ”の創案と普及は、よく知られていますね。

 平安朝の当時、中国大陸の最新・最強の知識・学問を身に修めたスペシャリストを
陰陽師 〔おんみょうじ〕 」 と称しました。

“ 陰陽 〔いんよう〕 ” = 中国思想 。

中国思想の源・中心が、陰陽 (二元論 ・ 相対論) = 易学 だからでしょう。

“ 師 ” は、易64卦の一つで (【地水師】) 
「戦」 ⇒ 戦の指導者 ・ 「先生」 の意
です。

 「 陰陽師 〔おんみょうじ〕 」 は、公的・国家的に
保護され権威づけられた人々でした。

当時の人々は、身分の上下を問わず皆、
不思議に思い解決せねばならないことを、
易の占いによって知ろうとしたのです

「陰陽師」は、陰陽道をつかさどる役所である 
「陰陽寮」に属して吉凶を占った人々です。

平安の時代は、何が何でも、何ごとにつけても
陰陽師を頼り依存した社会だったのです。

 その陰陽師のカリスマが 安倍晴明 〔あべのせいめい〕 」 です。

やがて“伝説の人”になる、偉大な学者・易(占)道家・
シックスセンスの持ち主・思想的指導者 ・・・です。


【 陰陽師 ・ 安倍晴明 】

陰陽師のカリスマ 安倍晴明」 (921−1005) は、
今からおよそ 1000年ほど前、平安時代中期のひとです。

生誕地には諸説があります。

大阪では阿倍野区にある「安倍晴明神社」が、
晴明の生誕地といわれています。

京都市上京区の住居跡にも「晴明神社」があります。

晴明は、少時から 
天文道 = 月・太陽・星の動きを観測し「暦」を作る
陰陽道 = 天地のバランスの変化を察知し吉凶を占う
を学びました。

天変地異を天皇や貴族に報告し吉凶を判断したのです。 

40歳を過ぎたころから、その占いや予言の能力が評判になりました。
とりわけ、時の権力者、関白 藤原 道長 の厚い信頼を得ました。

晴明の亡きあと、晴明の子孫は、陰陽道の本家
(土御門〔つちみかど〕家)として栄えました。

開祖晴明は、しだいに神格化され伝説の人となってまいりました。 ── 
その伝説〔エピソード〕のいくつかを紹介しておきましょう。


【 エピソード 1.】

 《 くずの葉の伝説 》 ・・・ 晴明のお母さんは信太〔しのだ〕の森の “きつね”

 むかしのある日、安倍 保名〔あべ やすな: 晴明の父〕は、
和泉〔いずみ〕の国の信太〔しのだ〕の森で、
狩人〔かりゅうど〕に追われていた一匹の “白狐” を助け
にがしてやりました。

それで保名は、狩人たちに暴行され負傷し倒れてしまいます。

 ちょうどそこへ、“くずの葉”という女性が通りかかり、
保名を助けて傷が治るまで手厚く看護してくれました。

保名と“くずの葉”は、気ごころが通じて夫婦となりました。
やがて、二人の間に男の子が生まれ、“童子丸”と名づけました。

 “童子丸”が五歳になった時、“くずの葉”は ふとしたことから
“しっぽ”をみせてしまいます。

自分が、保名に助けられた白狐であることが知られてしまったのです。

正体(本性〔ほんしょう〕)がバレたことを恥じた“くずの葉”は、
次の一首を残して信太〔しのだ〕の森に帰って行きました。

○ 「 恋しくば  訪〔たず〕ね来てみよ  
      和泉〔いずみ〕なる  しのだの森の  うらみくずの葉 」


 絵 ── 略 ──    (北信太駅に飾られた絵)


【 エピソード 2.】

 《 ライバル道満とのバトル〔対決〕 》 ・・・ みかん16コが ねずみ16匹に!

