2023年11月4日(土)
大分市の中心市街地の西側には標高100m前後の丘陵地帯が広がっています。この丘陵にはかつては一面のミカン畑が広がっていましたが(現在でも周辺エリアでは柑橘栽培が盛んで「志手ポンカン」といったブランド種も有名)、1970年代に入るとスカイタウン高崎・パークシティー青葉台・サンシャイン虹ヶ丘といった大型住宅団地が開発され、昭和の終わりから平成の初めにかけては中学校・小学校が相次いで開校するなど、一大ベッドタウンエリアとして成長しました。
今回歩いたエリアの航空写真
地理院地図
今回歩いたエリアの過去の航空写真
地理院地図(1974-1978)
このエリアには山の中腹に造られた古宮(ふるみや)古墳や公園の中に設置された三角点・電子基準点がありますが、それらを訪ねながら丘を越え、西大分の かんたん港園まで歩いてみたいと思います。
本日の行程:大分駅→椎迫入口→古宮古墳→にじが丘→青葉台→大分西中→生石→かんたん港園
11:13 大分駅 上野の森口(南口) を出発
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地理院地図
11:13 ホルトホールの前て横断歩道を渡り「大分いこいの道」に入ります。
※画像のモニュメントは建築家 塩塚隆生氏による「100年の樹」(2013年制作)
11:16 大分駅と上野の森を結ぶシンボルロード「大分いこい道」(総延長444m、幅員100m)
大分いこいの道は大分駅周辺総合整備事業にともなって2012年に供用が開始されました。南北に走る2本の市道の間は芝生広場となっており、週末は子どもたちや高校生などが遊ぶ姿が見られますが、災害時には避難場所として使えるように防災倉庫やマンホールトイレを備えているほか、ヘリの発着にも使えるように設計されています。
11:18 県庁所在地代表駅の駅前とは思えない豊かな空間が魅力の「大分いこいの道」
遊具こそありませんが市街地のど真ん中に子どもたちが走り回ったりボール遊びしたり(硬いボールは不可)できる空間があるのは素敵ですね。「大分いこいの道」を介することで大分駅から 上野丘こどものもり公園・大分市美術館まで連続した公園空間としてとらえることができそうです。
2019/7/15の記録→大分駅から上野の森を抜けて大分市美術館へ
11:22 県道21号大分臼杵線に出たら北側の側道を西へ進みます。
県道21号大分臼杵線といえば顕徳町から滝尾橋を渡って明野に行く道をイメージしますが、こちらは2008年(平成10年)9月に供用を開始したバイパスで、もともとは都市計画道路庄の原佐野線と呼ばれていました。交通量の多い道ですが、緩衝緑地のおかけで気持ちの良いウォーキングが続いています。
11:32 国道210号(大道バイパス)と交差する椎迫(しいざこ)入口交差点を通過
道路交通情報で毎朝耳にする重要な交差点です。高速道路の大分インターチェンジの入口でもあり、大分市街地の玄関口にあたる場所です。
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地理院地図
11:38 椎迫入口交差点から0.5kmで住吉川に架かる椎迫橋を渡ります。
この年の春に住吉川を源流から河口までたどっており、ここで県道21号を横断したのは記憶に新しいところです。
2023/3/5の記録→住吉川を源流から河口までたどる (前編)
11:41 椎迫橋から0.2kmほど歩き、県道北側の椎迫天満宮に立ち寄ります。
何度も車で通った道ですが、ここに天満宮があったことは初めて知りました。こうした神社に参拝することができるのも市街地ウォーキングの醍醐味です。
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地理院地図
天満宮に隣接する椎迫地区公民館
神社の敷地に集会所が建つ光景は地方ではよく目にします。神社前の道は大分インターチェンジへのアクセス道路となったため昼夜問わず多数の車が行き来していますが、1992年(平成4年)に高速道路が開通する前は地元の方しか通らないローカルな道だったはず。私はその頃の椎迫地区を知りませんが、境内に立つと昔ののどかな雰囲気が感じられる気がしました。
天満宮境内に祀られた石の祠
小さいながらも狛犬様に護られており、信仰の篤さがうかがえます。
11:45 椎迫天満宮を出発
11:49 天満宮から0.2kmでグリーンコープ西の台店
古宮古墳へ行くには店舗に向かって左側の細い道に入ります(右側の広い道は私道)
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地理院地図
11:50 地理院地図では黒実線(軽車道)で描かれた道ですが、実際は徒歩道。
