第十七回 定例講習 (2009年1月)

 

孝経

 聖治章 第九 の群読 : この章は孝経18章中最も長く、内容的にも核心部分です。読み味わうにつけても、著者が力をいれて説いていることが感じられます。くり返し熟読したいものです。

 例話 2つ :

1) 直江 兼続 (なおえかねつぐ、上杉家家老)

‘09年のNHK大河ドラマ 「天地人」の主人公として周知と思います。豊臣秀吉からは信頼され可愛がられた上杉家・直江兼続でしたので、「関が原の戦い」では西軍につきます。

敗戦降伏後、徳川家康の命令により領地(当時は会津領)が 120万石から 30万石に減じ移されることになります。経営的には、家臣も4分の1にしなければならない計算です。しかし、兼続は家臣のリストラはしませんでした。謙信公以来の忠臣を皆引き連れて米沢に移ります。

米沢では、家臣の俸給は3分の1に減らしました。(4分の1と3分の1との差額不足分は兼続の私財で工面したといわれています) その耐乏生活の中で上杉家は一致団結して力を蓄えます。

やがて、この領地の狭さに似合わぬ大軍団(1万弱くらい)は、「大阪の役」で家康側(東軍)で大活躍し、その功により、徳川の時代にあって名門としての不動の地位を築くことになります。

ちなみに、兼続の兜〔かぶと〕正面の瓩諒源飾りは、仁愛・敬愛の愛なのでしょう。愛は儒学の“瓩汎韻犬任后


2) 松下 幸之助 (狆床偲鉄錙魅淵轡腑淵襦有畫篭伴圈

「経営の神様」 と呼ばれた、昭和財界を代表する立志伝中の人です。
5坪の町工場であった狆床偲鉄鎰瓩鮟抄醗1万人、売り上げ1千億円の大企業へと発展させます。

その経営は 「日本的経営」 の代表ともいわれ、「企業一家」 の考え方です。
つまり、松下夫妻が父母であり、従業員たちが子供ということです。

幸之助氏は、儒学を書物で学んだわけではありませんが、その考え方は儒学的 瓩龍気┐頬棔未發函佑鼎ものにほかなりません。

かつて、不況の時に臨んで、幸之助氏はリストラしませんでした。
労働(生産)時間は半分にしましたが、給料は減額しませんでした。

家族瓩世らです。

すると、従業員たちは奮起して、その休みの半日を使って在庫の商品を自主的にセールスして回ったそうです。在庫の山は、みるみる減ってなくなったそうです。

今、狆床偲鉄鎰瓩蓮 “Panasonic ・パナソニック” に社名が変わっています。
現在の不況に際して、1万5千人の人員削減(半分は国内)を打ち出しています。(‘09.2.4) 
アメリカ化して変わったのは、社名ばかりではないように私は思います。


論語

 「 子曰わく、 歳〔とし〕寒くして 然る後に松柏〔しょうはく〕の 彫〔しぼ〕むに後るることを知る。 」 (子罕第九 −29)

 時候が寒くなって初めて、(他の樹木は枯れしぼんでいるのに) 松や柏〔かや・ひのき ※ 常緑樹〕 がしぼまずに残っていることがわかります。

 (人の真価・節操というものも大事乱時にわかるものです。)

 ‘09 年 1月 “ We can change. ” 〔変革〕をとなえた オバマ氏が新アメリカ大統領に就任いたしました。

自然も人生も大いなる変化・無常・「変易〔へんえき〕」です。
 
しかし、変化の根柢〔こんてい〕にある、変わらないもの・変わってはいけないもの・ 「不易」なものの価値を大切にしなければなりません。

それは、人間界では狷銑瓩任后

易卦 「雷風恒〔らいふうこう〕」 は、幾久しく変わらぬ道を説き、 「水沢節〔すいたくせつ〕」 は志節・節操を説いています。

孔子も 「 ―― 難いかな恒〔つね〕 有ること」 (述而第七 −25)と嘆じていますが、今の我国も心は すさみ、蒙〔くら〕く、瓠Ν瓩六犖譴砲覆蠅弔弔△蠅泙后 

狆召妨添の色なし瓩魏めて考えてみなければなりません。

 「松柏千年青」 (『広燈録』など)

「国乱れて忠臣あらわれ、 家貧しくして孝子出づ」


本学

1) 干支〔かんし・えと〕 = 十干〔じゅっかん〕(天干) と 十二支(地支)

 十干 ・・・ 甲〔こう〕 ・ 乙〔おつ〕 ・ 丙〔へい〕 ・ 丁〔てい〕 ・ 戊〔ぼ〕 ・ 己〔き〕 ・ 庚〔こう〕 ・ 辛〔しん〕 ・ 壬〔じん〕 ・ 癸〔き〕