 芦屋 道満〔あしや どうまん〕という、
播磨〔はりま=兵庫県〕の国の陰陽師が上京してきて、 
晴明に勝負を挑んできました。

 二人は、天皇の御前で力比べの戦いをすることになりました。
それは、箱の中に隠されたものを言い当てるというものでした。※ 補注) 

ところが実は、道満は、朝廷の役人を買収して、
中身が “みかん16コ” ということを打ち合わせていたのです。

 勝負の当日、道満は、打ち合わせのとうり “みかん16コ” と答えました。 
それに対して、晴明は “ねずみ16匹” と答えました。

役人たちは、晴明の不正解・負けを宣告し、箱のふたも開けませんでした。

さてそこで、道満が自慢げにふたをとると、
中から 16匹のねずみが飛び出して来たのでした。
   ─── 負けた道満は、晴明の弟子になったそうです。

※ 補注) 
易の学修・遊戯〔あそび〕に、射覆 〔せきふ〕 というものがあります。
箱の中に隠されたものを(易をたてて)言い当てるものです。
ズバリ、“あてもの” そのものです。
インスピレーション〔霊感〕と 卦の解釈力(八卦の象意〔しょうい〕読解)を養います。
わが国、 “三大易聖” の一人 
新井白蛾 〔あらいはくが: わが国 易学中興の祖、江戸期〕 は、
「射覆」 の名人として有名です。
ある種の、霊視・霊感、シックスセンス〔第六感〕の世界でもあります。
明治期、「千里眼〔せんりがん〕の女」といわれた、
御船千鶴子さん(映画・「リング」の“貞子”のお母さんのモデル)は、
よく知られていますね。


【 エピソード 3.】

 《 式神をあやつる超能力 》 ・・・ カエルをペチャンコに!

 安倍晴明は、 式神 〔しきがみ/しきしん〕  ※ 補注) を使って
様々な超能力を示したと伝えられています。

晴明は、妻がその式神たちを気味悪がって恐れたので、
式神たちを、近くの 「一条戻り橋」 の下に住まわせました。
もっとも、一般ピープルには式神たちの姿は見えません。

 さてある時、若い貴族(君達〔きんだち〕)が意地悪な質問を晴明にしました。

「あなたは、式神を使って何でもやらせるそうですが、
人を殺すことなども簡単にできるんでしょうね?」

 晴明は、「命は大切なものです。殺すことはできても
生き返らせることは簡単ではありません。
無益な殺生〔せっしょう〕は罪になります。」と答えました。

 その時、ちょうど庭先で、5・6匹のカエルが池に飛び込む音がしました。
それを聞いた若い貴族は、しつこく晴明に言いました。
「そこをなんとか ──。カエル一匹くらいならばかまわないでしょう。
殺して見せて下さい。」

 晴明は、「罪なことをおっしゃいますね。
でもどうしても私を試そうというのならいたし方がありませんね。」 と言って、
晴明は、草の葉をつみとり、呪文をとなえてカエルの方に投げました。

葉はカエルの上にのるやいなや、カエルをペチャンコにつぶしてしまいました。
これを目〔ま〕の当たりにみた若い貴族は、顔色をなくして思わず震えあがりました。

 ── 晴明の屋敷には、門番がいません。
戸締りや警備は、式神たちが「一条戻り橋」の下からやって来て行ったそうです。
さまざまの不思議が晴明の周囲にはあったようです。


※ 補注) = 識神 : 陰陽師が使役〔しえき〕する下級の精霊や鬼神のことです。
            (実態不明)


 参考資料  ── 「陰陽師・安倍晴明」 ── 略 

  (漫画:岡野玲子『陰陽師』/小説:夢枕 莫〔ばく〕『陰陽師』 より抜粋)


*(配布資料:“陰陽師・安倍晴明” ダイジェストB4プリント2枚)
★化生〔けしょう〕の者・狐の子伝説/セーマン・ドーマン/
五行の相生・相剋〔そうしょう・そうこく〕の図/
“長篠〔ながしの〕合戦図屏風”に描かれている陰陽師/安倍清明神社/
漫画:岡野玲子『陰陽師』より抜粋
(太極マーク・五行・五芒星〔ごぼうせい〕作図法 ほか




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むかしの中国から学ぶ 第3講 「陰陽相対(待)」 (その2)

(こちらは、前のブログ記事の続きです。)


《 1.中国 ・ 陰陽相対〔相待〕論 》

         ◆ 講義担当 :  嬉納 禄子 〔きな さちこ〕


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─── 易の思想的基盤・背景 (東洋源流思想) ───

易学に由来。 易は、 「陰・陽」 と 「中」 の理法。
・ 文明開化の明治期以降、陰陽(五行)説を軽視 。
   ⇒ いま、【復権】 されようとしている   ex.漢方・中国医療

A.陰とは陽とは 

 陽とは ・・・ 発動分化、分化発展してゆく力 
          ex.根→ 幹→ 枝→ 葉→花
          (能動的、攻撃的、昂進的状態に傾いているもの) 
             cf.「わからぬ」

