【日本来日 特別インタビュー 】
 

11月にラダックから来日されるお二人のゲスト。
前回は仏教博士で仏教中大学の学長を務める
コンチョック・ワンドゥさん。
前回の記事はこちら
 
 
 そして、もう一人は、おそらくジュレーラダックのスタディツアーでラダックに行かれた方は一度は耳にしたことがある、オルタナティブ教育を実践する世界でも最先端の学校SECMOLをご自身も卒業された、映画監督のスタンジン・ドルジェイさんです。
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スタンジンさんの映画「
The Shepherdess of the Glaciers(ラダック 氷河の羊飼い)」では壮大なラダックの原風景をありのままに描きつつ、険しい山の中で動物たちと力強く逞しくどこまでも優しく生きる羊飼いツェリンの繊細な日々を写したノンフィクション映画です。ツェリンはスタンジンさんの実の姉でもあり14歳で学校に行くまではは、スタンジンさんも姉と一緒に山に行き、羊飼いの手伝いをしていたそうです。



 
今回は、スタンジンさんが「どうしてこの映画を取ろうと思ったのか」についてお話を聞きました。

ナレーションのないこの静かな映画の真意に迫るお話をみなさんにお送りいたします。 


映画の予告版はこちらです
https://www.youtube.com/watch?v=s1xqP-vfuS8 
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スタンジン ドルジェイ  Stanzin Dorjai 


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インド・ラダック地方出身。伝統技術と自然エネルギーによる学校運営で知られるNGO「SECMOL」で学んだ経験から、開発、環境、教育問題に関心を持つ。ジャンムー大学芸術学部卒業後、ラダックを題材に様々な映画を製作し続けている。2016年発表の「The Shepherdess of the Glaciers」では、過酷な自然環境の中たった一人で数百頭の家畜たちと共に生きる自身の姉の物語を描き、アウトドアドキュメンタリー映画祭BANFFマウンテンフィルムでグランプリを受賞するなど国内外で高い評価を得た。



私が”The Shepherdess of the Glaciers”を作った理由
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私は農業と牧畜を営む家庭で育ちました。学校に通うために 14 歳で村を離れるまでは、姉と一緒にヤギの世話をしていました。父が死んだ後は姉のツェリンが動物たちの群れの管理を任されました。彼女が 27 歳の時です。私は、人生の選択そのものが人生を形作ってしまうことに疑問を感じずに入られませんでした。



今、私は映画監督となり、姉は広野で羊飼いをしています。私は結婚をして二人の息子がいます。一方で姉は独身です。彼女は決して母親になるつもりはないでしょう。 私はレー(ラダックの主都)で家族とともに生活しています。そして毎年 2.3 ヶ月はフランスで過ごしています。一方で姉のツェリンはヒマラヤの広大な地にたった一人で暮らしています。彼女の唯一の友達は、飼っているヤギと辺りをうろつく野生の動物だけです。



私の世界と彼女とを繋げるのはインド全国放送のラジオだけです。私が姉に贈ったものです。 


では、私たちの世界と彼女の世界を結びつけるのは一体何で、何が分かつのでしょうか。

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ヶ月のもの間、姉ツェリンは標高 4500m から 6000m、気温は 35 度から氷点下35 度にまで及ぶ地域に住んでいます。村からでも歩いて数日かかる場所です。

 

山のずっと高いところから、それよりももっと高地を目指して、彼女は一日中歩き続けます。

群れにエサをやるため、例えどんなにひどい天気であっても、僅かな草が生える牧草地を探して回るのです。


彼女はどのようにしてこのような場所で生き延びているのでしょう。そして、どこで生き抜く強さを身につけたのでしょうか。 

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実際、彼女の羊飼い人生(群れの中の人生だけでなく彼女自身の人生)というものは、備え、面倒を見、守り、赤ちゃんを分娩し、心配し、そしてしまいには受け入れるというものなのです。
彼女とその羊たちは、日々人生の試練に立ち向かい続けているのです。 


昨年の冬、群れの70 頭のヤギが亡くなりました。
雪が長く続き、子羊たちが死に、飢餓に苦しみ、ヒョウに襲われました。
 

姉ツェリンはこのすべての困難に立ち向かいました。彼女は決して恐れないのです。

 
 

結婚の機会がやってきても、ツェリンは群れの面倒を見ることを選びました。

人間との関わりを完全に拒み、山、風雨、植物、動物にじっと観察し思いを馳せることで全てを学んでいるのです。


そして姉ツェリンは何に対しても、誰に対してもとても注意深く観ているのです。 


氷河のあらゆる割れ目、全ての薬草、空、月、雪ヒョウ。
彼女は何でも知っています。ヤギの一頭一頭についてだって熟知しています。

 

