(こちらは、前のブログ記事の続きです。)

《 3.私たちの 養生 と 養心 》
   ── 日用心法・【五医】/【七養】 ── 

    (以下主に、安岡正篤・『易と健康 下/易学と養心養生 』 参考・引用)

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 A 五 医   
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 費を省いて貧を医〔い〕す。    
 静座して躁を医す。
 縁に随〔したが〕って愁〔うれい〕を医す。
 茶を煎じて倦〔けん〕を医す。   
 書を読みて俗を医す。

         (*金纓〔きんえい〕・『格言聯璧〔れんぺき〕』)
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 *金纓 : 清朝末期、咸豊〔かんぽう〕、道光の時代の哲人・長者。
        字〔あざな〕は蘭生〔らんせい〕。

◆ ・ 今時、「静座」は椅子でもよいでしょうし、「茶」はコーヒー・紅茶でもよいでしょう。

  ・ 【起/承/転/結】、「結」が大切。人生もまた然〔しか〕りです
   最後の「書を読みて俗を医す。」が決まっていますね。
   書は、経書〔けいしょ〕・史書など立派なものを読みましょう。
   (新聞・雑誌の類はダメ!)

 cf.晩年を“輝かせる” ・・・ ある老婆の話 : むかし、ある老婆
    が(学問の)入門を相談して言うには。
    「わたしは、もう歳をとってしまっております。
    いまさら勉強して、いったい何になりますでしょうか?」 
    偉い先生がおっしゃいました。
    「それで(勉強して)、あなたの人生(晩年)が輝いたものになりますよ。
    (それが最も貴いことですよ。)」 ── その老婆は、納得しました。

 (【少子高齢社会の進展】: 日本人女性の2010の平均寿命は、86.39。
  26年連続で長寿世界一。男性は、79.64 で世界第4位です。)


 B 七 養   ・・・ 陰陽五行思想・相生相剋の説で、興味深いのがこの「七養」です。

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《 七養 》  毛筆清書 (by高根) ─ 略 ─ 

*時令に順うて以て元気を養う  /  *思慮を少うして以て心気を養う 
*言語を省いて以て神気を養う  /  *肉欲を寡うして以て腎気を養う 
*瞋怒を戒めて以て肝気を養う  /  *滋味を薄うして以て以て胃気を養う
*多く史を読みて以て胆気を養う
                         (金纓・『格言聯璧』)

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◆ 一. 時令に順 (したが) うて以て元気を養う 

    ・  (時ならざるは食らわず)  (『論語』・郷党第10)
     季節はずれ(旬〔しゅん〕でない)ものは食べない 
         → “時中〔じちゅう〕” = 時の重視
     ex. 鳥は、果物の“熟しごろ”を的確に見計らって、ついばみますね。

    ・「乾・元亨利貞〔げんこうりてい〕 / 乾〔けん〕は元〔おお〕いに亨〔とお〕る、
      貞〔ただ〕しきに利ろし。」
   (『易経』・【乾】)
 
    ・「キョ〔きょ〕伯玉、行年 五十にして四十九年の。 六十にして六十化す。」
                                (『淮南子〔えなんじ〕』)

      50歳 → 「知命」(孔子) & 「知非 
      ※今代は70化す。80化す。90化す。・・・

    ・文明の害  交通の発達・冷蔵庫/季節のもの・旬のもの/春には春の元気あり


二. 思慮を少 (すくの) うして 以て心気を養う 

    ・思慮を多くする=枝葉末節にわたること/思慮を省けば言語も省ける/根源的な心気

    ・「過陽」 → 中和 ・ 中庸 を目指せ !


三. 言語を省いて以て神気を養う 
 
    ・〔しん〕」は、根源的なもの・本質的なもの/都会ではしゃべりが多すぎる、
     電車でもFF店でもウルサイ!

    cf.「黙養〔もくよう〕」: 明の李ニ曲「三年軽々しく一語を発せず」 / 
        先生(私たち)は、講義はしないと、“話にならない”から仕方ない!


四. 肉欲を寡 (すくの) うして以て腎気を養う 

    ・腎臓の血液浄化作用 一日一トン以上 !

     ex.ウナギ・ブタ肉・牛肉・・・/
     cf.焼き肉店集団食中毒事件“ユッケ”、生レバー(’11.5〜)


五. 瞋〔シン〕 怒 (ど) を戒 (いまし) めて以て肝気を養う 

    ・肝臓と怒りとは非常に関連あり


六. 滋味を薄うして以て以て胃気を養う 

    ・イヌのごはんはウス味 → 

     cf.私は好んで 「M」ハンバーガーショップやギョウザの「○○」を利用しています。
        とてもおいしいのですが、味付けが「濃い」と感じます。
        外食料理の味付けはコイ目の味付けです。/ 
        味付けの“濃さ加減”は → 家庭の主婦の責任大 / 
        料理の “味の決め手”は、塩かげん。→ ex. 「塩梅〔あんばい〕」


七. 多く史を読みて以て胆気を養う

    ── よく “押え” が効いています。

    ・知識 →  見識  →  胆識 〔たんしき〕  

    ex. 『史記』 ・司馬 遷〔せん〕 ・・・ 正史(歴史書)であり文学性も持つ/cf.司馬遼太郎  /
      『貞観〔じょうがん〕政要』・『資治通鑑〔しじつがん〕』・『十八史略』 etc./ 
      私は『三国志』(吉川英治)を愛読しました。/
      『古事記』 ・・・ 歴史書であり神話でもあります。/ 
      『大日本史』(水戸光圀・1657-1906)  cf.『大日本史』は、わが国における『史記』です。
      当時“不良少年”だった徳川光圀公(後の水戸黄門さま)が、『史記』を読み、
      とりわけ冒頭の「伯夷列伝」に感動し自身さとります。
      江戸藩邸に彰考館〔しょうこうかん〕を建ての編纂を開始します。
      そして、 『大日本史』 402巻 は、光圀とその遺志を継いだ子孫によって、
      驚くなかれ262年余りの歳月をかけて完成します。
      わが国の誇るべき大文化事業ではありませんか。

※ これらの貴重な箴言〔しんげん〕を、父・祖父は、子・孫への善き教育に使いたいものです。
  “親の背中を観て”(生きざまを見習って) 子は育ちます。孫もそうです。
  今時〔いま〕、親・家庭の教育力を取り戻さねばなりません。




(この続きは、次のブログ記事に掲載しております。)


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