グリーンコープ前の県道21号に設置された横断歩道(押しボタン式信号機付)でわかるように、この徒歩道は県道南側の鳥越地区から西の台小学校への通学路として整備されたもののようです(グリーンコープから小学校まで徒歩道経由だと550mだが、車道経由だと1300m)。
11:50 フェンスに護られて丘へ登る徒歩道
自然林の中の登山道とはまた違ったワクワク感があります。
11:52 徒歩道を登りきると市道椎迫西ノ台線に出ます(画像奥のフェンスの先が西の台小学校)。
ここは市街地方向へ戻るかたちで東へ進みます。
11:53 季の坂(きのさか)入口バス停先を左折して季の坂方面へ
正面に見えるこんもりとした小山の中腹に古宮古墳があります。
11:55 バス停から170mで古宮古墳駐車場(海抜51m)に到着
この駐車場は基本的に閉鎖されており、見学目的であっても特別な場合を除いて利用できないようです。近くに時間貸しの駐車場もありませんので、車での見学は無理。その意味ではハードルの高い古墳と言えるでしょう。
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地理院地図
11:56 ハードルの高さはアクセスだけではありません。
駐車場からはまずこの階段を登らないといけないのです。
11:57 階段上から振り返った駐車場
スロープも用意されていますが結構急坂です。
11:57 住宅街を左に見ながら遊歩道を進んだ右側が古宮古墳の入口です。
古宮古墳は1996年(平成8年)に史跡公園として保全整備が完成しています。
11:58 階段を下ると遊歩道が二分します。
古墳は左を下りますが、展望広場が右にあるので寄り道してみます。
11:59 急な階段を上った先にある展望広場(標高70m)
季の坂入口バス停から見上げた小山の頂上にあたる部分ですが、周囲の木々が成長したためか、展望はほとんどありません。ここは行き止まりなのですぐに分岐まで引き返します。
12:01 分岐から竹林を下っていくと小山の南斜面に造られた古宮(ふるみや)古墳に到着
こちらの海抜が51mなので、駐車場と同じレベルまで下ってきたことになります。
古宮古墳の解説板
史跡の概要
古宮古墳はも丘陵の南側斜面にある南北約12.5m、東西約12mの方墳です。
巨大な凝灰岩をくりぬいて造った横口構造の石棺式石室とよばれる、7世紀中頃前後に畿内(現在の近畿地方)の中級豪族のあいだで流行した石室が特徴で、九州では他に例がありません。
このような特徴から、被葬者は大和政権と深くかかわり、672年の壬申の乱に活躍したことが「日本書紀」に記される大分君(おおいたのきみ)恵尺(えさか)・稚臣(わかみ)という2人の豪族のうち、とくに恵尺が有力な候補者として考えられています。
なお、古宮古墳のある場所は、南側に川があり背後に山を背負うという風水の考え方(風水思想)に合っており、これに基づいて造られたのではないかと考えられています。
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個人的には古宮古墳の真南120m地点に椎迫天満宮があることが気になります。現在は天満宮として祀られていますが、創建当初は古宮古墳となんらかの関わりがあったのかもしれません。
古宮古墳の羨道(石室)の入口
山の斜面に造られた古墳というものをイメージしにくかったのですが、斜面に横穴をほるだけではなく、きちんと四角に土が盛られています。入口に紙垂(しで)のついた注連縄が張られていることから、ここに葬られているとされる大分君恵尺は神様同様の扱いとなっているようです。
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古宮古墳は行き止まりとなっているため、見学を終えたらまた標高差20mの階段を上り、同じだけの階段を下って駐車場に戻りました。
12:08 古宮古墳駐車場を出発。季の坂(きのさか)の住宅地を経由して西の台小学校をめざします。
12:16 古宮古墳駐車場から0.5kmで西の台小学校の裏手を通過
西の台小学校は住宅団地開発による児童数増加を受けて、1991年(平成3年)に春日町小学校・大道小学校から分離して開校した小学校です。「西の台」とはスカイタウン高崎・パークシティー青葉台・サンシャイン虹ヶ丘・スカイタウン高尾台・パークシティ季の坂など新興住宅団地の総称です。
小学校名が決められた経緯はネット上ではわかりませんでしたが、仮に「大分西」「西大分」「城西」となるよりも校区エリアをイメージしやすい感じはあります。
12:17 西の台小学校の校門前を通過 ※2023/1/4撮影
裏から見ると高校のように殺風景ですが、こちらからだと新しい学校の雰囲気があります。
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地理院地図
