■ 易経 ―― 《 象による 64 卦解説 》 ( 其の1 )
はじめに
『 易経 』 64卦奥義
☆ 乾・坤にはじまり 既済・未済に至る
☆ 龍〔ドラゴン〕にはじまり 小狐に終る
『易経』 〔“The Book of Changes”〕は、万物の変化とその対応の学。
東洋の源流思想であり、儒学経書(五経)の筆頭であり、帝王(リーダー)の学です。
“東洋のバイブル”が 『論語』なら、“東洋の奇(跡)書”と呼びたく思っております。
『易経』は、世界と人間(人生)の千変万化を、“ 64卦(384爻)”のシチュエーション〔 situations 〕(シーン〔 scenes 〕) にしたものです。
「書は言を尽くさず、言は意を尽くさず。」(繋辞上伝) ですので、それ(64卦・384爻)を ものごとを象〔かたど〕る“象〔しょう〕”と、解説する言葉 “辞”とによって深意・奥義を表示しています。
さらに「易経本文」に、孔子及びその門下の数多が(永年にわたって)著わした「十翼」(10の解説・参考書)が合体します。辞と象の、さらに易本文と十翼の融合合体が、『易経』の真面目〔しんめんもく〕であり “奇書”の“奇書”たるゆえんでありましょう。
『易経』の真義を修めることにより、個々人から国家社会のレベルにいたるまで、“兆し”・“幾”を読み取り、生々・円通自在に変化に対応できるのです。
21世紀を迎え、“未来に向かって足早に後ずさりしている”現在こそ、
東洋3000〜2000年の英知のリナシメント〔再生・復活〕が必要なときです。
( 高根 秀人年 2009 )
「上・下経 64卦によって理論的・実践的に、我々が無限の進歩向上の原理原則を把握することができる。」
「この『易経』をみますと、前編つまり上経30卦は、その創造・進化の主として原理を明らかにしたものということができる。それに対する後編、下経34卦は、これは前編の創造・進化の原理をやや人間的に、人間界に適用して ―― 前編を天事を主とすれば、後編のほうはもっぱらこれを人事に応用したもので、前編と後編とで天人統一、天人相関を明らかにしたものということができます。」
( 安岡正篤、『 易と健康(上) 易とはなにか 』)
( 編集 注 )
・ 《 》 は、64卦をペアで(序卦伝にのっとり)配列・解説しています。
・ ● は、要点 Pointo です(既習内容を再録しておきました)。
・ ■ は、もっぱら象による解説・検討です。
・ ○ は、大象伝(卦を結語的に要したもの)の全文・解説です。
・ 原則的に、(あえて)歴史かなづかいは現代かなづかいに、
旧字は新字に、変換出来ない一部の漢字はカタカナ表記にしました。
・ 書き下し文は、原則的に助詞・助動詞はひらがなにしていますが、
接続詞等も解かり易いと思われるものは、ひらがなにしています。
<主要参考文献>
・ 安岡 正篤 『易學入門』 (明徳出版社)
・ 安岡 正篤 『易と健康(上) ・ 易とはなにか 』
・ 今井宇三郎/他 『新釈漢文大系・易経 上・中・下 』 (明治書院)
・ 鹿島 秀峰 『易経精義』 (神宮館)
・ 高田真治・後藤基巳 『易経 上・下 』 (岩波書店)
・ 本田 済 『中国古典選 易 』 (朝日新聞社)
・ 本田 済 『易經講座 上・下 』 (斯文会)
・ 平木場泰義 『易学 上・下 』 (秋山書店)
・ 新井 白蛾 『易学小筌』 (積善館)
・ 新井 白蛾 『古易断時言 1〜4 』
・ 高根秀人年 『易経六十四卦解説奥義』
上経
※ 「実によく、思索し、把握し、推敲されて極めて自然である。
どちらかというと原理的、従っていくらか、理論的・抽象的。」 ( 前掲書 )
《 1 & 2 のペア 》
陰陽の原理。乾坤 = 陰陽
● 「 夏を愛する人は 心強き人