彼女の神経の全ては仕事に向いています。

医者、薬草栽培士、天気予報士、獣医、 植物学者、ヒマラヤのガイド、経済学者、哲学者、そしてヤギ使い。彼女の仕事はこれら全てが一つになっているのです。 




毎日、姉ツェリンは限界に挑んでいます。それは彼女自身の体力の限界であり、自然環境の限界でもあります。

彼女は世界が競争的であることを知っていますが、唯一の敵が自分自身であるということも分かっています。

姉ツェリンは本当に強い女性です 

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この映画は、姉ツェリンが格闘する姿。困難を乗り越え、あるいは諦める姿。驚き、あるいは同情する姿。究極的に愛し、そして生きる姿に迫っていくのです。 
 

標高 4500m 地帯で穀物を育てるには有機肥料が必要です。でなければ何も育ちません。群れから出る堆肥が土を肥やしてくれます。村中の家庭はこの小さな一人の女性と300 頭のパシュミナヤギと羊たちに頼っているのです。

 

私たちの兄弟であるウルギャンと妻のチャンバ、そして 4 人の娘たちと私の母は自給自足、あるいは群れから取れたウールを売って得たお金で生活しています。 49 歳の姉ツェリンは村で最年少の羊飼いであり、そして一家でただ一人の羊飼いです。 



どうして、そして誰のために、彼女は格闘し続けるのでしょうか。

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ラダックは過酷な場所です。ラダック社会は常に生命を尊重してきたからこそここまで生き延びてこられました。だから、誰しも自分たちの住む土地だけでなく、あらゆる生物の運命に対して責任を負っているのです。
 

この相互依存関係が私たちを強くしています
しかし最近はこの相互依存関係が脅かされています。


姉ツェリンは困難、楽しみ、ささやかな喜びを日々感じられる、ありのままの素朴な生活を受け入れています。

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ひょっとすると姉ツェリンは、ラダックの人々のために、そして遺産を受け継いでいくことの難しさのためにその身を捧げているのかもしれません。 




文:スタンジン・ドルジェイ(ラダック ギャー村出身)

和訳:藤岡咲季






以下、コンチョックさんとスタンジンさんを招いたイベントの企画です。

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【ラダック人に聞いてみよう! インド・ヒマラヤ山脈の麓「ラダック」のしあわせな生き方のヒント!@東京


◆日時:2017年 11月4日(土)〜5日(日) 



《 11月4日(土)》

1部  13:00〜15:00(開場12:30) 

  • 始まりのお祈り
  • 藤井さんによるMini報告会(20分程):キーワード「ラダックの人々の暮らしに触れて」
  • トーク&質疑応答:「人はなぜ苦しむのか」 ゲスト:コンチョック・ワンドゥさん(仏教大学学長)

  
休憩 *チャイタイム & ラダックミニマルシェ(ラダック地方の珍しい物品を並べます♪)  
 

●2部  15:30〜18:00

  • 拓殖大社会人コースのツアー参加者によるMini報告会(20分程):キーワード「持続可能性」 
  • 映画上映&トーク:「氷河の羊飼い」70分  ゲスト:スタンジン・ドルジェさん(映画監督)

   

《 11月5日(日)》 

1部  13:00〜15:00(開場12:30) 

  • 始まりのお祈り
  • 日本大学ゼミツアー参加者によるMini報告会(20分程):キーワード「オルタナティブな食と農を求めて」
  • トーク&質疑応答:「人はなぜ苦しむのか」 ゲスト:コンチョック・ワンドゥさん(仏教大学学長)

 

休憩 *チャイタイム & ラダックミニマルシェ(ラダック地方の珍しい物品を並べます♪) 

  

●2部  15:30〜18:00

  • ソバツアー参加者によるMini報告会(20分程):キーワード「ラダックのソバの可能性」

  • 映画上映&トーク:「氷河の羊飼い」70分  ゲスト:スタンジン・ドルジェさん(映画監督)

※ 2日目のイベント終了後、会場近くのインド料理屋(ハイデラバード:東京都文京区小石川3-1-4 1F)で交流会を行います。予め人数確認いたしますので、交流会参加希望の方は必ず事前にご予約ください。

 

会場:文京区小石川・浄土宗 見樹院 本堂

for travel サイト クチコミより

   文京区小石川3−4−14

   東京メトロ 後楽園駅 もしくは 春日駅から徒歩15分

‥豕メトロの駅から6番出口で地上に出る。

¬椶料阿梁腓な「春日通」を池袋方向(左)に歩く(緩い上り坂が続きます)

B腓な二つ目の交差点「伝通院前」(ここまで徒歩10分)を右折。伝通院の山門まで歩く。

づ祖民,了殻腓鮑言沺(ここから住宅街になりますが、会場まで3箇所に標識を置いておきます)