市道椎迫西ノ台線に出たら50mほど市街地方向に戻って右折。市道にじが丘二丁目1号線を西方向へ進みます。
12:20 市道にじが丘二丁目1号線の歩道に等間隔で植えられたコキア
12:21 正面に高崎山を望むにじが丘東公園前バス停を通過
大分交通の青葉台線は基本的に にじが丘・青葉台の団地内では循環ルートをとっており、青葉台行は市道にじが丘二丁目1号線、大分市街地行きは市道椎迫西ノ台線を走っています。このため、団地内では往路と復路の乗客が混在することになります。
12:24 西野台小学校から0.5kmで にじが丘2丁目交差点に到着
ここで市道高崎団地椎迫線とクロスします。この市道は県道21号の大分IC東交差点と国道10号の東生石交差点(フェリーさんふらわあ前)を結んでいますが、団地内を通るため特に登下校時間帯は細心の注意を払って運転したい道です。
さて、目的の三角点と電子基準点は交差点の先に見える公園の中にあります。
12:26 横断歩道を渡って虹ヶ丘西児童公園へ
この公園は2段に分かれており、上(北)側がグラウンド、下(南)側が遊具エリアとなっています。画像は下の遊具エリアですが、虹をイメージした複合遊具が特徴で、いつ来ても(今回は3回目)子どもたちで賑わっています。
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12:27 遊具エリアのトイレ横に設置された標高70.3mの電子基準点(点名:大分)
電子基準点の解説板
「“建設省”国土地理院」と書かれているので、2001年(平成13年)の省庁再編以前に設置されたものと思われます。
電子基準点の隣に設置された謎の測量点
三角点はここではありません。
12:29 虹ヶ丘西児童公園の上(北)側のエリアに移動
三角点は上(北)側エリアの西の端に設置されています。
標高74.3mの四等三角点(点名:虹ヶ丘)
四等三角点ながら4つの防護石で固められた立派な三角点です。ここは丘陵の稜線部でなく南側の中腹に位置していますし、公園内にあることから、1970年代以降に設置されたもののようです。
虹ヶ丘西児童公園を彩るクロガネモチの実
12:30 虹ヶ丘西児童公園北側に位置するにじが丘公民館
保育所のようにメリハリのある色づかいの建物が目を惹きます。
12:35 公民館前から市道椎迫西ノ台線に出て、西に350mで青葉台北バス停に到着
このバス停の北側はミカン畑となっています。
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12:37 青葉台北バス停先を右折してミカン畑沿いに北へ進むと十字路に出ます。
左右方向の道は市道駄原中原線といい、この丘陵の稜線を東西に走る道です。ここを右折すると眺めの良い場所を通りますが、今回のルートから外れるので割愛します。
さて、今回は十字路の西側を少し登った場所にある青葉ポケットパークまで寄り道してみます。
12:42 青葉台4丁目にある青葉ポケットパーク(標高119m)
ここに立ち寄ったのは海の眺めの良い場所が近くにあるからで。
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12:43 青葉ポケットパーク近くから眺めたスカイタウン高崎方面
中央に見えるのがこれから通る大分西中学校です。
※当日は霞みが濃かったため2023/1/4撮影の画像で代用しています。
青葉ポケットパーク近くから眺めた別府湾方面
眼下に見えるのは令和になって開発された住宅地、グレイスタウン青山です。
※当日は霞みが濃かったため2023/1/4撮影の画像で代用しています。
12:52 十字路に戻ってグレイスタウン青山方面へ進みます。
12:52 十字路横に広がる苗畑
これから建てられる住宅の庭木用に育てているのでしょうか。
12:52 グレイスタウンの南西端にある青山公園
なんとなく別府にありそうな地名ですが、ここは大分市です。
12:59 グレイスタウンを抜けてスカイタウン高崎に入ると高崎四丁目バス停に到着
ここは大分交通スカイタウン高崎線の終点で、バスの待機スペースがあります。パークシティー青葉台とスカイタウン高崎は隣接する住宅地ですが、中心市街地を結ぶバスの系統・経由地は大きく異なっており、両団地を結ぶバスは朝晩の一部便を除いてありません。
13:02 高崎四丁目バス停から0.2kmで大分西中学校の下を通過
大分西中学校は住宅団地開発による生徒数増加を受けて、1987年(昭和62年)に王子中学校から分離開校しました。中学校区は後に開校した西の台小学校区(の大半)だけでなく、従来からの八幡(やはた)小学校区・神崎(かんざき)小学校区・春日町小学校区(一部)も含まれています。校名選定の経緯は不明ですが、城東中・城南中に合わせて「城西中」としなかったのは校区が広かったからでしょうか。