十二支 ・・・ 子〔ね〕 ・ 丑〔うし〕 ・ 寅〔とら〕 ・ 卯〔う〕 ・ 辰〔たつ〕 ・ 巳〔み〕 ・ 午〔うま〕 ・ 未〔ひつじ〕 ・ 申〔さる〕 ・ 酉〔とり〕 ・ 戌〔いぬ〕 ・ 亥〔い〕

 十干と十二支の組み合わせで暦(旧暦)をつくりました。
甲子〔こうし・きのえね〕に始まり61年でもとの甲子にもどります(還暦)。 
「甲子園球場」 は甲子の年に出来て還暦を過ぎました。

 今年は犖福Ρ〔き・ちゅう、つちのと・うし〕瓩任后
この旧暦は、明治時代に太陽暦が取り入れられるまで我国で用いられました。


2) 九性(星)気学

 易の八卦の象意〔しょうい〕をダイジェストに取り入れ、それに 「五黄土性〔ごおうどせい〕」を加えました。

一白〔いっぱく〕水性  = 坎 、   二黒〔じこく〕土性   = 坤
三碧〔さんぺき〕木性 = 震 、   四緑〔しろく〕木性   = 巽
六白〔ろっぱく〕金性  = 乾 、   七赤〔しちせき〕金性 = 兌
八白〔はっぱく〕土性  = 艮 、   九紫〔きゅうし〕火性  = 離 

 この九性(星)を、下図のような 魔方陣〔マジックスクウェアー〕 に配列しました。 

タテ・ヨコ・ナナメのどれでも、3つの数字をたすと 「15」 になります。
そして、この位置が一定の規則性で動き(変化)ます。

※ 古代中国で、禹王〔うおう〕が洪水を治めた時、河(洛水)から浮かび上がった カメ(神亀)の甲羅〔こうら〕にこの配列が示され、禹王また悟るところがあって 「洛書〔らくしょ〕」 を書いたと伝えられています。これは後、易学の 「後天〔こうてん〕の図」 のもととなります。

( 「洛書方陣 ・ 十五方陣」 )

 今年は、「九紫火性」にあたります。八卦の象意では、「 離・火 」 にあたります。


易経

1) 本年、「平成21年」の干支〔えと〕(己・丑)と九性気学(九紫火性)の易学的解釈・解説

(※ブログ “平成21年度のごあいさつ”の、今年の干支・九性気学の深意をご参照下さい)

 十干・十二支を易学八卦(小成卦)になおすと次のようになります。

甲=寅 ―― 震(雷)、           乙=卯 ―― 巽(風)、

丙=午 & 丁=巳 ―― 離(火)、   戊=辰・戌 ―― 艮(山)、

己=丑・未 ―― 坤(地)、         庚=申 ―― 乾(天)、

辛=酉 ―― 兌(沢)、           壬=子 & 癸=亥 ―― 坎(水)


 己 と 丑 ―― 坤(上卦) と 坤(下卦)で  「坤為地〔こんいち〕」です。 ‘純陰、母なる大地、柔順の貞〔てい〕 ・・・ ’ の意。 「君子以て徳を厚くし以て物を載〔の〕す。」(大象伝)

 九紫火性は、 火=離 ―― 離 の象意(小成卦)、離の重卦で 「離為火〔りいか〕」(大成卦)。‘つき離れる、聡明・美・文化文明 ・・・ ’ の意、「大人以て明を継ぎ、四方を照らす。」(大象伝)


2) 高根による、 筮竹〔ぜいちく〕 を用いた立筮(略筮法)の実演・披露と易占用具についての説明。

3) 各自の倏筮〔ねんぜ :‘09年1月〜12月〕 瓠腹┌卸遑監から翌年2月3日までではありません) の発表と解説
 ――― 以下に 4つの例とその解釈のポイントを示しておきましょう!