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Γ横mほど行った、道の左にある法蔵院の左の細い道の突当りが会場の見樹院です。五色の祈祷旗「タルチョ」が目印です。

会場の本堂(椅子席)は2階です。足の不自由な方は、エレベーターをお使いください。

 

参加費:3000円(1部2部通し *チャイ付き)     

     1500円(1部か2部のどちらかのみ)

※ 当日、受付にて参加費をお支払いください。
※ ジュレー・ラダック会員の方は参加費を200円割引いたします。こちらでも確認致しますが、お支払の際にご申告ください。なお、当日の会員登録も受付しておりますので希望の方はスタッフにお声掛け下さい。
※ チケット予約では日付や時間を指定したものをご用意しております。お間違えないよう、お申込みください。
※ 本堂の階上のスペース(3階)は親子席としてご案内いたしますので、希望の方はおっしゃってください。
※ 2日目のイベント終了後、会場近くのインド料理屋(ハイデラバード:東京都文京区小石川3-1-4 1F)で交流会を行います。予め人数確認いたしますので、交流会参加希望の方は必ず事前にご予約ください。


◆申し込み方法 :
こちらの「こくちーず」からお申し込み
ください。(フェイスブックの参加ボタンではお申し込みになれません)
http://www.kokuchpro.com/event/11045julayladakh/
※当日、受付にて参加費をお支払いください。

主催:NPO法人ジュレー・ラダック(julayladakh@gmail.com)

協力:見樹院、「しあわせの経済」世界フォーラム2017、食といのちを考える会


*緊急告知:2017年11月7日(火)に今回のお二人を招いてのイベントを静岡県長泉町「米山梅吉記念館」(〒411-0941 静岡県駿東郡長泉町上土狩346−1)でも開催いたします。時間は10:30~15:30(昼休憩1時間あり)です!詳細は
http://www.kokuchpro.com/event/e8b9fd748c2ce2768fbacf041240bb24/ 
をご覧ください。


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<出演者>

★コンチョック・ワンドゥ Geshe Konchok Wangdu

インド・ラダック地方出身。南インドに再建されたチベット最大の僧院、デプン寺ロセリン大学にて仏教哲学を学び、チベット仏教学の最高学位である「ゲシェ・ラランパ」を取得。その後、ジャンムー・カシミール州のラダック語教本編集に携わり、2010年からラダックの仏教大学CIBS(Central Institute of Buddhist Studies=仏教中央大学)にて教鞭をとる。2015年に同大学学長に就任。ラダックのオピニオンリーダーの一人。
CIBS(仏教中央大学)のサイト:http://cibs.ac.in/overview/about-cibs

CIBSキャンパス外観

CIBS(仏教中央大学)のサイト:CIBS site

 

スタンジン・ドルジェ Stanzin Dorjai

ラダック、インド/映像作家

インド・ラダック地方出身。伝統技術と自然エネルギーによる学校運営で知られるNGO「SECMOL」で学んだ経験から、開発、環境、教育問題に関心を持つ。ジャンムー大学芸術学部卒業後、ラダックを題材に様々な映画を製作し続けている。2016年発表の「The Shepherdess of the Glaciers」では、過酷な自然環境の中たった一人で数百頭の家畜たちと共に生きる自身の姉の物語を描き、アウトドアドキュメンタリー映画祭BANFFマウンテンフィルムでグランプリを受賞するなど国内外で高い評価を得た。

今回上映作品「The Shepherdess of the Glaciers(氷河の羊飼い) 」のポスター。

 映画予告:Shepherdess of the Glaciers 

(「しあわせの経済世界フォーラム」サイトより)

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<Mini報告会 スピーカー>

★藤井 克子さん

2016年夏に3週間、ラダックホームステイプログラムに参加。2017年6月、ラダックオルタナティブ教育フォーラムに参加し、二人の娘たちが通った日本のオルタナティブ教育の学校づくりに親として関わった経験を発表。 

拓殖大学 ファシリテーター養成コース ツアー参加者

コースの海外研修で、ラダックを舞台に「持続可能な生き方のヒントを探る」スタディーツアーを実施。持続可能性やファシリテーターの在り方について発表します。

日本大学 法学部 佐渡友ゼミナール ツアー参加者

 昨年、本年と2年連続でラダックを訪れ、「持続可能性」について学んでいる日本大学法学部佐渡友ゼミナールメンバー。

江戸ソバリエ ラダック蕎麦ツアー参加者

私たちは蕎麦史を学んでいますが、ラダック地方の蕎麦食に関心を抱きラダック各地で蕎麦交流をしてきました。蕎麦の栽培や食を探求しています。 

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一連のイベント情報はこちら(ジュレー・ラダック サイト)
http://julayladakh.org/?p=3357