やまやま再発見

大分市周辺の山を歩いた記録です。みんなが集まるメジャーな山からヤブコギチックな低山まで、その魅力を再発見します。

志高湖・神楽女湖・小鹿山周辺

浜脇温泉から神楽女湖しょうぶ園を経て志高湖へ

2023年6月17日(土)

 別府市の神楽女湖(かぐらめこ)(海抜約550m)はハナショウブの名所として知られています。毎年6月上旬から7月上旬にかけて約80種、約1万5千株(30万本)のハナショウブが咲き乱れ、周囲の爽やかな高原風景と合わせて訪れる人々の目を楽しませます。

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神楽女湖のハナショウブと由布岳・鶴見岳  ※2019/6/18撮影(再掲載)

 神楽女湖は車で訪れることのできる観光地ですが(ただし、期間中は臨時駐車場から往復1.5kmほど歩く必要がある)、隣の志高湖(しだかこ)の駐車場にとめて  小鹿山(おじかやま)・大将軍山 などと組み合わせて周回されるハイカーも多いです。

 私もコロナ以前は梅雨時期になると毎年のように神楽女湖を訪れていました。今回は久しぶりに神楽女湖のハナショウブを見に行きたいと思ったのですが、これまでと趣向を変えて別府の市街地から“一気登山”でハナショウブを見に行くことにしました。“一気登山”と言っても高温多湿の時期なので舗装された市道を歩くのみですし、小鹿山などのピークを踏む予定もありませんが、トータルの標高差は600mを超えるため結構きつそうです。

浜脇・志高湖
本日の行程:東別府駅→浜脇温泉→田の口→鍋→隠山→岳の脇→リンゴ園→神楽女湖→志高湖→鳥居バス停

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10:00 大分駅から大分交通バスに乗って東別府駅前バス停で下車(運賃は500円)

 同区間をJRの電車で移動すると280円で済みますが、この時間帯のJRは混雑しがちなので確実に座れるバスを選択。中型の低床車なのでエアライナーのような快適さはありませんが、かつての別大電車を偲びながらのんびり移動するのも悪くありません。

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10:02 まずは東別府駅を表敬訪問

 現在の日豊本線東別府駅は1911年(明治44年)に豊州線浜脇駅として開業しました(1934年(昭和9年)に東別府駅に改称)。駅舎は2003年(平成15年)に別府市の有形文化財に指定されており、明治時代の雰囲気を現代に伝えています。

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漆喰壁を白熱灯が照らす東別府駅の改札口周辺

 東別府駅は2022年3月に無人駅化されましたが、別府鉄道OB友の会(JR退職者)の皆様が交代で平日朝の時間帯に駅舎管理の業務に携わられており、美しい状態がキープされています。

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駅舎に向かって右手に建つ 停車塲建設記念碑

 浜脇駅開業の翌年(明治45年6月)に建立されたもので、停車場開設に尽力した松田源治代議士を称えたものです。前面左下に「致堂書」とありますが(碑面の“至支”は致の異体字)、致堂は当時文部大臣であった長谷川純孝のこと。長谷川は薩摩の出身であり「致堂」の雅号は西郷隆盛から与えられたものとのことです。
※参考文献  別府史談 (別府史談会編) 2013年 第26号 東別府駅

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10:04 東別府駅からスロープを下るとすぐに東町温泉があります。

 二階が浜脇1丁目2区自治公民館となっており、別府でよくある公民館(集会所)一体型の温泉です。まさに“駅前温泉”と称すべき立地であり、表の看板に書かれている通り「電車の待ち時間にちょっと一(ひと)風呂」といった楽しみ方もできます。逆コースならここで温泉に入ってから帰途に就くことができそうです。

 ちなみに日豊線では亀川駅から大分駅まで6駅連続で“駅前温泉”(徒歩3分以内の場所にある廉価な日帰り温泉)が存在しています。

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10:07 線路沿いの道を西へ進むと秋葉神社がありました。

 創建は鎌倉時代の貞応2年(1223年)とのこと。鳥居の柱に「明治43年」と刻まれていたので豊州線浜脇駅開業の前年だな、と思って調べてみると、線路敷設に伴って移設された際に建立された鳥居であることが判明。さらに後述する県道51号別府挟間線のバイパス工事に伴って現在地に再移設されたこともわかりました。

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10:09 日豊線(もとの豊州線)・県道51号浜脇高架橋・秋葉神社  の位置関係

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800年の時と二度の移設を経て浜脇の地を見守り続ける秋葉神社

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10:18 秋葉神社の先に日豊線を跨ぐ歩道橋があったので登ってみました。

 この橋は山手にある旧浜脇中学校への通学路として架けられたようですが、鶴見岳(右奥)・立石山(その手前)・向平山(左奥)を望む好立地です。

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10:19 下りの白が通過して約20秒後に上りの青が通過。惜しい。