岩をくだく波のような ぼくの父親
■ 冬を愛する人は 心広き人
根雪〔ゆき〕をとかす大地のような ぼくの母親 」
(“四季の歌”より)
◎ 陰陽〔2元論〕相対(待)論 : 宇宙万物の根源を「大極」といい、陰陽に分かれ、陽が乾 陰が坤。乾は天、坤は地。乾は父、坤は母。 我国では、イザナギの命とイザナミの命で万物を産みました。“天地玄黄”(「千字文」の最初)。
・ 「乾坤両卦で天地万物の生成化育の実体と原則、本質というものが要約的表現されている。」 ( 前掲書 )
1. 乾 【けん為天】 は、剛・天の運行 。
全陽 ・・・ 分化発展の原則、
8重卦(純卦)、男性・純陽(老陽)、12消長卦 (5月)
● 乾=健の意、天の運行・剛健、龍(ドラゴン)、「乾は剛にして坤は柔なり」(雑卦伝)、大人に吉凡人に凶
・ 「元亨利貞〔げんこうりてい〕」(卦辞) と ※「自強不息〔じきょうふそく〕」(大象)
※ 乾の四徳 ・・・ 循環連続性
芽生え/「元」 ・・・時間的にいえばはじめ、立体的にいえばもと、大極=「元気」、
大小の大、季節は春、徳では「仁」
成長 /「亨」 ・・・通る、通じる、元で生じたものの無限の生成化育、季節は夏、
徳では「礼」
結実 /「利」 ・・・利ろし・利益・善きことがある意、 “きく”・成果・結果を生む・
収穫・実り、季節は秋、徳では「義」
不変性/「貞」 ・・・正しく堅固に安定、次の生成への基、季節は冬、徳では「智」
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また、芽生えと循環。 季節もまた然り。
(彖伝・全)
「大いなる乾元、万物資〔と〕りて始む。すなわ〔及〕ち天を統〔す〕ぶ。|雲行き雨施し、品物〔ひんぶつ〕形を流〔し〕く。|大いに終始を明らかにし、六位〔りくい〕時に成る。時に六龍〔りくりゅう〕に乗り以て天を御す。|乾道変化しておのおの性命を正しくし、大和を保合するは、すなわ〔及〕ち利貞なり。庶物に首出〔しゅしつ〕して、万国ことごと〔咸〕く寧〔やす〕し。」
《大意》
乾天の気である元の根源的なパワーは、何と偉大であることよ! 天地〔宇宙〕間に存する万物は、みなこの元の気をもとにして始められているのです。すなわち、天道の全てを統率、治めているのが乾元〔=乾徳〕なのです。(以上 元の解釈)|
乾のはたらきにより、水気は上って天の気の“雲”となって運行し、雨を施して地上の万物を潤し、万物・万生物(品物)が形を成し現われて活動を始めるのです。(以上 亨の解釈)|
乾天のはたらきは、物の始まりから終わりまで、そしてまた始まりと間断なく循環するところを大いに明らかにしていて “6つの爻”(もしくは、老陽・老陰の交わって生ずる 震・巽・坎・離・艮・兌)は、その時と場合に応じて成すべきことを示しているのです。(聖人・君子は)その時に応じて、6つの変化の龍の陽気にうち乗って、それを自在に駆使することによって、天の命である 自身が履むべき道を行なうことができるのです。(以上 元亨の解説)|
天の道は、時々刻々と神妙なる摂理によって変化しますが、その変化に応じて万物もまたそれぞれの性命〔天から与えられた本来のあるべき姿・性質〕を正しく実現して、大いなる自然の調和〔大和=大いに調和した気〕を保って失わないのです。これが利貞の徳であり乾徳なのです。
(聖人・君子は)天乾の剛健の気にのっとっていることにより、万物万民に抜きん出た地位につくのであり、その乾徳を発揮してこそ万国は、みな感化され安泰安寧を得ることができるのです。これが、聖人の利貞です。(以上 利貞の解釈)
※ 「保合大和」・・・ 自然の大調和を持続せしめ〔保〕これに和する
☆ 孔子の作ともいわれる彖伝。乾の卦辞「乾・元亨利貞」の解釈・解説文です。
