(こちらは、前のブログ記事の続きです。)
《 1.中国 ・ 陰陽相対〔相待〕論 》
◆ 講義担当 : 嬉納 禄子 〔きな さちこ〕
・ 易学に由来。 易は、 「陰・陽」 と 「中」 の理法。
・ 文明開化の明治期以降、陰陽(五行)説を軽視 。
⇒ いま、【復権】 されようとしている ex.漢方・中国医療
A.陰とは陽とは
● 陽とは ・・・ 発動分化、分化発展してゆく力
ex.根→ 幹→ 枝→ 葉→花
(能動的、攻撃的、昂進的状態に傾いているもの)
cf.「わからぬ」
■ 陰とは ・・・ 統一し含蓄する力、分かれたものを統一し、
それを根元に含蓄しようとする働き
ex.花 ・・・→ 根 → 実
(受動的、防衛的、沈静的状態に傾いているもの)
※ 陰陽 = (戦国時代以前は) 剛柔 といった ・・→ 陰陽五行説となっていった
○「剛柔は、本を立つる者なり。変通は、時に趣く者なり。」 (繋辞下伝)
● 大〔太〕極 (たいきょく、=「皇極」)
── 易の根本・創造的概念、宇宙の根源、万物の起源、神〈自然〉の摂理〔せつり〕
☆ 太極マーク
陰陽に分かれるモトの状態を表しています
☆ 韓国国旗(大極旗・テグキ)
中央に対極マーク、四方に易の四象(4つの易象、天・地、水・火)を
配置しています
※ 参考──万物の根源 《 タマゴが先かニワトリが先か? 》
・科学──ビッグバン(宇宙物理学)、ウルマテリー(原子物理学)
・・・ 極微の世界(ミクロコスミック)において大極が発見されようとしている。
天文学的研究(マクロコスミック)においては未だ大極に至ってはいない。
・宗教──神話、聖典 ・・・ etc.
・儒学=易・・・「太極」 / 道教(老荘)・・・「無」 / 仏教・・・「空(くう)」
● 「陰」の字 と 「陽」の字
霊気が覆うのが陰、発散しているのが陽
・ “阝” 〔こざとへん〕を“阜”〔コウ・岡〕と解し南を明るく陽、北を暗く陰とする。
ex. ・・・ 山陽道/ 山陰道
・ “阝” 〔こざとへん〕を阜〔フ〕とよみ、神霊の昇降する様子。
陰陽の初義は神様の前で執行される魂振りの神事
cf. “陽(あかり)”さん〔人名〕、“陽子”、“陽水”
陰陽文字カット(甲骨文&金文) ── 略 ──
陰 と 陽
B. 陰陽の理法ポイント
(1) 二元論 (「微妙〜」はない)
(2) 相対(待)論
(3) ベクトル的概念
(1) 二元論
乾坤天地、“転定(てんち)”、父母、大(陽)と小(陰)、〈大吉・中吉・小吉〉、
方(ほう・四角・陰)と円(えん・丸・陽) ── “水は方円の器に従う”
イザナギノミコトとイザナミノミコト(『古事記』)、アダムとイブ(『旧訳聖書』)
ex.─ 秦の統一貨幣、日本の和同開珎〔ちん・ほう〕・富本銭、前方後円墳
コンピューター(= 二進法、1と0、オンとオフ)、
ライプニッツ 陽・・・1 陰・・・0
【コギト(吾想う)】 ── コイン(硬貨)にみる現代の「過 陽」
わが国の陰陽の調和は、古〔いにしえ〕の“富本銭”・“和同開珎”に
象〔かたど〕られていると考えられます。
丸(円)の外形に四角(方)の穴。(穴はヒモを通して束ねるためでしょう)
丸(円)は「陽」・四角(方)は「陰」です。
それが、現在(明治以降)の “50円”・“5円”は、丸(円)の外形に丸(円)の穴です。
穴は丸いほうが、機能的・実用的であるという西洋的合理主義によるものなのでしょうか?
とにかく、平成の御世は、“ 中庸 ” ・ “ 中和 ” を忘れ
“ 過剛 ” ・ “ 過陽 ” が蔓延〔まんえん〕し、
ワケが “わからない” 時代に至っています。
◆陰陽の象意例 (左が陽、右が陰) *陰は凶で、陽は吉であるということではありません。
・天 ── 地 ・日 ── 月 ・昼 ── 夜 ・東 ── 西 ・南 ── 北
・剛 ── 柔 ・尊 ── 卑 ・美 ── 醜 ・賢 ── 愚 ・盛 ── 衰
・前 ── 後 ・高 ── 低 ・大 ── 小 ・円 ── 角 ・強 ── 弱
・善 ── 悪 ・広 ── 狭 ・富 ── 貧 ・夫 ── 妻 ・心 ── 体
・行動 ── 思索 ・主人 ── 家族 ・目上 ── 目下 ・先生── 生徒
(「現代易学講座・上級編 1」 参照)
(2) 相対論
─ex.1 父と母、親と子、息子と娘は、それぞれ《陽と陰》の関係。
母と息子の関係は《陽と陰》。
陰であった母は陽に、陽であった息子は陰に転じています。
─ex.2 梅干番茶(梅酸が胃中でアルカリ性に働く)や乳酸。
─ex.3 夫が陽(性)だと妻は陰(性)に、
夫が陰(性)だと妻は陽(性)に働きます。〔“相互転換性”〕
(3) ベクトル =力と方向
─ex. 『古事記』“国産み”・・・右旋(左から回る)─陽(左目)
左旋(右から回る)─陰(右目)
C.「陰陽相対〔相待〕」の具体的研究
→ *「陰」には □を、「陽」には ○をいれてみましょう!
