2017年6月23日(金)

 くじゅう連山の中で猟師岳と並んでオオヤマレンゲの自生地として知られる鳴子山(標高1643m)に登ってきました。

2018年のようすはこちら→鳴子山のオオヤマレンゲ (2018)
2019年のようすはこちら→鳴子山のオオヤマレンゲ (2019)

猟師岳のオオヤマレンゲはこちらから→猟師岳のオオヤマレンゲ (2017)

 鳴子山は稲星山(標高1774m)の東に位置する山で、竹田市久住町の「レゾネイトクラブくじゅう」周辺からだとよく目立ちます。

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レゾネイトから眺めた鳴子山。 ※2017年4月19日撮影

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  鳴子山はくじゅう連山の中では訪れる人の少ない山です。一般的には牧ノ戸峠・大曲・吉部あたりからアプローチすることになるでしょうが、いずれもかなりの長丁場です。距離的に近いのはレゾネイトや沢水展望台から くたみ岐れを経由して鳴子山に直登するコースですが、猛烈な急登とズルズル滑る灌木帯に苦労させられます。どこから登ってもきついことに変わりがないので、大分市内からのアクセスの良い沢水展望台からスタートすることに決定。往路はくたみ岐れから直登し、復路は白口岳から鉾立峠に下りて九州自然歩道を戻ることにしました。

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9:40 沢水展望台を出発。右のコンクリート道に進みます。コンクリート舗装はこの先、くたみ岐れまで続いています。

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 なお、林道を直進すれば本山登山道を通って稲星越に至りますが、昨年の4月の地震で一部が崩壊したため通行禁止の措置がとられています。上の画像中央の登山届箱に本山登山道等通行禁止の案内が小さく記載されていますが、林道には通行禁止を示す看板等が一切ないため不親切です。安全対策工事をしたうえで通行を再開させるのか、このまま廃道とするのか、現時点では不明です。本山登山道はそれなりにハードですが、稲星山や白口岳の周回に便利な道だったので、個人的には復活を願っています。

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9:43 登山口から階段を30段ほど下ると本山滝から流れてくる沢を横切ります。下山時には靴等を洗うことができるので便利です(レゾネイトからのコースにも沢があります)。

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9:45 今度は長い階段を登り返します。初っ端からきつい場所ですが、ウォーミングアップのつもりでのんびりいきましょう。

 この先、コンクリート道は山と牧草地の境界線上を直線的に進みます。

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9:59 コンクリート道はくたみ岐れまでの間に小さなV字谷を6か所通過しますが、この階段の昇り降りが結構足にくるのです。道をちょっとだけ山手に迂回させてくれたらフラットに進むことができるのですが、頑固なまでに直線を貫いているため、細かなアップダウンができてしまっています。

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10:02 4000本の山桜で有名な くたみ岐れに到着。ここでレゾネイトからの道と合流します。レゾネイト第3駐車場の標高は沢水展望台より100mも低いのですが、ここまでの所要時間に大差はありません。

今年の山桜のようすはこちら→くたみ岐れの山桜と佐渡窪のマンサク

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10:05 くたみ岐れから法華院方面の九州自然歩道に入り、3分ほど歩いた場所(右手に続いてきた山桜が途切れる辺り)が鳴子山への直登コースの取り付き点です。現在では鳴子山を示す標識はなく、テープがたくさん巻かれているわけでもありませんが、オオヤマレンゲのシーズンであればはっきりとした踏み跡を確認することができるでしょう。取り付き点の標高が約1010mなので、鳴子山まで標高差 約630mの直登が始まります。

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10:08  最初は杉の人工林。のっけからの急登ですが、岩などの段差が少ないのでテンポよく登っていけると思います。

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10:15 周囲が尾根らしくなると岩の多い場所に出ます。鳴子山直登コースではフラットな場所がほとんどないので、ここは休憩に適した場所です。

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10:17 岩を乗り越えるとクヌギやミズナラの自然林に変わりますが、傾斜は一層急になり、木につかまりながら登ることになります。

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10:37 周囲にアセビが目立つようになりますが、急な傾斜は相変わらずです。

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10:42 このコースで初めて見る「鳴子山」の表示。

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10:46 セミの抜け殻。周囲はハルゼミの鳴き声が賑やかです。

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10:48 林床にササが目立つようになるとクヌギ・ミズナラ林歩きもそろそろ終わりです。ここまで急登に次ぐ急登でしたが、滑りやすい場所やヤブコギはなく、比較的スムーズに登ってくることができました。しかし、大変なのはここからです。

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10:55 林を抜けるとミヤマキリシマの目立つ灌木帯に出ました。ここから急にススキやカヤが深くなり、ちょっとしたヤブコギ状態になります。

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11:00 それに加えて足元は くじゅう特有の黒ボク土。梅雨の時期は滑り台状態です。

