《 あらまし 》

平成27年(2015)春、4月。

年度当初の真儒協会・定例講習(第83回)が、
恒例どおり“特別講義”の形式で行われました。

本年、「乙・未〔きのと・ひつじ/おつ・いつ、び・み〕 は、
私(盧)にとりまして、“還暦”を経てふた回り目の暦の初年度です。

“(運)命学”にいう “運気最高潮の大運〔たいうん:10年運〕”を生きている自負、
歳重〔としがさ〕ねの想いも新たに、気力充実の講義をいたしました。


“特別講義”は、会長の私(盧)が 1.「“日の易卦”に人生を想う」
副会長の嬉納禄子〔きなさちこ〕女史が 2.「易と植物(Part供法廖
のテーマで、講義をいたしました。

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また、“ティーブレイク”を利用して、
恒例の“「干支色紙」の授与”を行いました。

今年の十二支の「未」を「羊」の文字で
私(盧)が、藤原行成〔ゆきなり〕の風〔ふう〕で書いたものです。

受講生全員に好みの色紙を選んでもらい、
その場で筆〔ふで〕記名し授与いたしました。

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熱心に学ばれた二名の方には、記念の額装書色紙の贈呈も行いました。

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―― 善き年度始めの講習でした。

“特別講義” レジュメは以下のとおりです。



◎真儒協会第83回定例講習:特別講義

平成27(2015).4.26 

「 “日の易卦”に人生を想う 」

―― 【離 ☲】=日・太陽/
    “日の易卦”=(【升】)・【晋】・【豊】・【大有】・【旅】・【賁】・【明夷】/
    少子化・♪「朝だ元気だ」/超高齢社会・♪「 夕日 」♪「かなりや」/ ―― 

真儒協会会長: 盧 秀人年

《 はじめに 》  

月(陰)が沈み太陽(陽)が昇る、太陽(陽)が沈み月(陰)が昇る。

これは、なんと日常的にして壮大な、自然の陰陽の交代と循環なのでしょう! 

新しい視点として、
この自然界(太陽)の“時の推移・廻り”を象〔しょう/かたち〕とする易卦と
現代の“人生の段階〔ライフステージ〕”を重ねて想いを馳〔は〕せてみたいと思います。


64卦で【離 を含む卦は、
上卦で 8卦( 14【大有】・38【睽】・30【離火】・21【噬嗑】・50【鼎】・64【未済】・56【旅】・35【晋】 )、
下卦で 8卦( 13【同人】・49【革】・30【離火】・55【豊】・37【家人】・63【既済】・22【賁】・36【明夷】 ) です。

30【離火】は、重卦〔じゅうか〕ですのでダブっています。

それらの中で、太陽の運行と人生の段階〔ライフステージ/ライフサイクル〕
を結びつけて“日の易卦”といたしました

すなわち、【晋】・【豊】・【大有】・【旅】・【賁】・【明夷】 がそれです。

これらに、“日が昇る(日の出)”の意味で、
人生行路のスタートとしての【地風升】を加えました。

(※【離火】は“太陽=日”そのものです)

→ 【升】 → 【晋】 → 【豊】 → 【大有】 → 【旅】 → 【賁】 → 【明夷】 →


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《 【離為火】=太陽/日》

【離火 ☲】

たかね研究 : 「美しい国 日本」(安倍晋三 政権)・・人の徳と「離」の文化
      cf. 「美」・・・美〔よ〕い(美子〔よしこ〕)/【離火】も
          太陽の動き(変遷)を若干描いてはいる


★参考資料  ≪盧:「『易経』64卦奥義・要説版」 pp.29‐30引用≫

癸械亜ァ[ゲ弌 擇螳戮】  は、麗〔り〕。

8重〔じゅん〕卦、重離

● 火また火、つき離れる、太陽、聡明・美、九紫火性、“日はまた昇る”
     ・・・日の昇らぬ明日はない
   ※ 火は何かに“ついて”初めて炎上する(cf.発火の3要素:モノ・酸素・温度)
    人も何に(正しき)に、誰につき従うかが大切
       ex.秀吉→ 今川義元から織田信長へと離れついた
   ・ 「日月は天に麗〔つ〕き、百穀草木は土に麗く。重明以て正に麗けば、
     すなわち天下を化成す。」
 (太陽・月は天につき、あらゆる穀物草木は
     土についています。離卦は、火であり明であり重離・重明です。
     君臣共に明智をもって、正しいものにつくことによって、天下のあらゆるものが
     化育され生長するのです。〔天下万民も教化・育成されるのです。〕)
   cf.“人の心の火の用心” (真瀬中州) / “一灯照隅。万灯照国”
     (安岡正篤・関西師友協会) / 文化・文明の源は「火」と「石のかけら」 (高根)
 ※ 2つの徳性(安岡氏):(1)明暗、心を明るく (2)清潔、浄不浄 
                    ・・・ 心に(の)太陽を!離の徳?(高根)