まことに比類なき深遠名文と感嘆、ほれぼれいたしております。(高根)
■ ※ ケン〔けん〕と 乙、ケンは太陽が昇り光る意。乙は春の草木が曲がり伸びる形。
上卦・下卦とも乾、天また天。全て陽爻。
“龍変化を示すの象”・“万物資〔と〕って始むの意” (新井白蛾・64卦象意)
―― 龍は乾の象で陽物、また君子の象徴(人龍)、乾の 6爻は 6龍すべて
変化しています。( ※ 龍の三棲 ・・・ 陸上・水中・空中)
天地の Everything 〔森羅万象〕は、この乾の気をもとにして始まり生じたのです。
初爻 ・・・ 潜龍、 / 2爻 ・・・ 見龍、 / 3爻(人の龍:君子終日乾乾)
4爻 ・・・ 躍龍、 / 5爻 ・・・ 飛龍 / 6爻 亢(高)龍
○ 大象伝 ;「天行は健なり。君子以て自ら強〔つと〕めて息〔や〕まず。」
(天の運行は止むことなく剛健で、うみ疲れることなく、永遠にそのパワーを発揮し続けます。君子は、この象にのっとって、この卦徳を体得するように努め励み、休むことがないのです。)
◎ 用九 「群龍 首なきを見る。」 ;乾の 6爻全て陽剛で勢い盛んです。その剛の権威は頭にあります。その頭を隠すように、謙遜〔けんそん〕であるように注意することが尊いのです。
※ 龍(=リーダー)が、雲(=一般人・人民)に頭を隠すようにする。天徳は、パワー(支配力・圧力)が表面に出ないように。
2.坤 【こん為地】 は、柔・大地・女性
全陰 ・・・ 統一含蓄の原則、
8重卦(純卦)、女性・純陰(老陰)、12消長卦 (11月)
● 母なる大地、牝牛横たわり草を喰むイメージ、“柔順の貞”・“女性の貞”、
・ 「坤は元いに亨る。牝馬〔ひんば/めすうま〕の貞に利し。」(卦辞)、
※「厚徳戴物〔こうとくたいぶつ〕」(大象)、 「積善の家には必ず余慶あり。積不善の家にはかならず余殃〔よおう〕あり。」(文言伝)
・ 初爻辞 「霜を履みて堅氷〔けんぴょう〕至る。」 ・・・陰の気から霜、放置すればやがて堅固な氷。
・ 5爻辞 「黄裳〔こうしょう〕、元吉なり。」 ・・・黄色は五行で土、インペリアルカラー〔高貴な色〕、すなわち坤徳。裳は下着・スカート、謙遜な坤徳の意。
・ 上爻辞 「龍野に戦う。その血玄黄〔げんこう〕なり。」 ・・・陰の勢い極限に達し、陽(真)の龍と陰(偽)の双龍 戦い傷つき血を流している。
「玄」は黒で天=乾の雄龍の血の色、「黄」は土の色で雌龍の血の色、“天地玄黄”(「千字文〔せんじもん〕」)。
※ 爻変じて(之卦)「山地剥」、坤徳を失い自分自身の剥れを意味する。
(彖伝・全)
「至れるかな坤元。万物資〔と〕りて生ず。すなわ〔及〕ち順〔したが〕いて天を承〔う〕く。|坤は厚くして物を載せ、徳は无疆〔むきょう〕に合し、含弘光大にして品物ことごと〔咸〕く亨る。|牝馬は地の類、地を行くこと疆〔かぎ〕りな〔无〕し。柔順利貞は、君子の行うところ〔攸〕なり。|先んずれば迷いて道を失い、後るれば順いて常を得。西南に朋を得とはすなわ〔及〕ち類と行けばなり。東北に朋を喪うとはすなわ〔及〕ち終〔つい〕に慶〔よろこび〕あるなり。貞に安んずるの吉は、地の疆りな〔无〕きに応ず。」
《大意》
「実に至大、坤の元いなる徳は、何と偉大なものであることよ! 万物は、この坤の元の徳をもとにして生成されるのです。すなわち、柔順に乾天の元の気を承け入れることによって、この偉大なはたらきができるのです。これが坤元〔=坤の徳〕なのです。(以上 元の解釈)
そして坤地は、広く厚く〔純陰が 6つ重なり〕 森羅万象〔Everything〕あらゆるものを載せて、その徳は無限であり、天徳の無限と融和合体して、その包含するところは公明正大で、万物全てを成長発展させるのです。(以上 亨の徳)