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13:09 大分西中学校から北へ0.4kmでまるた屋温泉 西方の湯の横を通ります。
大分市内でよくあるコーラ色のモール泉ですが、ゴールの かんたん港園までもう少し歩くので入浴は見送って先へ進みます。
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西方の湯から先は市道南生石3号線を北へ下ります。
13:11 市道の左前方には別府湾越しに鹿鳴越(かなごえ)連山が霞んでいました。
なお、画像中央に見える住宅街の奥には神崎温泉天海の湯があります。西大分界隈には王子温泉や新湊温泉もあり、温泉好きの方にはなかなか楽しいエリアです。
13:12 市道の左後方を振り返ると高崎山(右奥には鶴見岳)が見えました。
13:13 左前方に かんたん付近の海が近づきました(画像中央はフジボウの工場)。
13:15 今度は右前方の視界が開けて西大分港に停泊する「さんふらわあ」が見えました。
13:16 右側方には大分の中心市街地が広がります。
中央部は春日神社の森、左奥には日鉄大分製鉄所の高炉や煙突も見えています。
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市道南生石3号線は幅員が狭いため、車で走ると非常に気を遣う道ですが、ウォーキングであれば左右に広がるパノラマを満喫することができます。ここはもっと空気の澄んだ日に歩きたかったですね。
13:19 柿の実と「さんふらわあ」
13:23 2度のヘアピンカーブを経てさくら公園まで下りてきました。
13:24 市道南生石3号線は さくら公園の先で市道高崎1号線に出ます。
市道高崎1号線は先述の市道高崎団地椎迫線と一体化した道で、国道10号の東生石交差点と県道21号の大分インター東交差点を結んでいるため、交通量が多めです。
13:25 市道高崎1号線を北へ向かうとすぐに日豊線の中島踏切を渡ります。
大分駅周辺総合整備事業の際、西大分駅を含むこのあたりまでの日豊線の連続立体交差化(高架化)の話も出ていましたが、貨物駅となっている西大分駅を高架化するとなると、コンテナターミナルを移転する必要があるため、費用面などで見送られました。
踏切待ち中に隣のうなぎ屋さんからいい匂いが・・・
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13:28 中島踏切を渡った先を左折して北西へ進むと西大分公園があります。
ここには1972年(昭和47年)に廃止された別大電車(大分交通501形、佐野植物公園に保存されていた電車と同型)が保存されており、山渓での買い物の際に目にしていましたが、2004年(平成16年)に解体されてしまいました。
13:34 せっかく西大分へ来たのでクランベリーアトベ(跡部誠進堂)さんに立ち寄ります。
シュークリームやどら焼が人気のお店ですが、日曜定休なので、このあたりをウォーキングする際は土曜日を狙っています。
13:39 今日はJRに乗りませんが西大分駅を表敬訪問
1911年(明治44年)の開業時からの木造駅舎が健在です。
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13:44 西大分駅前から国道10号を横断してかんたん港園(こうえん)にやってきました。
かんたん港園は2006年に移転したダイヤモンドフェリー(現:フェリーさんふらわあ) のターミナル跡地を再開発した公園です。かつての桟橋はウッドデッキになっており、犬の散歩を楽しむ人々などでいつも賑わっています。
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かんたん港園のベンチでアトベさんのアップルパイを頂きます(どらやきはお土産)。
海を眺めながら優雅なひと時になるはずでしたが・・・・ 大量のハトに取り囲まれて退散。
14:02 帰りのバスの通過時刻まで、かんたん界隈を散策することにしましょう。
14:12 国道10号沿いのかんたんバス停から大分駅行きのバスで帰途につきました。
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今回訪問したスポット(椎迫天満宮、古宮古墳、虹ヶ丘の三角点・電子基準点、青葉ポケットパーク)はいずれも駐車場がないため、近場ではあるものの行きづらい場所でした。そうしたエリアをじっくり見て回ったり、高台からの眺望をじっくり楽しんだりできるのもウォーキングの特権です。今回は日中の訪問でしたが、夕刻に歩いて温泉を楽しむのも良さそうです。
