儒灯

【温故知新】儒学の普及に力を注いでおります真儒協会 会長、高根秀人年の個人ブログです。 『論語』、『易経』を中心に、経書の言葉を活学して紹介して参ります。 私個人の自由随筆、研究発表などのほか、真儒協会が毎月行っております定例講習についても掲載しております。

陰陽相対

第50回 定例講習【特別講義】のあらまし (第1回)

第50回 定例講習(‘12.4.22 ) レジュメ
─── 【特別講義】 あらまし ───    (第1回)


《 はじめに 》

昨年(2011)は、本会開設5周年の節目にあたりました。

吹田市メイシアターで 「真儒協会開設5周年“真儒の集い”」 を催し、
多数のご来賓・参加者にお越しいただきました。

さて、本年・壬辰〔みずのえたつ〕年は、
易卦【水山蹇】 〔すいざんけん: 3大難卦、
包卦(=坤中に離、足止めストップの意〕 にあたり、
また私(高根)個人も年末年始に病を得たりもしました。

そのため、春恒例の“真儒の集い”は開催しないことといたしました。

それでも、この4月の講習は、年度当初であり、
また定例講習第50回目の記念すべきキリ良き月にもあたります。

そこで、盧秀人年・嬉納禄子・汐満未佐子 の3講師による
“特別講義”を行うことといたしました。

前半は、盧が 「老子と『易経』」 のテーマで、
後半は嬉納・汐満が 「陰陽相対(待)」 のテーマで講じました。

photo_20120422_1

“ティーブレイク”を利用して、恒例の“「干支色紙」授与”を行いました。

今年の十二支=「辰」を「龍」の文字で
私(高根)が、王羲之〔おうぎし〕風 と 最澄〔さいちょう〕風 との
ニ様で書いたものです。

受講生全員に好みの色紙を選んでもらい、
その場で筆記名し授与いたしました。

デモンストレーションとしては、恒例の“筮竹〔ぜいちく〕捌〔さば〕き”の披露

また、漢詩(孟浩然〔もうこうねん/モウハオラン〕・
「春暁」〔しゅんぎょう/チュンシャオ〕)を一同で朗誦し、
私が中国語で吟〔ぎん〕じ一興といたしました。

また、 “パーソナルカラー〔自分色〕診断” は、
プロのカラー・アナリストとして第─線でご活躍中の
汐満先生をお迎えしての折角の機会ですので、
未体験の老若男女みんなに体験して頂きました。

photo_20120422_2

“たかね(デザイン)研究所”作成、
101色オリジナル・ドレープ〔診断用色布〕を使って診断いたしました。

いつもの講義とは異なる彩〔あや〕の“賁〔かざ〕り”に、
とても好評を博しました。

photo_20120422_3

photo_20120422_4

通常の定例講習受講生に、新規の受講生3名、
今回の特別講習への参加者4名(児童1名含む)を加えて
賑やかに楽しく開催され、善き年度始めの講習会となりました。


《 特別講義 テーマ 》

【その1】  老子と『易経』   
   * 講師: 盧 秀人年 (真儒協会会長)
   ── 【損・益】の卦 と「老子」 / 【損・益】の深意・現代的意義を考える ── 

【その2】  陰陽相対(待)  
   * 講師:(真儒協会副会長・理事) 嬉納 禄子・汐満 未佐子 
   ── 陰陽相対(待)論 / 陰陽師・安倍晴明 / 陰陽思想とパーソナルカラー ──

   ★ 診断実演 :“パーソナルカラー〔自分色〕診断”
   (by.たかね研究所オリジナル101色ドレープ〔診断用色布〕)