 陰とは ・・・ 統一し含蓄する力、分かれたものを統一し、
          それを根元に含蓄しようとする働き   
          ex.花 ・・・→ 根 → 実
          (受動的、防衛的、沈静的状態に傾いているもの)


   ※ 陰陽 = (戦国時代以前は) 剛柔 といった ・・→ 陰陽五行説となっていった

   ○「剛柔は、本を立つる者なり。変通は、時に趣く者なり。」 (繋辞下伝)


● 大〔太〕極 (たいきょく、=「皇極」)                       
    ── 易の根本・創造的概念、宇宙の根源、万物の起源、神〈自然〉の摂理〔せつり〕

 ☆ 太極マーク
     image_20110611_7

  陰陽に分かれるモトの状態を表しています


 ☆ 韓国国旗(大極旗・テグキ)
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  中央に対極マーク、四方に易の四象(4つの易象、天・地、水・火)を
  配置しています

  ※ 参考──万物の根源   《 タマゴが先かニワトリが先か? 》

   ・科学──ビッグバン(宇宙物理学)、ウルマテリー(原子物理学)
      ・・・ 極微の世界(ミクロコスミック)において大極が発見されようとしている。
          天文学的研究(マクロコスミック)においては未だ大極に至ってはいない。

   ・宗教──神話、聖典 ・・・ etc.

   ・儒学=易・・・「太極」  /  道教(老荘)・・・「無」  /  仏教・・・「空(くう)」


● 「陰」の字 と 「陽」の字

  霊気が覆うのが陰、発散しているのが陽
   ・ 〔こざとへん〕を“阜”〔コウ・岡〕と解し南を明るく陽、北を暗く陰とする。
       ex. ・・・ 山陽道/ 山陰道

   ・ 〔こざとへん〕を阜〔フ〕とよみ、神霊の昇降する様子。
     陰陽の初義は神様の前で執行される魂振りの神事

   cf. “陽(あかり)”さん〔人名〕、“陽子”、“陽水”

       陰陽文字カット(甲骨文&金文) ── 略 ──

                  と    


B. 陰陽の理法ポイント 

 (1) 二元論 (「微妙〜」はない)
 (2) 相対(待)論  
 (3) ベクトル的概念 


(1) 二元論 

 乾坤天地、“転定(てんち)”、父母、大(陽)と小(陰)、〈大吉・中吉・小吉〉、
 (ほう・四角・陰)と(えん・丸・陽)  ── “水は方円の器に従う”
 イザナギノミコトとイザナミノミコト(『古事記』)、アダムとイブ(『旧訳聖書』)

   ex.─ 秦の統一貨幣、日本の和同開珎〔ちん・ほう〕・富本銭、前方後円墳
        コンピューター(= 二進法、1と0、オンとオフ)、
        ライプニッツ  陽・・・1  陰・・・0 
                                
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【コギト(吾想う)】 ── コイン(硬貨)にみる現代の「過 陽

  わが国の陰陽の調和は、古〔いにしえ〕の“富本銭”・“和同開珎”に
  象〔かたど〕られていると考えられます。
  丸(円)の外形に四角(方)の穴。(穴はヒモを通して束ねるためでしょう) 
  丸(円)は「陽」・四角(方)は「陰」です。
  それが、現在(明治以降)の “50円”・“5円”は、丸(円)の外形に丸(円)の穴です
  穴は丸いほうが、機能的・実用的であるという西洋的合理主義によるものなのでしょうか?
  とにかく、平成の御世は、“ 中庸 ” ・ “ 中和 ” を忘れ
  過剛 ” ・ “ 過陽 ” が蔓延〔まんえん〕し、
  ワケが “わからない” 時代に至っています。



◆陰陽の象意例 (左が陽、右が *陰は凶で、陽は吉であるということではありません。

 ・ ──   ・ ──   ・ ──   ・ ── 西  ・ ── 
 ・ ──   ・ ──   ・ ──   ・ ──   ・ ── 
 ・ ──   ・ ──   ・ ──   ・ ──   ・ ── 
 ・ ──   ・ ──   ・ ──   ・ ──   ・ ── 
 ・行動 ── 思索  ・主人 ── 家族  ・目上 ── 目下  ・先生── 生徒

                        (「現代易学講座・上級編 1」 参照)