おまけ
毎回メンツが異なります
大分市の中心市街地の西側には標高100m前後の丘陵地帯が広がっています。この丘陵にはかつては一面のミカン畑が広がっていましたが(現在でも周辺エリアでは柑橘栽培が盛んで「志手ポンカン」といったブランド種も有名)、1970年代に入るとスカイタウン高崎・パークシティー青葉台・サンシャイン虹ヶ丘といった大型住宅団地が開発され、昭和の終わりから平成の初めにかけては中学校・小学校が相次いで開校するなど、一大ベッドタウンエリアとして成長しました。
今回歩いたエリアの航空写真
地理院地図
今回歩いたエリアの過去の航空写真
地理院地図(1974-1978)
このエリアには山の中腹に造られた古宮(ふるみや)古墳や公園の中に設置された三角点・電子基準点がありますが、それらを訪ねながら丘を越え、西大分の かんたん港園まで歩いてみたいと思います。
本日の行程:大分駅→椎迫入口→古宮古墳→にじが丘→青葉台→大分西中→生石→かんたん港園
11:13 大分駅 上野の森口(南口) を出発
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11:13 ホルトホールの前て横断歩道を渡り「大分いこいの道」に入ります。
※画像のモニュメントは建築家 塩塚隆生氏による「100年の樹」(2013年制作)
11:16 大分駅と上野の森を結ぶシンボルロード「大分いこい道」(総延長444m、幅員100m)
大分いこいの道は大分駅周辺総合整備事業にともなって2012年に供用が開始されました。南北に走る2本の市道の間は芝生広場となっており、週末は子どもたちや高校生などが遊ぶ姿が見られますが、災害時には避難場所として使えるように防災倉庫やマンホールトイレを備えているほか、ヘリの発着にも使えるように設計されています。
11:18 県庁所在地代表駅の駅前とは思えない豊かな空間が魅力の「大分いこいの道」
遊具こそありませんが市街地のど真ん中に子どもたちが走り回ったりボール遊びしたり(硬いボールは不可)できる空間があるのは素敵ですね。「大分いこいの道」を介することで大分駅から 上野丘こどものもり公園・大分市美術館まで連続した公園空間としてとらえることができそうです。
2019/7/15の記録→大分駅から上野の森を抜けて大分市美術館へ
11:22 県道21号大分臼杵線に出たら北側の側道を西へ進みます。
県道21号大分臼杵線といえば顕徳町から滝尾橋を渡って明野に行く道をイメージしますが、こちらは2008年(平成10年)9月に供用を開始したバイパスで、もともとは都市計画道路庄の原佐野線と呼ばれていました。交通量の多い道ですが、緩衝緑地のおかけで気持ちの良いウォーキングが続いています。
11:32 国道210号(大道バイパス)と交差する椎迫(しいざこ)入口交差点を通過
道路交通情報で毎朝耳にする重要な交差点です。高速道路の大分インターチェンジの入口でもあり、大分市街地の玄関口にあたる場所です。
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11:38 椎迫入口交差点から0.5kmで住吉川に架かる椎迫橋を渡ります。
この年の春に住吉川を源流から河口までたどっており、ここで県道21号を横断したのは記憶に新しいところです。
2023/3/5の記録→住吉川を源流から河口までたどる (前編)
11:41 椎迫橋から0.2kmほど歩き、県道北側の椎迫天満宮に立ち寄ります。
何度も車で通った道ですが、ここに天満宮があったことは初めて知りました。こうした神社に参拝することができるのも市街地ウォーキングの醍醐味です。
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天満宮に隣接する椎迫地区公民館
神社の敷地に集会所が建つ光景は地方ではよく目にします。神社前の道は大分インターチェンジへのアクセス道路となったため昼夜問わず多数の車が行き来していますが、1992年(平成4年)に高速道路が開通する前は地元の方しか通らないローカルな道だったはず。私はその頃の椎迫地区を知りませんが、境内に立つと昔ののどかな雰囲気が感じられる気がしました。
天満宮境内に祀られた石の祠
小さいながらも狛犬様に護られており、信仰の篤さがうかがえます。
11:45 椎迫天満宮を出発
11:49 天満宮から0.2kmでグリーンコープ西の台店
古宮古墳へ行くには店舗に向かって左側の細い道に入ります(右側の広い道は私道)
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11:50 地理院地図では黒実線(軽車道)で描かれた道ですが、実際は徒歩道。
