2017年2月7日(火)

 表題のように、志高湖から船原山・立石山を縦走してラクテンチ、さらに別府駅まで歩いてきました。

 船原山(ふなばるやま)立石山(たていしやま)は別府市街地の西、観海寺温泉の背後に位置する山です。現在では訪れる人の稀な山ですが、かつてラクテンチ志高ユートピアをリフト・ロープウェイで結ぶ観光ルートの一翼を担っていた時期がありました。

ラクテンチ~(リフト)~立石山駅     1962(昭和37)年開通
立石山駅
~(ロープウェイ)~船原山駅  1984(昭和59)年開通
船原山~(リフト)~志高ユートピア   1982(昭和57)年開通

 これらのリフト・ロープウェイはバブル崩壊後の景気の低迷や災害等が影響したのか、1998(平成10年)に廃止となってしまいました。その気になればいつでも乗りに行けたはずなのに、乗らずじまいだった空中回廊。悔やんでも後の祭りですが、幸いなことにその遺構は現在でもほとんど手つかずの状態で残っています。往時のリフト・ロープウェイ跡を自分の足で歩けば、疑似乗車体験ができるかもしれません。

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 現在の地理院地図を見ると、志高ユートピア跡~船原山~立石山~立石山駅~ラクテンチの間に登山道は一切記載されていません(志高湖から立石山駅の手前まで別ルートで林道あり)。このエリアは地形図を参考に赤テープを確認しつつ、時にはヤブコギも辞さないような登山となります。そんな不確定要素があることが、逆に魅力的であり、気持ちを奮い立たせてくれます。

 なお、船原山のロープウェイ駅・リフト駅は2016年11月12日に訪問しています。

  記録はこちら→紅葉の志高湖から船原山・小鹿山を周回

 また、2016年11月28日には志高湖から志高乙原林道を経由して立石山駅の近くまで行き、送電線巡視路を使ってラクテンチまで下っています。

  記録はこちら→初冬の志高湖から話題のラクテンチへ (前編)
              初冬の志高湖から話題のラクテンチへ (中編)
              初冬の志高湖から話題のラクテンチへ (後編)

 今回の目的は次の二つです。

①前回は歩かなかった船原山~立石山 間の稜線をたどること
②前回はヤブに阻まれて到達できなかった立石山駅を見てリフト跡伝いにラクテンチに下ること

 幸い、このコースの記録は何人かの方がインターネット上にアップされています。まったく未踏の原野に進むわけではありませんので、その点は心強いです。ただ、昨年4月の地震でコースに変化があったかもしれませんし、ヤブの状態も変化していることでしょう。コースの状態によっては撤退することも視野に、無理せず頑張ることにしました。

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9:51 スタート地点はいつもの志高湖駐車場。本来なら志高ユートピア跡から登るのが望ましいのですが、駐車場の関係でここにしました。駐車場には数台の車がとまっていましたが、いずれも関係者の車ばかり。韓国や中国の連休期間も終わったこともあってか、観光客の姿は見られませんでした。

志高湖駐車場の位置はこちらです。

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9:52   「く」の字形になった駐車場の中ほどが登山口です。三方向に道が分かれていますが、船原山へは中央のコンクリート道を登ります。

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9:55 コンクリートはすぐに途切れ、見晴らしの良い防火帯に変わります。右側の「(1巡目)大分国体記念の森」にはさまざまな種類のツバキが植えられています。

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9:58 左手には雪を抱いた由布岳。ピリッとした寒さに身が引き締まります。

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10:03 志高ユートピア跡から登ってきたリフトの跡に出ました。冬枯れの時期ということもあり、索道上の見通しが良くなっていました。

現在地はこちらです
地理院地図

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10:12 リフト跡と交差した地点からは標高差80mほどの防火帯の登り。上に行くにつれて傾斜が急になります。ここでの草刈作業は大変なことでしょう。

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10:14 防火帯の上部から由布岳・鶴見岳を見通すことができます。立石山への縦走路に入るとスッキリとした展望が得られなくなるので、ここでじっくり眺めました。

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10:15 船原山の山頂部に出ました。防火帯は右手の稜線へ続いていますが、今日は左手のスズタケの中に入ります。スズタケを抜けるとロープウェイの船原山駅跡です。

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現在地はこちらです
地理院地図

 ロープウェイの駅舎は老朽化が進んでいます。地震や強風等で 屋根や床の落下・建物の倒壊・ワイヤの破断が起きれば命に係わる怪我をする危険があります。当地への訪問は自己責任にてお願いいたします。

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10:17 ロープウェイの船原山駅跡は昨秋と特に変わった様子はなく、ゴンドラの「志高」号が冬の陽を浴びていました。

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10:18   ロープウェイ乗り場から見下ろす別府湾。これから左手の尾根を立石山まで縦走します。

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10:22 これまで船原山の三角点を見たことがなかったので周囲を探してみました。ロープウェイ駅舎の南側に回りこんでみるとリフト駅へ向かう道の敷石の跡がありました。

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10:23 リフト駅へ続いたと思われる敷石の跡から10mほど西側のスズタケの中を見ると、微かな踏み分けを発見。そこに入ると三等三角点がありました。三角点と言えば山頂の主役ですが、ここではロープウェイ・リフト関連施設が注目されるため、忘れ去られたような存在でした。

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10:24 リフト駅の北側に戻り、立石山方面へ縦走開始。前回、このオレンジプレートを船原山の山頂標と認識していましたが、これは「ここから船原山への登山道が続いていますよ」とのメッセージのようです。

 あれっ?と思われる方もおられるでしょうが、実は「船原山」は二つ存在しているのです。グーグルマップやヤフー地図ではロープウェイの駅のある標高737.5mのほうに「船原山」の文字がありますが、地理院地図では北東側の692mピークと(ロープウェイ駅のある標高737.5m)の中間付近に「船原山」の文字があります。一方、地元の人は692mピークのほうを「船原山」と呼び、ロープウェイ駅のある標高737.5mほうは「柳原」と呼んでいるようです。地理院地図の曖昧な表記は2つのピークを合わせて「船原山」としているのではないかと思えます。

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10:25 船原山を過ぎると道はなくなりますが、赤テープは密に巻かれています。冬枯れの時期で天気が良いこともあって、前方にはこれから向かう692mピークが見えています。心配していたヤブもなく、スムーズに歩くことができそうです。

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10:29 鞍部に下った後は緩い登りになります。クヌギ・コナラ・ヤマザクラなどの落葉樹が主体の森はとても明るくて気持ちが良いです。

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10:33 途中、大きな岩の間を縫う場所もあって火山地帯の山らしい側面もうかがえます。

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10:34 左手には樹間ごしに鶴見岳。その下には県道11号別府一の宮線を行き交う車が見えます。

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10:38 ロープウェイの駅から15分ほどでもう一つの「船原山」に到着しました。こちらの方が市街地から近くて目立つので、地元の人が「船原山」と呼ぶのも頷けます。

現在地はこちらです
地理院地図

志高湖から船原山・立石山を縦走してラクテンチへ (中編) に続きます。