(2) 相対論

  ─ex.1 父と母、親と子、息子と娘は、それぞれ《陽と陰》の関係。
        母と息子の関係は《陽と陰》。
        陰であった母は陽に、陽であった息子は陰に転じています。

  ─ex.2 梅干番茶(梅酸が胃中でアルカリ性に働く)や乳酸。

  ─ex.3 夫が陽(性)だと妻は陰(性)に、
        夫が陰(性)だと妻は陽(性)に働きます。〔“相互転換性”〕


(3) ベクトル =力と方向

  ─ex.  『古事記』“国産み”・・・右旋(左から回る)─陽(左目)
                    左旋(右から回る)─陰(右目)


C.「陰陽相対〔相待〕」の具体的研究 

       → *「陰」には □を、「陽」には ○をいれてみましょう!
          ( 解答 ⇒ 〔   〕は「陰」で (   )は「陽」です )

 ● 動物 

 ・ ツメ〔爪〕の数と陰陽 ── 
    馬【  】(  ) ・ 牛【  】〔  〕 ・
    鼠【  】〔  〕 ・ 人【  】( ○ ) ・ パンダ【  】〔  〕
    龍 ── 中国【  】 ・ 朝鮮【  】 ・ 日本【  】

 ・   陰陽両方  、龍(  )と 虎(  )、虎( ○ )と 豹〔  〕
   ── “大人虎変”(「革」卦五爻辞) と “君子豹変”(「革」卦上爻変)

 ・ 竜馬(  )、ペガサス(  )、「龍のごとき駿馬にまたがり ・・・」(『将門記』)


 ※ 参考  ── 「登竜門」 “六・六〔ろくろく〕転じて九・九〔くく〕となる”

   ・龍のウロコ【9×9=81枚】(  )と龍の逆鱗〔げきりん〕【1枚】( ○ )
              《1枚 ・・・“逆鱗〔げきりん〕に触れる” 「韓非子」》 

   ・鯉〔こい〕のウロコ【6×6=36】〔 □ 


 ※ 研究 : 雄をあらわす漢字と雌をあらわす漢字を組み合わせてつくった動物名

     ・麒 麟 〔きりん〕   ・鳳 凰 〔ほうおう〕   ・鴛 鴦 〔えんおう〕       
     ・翡 翠 〔ひすい〕   ・鯨 鯢 〔げいげい〕


 ● 食品 

 ・ 魚一般〔   〕と トビ魚(   ) *相対論的思考

 ・ 鮭(   )、蟹(   )、鮟鱇〔アンコウ〕(   ) 伏陽・伏陰の思考

 ・ バナナ〔   〕、パパイヤ〔   〕、パイナップル〔   〕
    cf.消化酵素 ── 
        ダイコン(土大根、つちおおね):アミラーゼ、プチアリン(デンプン分解酵素) /
        パイナップル:パパイン(タンパク質分解酵素)

 ・ 春の茄子〔なす〕(   )と 秋の茄子〔   〕 
    cf.「秋茄子は嫁に食わすな」

 ・ 日本酒(   )、ワイン〔   〕、ウメボシ〔   〕
    cf.「うめぼし弁当・茶ずけ」=中和 

 ・ ごはん(米・コメ)(   )と パン(   ) 
    cf.「パンを食べると ・・・ 」・「コメを食べると・・・ 」 
        = パンもコメも同じデンプン

 ・ 鍋料理(   )と サシミ・すし〔   〕 *寒暖・温度感による思考


 ● 人間 
 
 ・ “徳” 性=【人間の本質的要素】〔   〕と
  “才能・技能”=【人間の属性的要素】(    )

 ・ 君子タイプ〔    〕と 小人タイプ(    )
    cf. 西郷隆盛は、徳が才に勝っている君子タイプ ── 
        勝 海舟は、才が徳に勝っている小人タイプとも言われている

 ・ 感情・情緒・情操〔    〕と 知識・知性・知能(    ) 

 ・ 愛〔    〕と 敬【敬愛】(    )   

 ・ 金を使う(    )と 金を蓄える〔    〕

 ・ 男女で“おしゃれ”するほう(    )と “おしゃれ”でないほう〔    〕 


 ● 身体 

 ・ 【人体】の酸性(    )とアルカリ性〔    〕 
    cf. PH 7より上

 ・ 心臓(    )と末端【末梢】血管    

 ・ 動脈(    )と静脈〔    〕
    cf. 酢は体をアルカリ性にする(利尿作用)、腎臓・肝臓のはたらきを助ける
        (アルコール分解)


