天童荒太さんに惹かれて、ドラマ「家族狩り」をみています
次回やっと最終回です
9話をみて、とにかく何か書きたくなったので書いていこうと思う

この作品は、何かしらの理由で完全に孤立してしまった子供がいる家庭がどんどん壊れていってしまうというお話
誰が家族を狩ったのか という話はドラマに任せるとして、私は家族というものについて思うところがあったため、この作品は私にとってとても興味深いものだった



事件の標的になるのは先にのべた家族だが、ここには様々な家族が登場している
娘と母が何度も喧嘩して対立を繰り返している家庭
いつでも夫婦円満で笑顔が絶えない家庭
夫が振り向いてくれないと妻が苦しむ家庭
暴力的な夫に妻が振りまわされる家庭
そもそも家庭を持つことに自信も覚悟もない男   などなど

挙げればきりがないが
1つ言えることは、基本的にどこも普通の一般家庭なのだ
このような関係を今も続けている人は大勢いるだろう
私は普通だからこそ惹きつけられた   だってこれは例外では無いのだから
自分だって、その物語の中の人物のような生活を送るかもしれない
他人事ではない と感じた
また、普通だからこその怖さもある



主題歌にもあるように 「一言のやさしさが、君を傷つけてしまう」のだ
本人にとってはやさしさなのかもしれない、不器用な愛の裏返しなのかもしれない
それでも、家族だから 近すぎるからこそ、ささいなことで傷ついてしまうことがある
そしてそれに気が付いて、引き返そうとしたときには もう
同じ空間にいるとは思えないほど、大きな大きな溝ができてしまっている



家族だからわかってくれる 家族だから大丈夫
そんなことはないと私は思う
だって、恋人だってそうでしょう?   思ったことは言葉にしないと伝わらないし、相手を不安にさせる
なのに、どうして家族になったら相手はわかってくれるって思ってしまうの?
家族はみんなエスパーなの?



この作品は王道で、子供が暴れる場面が多い
でも、それだけじゃない
夫が、妻が、お父さんや、お母さんが 暴れだす可能性だって十分ある
この作品はそこをとても理解していると思う
だって実際に暴れていたのは、いい年をした大人だったんだから
確かに子供も暴れているけれど、彼らだけじゃないんだよ



子供はさ、暴れること 引きこもることが最大の抵抗なんだろう
わかりやすい拒絶だ
ただ問題点は、意識が完全にそっちに向かってしまって、本当は何をしたいのか何を望むのかを伝えられなくなってしまうこと
そして大人は、どんどん止められなくなってしまう子供を恐怖でしか認識できなくなってしまう
拒絶という意思表示が間違っているとは言わないが、これは悪循環ともいえる
でも子供の世界はまだ狭いから、今あるテリトリーから抜け出せばある程度やり直しがきく
これは子供の特権だ



では大人はどうだろう
私は、大人は拒絶することはできないと思う
それは自分以外の存在のためだ、それは権力だったり世間だったりするだろう
そこから完全に逃れることはできない   だが、少しでも自分が関わらないようにすることはできる
つまり、繋がりが多すぎるのではないだろうか
(今の子供たちはネットの世界での繋がりが多すぎる気がする 大人になってさらに増えるだろう繋がりに対応しきれるだろうか?)
そんな中で暮らしているからこそ、本当に追い詰められ、吹っ切れてしまったときに、いろんな意味で大人は強くなるのではないだろうか
”もう自分は何にも縛られない、何でもできる
... 殺人だって、できる”  と
大人はテリトリーが広すぎるから、そもそも世間に範囲なんてないから
大人は全てを捨てない限り、どこにも逃げられない



この理論でいくと、子供の方が罪を犯しやすいということになりますね
繋がり、つまり歯止めとなるものが少ないから、なのかなと私は思う
それだけ自由であるとも思うけれど



話を戻そう
要は、家族だって他人だ(CLAMPさんの漫画ホリックの受け売りです
年齢も、性格も、立場も全く違う
それなのにどうして一緒に生活できるのか
家族なら...  と受け入れることができる部分があるのか
私にはそれがわからない
今のところはキセキとしかいいようがない(某テレビ局で流行ってますね、時期的なものですが
家族というくくりを完全に理解できないのだ



あー、私も伊藤淳史演じる巣藤先生のように 結婚できないかもなぁ



あとがき。
天童荒太さんの作品は、少し話題になった「包帯クラブ」を以前読みました
彼の作品はさらっと普通に物語として読むこともできるけれど、
キャラクター目線で追いかけて行ったり
内容から派生して自分でいろいろ考えたり
いろいろな視点から読むことができると思っている
私は原作は読んでいないが、この作品はドラマとしては珍しく いろいろな視点からみることができると感じた
ただの事件ものではなく、ミステリーではなく
もっといろんな魅力を少しでも多くの人に味わってもらえた良い作品だと私は思う
彼らを、最後まで見届けましょう?