グリーンコープ前の県道21号に設置された横断歩道(押しボタン式信号機付)でわかるように、この徒歩道は県道南側の鳥越地区から西の台小学校への通学路として整備されたもののようです(グリーンコープから小学校まで徒歩道経由だと550mだが、車道経由だと1300m)。
11:50 フェンスに護られて丘へ登る徒歩道
自然林の中の登山道とはまた違ったワクワク感があります。
11:52 徒歩道を登りきると市道椎迫西ノ台線に出ます(画像奥のフェンスの先が西の台小学校)。
ここは市街地方向へ戻るかたちで東へ進みます。
11:53 季の坂(きのさか)入口バス停先を左折して季の坂方面へ
正面に見えるこんもりとした小山の中腹に古宮古墳があります。
11:55 バス停から170mで古宮古墳駐車場(海抜51m)に到着
この駐車場は基本的に閉鎖されており、見学目的であっても特別な場合を除いて利用できないようです。近くに時間貸しの駐車場もありませんので、車での見学は無理。その意味ではハードルの高い古墳と言えるでしょう。
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11:56 ハードルの高さはアクセスだけではありません。
駐車場からはまずこの階段を登らないといけないのです。
11:57 階段上から振り返った駐車場
スロープも用意されていますが結構急坂です。
11:57 住宅街を左に見ながら遊歩道を進んだ右側が古宮古墳の入口です。
古宮古墳は1996年(平成8年)に史跡公園として保全整備が完成しています。
11:58 階段を下ると遊歩道が二分します。
古墳は左を下りますが、展望広場が右にあるので寄り道してみます。
11:59 急な階段を上った先にある展望広場(標高70m)
季の坂入口バス停から見上げた小山の頂上にあたる部分ですが、周囲の木々が成長したためか、展望はほとんどありません。ここは行き止まりなのですぐに分岐まで引き返します。
12:01 分岐から竹林を下っていくと小山の南斜面に造られた古宮(ふるみや)古墳に到着
こちらの海抜が51mなので、駐車場と同じレベルまで下ってきたことになります。
古宮古墳の解説板
史跡の概要
古宮古墳はも丘陵の南側斜面にある南北約12.5m、東西約12mの方墳です。
巨大な凝灰岩をくりぬいて造った横口構造の石棺式石室とよばれる、7世紀中頃前後に畿内(現在の近畿地方)の中級豪族のあいだで流行した石室が特徴で、九州では他に例がありません。
このような特徴から、被葬者は大和政権と深くかかわり、672年の壬申の乱に活躍したことが「日本書紀」に記される大分君(おおいたのきみ)恵尺(えさか)・稚臣(わかみ)という2人の豪族のうち、とくに恵尺が有力な候補者として考えられています。
なお、古宮古墳のある場所は、南側に川があり背後に山を背負うという風水の考え方(風水思想)に合っており、これに基づいて造られたのではないかと考えられています。
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個人的には古宮古墳の真南120m地点に椎迫天満宮があることが気になります。現在は天満宮として祀られていますが、創建当初は古宮古墳となんらかの関わりがあったのかもしれません。
古宮古墳の羨道(石室)の入口
山の斜面に造られた古墳というものをイメージしにくかったのですが、斜面に横穴をほるだけではなく、きちんと四角に土が盛られています。入口に紙垂(しで)のついた注連縄が張られていることから、ここに葬られているとされる大分君恵尺は神様同様の扱いとなっているようです。
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古宮古墳は行き止まりとなっているため、見学を終えたらまた標高差20mの階段を上り、同じだけの階段を下って駐車場に戻りました。
12:08 古宮古墳駐車場を出発。季の坂(きのさか)の住宅地を経由して西の台小学校をめざします。
12:16 古宮古墳駐車場から0.5kmで西の台小学校の裏手を通過
西の台小学校は住宅団地開発による児童数増加を受けて、1991年(平成3年)に春日町小学校・大道小学校から分離して開校した小学校です。「西の台」とはスカイタウン高崎・パークシティー青葉台・サンシャイン虹ヶ丘・スカイタウン高尾台・パークシティ季の坂など新興住宅団地の総称です。
小学校名が決められた経緯はネット上ではわかりませんでしたが、仮に「大分西」「西大分」「城西」となるよりも校区エリアをイメージしやすい感じはあります。
12:17 西の台小学校の校門前を通過 ※2023/1/4撮影
裏から見ると高校のように殺風景ですが、こちらからだと新しい学校の雰囲気があります。
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市道椎迫西ノ台線に出たら50mほど市街地方向に戻って右折。市道にじが丘二丁目1号線を西方向へ進みます。