 ● その他 

 ・ 奇数(   )と 偶数〔   〕、   
    ex. 九( )と六〔 〕 :(整数・生数・成数

 ・ 天照大御神〔あまてらすおおみかみ=太陽神女神・伊勢神宮〕(    )と 
  月読命〔つくよみのみこと〕〔   〕  

 ・ “おみくじ”の大吉(   )── 中吉(「中」) ── 小吉〔   〕

 ・ タテ〔経糸〕〔   〕と ヨコ〔緯糸〕(   )
    ※動くかどうか・どちらが重要化か

 ・ 和琴《ヨコ弦》と 竪琴《ハープ、タテ弦》 
    cf.琴=臥龍の形・龍舌・竜頭・龍甲

 ※ 研究 ─── 【家相】
 ・ 「鬼門〔きもん〕」〔   〕 と 
   日当たりや風通しの良い南方位や東方位(   )

 ・ 「表(おもて/男)鬼門」〔   〕 と
  「裏(うら/女)鬼門」〔   〕=どちらも陰

 ・ 「バリアフリー〔障壁除去〕空間・住宅」 
  (段差をなくす、カドをなくす、暗部をなくす)
    ─── 結局は「陰」の部分を「陽」にすること?!



(この続きは、次のブログ記事に掲載しております。)


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むかしの中国から学ぶ 第3講 「陰陽相対(待)」 (その1)

吹田市立博物館・講演 『 むかしの中国から学ぶ /【全6講】 』

【第3講】 §.「 陰陽相対(待) 」      (‘11.6.11 )

cover_20110611

(※本講は、私の教材・資料を用いて私の指導のもとに、
高弟の嬉納/汐満 両女史に分担して講義を担当してもらいました。
汐満先生は、プロのカラーアナリストとして第─線で活躍されてもおいでです。
講義の残り時間で、受講生の希望者を募って
パーソナルカラー 〔自分色〕の診断実演を、
オリジナル・ドレープ〔診断用色布〕を使って行いました。
とても好評を博しました。)



《§. はじめに 》

─── 受講のみなさまへ、陰陽相対(待)論について ───
                                (高根 秀人年)

 東洋思想(儒学)のみなもとの思想が 「陰陽相対(待)論」 です
具体的には、易学(『易経』)の思想です。

今からおおよそ 3000年(?)ほども前の古代中国に発祥いたしました。

そして、この古代中国の思想・文化は、
そのまま古〔いにしえ〕のわが国が受容・吸収いたしました。

日本の精神文化のルーツともいえましょう。


 「陰陽論(二元論)」 とは、すべて(宇宙)のみなもとは、「陰」と「陽」、
動物であれば「雌〔し/女性〕」と「雄〔ゆう/男性〕」からなるとするもの
です。

普遍〔ふへん〕的真理です。

現代文明の最先端技術であるコンピューターの原理も
“二進法” (1と0、オンとオフ)です。  易と同じです!


 そして更に、陰陽論にとどまらず「相対(待)論」と称されているのは、
単なる二元論ではなく(陰と陽が)相対的に
変化」〔チェンジ:change〕する ということなのです。

ここが、東洋思想の非常に “深い”ところなのです。

結論的にいいますと、この 「変化」とその「変化への対応」 こそが、
易(儒学)と老荘の思想(東洋の二大源流思想)のキーワードです。


 「陰陽相対(待)論」は、思想・哲学(=形而上学〔けいじじょうがく〕)ですが、
医学(漢方・中医)や建築 をはじめスペシャリストの 実学 として、
体系立てられています。

そして、一般ピープルにとっても、身近な日々の生活慣習の中に根づいている のです。

はじめにあたり、2・3の例をご紹介しましょう。


例 その1)  相撲〔すもう〕 

 日本の国技・相撲は(── 近年は不祥事の連続ですっかり堕落していますが)、
その中には易学の思想がよく取り入れられ残されています。

陰陽」・「五行〔ごぎょう〕」・「易の八卦〔はっか/はっけ〕」 などの思想が
よく現れています。

「陰陽」の例にふれておきますと。

 相撲場は、 □・四角の土俵(=陰/=地)に 
○・丸(円)い俵(=陽/=天)
 から出来ています。

その土俵の中で、東方〔ひがしがた〕(=陽) と 
西方〔にしがた〕 (=陰)
の力士が戦う「天地人和」の競技です。

 「呼び出し」の行司〔ぎょうじ〕は、木村家と式守〔しきもり〕家の両家のみが担当し、
木村家は軍配〔ぐんぱい〕を持つ指を下に向け「陰」を示し
式守家は軍配を持つ指を上に向け「陽」を示して、陰陽を区別します。 