《 特別講義 レジュメ/教材・資料 》


§.【その1】  老子と『易経』   教材・資料

≪ 【損・益】の卦 と 「老子」 ≫  【 老子 42 / 77 / 53 / 81章】


『易経』64卦、【山沢損☶☱(41)と【風雷益☴☳(42)。

この【損・益】の対卦は、
【泰・否】(11&12)と【既済・未済】(63&64) とともに、
『易経』のペア卦を代表するものです。

とりわけ、 【損・益】の思想は、現実社会の政治と経済に直結するものです

老子は、わけても、【損・益】の思想を自分の主張として取り入れて、
展開して述べています。

ここに、一般には隠者的思想と思い込まれているムキのある
黄老思想の現実的・政治的・為政者的(指導者・リーダー論的)側面が、
よく現れている
といえましょう。

私見ながら、この「損・益」は、老子の思想のベースに
易学があるという一つの例であると考えます。

「五経〔ごきょう〕」の筆頭として
儒学の専売特許のように位置づけられている『易経』です。

が、私は、この中国最古の奇書は儒学の源流思想であると同時に、
黄老の思想形成にもおおいにあずかって影響を与えていると考えています。

そして、現今〔いま〕の経済立国・日本は、
あたかも、たそがれて行く先を失い
道に迷い窮せんとしているが如き状態です。

現状の不慈不善を正し、日本の近未来の
(そしてその指導者〔リーダー〕の)あるべき姿を取り戻すためにも、
この“損・益の思想”は現代の光をあてて再考しなければなりません。

さて、 【損】と【益】は、“反卦〔はんか〕”/「賓卦〔ひんか〕」の関係です。

つまり、相手が対面していて(正面にいる)、
その相手から見ての卦(=卦を180度回転させれば良いことになります)です。

平たく例えれば、
自分が 一万円あげる・損する( ギブ:give/lose )のは、
相手から見れば一万円もらう・得する( テイク:take/get )です。

試合や勝負で、自分が負けるということは相手が勝つということです。

非常に、理に適っています。


◇以下、【損・益】の卦・思想について、ポイントをいくつか説明してみましょう。

( →詳しくは以下のURL《たかね・「易経64卦解説奥義/要説版》にて、
   《 41 & 42 のペア 》の枠内を参照のこと。 )

   http://blog.livedoor.jp/jugaku_net/archives/50692222.html


まず、一言確認しておきますと。

易においては、 「陽」を以て余り有るものとし、「陰」を以て不足なるものとします

そして、上卦は為政者(政府)・指導者〔リーダー〕・金持ちであり、
下卦は大衆・一般ピープル・貧しい人々
、と考えます。

(両者の)相対的関係では、主体を下卦の大衆・一般ピープル・貧しい人々を基準に考えます・・・

※ この続きは、次の記事に掲載いたします。

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むかしの中国から学ぶ 第3講 「陰陽相対(待)」 (その1)

吹田市立博物館・講演 『 むかしの中国から学ぶ /【全6講】 』

【第3講】 §.「 陰陽相対(待) 」      (‘11.6.11 )

cover_20110611

(※本講は、私の教材・資料を用いて私の指導のもとに、
高弟の嬉納/汐満 両女史に分担して講義を担当してもらいました。
汐満先生は、プロのカラーアナリストとして第─線で活躍されてもおいでです。
講義の残り時間で、受講生の希望者を募って
パーソナルカラー 〔自分色〕の診断実演を、
オリジナル・ドレープ〔診断用色布〕を使って行いました。
とても好評を博しました。)



《§. はじめに 》

─── 受講のみなさまへ、陰陽相対(待)論について ───
                                (高根 秀人年)

 東洋思想(儒学)のみなもとの思想が 「陰陽相対(待)論」 です
具体的には、易学(『易経』)の思想です。

今からおおよそ 3000年(?)ほども前の古代中国に発祥いたしました。

そして、この古代中国の思想・文化は、
そのまま古〔いにしえ〕のわが国が受容・吸収いたしました。

日本の精神文化のルーツともいえましょう。


 「陰陽論(二元論)」 とは、すべて(宇宙)のみなもとは、「陰」と「陽」、
動物であれば「雌〔し/女性〕」と「雄〔ゆう/男性〕」からなるとするもの
です。

普遍〔ふへん〕的真理です。

現代文明の最先端技術であるコンピューターの原理も
“二進法” (1と0、オンとオフ)です。  易と同じです!