その1. 受講生の年筮 (8面サイによる中筮)

【 Aさん 】

 8面体ダイスが 「(上爻)4 ・ 5 ・ 4 ・ 4 ・ 1 ・ 7(初爻)」の数なので、「(上) 震〔しん〕 ・ 巽〔そん〕 ・ 震 ・ 震 ・ 〔けん〕 ・ 艮〔ごん〕(初)」。

  これを 陰陽(女男)に直すと「 陽 ・ 陰 ・ 陽 ・ 陽 ・ 陽 ・ 陽 」。従って、得卦は、
  「 火天大有〔かてんたいゆう〕」 ‘大いに有〔たも〕つ、中天の太陽’の意。

 2爻 が動爻の「乾」なので、陽陰変じて「」となり、変卦(=之卦)は、「 離為火〔りいか〕」 ‘つき離れる、聡明・美・学術文化’の意。

 6(つの)爻 の中味をみると、主爻 は定卦主・成卦主とも5爻にて「巽」。‘風のように従って吉’の意。 「震」が3つもあるのが特徴的。 「震」は‘動き・起の兆し・音や電波による連絡’などの意。

 時期の見方の一例。 1・2月(初爻)=「艮」‘足止めストップ’、3・4月(2爻)=「乾」 ‘剛健・陽の兆し’、5・6月(3爻)=「震」‘驚き・動く’、7・8月(4爻)=「震」、9・10月(5爻)=「巽」‘従って吉’、11・12月(上爻)=「震」。


【 Bさん 】

 「(上) 〔こん〕 ・ 巽〔そん〕 ・ 艮〔ごん〕 ・ 離〔り〕 ・ 〔けん〕 ・ (初)」 にて、得卦は、「 雷水解〔らいすいかい〕」‘春の雪解け、解決と解消の2意あり’。

 初爻 、2爻 、上爻 の3つが動爻 (変爻)で、大いに変動ありと考えられます。変卦(之卦)は、「 火雷噬嗑〔からいぜいこう〕」 ‘口の中に挟まっている障害物 〔4爻〕’で、良いものなら飲み込むし、悪いものなら吐き出すの2途があります。


中筮法による年筮解釈のPointo ; 動爻の数と2つ以上ある小成卦(八卦)の象意、  
主爻の象意、1年間を2ヶ月ごとに6分割する(6 爻に相当させる)


その2. 講師の年筮 (筮竹による略筮と中筮)

【 高根 (略筮法) 】

『 水雷屯〔すいらいちゅん〕上爻にて、風雷益〔ふらいえき〕に之〔ゆ〕く 』
(※ 屯は四難卦の1つ)

 得卦 「」は、‘創造・万物生成の始まりと生みの苦しみ’ の意。

 之卦 「益」は、‘益する道、善事とみれば従い動く’ の意。

 互卦 「山地剥〔さんちはく〕は、‘身心のはがれ、依って立つ処を注意!’ の意。

 上爻 辞は、「悲運の極みにて 行きつ戻りつして進退窮まる」。 しかし、(上爻なので)奮起・新局面打開に努力して、時至ればおおいに通じさせられると考えられましょう。

 時期については、今年の前半(下卦)は 「 震」にて、‘動き・起の兆し・連絡・進展あり。’後半(上卦)は 「 坎」にて、(悩み・困難・病気ばかりではなく) 自分自身〔高根〕が一白水性・水の人でもあり、 ‘学問(易学・儒学)や 移動の吉’と捉えたいと思います。


【 嬉納 〔きな〕(中筮法) 】

「(上) 坎・  ・ 坎 ・ 震 ・ 離 ・ 艮 (初)」 にて、得卦 「 離為火〔りいか〕」、動爻は 5爻にて 変卦(之卦)は 「 天火同人〔てんかどうじん〕」。

 主爻は 2爻(成卦主)で 「 離」、 5爻(定卦主)の 「 」 は動爻にて陰の極から陽の極 「 」へと大変化する。

 「離火」・「離」・「九紫火性」の象意にて、‘学術・発展・発表・カラー ・・・’などの意。 内容的に 「離 = 火」 と 「坎 = 水」 の相対するものがあります。 ※(注)

 変卦は 「同人」にて、‘志を同じくし、多くの人が集まる’の意。

 時期については、今年の前半(下卦)・後半(上卦)とも 「離」にて同様。 3・4月(2爻)は 「離」にて‘学術・発表’ (4月に狄深瑤僚犬き疇段鵡岷蕕鮹甘いたします)、 1・2月の「艮」のカベ・障壁は 4月講演に向けての労力や苦難かと思います。 後半(7・8月、11・12月)の「坎」は、自分自身〔嬉納〕が一白水性でもあり、易学・儒学の学業と捉えたいと思います。

※(注) 五行思想では 「 水」 と 「 火」 は、一般に相克〔そうこく;ライバル関係〕として捉えます。 が、「 ―― 水火 相〔あ〕い射〔いと〕わずして 八卦 相い錯〔まじ〕わる 」(説卦伝 3章) とあるように、深意は狠耋性瓩如 峪瀝函Α魅▲Ε侫悄璽戰鵝諭廚箸眤えられます。例えば、火と水(が協力して)で美味しい料理が創り生み出される と考えると良いでしょう。

( 以上 )

真儒協会 会長  高根 秀人年



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