( 解答 ⇒ 〔 〕は「陰」で ( )は「陽」です )
● 動物
・ ツメ〔爪〕の数と陰陽 ──
馬【 1 】( ○ ) ・ 牛【 2 】〔 □ 〕 ・
鼠【 4 】〔 □ 〕 ・ 人【 5 】( ○ ) ・ パンダ【 6 】〔 □ 〕
龍 ── 中国【 5 】 ・ 朝鮮【 4 】 ・ 日本【 3 】
・ 亀※ 陰陽両方 、龍( ○ )と 虎( ○ )、虎( ○ )と 豹〔 □ 〕
── “大人虎変”(「革」卦五爻辞) と “君子豹変”(「革」卦上爻変)
・ 竜馬( ○ )、ペガサス( ○ )、「龍のごとき駿馬にまたがり ・・・」(『将門記』)
※ 参考 ── 「登竜門」 “六・六〔ろくろく〕転じて九・九〔くく〕となる”
・龍のウロコ【9×9=81枚】( ○ )と龍の逆鱗〔げきりん〕【1枚】( ○ )
《1枚 ・・・“逆鱗〔げきりん〕に触れる” 「韓非子」》
・鯉〔こい〕のウロコ【6×6=36】〔 □ 〕
※ 研究 : 雄をあらわす漢字と雌をあらわす漢字を組み合わせてつくった動物名
・麒 麟 〔きりん〕 ・鳳 凰 〔ほうおう〕 ・鴛 鴦 〔えんおう〕
・翡 翠 〔ひすい〕 ・鯨 鯢 〔げいげい〕
● 食品
・ 魚一般〔 〕と トビ魚( ) *相対論的思考
・ 鮭( )、蟹( )、鮟鱇〔アンコウ〕( ) *伏陽・伏陰の思考
・ バナナ〔 〕、パパイヤ〔 〕、パイナップル〔 〕
cf.消化酵素 ──
ダイコン(土大根、つちおおね):アミラーゼ、プチアリン(デンプン分解酵素) /
パイナップル:パパイン(タンパク質分解酵素)
・ 春の茄子〔なす〕( )と 秋の茄子〔 〕
cf.「秋茄子は嫁に食わすな」
・ 日本酒( )、ワイン〔 〕、ウメボシ〔 〕
cf.「うめぼし弁当・茶ずけ」=中和
・ ごはん(米・コメ)( )と パン( )
cf.「パンを食べると ・・・ 」・「コメを食べると・・・ 」
= パンもコメも同じデンプン
・ 鍋料理( )と サシミ・すし〔 〕 *寒暖・温度感による思考
● 人間
・ “徳” 性=【人間の本質的要素】〔 〕と
“才能・技能”=【人間の属性的要素】( )
・ 君子タイプ〔 〕と 小人タイプ( )
cf. 西郷隆盛は、徳が才に勝っている君子タイプ ──
勝 海舟は、才が徳に勝っている小人タイプとも言われている
・ 感情・情緒・情操〔 〕と 知識・知性・知能( )
・ 愛〔 〕と 敬【敬愛】( )
・ 金を使う( )と 金を蓄える〔 〕
・ 男女で“おしゃれ”するほう( )と “おしゃれ”でないほう〔 〕
● 身体
・ 【人体】の酸性( )とアルカリ性〔 〕
cf. PH 7より上
・ 心臓( )と末端【末梢】血管
・ 動脈( )と静脈〔 〕
cf. 酢は体をアルカリ性にする(利尿作用)、腎臓・肝臓のはたらきを助ける
(アルコール分解)
● その他
・ 奇数( )と 偶数〔 〕、
ex. 九( )と六〔 〕 :(整数・生数・成数)
・ 天照大御神〔あまてらすおおみかみ=太陽神女神・伊勢神宮〕( )と
月読命〔つくよみのみこと〕〔 〕
・ “おみくじ”の大吉( )── 中吉(「中」) ── 小吉〔 〕
・ タテ〔経糸〕〔 〕と ヨコ〔緯糸〕( )
※動くかどうか・どちらが重要化か
・ 和琴《ヨコ弦》と 竪琴《ハープ、タテ弦》
cf.琴=臥龍の形・龍舌・竜頭・龍甲
※ 研究 ─── 【家相】
・ 「鬼門〔きもん〕」〔 〕 と
日当たりや風通しの良い南方位や東方位( )
・ 「表(おもて/男)鬼門」〔 〕 と
「裏(うら/女)鬼門」〔 〕=どちらも陰
・ 「バリアフリー〔障壁除去〕空間・住宅」
(段差をなくす、カドをなくす、暗部をなくす)
─── 結局は「陰」の部分を「陽」にすること?!
(この続きは、次のブログ記事に掲載しております。)
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