 そして更に、陰陽論にとどまらず「相対(待)論」と称されているのは、
単なる二元論ではなく(陰と陽が)相対的に
変化」〔チェンジ:change〕する ということなのです。

ここが、東洋思想の非常に “深い”ところなのです。

結論的にいいますと、この 「変化」とその「変化への対応」 こそが、
易(儒学)と老荘の思想(東洋の二大源流思想)のキーワードです。


 「陰陽相対(待)論」は、思想・哲学(=形而上学〔けいじじょうがく〕)ですが、
医学(漢方・中医)や建築 をはじめスペシャリストの 実学 として、
体系立てられています。

そして、一般ピープルにとっても、身近な日々の生活慣習の中に根づいている のです。

はじめにあたり、2・3の例をご紹介しましょう。


例 その1)  相撲〔すもう〕 

 日本の国技・相撲は(── 近年は不祥事の連続ですっかり堕落していますが)、
その中には易学の思想がよく取り入れられ残されています。

陰陽」・「五行〔ごぎょう〕」・「易の八卦〔はっか/はっけ〕」 などの思想が
よく現れています。

「陰陽」の例にふれておきますと。

 相撲場は、 □・四角の土俵(=陰/=地)に 
○・丸(円)い俵(=陽/=天)
 から出来ています。

その土俵の中で、東方〔ひがしがた〕(=陽) と 
西方〔にしがた〕 (=陰)
の力士が戦う「天地人和」の競技です。

 「呼び出し」の行司〔ぎょうじ〕は、木村家と式守〔しきもり〕家の両家のみが担当し、
木村家は軍配〔ぐんぱい〕を持つ指を下に向け「陰」を示し
式守家は軍配を持つ指を上に向け「陽」を示して、陰陽を区別します。 

── そして「ハッケヨイ!」(= 八卦良い! ) と声をかけるわけです。


 ( 土俵・俵 説明図 略 )



例 その2)  国旗〔日・韓〕 

 国旗には、よくその国の思想や民族性が表れています。
日本と韓国の国旗をみてみましょう。


A. 日本(「ひ」の「本〔もと〕」)の国旗、日の丸

白ご飯をつめた真ん中にウメボシをおいた弁当を “日の丸弁当” といっていますね。
(ウメボシ弁当の、生活の智恵的その陰陽論的効用は後述しています)

 太陽信仰(神道〔しんとう〕/天照大御神〔アマテラスオオミカミ〕/
日の出づる処の国 ・・・)の国ですので、白地に赤い丸です。

白は神道の高貴な色〔インペリアルカラー〕、赤は太陽の色です。 補注1)
太陽は「陽」、丸(円)い形(=「陽」)でもあります。
白地は、四角で「陰」・大地

立体的に象〔かたど〕れば、地の上の天〔=空:中国では空のことを天と表現します〕です。

 私感(高根)ですが、このビコロール〔2色の配色・ツートンカラー〕は、
白という最高明度の“無彩色”=「陰」と
赤という最高彩度の“有彩色”=「陽」の組み合わせであるともいえます


補注1)
朱赤/黄味の赤。太陽の(見かけの)色を、
「黄」 or 「橙〔だいだい:オレンジ〕」 or「赤」 と感じるか、
表現するか、はお国柄によって異なります。



B. 次に、お隣の韓国は、アジア諸国の中で、儒学の伝統を色濃く残しています。

韓国の国旗(大極旗・テグキ)は、白地の中央に大極マーク、
四方に易の八卦のうち「四象〔ししょう〕」をあしらっています。

 大極マークは、上部が赤色、下部が青色で彩色され、
「陽」と「陰」とを表わしています。

寒・暖という“温度感”にもとづく陰陽です。
(温度の高いものは上、低いものは下です。) 

青(ブルー)は寒色(=「陰」)の代表、
赤(レッド)は暖色(=「陽」)の代表
です。

 「四象」は、「算木〔さんぎ〕」の象〔しょう/かたち〕で表わされています。  補注2) 

上(半)部に 「天 【乾】」 と 「水 【坎】」 の「陽(男性)卦」を位置づけ、
下(半)部に 「地 【】」 と 「火 【離】」 の「陰(女性)卦」を位置づけ、
対角線上に 「天 − 地 」 / 「水 − 火」 の
ペア卦(算木の陰陽が反対になります)をレイアウト〔配置〕しています。


 ( 説明図(国旗/四象) 略 )