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11:05 ヤブと黒土に難儀しながら登っていると、「鳴子山 ↑」の表示のある小ピークに出ます。

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11:05 ここは岩の多いヤセ尾根の上。知らぬ間にこんなに高い場所まで登ってきていたのでした。ただし、鳴子山までは標高差にして150mほどの登りが残っています。

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11:15 尾根上にはドウダンツツジが見られます。

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11:22 足場のよくない岩場を登りきると鳴子山・・・ではなくて偽ピークでした。

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11:27 一旦、灌木帯に入って滑りやすい黒ボク土の斜面をクリアすると鳴子山の山頂です(ガスの向こうに見えるのは大船山)。くたみ岐れから1時間25分で登ってきたことになります。

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11:30 右手のガスがかかった山がこれから登る白口岳(標高1720m)。奥の山が九州本土最高峰の中岳(標高1791m)です。それではオオヤマレンゲの森へ出発です。

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11:35 鳴子山の次のピークへ向かうあたりでオオヤマレンゲに会うことができます。

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11:36 目の高さで咲いている花もあるので、柑橘系のような香りを楽しむことも可能です。

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11:38 オオヤマレンゲの森にはモミジやナナカマドも多いので、紅葉の時期も格別でしょう。

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11:39 鳴子山の次のピークは岩石累々のため歩くのも一苦労。黒岳の天狗岩を思わせる道です。

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11:49 オオヤマレンゲとともにドウダンツツジもこの時期に欠かせない花ですね。

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11:52 鳴子山から22分で稲星越に到着です。ここで沢水展望台で見送った本山登山道(地震の影響で通行禁止)と合流します。こちら側はテープで封鎖されていますね。

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11:52 稲星越は五差路になっており、各山頂への道が分岐しています。

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12:01 稲星越を出発。ここには鮮やかなミヤマキリシマが残っていました。

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12:11 稲星越から白口岳まではこれまでとうって変わって歩きやすい道です。足元にはコケモモの花が咲いていました。

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12:14 白口岳にわずかに残っていたミヤマキリシマと平治岳・大船山。半月前はピンク色に染まっていた平治岳は地味な色に戻っていました。

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12:14 誰もいない白口岳山頂に到着。ここもくじゅうの中では訪れる人の少ないピークです。

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12:15 白口岳から西側の眺め。左が稲星山(標高1774m)で右奥が久住山(標高1786.5m)です。

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12:16 ガスの切れ間から、先ほど登った鳴子山が顔をのぞかせました。

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12:23 三俣山(標高1745m)のどっしりとした姿に見送られて白口岳を出発。ここから鉾立峠まで標高差約350mを一気に下ります。

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12:25 下り始めは落ちていくような急斜面。岩が多くて足元が安定しているので、慎重に下れば大丈夫です。

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12:32 これはまた鮮やかなドウダンツツジ。

 白口岳から鉾立峠までの下りの後半戦は滑りやすい黒ボク土の道です。集中力を切らしていたためか、ズルっとこけて右肘を強打していまいました。

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12:52 このあたりはウォータースライダーのような道が続きます。えぐられた幅が広いと、つかまる場所がなくて泣きそうになります。もうしばらくここを歩きたくないなと思いながら、這う這うの体で鉾立峠へ。

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13:06 鉾立峠はくじゅう連山の久住山を中心としたエリアと大船山を中心としたエリアの中間に位置する登山道の要衝です(その割に訪れる人は少ないですが・・・)。

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13:10 鉾立峠から見上げた白口岳。よくぞここまで下ってきたものです。ここから九州自然歩道をくたみ岐れまで下ることにします。

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13:28 佐渡窪手前のタニウツギ。

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13:34 霧に包まれた佐渡窪。鳥の鳴き声がこだましています。

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13:37 佐渡窪から鍋割峠に登る石畳道。苔むした岩が良い雰囲気です。

13:38 鍋割峠を通過。ガスがかかって滑りやすくなっているため、慎重に鍋割坂を下ります。

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13:47 九州自然歩道の距離表示のついた道標。法華院~雨ヶ池~長者原の区間では距離表示のないタイプに取り換えられてしまいましたが、こちらでは健在です。目的地までの数値が小さくなっていくと励みになるものです。

14:06 くたみ岐れを通過。
14:24 沢水展望台の駐車場に帰着しました。白口岳から休憩込みで2時間01分でした。

  九州の南海上にある梅雨前線の影響なのか、この日はスッキリと晴れてくれませんでした。湿度も高かったため、林の中や灌木帯を歩く区間ではかなりきつかったです。また、くじゅう特有の黒ボク土の道にはいつのもことながら難儀させられました。それだけに、お目当てのオオヤマレンゲに会えた時の喜びはひとしおで、頑張って登ってよかったと思わずにはいられませんでした。