 当初は歩道橋を渡って山手に向かう計画でしたが、大分駅で食料の調達ができなかったので(9時半前はコンビニとパン屋ぐらいしか開いていない)、予定を変更して浜脇モールに立ち寄ることにしました。

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10:27 浜脇モールの中心に建つ浜脇温泉(左)と湯都ピア浜脇(右) 

 南部地区再開発事業にともなって建設された浜脇モール内に1991年(平成3年)にオープンした市営の温泉施設で、浜脇温泉は普段使いの共同浴場(200円)、湯都ピアは多彩な風呂のあるスーパー銭湯的施設(700円)です。再開発前の浜脇には昭和初期に建てられた浜脇温泉浜脇高等温泉がありましたが、現在でも温泉の2クラス制が引き継がれているのはおもしろいところ。逆コースならここで温泉に入って「なべさんラーメン」で締めるのも良さそうです。

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浜脇モール内に掲示された再開発前の浜脇高等温泉と浜脇温泉の写真

 余談ながら別府駅前高等温泉もかつては並湯(100円)と高等湯(300円)を選択できましたが、現在では「あつ湯」「ぬる湯」(各250円)に区分されています。

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浜脇モール内にある杏樹・ゴトー饅頭店さん

 最近、こうした和菓子屋さんを見るとつい立ち寄ってしまいます。創業は明治43年(浜脇駅開業の前年)とのこと。今日の行動食はここで決まり。

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ゴトー饅頭店の 甘酒万十・タンサン万十・石垣もち

 神楽女湖で食べましたが、それは美味しかったです。餡は「こしあん」「つぶあん」を選べるのがいいですね。他におはぎや赤飯などもあったのでリピートしたいところです。

10:31 浜脇モールを出発

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10:35 再開発地区を抜けると戦前の面影を残す町並みが広がります。

 今日は神楽女湖・志高湖まで登るため体力を温存する必要がありますが、このあたりは改めてじっくりと歩いてみたいエリアです。

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10:36 意図的なのか、たまたまなのか、郵便ポストも以前のままでした。

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10:37 河内(こうち)朝見川に合流する地点に架かる西町橋
   ここから河内川沿いに山手に入っていくことにします。

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10:39 河内川沿いを進むと日豊線が見えてきました。ややっ、行き止まりか !?

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10:40 線路に突き当たって右に進むとすぐに河内踏切がありました。
   これを渡って山手に進み、左上に見える教会のような建物をめざします。

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10:44 歴史のありそうな教会ふうの建物の下の急坂を登っていきます。

 この道はストリートビューに対応しておらず、もしかして私道?と不安になりましたが、あとで調べてみると市道田の口本線登口線という公道でした。

 また、後日調べたところ、教会のような建物は1948年(昭和23年)に建設された旧小百合愛児園(創設は1935年)の建物で、1990年(平成2年)の閉園(大分市の分園と統合して移転)後は修道院として使用されてきましたが、2021年(令和3年)以降は閉鎖されているようです。

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10:46 急坂を登るにつれ、別府市街地を一望できるようになりました。

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10:47 振り返ると北方向に別府の中心市街地が望まれました。

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10:48 河内踏切から8分で市道浜脇観海寺線に上がりました。

 この市道は別府市街地南側の山の中腹をトラバースする道で、浜脇から河内・朝見浄水場・ラクテンチを経て杉乃井ホテルまで続いています。狭隘区間が続くため運転の苦手な方にはお勧めしませんが、朝見浄水場~ラクテンチ以外の区間は別府一周遊歩道ルートに組み込まれているため、近隣のハイカーにはおなじみの道です。

 なお、神楽女湖を目指す場合はここを直進して、宝満寺の横から市道田ノ口~隠山線に入ります。

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市道浜脇観海寺線に出たところに建つ田の口バス停

 かつては亀の井バスの内成線が通っていましたが、2022年8月末をもって廃止されました。翌9月1日から2023年9月29日まで別府市コミュニティバスの実証運行が行われています。亀の井バス時代は土日祝日の運行もあり私も登山で何度か利用しましたが、コミュニティバスだと平日のみの運行なので、観光客の利用は厳しそうです。

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10:55 市道田ノ口~隠山線に入っても厳しい登り坂が続きます。

 まだ行程の10分の1程度しか消化していないのに、照りつける日射しと蒸し暑さのせいで熱中症になりそうです。本当に神楽女湖・志高湖まで登ることができるのか、はなはだ不安です。

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10:57 左手(南側)の視界が開けると高崎山の姿が見えてきました。