補注2)
「算木」の象  棒状の黒=「陽」、棒状の黒の中央部が赤=「陰」。

この黒は天をあらわし(中国思想で天の色は黒です)、
「陰」の棒は地をあらわします。

「八卦〔はっか/はっけ〕」(小成卦)は、
この3つの算木の組み合わせの 8パターンです。

→ 【        】  
 なお、易卦(大成卦)は、6つの算木の組み合わせで構成されていて、
8 × 8 = 64 パターンです。

『易経』 64卦 です。


── 『論語』の中に、孔子の 「温故而知新
(故〔ふる/古〕きを温〔あたた/たず・ねて〕めて新しきを知れば、
以て師となるべし)の名言があります。

この講座で、(1) “むかしの中国”をルーツ(みなもと)とする
「陰陽相対(待)論」の理〔ことわり〕を、正しく温〔たず〕ねてみましょう。
 

→ そして、(2)  かつての日本がそれを、(創造的に)受容・吸収したことも学びましょう。 

→ そして更に、21世紀初頭の“グローバルな世界”・
“色の時代 〔カラーエイジズ: Color Ages〕”にあって、
(3) (欧米の)色の視点から、(東洋の)「陰陽相対(待)」の思想を捉えてみいたいと思います。

★“むかし(「/古」)の中国”を「」ねて、
」めて(一味加えて)、「」しいものを「」ってみましょう。



(この続きは、次のブログ記事に掲載しております。)


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むかしの中国から学ぶ 第2講 「易占と易学」 (その3)

(こちらは、前のブログ記事の続きです。)


《 2.むかしの中国の思想 》 
: 易の思想的基盤・背景 (東洋源流思想) 


 A. 大〔太〕極 (たいきょく、=「皇極」) 

   ──易の根本・創造的概念、宇宙の根源、万物の起源、
     神〈自然〉の摂理〔せつり〕

・ 陰陽以前の統体  ──  
   1) 「無」(晋の韓康伯)、
   2) 「陰陽変化の理」(朱子)、
   3) 「陰陽分かれぬ混合体」(清の王夫之) 
      参考:『荘子』北極星の意


ビッグバン(=特異点)/ヒモ宇宙/ブラックホール/
道/無/分子─原子─陽子/
ウルマテリー〔原物質・原子極〕(原子物理学、独・ハイゼンベルグ等)/
神ありき ・・・
「天(之)御中主神・〔あめのみなかぬしのかみ〕」(神道・〔しんとう〕)/
易神 = 造物主


☆ 太極マーク (図示略)       
    陰陽に分かれるモトの状態を表しています 

☆ 韓国国旗(大極旗・テグキ) (図示略)
    中央に対極マーク、四方に易の四象
    (4つの易象、天・地、水・火)を配置しています

  ※ 参考──万物の根源  《 タマゴが先かニワトリが先か? 》


・ 科学 ── ビッグバン〔137億年前〕 (宇宙物理学)、
     ウルマテリー(原子物理学)・・・極微の世界(ミクロコスミック)において
     大極が発見されようとしている。
     天文学的研究(マクロコスミック)においては未だ大極に至ってはいない。

・ 宗教 ── 神話、聖典 ・・・ etc.

・ 儒学=易 ・・・ 「太極」 / 道教(老荘) ・・・「無」 / 
          仏教 ・・・「空(くう)」

○ 「無極にして大極」 (近思録) ・・・ 朱子は 大極 = 有 と考える

○ 「是の故に易に太極あり。是れ両儀を生ず。両儀四象を生じ、四象八卦を生ず。
  八卦吉凶を定め、吉凶大業(たいぎょう)を生ず。」 (繋辞上傳)

○ 「太初(たいしょ)に言(ことば)あり、言は神と共にあり」 (旧約聖書)

○ 「天地(あめつち)初めて発(ひら)けし時、
  高天原(たかまのはら)に成れる神の名は、
  天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)、
  次に高御産巣日神(たかみむすひのかみ)、
  次に、神産巣日神(かむむすひのかみ)。」  (古事記・冒頭)

○ 「道は一を生じ、一は二を生ず。」 (老子) ・・・ 道は無と考える


易(の中に潜む)  神 “シン”
   = 天地の神、人格神的なものではなく神秘的な作用の意  

    ※参考─汎神論(はんしんろん)