12:20 市道にじが丘二丁目1号線の歩道に等間隔で植えられたコキア
12:21 正面に高崎山を望むにじが丘東公園前バス停を通過
大分交通の青葉台線は基本的に にじが丘・青葉台の団地内では循環ルートをとっており、青葉台行は市道にじが丘二丁目1号線、大分市街地行きは市道椎迫西ノ台線を走っています。このため、団地内では往路と復路の乗客が混在することになります。
12:24 西野台小学校から0.5kmで にじが丘2丁目交差点に到着
ここで市道高崎団地椎迫線とクロスします。この市道は県道21号の大分IC東交差点と国道10号の東生石交差点(フェリーさんふらわあ前)を結んでいますが、団地内を通るため特に登下校時間帯は細心の注意を払って運転したい道です。
さて、目的の三角点と電子基準点は交差点の先に見える公園の中にあります。
12:26 横断歩道を渡って虹ヶ丘西児童公園へ
この公園は2段に分かれており、上(北)側がグラウンド、下(南)側が遊具エリアとなっています。画像は下の遊具エリアですが、虹をイメージした複合遊具が特徴で、いつ来ても(今回は3回目)子どもたちで賑わっています。
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12:27 遊具エリアのトイレ横に設置された標高70.3mの電子基準点(点名:大分)
電子基準点の解説板
「“建設省”国土地理院」と書かれているので、2001年(平成13年)の省庁再編以前に設置されたものと思われます。
電子基準点の隣に設置された謎の測量点
三角点はここではありません。
12:29 虹ヶ丘西児童公園の上(北)側のエリアに移動
三角点は上(北)側エリアの西の端に設置されています。
標高74.3mの四等三角点(点名:虹ヶ丘)
四等三角点ながら4つの防護石で固められた立派な三角点です。ここは丘陵の稜線部でなく南側の中腹に位置していますし、公園内にあることから、1970年代以降に設置されたもののようです。
虹ヶ丘西児童公園を彩るクロガネモチの実
12:30 虹ヶ丘西児童公園北側に位置するにじが丘公民館
保育所のようにメリハリのある色づかいの建物が目を惹きます。
12:35 公民館前から市道椎迫西ノ台線に出て、西に350mで青葉台北バス停に到着
このバス停の北側はミカン畑となっています。
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12:37 青葉台北バス停先を右折してミカン畑沿いに北へ進むと十字路に出ます。
左右方向の道は市道駄原中原線といい、この丘陵の稜線を東西に走る道です。ここを右折すると眺めの良い場所を通りますが、今回のルートから外れるので割愛します。
さて、今回は十字路の西側を少し登った場所にある青葉ポケットパークまで寄り道してみます。
12:42 青葉台4丁目にある青葉ポケットパーク(標高119m)
ここに立ち寄ったのは海の眺めの良い場所が近くにあるからで。
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12:43 青葉ポケットパーク近くから眺めたスカイタウン高崎方面
中央に見えるのがこれから通る大分西中学校です。
※当日は霞みが濃かったため2023/1/4撮影の画像で代用しています。
青葉ポケットパーク近くから眺めた別府湾方面
眼下に見えるのは令和になって開発された住宅地、グレイスタウン青山です。
※当日は霞みが濃かったため2023/1/4撮影の画像で代用しています。
12:52 十字路に戻ってグレイスタウン青山方面へ進みます。
12:52 十字路横に広がる苗畑
これから建てられる住宅の庭木用に育てているのでしょうか。
12:52 グレイスタウンの南西端にある青山公園
なんとなく別府にありそうな地名ですが、ここは大分市です。
12:59 グレイスタウンを抜けてスカイタウン高崎に入ると高崎四丁目バス停に到着
ここは大分交通スカイタウン高崎線の終点で、バスの待機スペースがあります。パークシティー青葉台とスカイタウン高崎は隣接する住宅地ですが、中心市街地を結ぶバスの系統・経由地は大きく異なっており、両団地を結ぶバスは朝晩の一部便を除いてありません。
13:02 高崎四丁目バス停から0.2kmで大分西中学校の下を通過
大分西中学校は住宅団地開発による生徒数増加を受けて、1987年(昭和62年)に王子中学校から分離開校しました。中学校区は後に開校した西の台小学校区(の大半)だけでなく、従来からの八幡(やはた)小学校区・神崎(かんざき)小学校区・春日町小学校区(一部)も含まれています。校名選定の経緯は不明ですが、城東中・城南中に合わせて「城西中」としなかったのは校区が広かったからでしょうか。
