juliusrecordのblog

青森在住、1979年生、俳句書きの佐々木貴子です。 2013年11月第一句集「ユリウス」刊行(現代俳句協会刊)。 2016年まで俳句誌「陸」同人。現在は同会を休会中にて 2017年よりLOTUS誌同人。 有季にとらわれない俳句をいろいろ試してみたくなったので。

こんにちは。

私事ですが、2018年4月、
第5回 芝不器男俳句新人賞 西村我尼吾奨励賞 を受賞しました。
ずっと、賞というものが欲しいと強く願っていたので、
受賞を知った瞬間、強い感銘に貫かれました。
本当に嬉しいです。そして我が身の幸運を思います。 
今はとても静かな気持で、
受賞しても何一つ今までと変わらんなあ
という思いをもまた、新たにしています。

賞というもの、万人にとって理不尽なものです。
みな、同じくらい欲しいのです。
誰の作品にも同じくらい良いところがあります。
けれど、運により掬われる作品もあればそうでないのもある。

私も、何度も近いところまでいっては逃し、いっては逃し、
の連続でしたから。
何度もチャレンジしていれば、運を逃す時もあれば、
掴む時もあるということなんです。なのでしょう。

さて、昨年の現俳新人賞に応募してペケだった作品を載せたいと思います。
同じ人間でも、浮かんだり沈んだり・・・それが、賞。
ほんとうに。
皆様にとって、それぞれの人にバッチリのタイミングと作品の時に、
叶いますように。



2017年 現代俳句協会新人賞 応募作

「生きる」

 

全身の芽吹きに雨をきく夜か
 

目のなかの海を洗えり沈丁花
 

おしゃべりの満ちる宇宙の花吹雪
 

藤房の宇宙にういている母音
 

日は日へとかえる菫の道すがら
 

蛙鳴く丸い宇宙をしぼりきる
 

ハナミズキここから先は空の言葉
 

とあるときト音記号や目借時
 

夜の色はがれてゆくよ閑古鳥
 

明易の少女の山のほの白し
 

紫陽花や吸いついてくる少女の目
 

夏満月誰かの口のなかにいる
 

なめらかに人のながれや日雷
 

みな違う生きものであるビルに夏至
 

万緑を億の光のわたりくる
 

空を食う蕗の広葉のぼうぼうと
 

雲疾し蟻の散らばる遠の国
 

銀杏黄葉風をふるわせ風になれ
 

そこかしこ笛の子どもが大花野
 

夜の角ふかくまがりて葡萄の香
 

白ぶどう釈迦牟尼尊者風のなか
 

埃ふる万劫の日ぞ芒原
 

くだら野や声の小石をひとつ持ち
 

木星を吐くわたくしの凩よ
 

傷ついた手に冬暁がしみてくる
 

黒い火の深い眠りを冬の民
 

青物の朽ちゆく音や冬銀河
 

なつかしき吹雪よひとりひとつ哀
 

雪におう海の歩幅に老いてゆく

陽のいろの骸たからか雪の枝

        (作品「生きる」終)




賞というこのどうにもならぬもの。
どの賞でも、一回目であっさり獲ってしまう人もいれば、
句はいいし、毎回いいところまでいくし、実力あるのに
何回も届かぬ人、がいるもの。
何回も落ちると、だんだん、私はダメなんだって、応募したくなくなってくる・・・
けどチャレンジ続けないと獲れない。
一つのアイデアとして、
落選作品をこうやって公開して、人目にさらして、楽しむっていうのがあります。
作品を審査するのは選考委員だけじゃない。
一般の人だっているんだぜ~、ってね。

今年もできれば、現俳新人応募して、爽やかに落ちたいと思う。

            貴子








 

昨年(2016年)の現俳新人賞に応募した作。
最終選考まで残ったが。

これの創作時は、作品の質感を揃えることと「キズのない」状態に整えることに執心した。
でも、弱いだろうと思った。

30句としてはまとまっているだろうと思ったので
何かに使いまわそうか?という魂胆で今までとっといたのだが、もう。

過去作は自分のなかでどんどん、古くなる。

えい、だしちゃえ。


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「星の草」  作・佐々木貴子

 

 

夕時雨重たき星の草を食む
 

白き湖落葉とろりと浮いており
 

枯草や彗星のくる門の前
 

枯木星赤き川よりのぼりくる
 

白鳥のかすれる空のうすべによ
 

雪うすき地に月面の香あり
 

うすべにの雪わなわなと鈍の空
 

 雪ふるや寂しき星のまんなかに
 

白鳥の海の白紙の大いなる
 

海光のあちこち爆ぜて落下の兎
 

産声のかたちに春の海しなる
 

陽にすこし泪を足して春茜
 

ぜんまいや陽にはかなさの指の痕
 

古草の光を抱きうごかざる
 

暗い目の奥に花咲く星まわす
 

連翹や未明の星に雨のふる
 

糸一本もつれていたり囀れり
 

てのひらに陽の垂直やきんぽうげ
 

ふつふつと星うかびこよ大夏野
 

弓なりの山鈴なりの青時雨
 

夏の草砥ぐ太陽の哀しみを
 

少年の膝ののこりし青岬
 

耳なしの山の夕立においたつ
 

夕焼をとおる童子の白髪よ
 

蜩や琥珀にうつす杜の影
 

ちちふさや海やわらかき星月夜
 

月煌々人家に穀のどよめくを
 

白樺は仆れて小人らが焔
 

黄身ひとつ滑り落ちたる夕花野
 

うつつうつろなる芒よまひるの陽




真面目に俳句を作ったのはこの時が最後かも・・・と思う。

じゃ、いまは?

 

DSC_0223
 

確か、俳句四季新人賞に応募した作。
ちょっと、明らかにまずい・・・という箇所を、
5箇所くらい直した。
もっと真面目に作ったつもりでいたのだが、
久しぶりに見たら意外と崩れてた。

いろんな既発表作からひっぱって、
不揃いのままに放ったのがみてとれるかと思う・・・

ま、いっか。





DSC_0223 - コピー






「大なる陽」 作・佐々木貴子
 

 

蜩や琥珀にうつす杜の影
 

黄身ひとつぬるりぬめりぬ夕花野
 

月煌々人家に穀のどよめくを
 

海鳴の夢をみていし蓑虫よ
 

ぎゃーていと姫りんご割る昼のいろ
 

茫々と白太陽や芒原
 

鳥落ちてきし惑星の枯れゆける
 

いきものの反りをとどめし落葉かな
 

枯野はや陽の空洞に指を入れ
 

夕空を腹いっぱいに山眠る
 

赤き魚ほぐし地吹雪腹で聞く
 

四肢に酔い氷湖に熱き空のあり
 

赤ん坊ずしりと熱き地吹雪に
 

死に変る白鳥やああ赤き花

金色に少女ぬれおり雪野原
 

QooQoo恋白鳥のかえりゆく
 

春雪にぬれ煌々と夜の枝
 

陽と水の喃語うれしや雪解の田
 

春の宵湖底の町の浮かびくる
 

永日や鳥は楕円を描き散る
 

春の星いずこの穴も水を出し
 

かおり良き男行き交う桜の夜
 

ちょっとだけ丸い地球よ花むしろ
 

夏の朝みずいろの月溶けのこる
 

夏の帯ほどいて海をあふれさす
 

国境を蟻の三歩が踏み越えし
 

ほの白き炎くずれて踊子よ
 

蕗の雨青き光の鳥の声
 

七色に光りて猛き蜘蛛の糸
 

夏暁や湾に佇む乳房二基



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