○ 「陰陽測(はか)られざるをこれ神(しん)と謂う。」
  「故に神は方(ほう)なくして易は体(てい)なし。」 (繋辞上伝)

○ 「※鬼神を敬して之を遠ざく。」 (論語・雍也) 
    ※鬼神=死者の霊魂や人間離れした力
        


 B. 天の思想 と 天人合一観  : (大宇宙マクロコスムと小宇宙ミクロコスム) 

● 中国思想・儒学思想の背景観念、 天=大=頂上

・ 形而上の概念/モノを作り出すはたらき/「造化」の根源/
 “声なき声、形なき形” を知る者とそうでない者

 」〔しん ・・・・ 不可思議で説明できぬものの意
              天 = 宇宙 = 根源 = 神

    cf.「 0 」(ゼロ・レイ)の発見・認識、 「無物無尽蔵」(禅)、
        松下幸之助氏の“根源さん”(社〔やしろ〕の中は?)

・ 敬天/上帝/天(天帝)の崇拝/ト〔ぼく〕占(亀ト)/
 天人一如〔てんじんいちにょ〕/天と空〔そら〕

・ 崇祖(祖先の霊を崇拝)/“礼”の尊重

太陽信仰 ・・・・ アジアの語源 asu 〔アズ〕 =日の出づるところ
   ── ユーロープの語源 ereb 〔エレブ〕 =
          日のない日ざしの薄いところ“おてんとう様”、
          “天晴〔あっぱれ〕”、天照大御神 

ex. 天命・天国・天罰・天誅・天道・天寿・北京の「天壇」 
    「敬天愛人」(西郷隆盛)、「四知」(天知るー地知るー我知るーおまえ知る)
    「天地玄黄」(千字文) ・・→ 地黄玄黒


○ 「天行は健なり、君子以て自強して息〔や〕まず」 (『易経』 乾為天・大象)
  ─── “龍(ドラゴン)天に舞う”

○ 「五十にして天命を知る」 孔子の “知命” (『論語』)

○ 「の我を亡ぼすにして戦いの罪にあらず・・・」 (『史記』・「四面楚歌」)


◎ 天賦人権論〔てんぷじんけんろん〕
   「は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず・・・」 
       (福沢諭吉・『学問のすすめ』)

◎ 易性革命〔えきせいかくめい〕
   「天子の姓を易〔か〕え天命を革〔あらた〕める」
        ・・・ 天命は天の徳によって革る
            革命思想・孟子


 C. 陰陽相対〔相待〕論 (陰陽二元論) 

  ・・・ 易学に由来する。 易は、陰陽 の理法。
      明治期以降、陰陽(五行)説を軽視 ・・→  復権 

   ─── 以下、この部分は、[ 第3講 ] にて扱います


 D. 変化の思想 (易の三義【六義】) ) :  〔 Principle(Classic) of Changes 〕

  《 ある朝、グレゴール・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、
    自分が寝床の中で一匹の巨大な毒虫に変っているのを発見した。
    彼は鎧のように固い背を下にして、仰向けに横たわっていた。 》

          Franz Kafka  Die Verwandlung,1916 (カフカ・『変身』)


“易” = 変化  Change  “蜴”(カメレオン) 
 
“ The Book of Changes ”  (変化の書・『易経』)


※ 2008.12 世相を表す文字 「変」 (2007「偽」)
  2009.1 「変革」をとなえて、オバマ新米大統領登場・就任
    cf. 漢字検定協会・理事長父子 逮捕!


1)。  「 変易 」  ・・・ か〔易〕わる           

 易の名称そのものが変易の意義をもつ、生成変化の道、 
 天地自然は大いな る変化、変易。 自然と人生は大いなる「化」

  ex.── 季節・昆虫の変態・無常/お化け(女性の化粧)/
        “大化の改新”(645)

  ◎「結局最後に生き残る者は、最も強い者でも最も賢い者でもない。
    それは変化し続ける者である
。 」     (チャールズ・ダーウイン)

  ex.── (一かけらの石=隕石 の衝突により)強大な恐竜は絶滅し、
         弱小な哺乳類が栄えている)