牝馬は、その柔順さ〔メスである〕から、陰であり坤地の徳〔馬は地を行くので〕の同類といえます。牝馬は地上を柔徳を以て駆ける健脚を持っています。このような、牝馬の柔順にして利貞の徳こそが坤の徳であり君子の行うべき道なのです。(以上 利貞の解釈)
もし、陰がでしゃばって、陽に先んじて行くようなことがあれば、進路に迷い、それは陰本来の道を失うことです。陰が陽の後から、柔順に従っていくなら、それは本来の常道を得ることです。
陰の方位である西南にいけば友を得るというのは、同類(巽・離・兌の陰卦)と行動を共にするということで、陽の方位である東北に友を失うというのは、〔陽は大で小の陰を包み込めるが、陰は陽を包み込めないので〕孤立します。しかし、陽に柔順に従い陰陽合体することで、最終的には慶であるということです。
安らかで正しい姿勢が吉を招くというのは、それが坤地の限りない徳に適応しているからなのです。
■ 上卦・下卦とも坤、乾の天に対して一面の地。全て陰爻、乾の“剛健の徳”に対して“柔順の徳”、人事にとれば乾の天子・君子・大人・男性に対して、臣下・庶民・女性
○ 大象伝 ;「地勢は坤、君子以て徳を厚くし以てものを戴〔の/たい〕す。」
(大地の象は坤で、その形勢は柔順にして厚く万物を戴せています。この象にのっとって、君子は、坤徳をますます厚いものとして、万物・万民を包容するように努め徳を施すのです。)
◎ 用六 「永貞に利ろし」 ;陰の道〔臣下・妻の道〕は、柔順な姿勢を失わず坤徳を永久に正しく貞正に堅持することで利ろしきを得るのです。そうして、有終の美を飾る〔陰極まって陽となり、陽の大をもって終る〕ことができるのです。
《 3 & 4 のペア 》
3.屯 【水雷ちゅん】 は、なやみ、くるしむ。
4 難卦〔坎水・蹇・困・屯〕、「屯難」
● 創造・生みの苦しみ、「駐屯」・「屯〔たむろ〕」、滞り行きづまる、入門は吉、
赤ん坊をそっと(育てる)・幼児教育 ・・・ ※ 父母(乾坤)の間に震(巽)の長子が生まれた時
・ 「天造草昧〔そうまい〕」(彖辞) ・・・ (草が生い茂っているように)天の時運がまだ明らかでない〔これから開かれようとする時〕 =天下草創・暗黒の時代
・ 「屯とは盈〔み〕つるなり。屯とは物の始めて生ずるなり。」(序卦伝)
・・・ ex. “明治維新”〔幕末から明治政府設立までの動乱・混乱期〕
cf. (通常の日座空亡に対し) 易学空亡 = 屯・蒙の2ヶ月、その後有卦〔うけ〕の3ヶ月
■ 「屯」の字義 : 「一」は、地を現わし、下の草木が芽生え地上に出ようとして曲がっている形、から創生の悩みを意味している。
上卦の坎は、坎険・水・川・寒・暗。下卦の震は、動・進む・伸びる・若芽・蕾〔つぼみ〕。 すなわち、
1)進もうとして前に川があり、
2)草木の若芽が伸びようとして、寒気で伸び艱〔なや〕んでいる象。
3)水=雲 と 雷=雨で雷鳴、雷鳴り雲雨を起こさん。
○ 大象伝 ;「雲雷は屯なり。君子以て経綸す。」
(上卦に坎の〔いまだ雨とならぬ状態の〕雲があり、下卦に震の雷がある。天上に雷鳴り響き、今にも雨が降ろうとする象です。 この天下創草の時、君子は、この象にのっとって、創始の大切なことを悟り、天下国家の経綸〔径は機織の縦糸、綸は横糸から、整える意。転じて平安に治政すること〕を行なうのです。)
4.蒙 【山水もう】 は、くらい。
準 4難卦〔蒙・蠱・剥・夬〕、
教育(者)の卦〔蒙・需〕
● (頭が)蒙い、教育の卦、「啓蒙」=蒙を啓〔ひら/てら・す〕く、童蒙(児童教育)、
寺子屋の象、「無知蒙昧〔もうまい〕」、
・ 「童蒙より我に求む。初筮〔ぜい〕は告ぐ。再三すれば涜〔けが〕る。」(卦辞)
・・・童蒙=(5爻)、我=(2爻)、占筮も師の教えもあれこれ迷わぬように
※ 「果行育徳」(大象) ex.果物の間引き、「果決/果断/摘果」
