謹賀壬辰年 〔謹んで壬辰年を賀します〕
── 「絆」/東日本大震災(`11.3.11)/壬・辰・六白金性/
【水山蹇】・【地雷復】卦/「登龍門」・「逆鱗」・「龍と雲」 ほか ───
《 はじめに ・・・ 干支について 》
明けて平成24年(2012)。
新年を皆様と迎えますこと、大慶でございます。
今年の干支〔えと/かんし〕は、(タツではなく)
「壬・辰〔みずのえ・たつ/じん・しん〕です。
干支は、十干〔じっかん〕(天干)と十二支(地支)です。
かつてはこの、10 と 12 の組み合わせで、
60 干支〔かんし〕の暦を作っていました。
そして、十二支「辰」は、動物の「龍(竜)」とは専門的には直接関係ありません。
が、動物のイメージ・連想は、人口に膾炙〔かいしゃ〕しています。
干支を「今年のエトは、タツで ・・・ 」とメディアが薄々軽々と報じているところです。
また、干支は旧暦(太陰太陽暦:我国で明治維新期まで用いられました)ですから、
年始は 2月4日(立春)からで、2月3日(節分)までは、
まだ「辛・卯〔かのと・う/しん・ぼう〕」です。
これらのことを確認しておきまして、
これから干支「壬・辰」年のお話をして、私の年頭所感としたいと思います。
《 「絆」 》
ところで、昨年 平成23年の世相をあらわす文字(漢字)は「絆〔きずな〕」でした。
(一昨年は「暑」、その前は「新」)
自然環境から再び人間社会・人間の“情”に世相の関心の重点が移った感もあります。
昨年の、年頭ご挨拶で 《「暑」──“寒”そして“温”》という項目で
次のように述べておりました。
後述いたしますが、今年の干支を易学的考察いたしますと
【水山蹇】〔すいざんけん〕卦ですので、一入〔ひとしお〕興味深いものがあります。
再掲いたしておきます。
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昨夏(平成22年)は、猛暑で、屋内においてすら
“熱中症”で亡くなられた方が、高齢者を中心に多数出ました。
地球温暖化を主要因とする異常気象現象は、改善するどころか、
ますますその程度を顕著なものとしてきています。
むろん、「暑い」 のは自然界ばかりではなく、
人間界も 「暑(苦し)い」 時世です。
思い想いますに、自然がおかしいから人間もおかしくなるのか?
はたまた、人間がおかしいから自然もおかしくなるのか?
それは、後者が真なのでしょう。
この暑さとは対照的に、年末年始からは、猛烈な寒波に見まわれました。
私は、四国(愛媛)に帰省していたのですが、
吹雪〔ふぶき〕の大晦日・元旦となりました。
今冬は、“ジンジン”と四肢五体に沁み込むような寒さを
(脆弱な吾が身に)体感しています。
そして、“寒い”のは、気候ばかりではなくて、世情・人情もまた然りです。
易卦に想いを馳せてみると、【水山蹇〔すいざんけん〕】卦が浮かびます。
「蹇」は、寒さで足が凍えて動けなくなっていること象〔かた〕どっている字です。
足止めストップ、3大難卦の一つです。
さて、こうして寒い日々が続きますと、
“温〔暖:あたた〕かい”のが何よりも有り難く感じます。
今の候、つくづくと私が実感いたしますのが、
背中に入れた“ホカホカカイロ”(“あったカイロ”)と“入浴”の“温かさ”です。
至福の想いです。
それは、親身の“温かさ”の故だからでしょう。
思い想いますに、畢竟〔ひっきょう〕、人間として肝要なものは
“情”・“思いやり”です。
儒学の専用語で “仁〔じん〕”、(キリスト教的には“愛”、仏教的には“慈悲”)です。
その“情”・“思いやり”を具体的に擬〔なぞら〕え象〔かた〕どると、
この“ホカホカカイロ”と“入浴”の“温かさ”になるのカナ、などと想っています。
易の八卦八象〔はっかはっしょう〕。
「離」=「火」の、“中庸”=「程〔ほど〕」を得たあたたかさ「温(暖)」が大切です。
それは、自然界の「温(暖)」ばかりでなく人間界での心の「温」も大切です。
易卦の【離為火】に関して「人の心の火の用心」(真瀬中州)という
シャレた文句もあります。
また、『論語』に 「温故而知新」(学而第1)の文言があります。
この「温」は、1)「故〔ふる/古〕きをアタタめて」とも
2)「故きをタズねて」とも読み解します。
1)の「温めて」は、原義はゆっくり肉を煮込んでスープを作ること。
また、私は、カレーやシチューを“ねかせて”さらに一工夫を加えて、
あたため直し新しい味を引き出すことと解しています。
2)の「温ねて」は、なぜ “尋ねる” と読むのでしょうか?
「温」の字は、サンズイ(水) + 日=囚(元字) + 皿 からなります。
つまり、囚人に対して、水と 皿には食物を盛って(差し入れて)訪れ、
「お前は、如何〔どう〕してこんな所にいるんだい? ・・・・ 」 と
あたたかく尋ね諭〔さと〕すところから成っている、と教わったことがあります。
深いお話です。
── ともかく、自然界も人間界も “中庸” が大切です、
過度の猛暑も厳寒も困ります。
自然界における、「天に唾〔つば〕する」 がごとき
環境破壊・地球温暖化による偏奇異常は、今早急に解決しせねばならない課題です。
が、人間界において、情の“温(暖)かさ”もまた、
今早急に取り戻さねばならない課題です。
( 儒灯・「謹賀辛卯年」より引用)
http://blog.livedoor.jp/jugaku_net/archives/51189500.html
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「絆」の文字は、普段あまり用いられていない言葉・漢字だと思います。
が、今ではあまりに頻繁〔ひんぱん〕に用いられていますね。
「絆」が平成23年の世相をあらわす文字(漢字)に選ばれたのは、
(‘11) 3月11日の東日本大震災を契機とするところが大であると言われています。
余事ながら、「絆」の文字は、“キズナ”で 3 語、
字画で 11 画 といったこじつけを書いて
「取るに足らない偶然が、今は愛〔いと〕おしい。」と結んでいる新聞もありました。
(’11.12.4 :朝日新聞・「天声人語」)
私も年末に、予想外の大患(=大病)を得て、“この世”との「絆」を改めて想った処です。
とにかく、「絆」は ── 糸が半分とも読めますから、
極めて儚〔はかな〕く微〔かす〕かなものではありましょう。
《 壬・辰 & 六白金性の深意 》
さて、昨年の干支 「辛・卯」〔かのと・う〕は、
自然災害(地震・津波・水害)とそれに伴う諸問題(原発事故など)で、
辛〔つら〕い・苦しい問題未処理の年でした。
今年の干支 「壬・辰」には、どのような深意があり、
どのように方向づけるとよいのでしょうか。・・・
※ この続きは、次の記事(謹賀壬辰年 その2)に掲載いたします。
(・・壬・辰・六白金性/【水山蹇】・【地雷復】卦/「登龍門」・「逆鱗」・「龍と雲」 ほか)
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