 ・ イノベーション=「革新」

 ・ 「日新」: 「湯の盤の銘に曰わく、苟〔まこと〕に、日に新た、
        日々に新たに、又日に新たならんと。」  (『大学』) 
           cf.“日進月歩”

 ・ 「維新」: 「詩に曰わく、周は舊〔旧〕邦なりといへども、
        その命、維〔こ〕れ新たなり。」 (『大学』、詩=『詩経』・大雅文王篇)

    ex. ── “松下電器”、五坪の町工場から従業員一万人・売り上げ一千億に進化発展
        ・ 松下幸之助氏の「変易」
          (変革・イノベーション、テレビブラウン管技術の輸入)と「不易」なるもの

        cf.“Panasonic パナソニック”: 一万五千人 人員削減(半分国内)、
                 ソニー:一万六千人、NEC:二万人 (09・2/4)

 ・ 革命」 (Revolution) と 「進化」 (Evolution)


2)。  「 不易 」  ・・・ 不レ易・かわらぬもの

 変化の根柢に不変・永遠がある、不変の真理・法則の探求、 “千古不易”、
 “千古不変”、“真理不変”、“一〔いつ〕なるもの”、“永遠なるもの” 
 変わらぬ物の価値、 目立たぬが確かな存在

 ・ 自然界の法則 & 人間界の徳(仁)、芸術の世界での「美」 ── 本質的なもの

  ex.── “ 不易〔フエキ〕  糊〔のり〕”: 
            「硼酸〔ほうさん〕またはサルチル酸のような防腐剤と香料とを入れて
             長く保存できるようにした糊」 (広辞苑)
        “パーマ” 〔 parmanent  wave 〕
        “(日清)チキンラーメン”: 1958年誕生、ロングヒット商品、
             カップメン、カップヌードルの発明
 
 □「化成」: 変化してやまない中に、変化の原理・原則を探求し、
        それに基づいて人間が意識的・自主的・積極的に変化してゆく。 
        クリエーション(創造)

  ex.── 「三菱化成」(化学合成ではない)=「化し成す」(「離」卦)


 ※ 参考  ── 変わらぬもの
  ◎ “松に古今の色なし
  ○ 「松樹千年翠〔みどり〕 不入時人意(時の人の心に入らず)」
    「松柏〔しょうはく〕千年青」 (『広燈録』など)
  ○ 「子曰く、歳〔とし〕寒うして然る後松柏の彫〔しぼ〕むに後るるを知る。」 
         松柏 = まつとかや = 君子の節操  (『論語』子罕第九)
  ○ 「 ── 難いかな恒〔つね〕有ること 」 (述而第七)


3)。  「 簡易 」  〔かんえき・かんい〕 ・・・
        (中国流で易簡、 Purity ピュアリティー / Simplity シンプリティー)

 変化には複雑な混乱ということがない。平易簡明、無理がない

  ex. ─── “簡易郵便局”、“簡易保険”、“簡易裁判所” 

  ※参考 ── 茶道 “ Simple is beste ” シンプル・イズ・ベスト

  ○ 「自然は単純を愛す」 (コペルニクス)
  ○ 「自然は常に単純であり、何らの自家撞着〔じかどうちゃく〕をも持たない」
       (ニュートン)
  ○ 「真理は単純なり」 : 道元は中国から何も持ち帰らなかった。
        目はヨコに鼻はタテに附いているとの認識を新たにしてきた。
        (あたりまえのことを、当たり前と認識する)


4)。  「 神秘 」  ・・・・ 
         易は「イ」、「夷〔えびす・イ〕」に通じ、感覚を超越した神秘的なものの意。
         自然界の妙用「神秘」、奇異。

 ◎ 「希夷」の雅号 ・・・ 聞けども聞こえず見れども見えず(五官・五感をこえて)、
              それでいて厳然として微妙に、神秘に、存在するもの。


5)。  「 伸びる 」  ・・・・ 易〔の〕ぶ、延・信

 造化、天地万物の創造、進化でどこまでも続く、伸びる、発展するの意。

 ○ 「悪の易〔の〕ぶるや、火の原を焼くが如く ・・・」


6)。  「 治める 」  ・・・・ 修 ・ 整

 天地の道を観て、人間の道を治めるのが易。

 ○ 「世を易〔か・変〕えず」 ── 「世を易〔おさ・治〕めず」と読むと良い。
    (「乾」・文言伝 初九)