cf. (1) “啓蒙思想: enlightenment ”・・・理性の光で暗きをてらす。
ルソー、モンテスキュー 、ボルテール /福沢諭吉・『学問のすすめ』
(2) “啓発教育” =儒学の教育、 (=能力開発教育)
「憤〔ふん〕せずんば 啓せず。ヒ〔ひ〕せずんば 発せず。
一隅を挙げて、三隅を以て反えらざれば、則ち復〔ま〕たせざるなり。」
(『論語』・述而第7)
(3) “啓蒙照隅” ・・・(心の)蒙きを徳の光で啓〔てら/ひら・く〕す(真儒協会)
■ 外卦 艮山、内卦 坎水。
1)艮は止め、坎は険〔けわ〕しで方向定まらず、進退迷う。
2)山の下に水で モヤ。
cf.レオナルド・ダ・ビンチのスフマート〔煙のごとく〕・ぼかし
※ 涜る=汚す、冒涜する。 下卦の坎水と 3・4・5爻の坤地交わって泥となり涜の象
○ 大象伝 ;「山下に泉出ずるは蒙なり。君子以て行を果し徳を育う。」
(艮山の下に坎水の泉があります。この小さな泉〔 =蒙く穉・おさないもの〕は、やがて大きく育ち流れて大川となります。この山が泰然として、泉を育てる象にのっとって、君子は、正しい行ないを貫き、成すべきことを果たし徳を養ってゆかねばなりません。)
《 5 & 6 のペア 》
5. 需 【水天じゅ】 は、待つ。
遊魂8卦、 教育の卦
● 求め待つ、やしない待つ、 “蜜雲すれども雨ふらず”(白蛾、「小畜」の卦辞)
※ 出処進退をわきまえた大人(乾)の“待ち”、 “天水同行”の形
・ 「需とは飲食の道なり。」(序卦伝) ―― 心を養うもの(文化 : culture =心をたがやすものの意)
cf. 「濡〔うるお〕す ・・・サンズイ、人格(品格)と頭脳をうるおす
「儒」 ・・・ニンベン、儒学・儒者 、(“真儒協会”)
■ 上卦 坎水、下卦 乾天。
1)乾天上の水=雨雲 、慈雨のふるのを求め待つ象。
2)上卦の水が水蒸気として上へ上がる(雲、天に上る)、乾天は上へ・・天水同行
3)上卦の水(雨)は下へ、下卦の天は上へ、これで(地天泰と同じく)上下循環する象とも考えられる。
4)下卦乾の 3陽は前進の気を持っているが、上卦(先)に険なる坎水があってすぐには進めない象。時を待たねばならない。
・ 「孚あり」 ・・・5爻の陽位に陽爻が位し、中正の象。坤の身体に 1陽の気が貫いているのが坎で心の象とし「孚」とする。全卦からみて坎の中爻は、需卦の主爻であり「孚」とみる。
○ 大象伝 ;「雲の天に上るは需なり。君子以て飲食宴楽す。」
(坎の雲が、乾天上に高く上がっていて「密雲雨ふらず」の象。この象にのっとって、君子は、力量を秘めて、いたずらに進むことなく悠游〔ゆうゆう〕と飲食し、宴楽して英気を養い時期を待って事に処してゆくのです。)
6.訟 【天水しょう】 は、うったえる。
遊魂8卦
● 訴訟・矛盾、男性同士(陽と陽)の背反、“天水違行”の形
※ 「作事謀始」(大象) ・・・事業は始め、教育は幼少時代を大切に。始めが肝腎。
cf. 「訴えてやる!」(TV“行列のできる法律相談室”) ・・・法的良悪と道徳的善悪は必ずしも同じではない。道義的・倫理的責任。“法(法治主義)と道徳(徳治主義)”。
■ 上卦 乾天は上昇の性、下卦 坎水は下降の性 ・・・(天水違行)
1) “天水違い行くの象”(白蛾) ・・・ 水は低きに流れ、天はあくまで高く、背き進む象
2) 乾は剛健にして上にあり、坎は苦しんで下にある象。そして、両者相争う象。
○ 大象伝 ;「天と水と違い行くは訟なり。君子以て事を作〔な〕すに始めを謀る。」
(乾天は上昇し、坎水は下降し、両者は相違った行き方をして争いが起こる。この象に鑑みて、君子は、※ ものごとが行き違い争いとならぬように、事をなすにあたって、始めをよくよく慎重に考慮するのです。)
続きは、次の記事(vol.3)をご覧下さい。