■ 火また火、重離、重明。
   1) (坎水と逆に)2爻と5爻が陰(柔順中正)。
     炎の中心は暗い(温度も低い、燃えていないガス状態) 
      ―ー 心を空しくして明を継ぐ。
     2爻の美徳 ---- 陰位に陰爻で正しく中庸の徳あり、「柔、中正に麗く」(彖伝)
   2) “雉 網中に罹〔かか〕るの象”(白蛾)
       ・・・内卦の離を雉とし外卦の離は網とする。雉も網も離の象。

○ 大象伝 ;
「明 両〔ふた〕たび作〔おこ〕るは離なり。大人以て明を継ぎ、四方を照らす。」

(“日はまた昇る”で、太陽は明日も昇る。上・下卦共に聡明・明らかな象です。徳のある大人・君子は、この象にのっとって、先人代々の明徳を継承しその明徳を日々新たにして、四方を(徳の光で)明るく照らす万民の光となるのです。)

   「明」を継ぐに「明」をもってするの美   cf. 「明明徳」

 ( 補 )
  ・ 「元始、女性は実に太陽であった。真正の人であった。今、女性は月である。
    他に依って生き、他の光によって輝く、
    病人のやうな蒼〔あお〕白い顔の月である。 ・・・・・」 
     (平塚らいてう、『青鞜』発刊の辞 1911.)
  ・ 「文明とは人の身を安楽にして心を高尚するをいうなり。」 (『文明論之概略』)
  ・ 「文明とは正義のひろく行われることである。
    豪壮な邸宅、衣服の華美、概観の壮麗ではない。」 (『代表的日本人』)


★参考資料  ≪盧:「『易経』64卦奥義・要説版」 pp.30‐31引用≫

 研究 :   と  /  と  / 一白 と 九紫

《 水と火 》
1) 五行思想では相剋の関係“水剋火”(水で火を消す)。
  その場合、火のパワーが強すぎると(「焼け石に水」で)水で消えない。
  あるいは水が蒸発してしまい“剋”が逆転する。 
    (・・・ 命学・九星気学・四柱推命など)
2) 易の中論だと、水と火(正・テーゼと反・アンチテーゼの異質・対立するもの)を、
  統一・止揚して(アウフヘーベン・中す)、新たなるもの(合・ジンテーゼ)を生み出す。
   〔ヘーゲル弁証法〕
  ex. 水と火で、ごはん・料理ができる。男と女で、子供がうまれる。


《 坎と離 》

・ 坎=水は智恵、離=火は聡明  / ・ 坎離は陰陽逆=中男と中女
・ 坎は耳(の穴)・鼻(の穴)・肛門・性器、離は目=視覚・明らか(離火は両眼)
cf. 「渾沌〔こんとん〕の死」(『荘子』) ・・人には7穴(体は9穴)ある。
   渾沌は“のっぺらぼう”。1日に1つずつ穴をあけてやったところ、7日で死んだ。
    ――無為自然の本性は、人知を加えると死んでしまう。

【考察】 アマテラスオオミ神は、イザナギの命(男神)の左目(左は陽)から生まれた
     太陽神(陽・離・中女)。 ・・・「
     そのスサノオの命は、イザナギの命の鼻(の穴)から生まれた。・「
   cf. 鼻の外形は盛り上がっているので =艮=山の象 / 
      (フルへッヘンヘンド=うずたかい=鼻、『蘭学事始』)
   ※ 邪馬台国の女王は「卑弥呼」、そのが政治を代行した。
      この史実(『三国志』魏志倭人伝)と我国の『古事記』の話とを
      併せて考えてみたい。


《 一白水性と九紫火性 》
・ 気学宿命星「一白水性」 : 命式干支(四柱・日干支)に「壬」・「癸」、「子」・「亥」 
    のある人。  動く人多し。 “転石、苔を生ぜず。” / 
    「駅馬」 ・・・移動性は大吉 / 家相6帖と6帖の通し間を嫌う ・・・
    6=坎、6・6→「坎為水」
・ 気学宿命星「九紫火性」 : 命式干支に「丙」・「丁」、「午」・「巳」のある人。
    美的な世界(芸能・美術・デザイン・キレイ系・・・)の人
    新しい時代の資格としては、インテリアC・カラーC・福祉住環境C ・・・。/
     “離れつく”は、「T・P・O (時・所・場合)が大切。
※ ちなみに、私(高根)は、本命星 一白・月命星 九紫で水・火の二面性を持っています。


※ この続きは、次の記事に掲載いたします。


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