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 E.「中(ちゅう)」の思想  : (『中庸』・中道・中徳・中の説…中の学問・弁証法)

■ 《 中庸 入門 》    ( by 『易経』事始 )

‘ (I am the sun god, Apollo. )
Think of the responsibility I have ! 
The skies and the earth must receive their share of heat. 
If the chariot goes too high, the heavenly homes will burn. 
If it goes too low, the earth will be set on fire.
I can not take either of these roads. 
There must be some balance.
This is true of life, itself. 
The middle course is the safest and best. ’
              〔 Phaёthon “ Popular Greek Myths”〕

《大意》
「(私は、太陽の神・アポロである。)
私が担っている責任の重さを想ってもみよ! 
天と地には、それぞれ相応の熱を与え得ねばならぬのだ。
もし、(太陽の2輪)馬車の運行する道筋があまり高すぎれば、
天の御殿が燃えてしまうだろう。
低きにすぎれば地上は火事となるだろう。
私は、そういう(2つの極端な)道をとるわけにはいかぬのだ。 
それなりのバランスというものをはからねばならぬのだ。 
このことは、人生そのものにも当てはまる。 
中庸の道こそが最も安全で、また善き道なのだ。
           〔 パエトン・『ギリシア神話』 〕


○ 「そこで、この陰陽相対性理法によってものごとの進化というものが行われるのですが、
  この無限の進化を『中』という。だから易は陰、陽、中の理法であり学問である。」  
   (『易とはなにか』、安岡正篤)

○ 「中行にして咎无(とがな)し」 (『易経』・夬九五)

○ 「子日く、中庸の徳たる、其れ至れるかな。民鮮(すく)なきこと久し。」
   (『論語』・雍也第6)

(中庸ということの道徳としての価値は、最高のものであるなあ。
しかしながら世が末世になって、中庸の徳の鮮ないことはもう久しいことだなあ。)


・ 易は、「 中=むすび 」である。 
  易の最も重視するものが “時中(時に中す)” = 中道に合致すること。
   ※ 時中=中節

・ 東洋の儒教、仏教、老荘─(道教) ・・・は、すべて中論   

・ 西洋の弁証法(論理学の正・反・合) ── 
   ヘーゲル弁証法、アウフヘーベン(止揚・揚棄)


● 中=「むすび(産霊)」 ・ 天地万物を生成すること   

   ○ 「天地因ウン〔いんうん〕として、万物化醇す。
    男女精を構(あ)わせて〔構=媾精〕,万物化生す。
    易に曰く、三人いけば一人を損す。
    一人行けば其の友を得、と。致一なるを言うなり。」 (繋辞下伝)

   (天地も男女も二つ〔ペアー〕であればこそ一つにまとまり得るとの意)

  ※参考 ・・・ 日本の「国学」、神道(しんとう)、随神(かんながら)の道 
     ── 天御中主神 〔あめのみなかぬしのかみ〕;天の中心的存在の主宰神

   
● 中=なか・あたる、「ホド(程)」、ホドホド…あんばい(塩梅・按配)する、
  良いあんばい、調整、いい加減=良い加減=中道・中庸、 
  中庸は天秤〔てんびん〕=バランス=状況によって動く

    ♪“ホドの良いのにほだされて…”(「お座敷小唄」) 
    “千と千尋の神隠し”の「中道」行き電車、
    “ヴントの中庸説”、 入浴の温度、 飲み物(茶・酒)の湯加減、 
    スポーツ競技での複数審査員の合算評点法 ・・・ etc.

 1) 静的(スタティック・真ん中)なものではなく、動的(カイネティック、ダイナミック)

 2) 両方の矛盾を統一して、一段高いところへ進む過程、無限の進化

   例 ─「中国」、「中華」、「黄中」、
      「心中〔しんじゅう、心・中す、=情死〕、「折中

   ※ 参考 ─“中(なか、あたり)”さん〔人名〕、大学・中学・小学、「中学」は違う!



 ◎ 中庸参考図 (棒ばかり)
 

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(この続きは、次のブログ記事に掲載しております。)


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