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13:09 大分西中学校から北へ0.4kmでまるた屋温泉 西方の湯の横を通ります。
大分市内でよくあるコーラ色のモール泉ですが、ゴールの かんたん港園までもう少し歩くので入浴は見送って先へ進みます。
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西方の湯から先は市道南生石3号線を北へ下ります。
13:11 市道の左前方には別府湾越しに鹿鳴越(かなごえ)連山が霞んでいました。
なお、画像中央に見える住宅街の奥には神崎温泉天海の湯があります。西大分界隈には王子温泉や新湊温泉もあり、温泉好きの方にはなかなか楽しいエリアです。
13:12 市道の左後方を振り返ると高崎山(右奥には鶴見岳)が見えました。
13:13 左前方に かんたん付近の海が近づきました(画像中央はフジボウの工場)。
13:15 今度は右前方の視界が開けて西大分港に停泊する「さんふらわあ」が見えました。
13:16 右側方には大分の中心市街地が広がります。
中央部は春日神社の森、左奥には日鉄大分製鉄所の高炉や煙突も見えています。
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市道南生石3号線は幅員が狭いため、車で走ると非常に気を遣う道ですが、ウォーキングであれば左右に広がるパノラマを満喫することができます。ここはもっと空気の澄んだ日に歩きたかったですね。
13:19 柿の実と「さんふらわあ」
13:23 2度のヘアピンカーブを経てさくら公園まで下りてきました。
13:24 市道南生石3号線は さくら公園の先で市道高崎1号線に出ます。
市道高崎1号線は先述の市道高崎団地椎迫線と一体化した道で、国道10号の東生石交差点と県道21号の大分インター東交差点を結んでいるため、交通量が多めです。
13:25 市道高崎1号線を北へ向かうとすぐに日豊線の中島踏切を渡ります。
大分駅周辺総合整備事業の際、西大分駅を含むこのあたりまでの日豊線の連続立体交差化(高架化)の話も出ていましたが、貨物駅となっている西大分駅を高架化するとなると、コンテナターミナルを移転する必要があるため、費用面などで見送られました。
踏切待ち中に隣のうなぎ屋さんからいい匂いが・・・
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13:28 中島踏切を渡った先を左折して北西へ進むと西大分公園があります。
ここには1972年(昭和47年)に廃止された別大電車(大分交通501形、佐野植物公園に保存されていた電車と同型)が保存されており、山渓での買い物の際に目にしていましたが、2004年(平成16年)に解体されてしまいました。
13:34 せっかく西大分へ来たのでクランベリーアトベ(跡部誠進堂)さんに立ち寄ります。
シュークリームやどら焼が人気のお店ですが、日曜定休なので、このあたりをウォーキングする際は土曜日を狙っています。
13:39 今日はJRに乗りませんが西大分駅を表敬訪問
1911年(明治44年)の開業時からの木造駅舎が健在です。
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13:44 西大分駅前から国道10号を横断してかんたん港園(こうえん)にやってきました。
かんたん港園は2006年に移転したダイヤモンドフェリー(現:フェリーさんふらわあ) のターミナル跡地を再開発した公園です。かつての桟橋はウッドデッキになっており、犬の散歩を楽しむ人々などでいつも賑わっています。
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かんたん港園のベンチでアトベさんのアップルパイを頂きます(どらやきはお土産)。
海を眺めながら優雅なひと時になるはずでしたが・・・・ 大量のハトに取り囲まれて退散。
14:02 帰りのバスの通過時刻まで、かんたん界隈を散策することにしましょう。
14:12 国道10号沿いのかんたんバス停から大分駅行きのバスで帰途につきました。
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今回訪問したスポット(椎迫天満宮、古宮古墳、虹ヶ丘の三角点・電子基準点、青葉ポケットパーク)はいずれも駐車場がないため、近場ではあるものの行きづらい場所でした。そうしたエリアをじっくり見て回ったり、高台からの眺望をじっくり楽しんだりできるのもウォーキングの特権です。今回は日中の訪問でしたが、夕刻に歩いて温泉を楽しむのも良さそうです。
おまけ
毎回メンツが異なります