── そして「ハッケヨイ!」(= 八卦良い! ) と声をかけるわけです。


 ( 土俵・俵 説明図 略 )



例 その2)  国旗〔日・韓〕 

 国旗には、よくその国の思想や民族性が表れています。
日本と韓国の国旗をみてみましょう。


A. 日本(「ひ」の「本〔もと〕」)の国旗、日の丸

白ご飯をつめた真ん中にウメボシをおいた弁当を “日の丸弁当” といっていますね。
(ウメボシ弁当の、生活の智恵的その陰陽論的効用は後述しています)

 太陽信仰(神道〔しんとう〕/天照大御神〔アマテラスオオミカミ〕/
日の出づる処の国 ・・・)の国ですので、白地に赤い丸です。

白は神道の高貴な色〔インペリアルカラー〕、赤は太陽の色です。 補注1)
太陽は「陽」、丸(円)い形(=「陽」)でもあります。
白地は、四角で「陰」・大地

立体的に象〔かたど〕れば、地の上の天〔=空:中国では空のことを天と表現します〕です。

 私感(高根)ですが、このビコロール〔2色の配色・ツートンカラー〕は、
白という最高明度の“無彩色”=「陰」と
赤という最高彩度の“有彩色”=「陽」の組み合わせであるともいえます


補注1)
朱赤/黄味の赤。太陽の(見かけの)色を、
「黄」 or 「橙〔だいだい:オレンジ〕」 or「赤」 と感じるか、
表現するか、はお国柄によって異なります。



B. 次に、お隣の韓国は、アジア諸国の中で、儒学の伝統を色濃く残しています。

韓国の国旗(大極旗・テグキ)は、白地の中央に大極マーク、
四方に易の八卦のうち「四象〔ししょう〕」をあしらっています。

 大極マークは、上部が赤色、下部が青色で彩色され、
「陽」と「陰」とを表わしています。

寒・暖という“温度感”にもとづく陰陽です。
(温度の高いものは上、低いものは下です。) 

青(ブルー)は寒色(=「陰」)の代表、
赤(レッド)は暖色(=「陽」)の代表
です。

 「四象」は、「算木〔さんぎ〕」の象〔しょう/かたち〕で表わされています。  補注2) 

上(半)部に 「天 【乾】」 と 「水 【坎】」 の「陽(男性)卦」を位置づけ、
下(半)部に 「地 【】」 と 「火 【離】」 の「陰(女性)卦」を位置づけ、
対角線上に 「天 − 地 」 / 「水 − 火」 の
ペア卦(算木の陰陽が反対になります)をレイアウト〔配置〕しています。


 ( 説明図(国旗/四象) 略 )


補注2)
「算木」の象  棒状の黒=「陽」、棒状の黒の中央部が赤=「陰」。

この黒は天をあらわし(中国思想で天の色は黒です)、
「陰」の棒は地をあらわします。

「八卦〔はっか/はっけ〕」(小成卦)は、
この3つの算木の組み合わせの 8パターンです。

→ 【        】  
 なお、易卦(大成卦)は、6つの算木の組み合わせで構成されていて、
8 × 8 = 64 パターンです。

『易経』 64卦 です。


── 『論語』の中に、孔子の 「温故而知新
(故〔ふる/古〕きを温〔あたた/たず・ねて〕めて新しきを知れば、
以て師となるべし)の名言があります。

この講座で、(1) “むかしの中国”をルーツ(みなもと)とする
「陰陽相対(待)論」の理〔ことわり〕を、正しく温〔たず〕ねてみましょう。
 

→ そして、(2)  かつての日本がそれを、(創造的に)受容・吸収したことも学びましょう。 

→ そして更に、21世紀初頭の“グローバルな世界”・
“色の時代 〔カラーエイジズ: Color Ages〕”にあって、
(3) (欧米の)色の視点から、(東洋の)「陰陽相対(待)」の思想を捉えてみいたいと思います。

★“むかし(「/古」)の中国”を「」ねて、
」めて(一味加えて)、「」しいものを「」ってみましょう。



(この続きは、次のブログ記事に掲載しております。)


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