 河内川の谷を挟んで県道51号を走る車の姿も見えています。浜脇から神楽女湖に向かう際は県道51号~市道河内本線を歩いたほうが近いのですが、そちらは6年前に歩いたので、今回は別ルートを選択しています。

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11:01 振り返れば浜脇の町並みと別府湾

 中央やや右寄りに見える建物は2021年3月に閉校した浜脇中学校の校舎と体育館です(浜脇中学校は山の手中学校と統合して別府西中学校となる)。

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11:02 鍋地区に入ると棚田が現れます。

 数十年前は内成棚田に匹敵するほど美しい棚田風景が見られた場所ですが、現在では半分ほどが耕作放棄地となっており、残った棚田も水田から畑地に転用された場所が多いです。

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11:09 田の口から鍋地区までの市道は1車線の細道
   地元車以外の通過車両はなく、のんびりと歩くことができます。

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11:12 田の口バス停から1.2kmで市道河内本線と合流

 ここから先は隠山・枝郷方面への生活道路となるため、それなりに交通量が多くなります(数分に1台程度ですが)。

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11:15 市道は階段状になった河内(こうち)に沿って高度を上げていきます。

 上流部(このあたり)と下流部(市街地)では人工的な姿の河内川ですが、中流部では河内渓谷を形成しており「裳裾の滝」という滝もあるようです(本行程では近くを通っていません)。

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11:17 柳3号橋のそばに建つ知恵地蔵

 ここでお参りがてらに給水休憩をとります。ちょうど軽トラで来られたお父様と談笑。お父様曰く「そげえ飲みよったら酔うでぇ」。ほんと、焼酎でも混ぜて気合を入れなければやってられないような暑さです。

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11:19 隠山地区へ向かう道中は高い石積みを持つ棚田が広がります。

 別府と言えば誰しも温泉町のイメージを抱くと思いますが、市内には農水省の「日本の棚田百選」に選ばれた内成棚田をはじめ、堂面棚田や大所棚田・天間棚田・東山棚田などが存在する棚田の町でもあります。このあたりの石積みは日出町の山田湧水付近の棚田を彷彿させる立派なものです。

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11:26 (やなぎ)公民館の前を通過

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 柳公民館前には隠山(かくれやま)地区のことを紹介した案内板があり、江戸時代に建立された西国三十三体観音像、法花寺のご本尊であった薬師如来像、隠れ山地区と柳地区の境にあって347段の参道をもつ金毘羅様、隣の柳地区にある市指定の大クヌギのことなどが記されています。

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11:27 沿道に咲くアジサイに励まされて高度を上げていきます。

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11:28 西国三十三体観音像・山王社五輪塔の入口

 ちょっと見学してみようと入りかけたのですが、遠そうだったので引き返しました。ここは冬から春のシーズンに再訪したいです。

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11:30 沿道に建つ大乗妙典一石塔
   暑さでバテてしまっていたからか、建立年を確認するのを忘れてしまいました。

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11:36 隠山地区を過ぎて東九州道の下まで来ると道がフラットになり、桜並木が現れました。

 このあたりの標高は約270m。桜の木陰に入ると一気に涼しくなり、バテた体に生気が蘇ってきました。当地に高速道路(当時は大分自動車道と呼ばれていた)が開通したのは1992年(平成4年)12月のこと。桜並木はその頃に植えられたものでしょうか。

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11:40 高速道路の下に造られた四角いトンネルをくぐります。

 ここはクールダウンのできるポイントとして大いに期待していましたが、トンネル内は湿気がこもって蒸し暑く、あまり快適ではありませんでした。

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 トンネルから標高約450mの“峠”までの1.5km区間が本行程一番の正念場。市道からの展望はなく、竹藪や杉林の中を黙々と登るのみ。ただし、身体が登り坂に順応したためか、惰性で足が前に出るようになりました。志高湖まで行けば冷たいビールが待っているはず。

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12:03 “峠”付近は人工林の伐採が行われて6年前と雰囲気が大きく変わっていました。

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12:07 “峠”を越えると右手に水田が広がります。

 息苦しいほどの森の中を30分近く歩いてきただけに、この光景にはホッとさせられますし、早苗を揺らす風にクールダウンが進みます。

12:08 左手に溜池を見ると、再び樹林帯のダラダラ登りが始まります。

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12:20 田の口バス停から5kmで市道田ノ口~隠山線の終点に到達

 ここで市道朝見枝郷(あさみえだごう)~合棚後畑(あわせだなうしろばた)に合流します。この道は朝見浄水場からリンゴ園・枝郷公民館を経て県道52号の旧後畑バス停までを結ぶ延長11kmの市道です。ただ、ここから朝見浄水場までの区間は狭隘で未舗装部分もあるので一般車両はまず通りません。今歩いてくた市道田ノ口~隠山線が枝郷と別府市街地を結ぶ生活道路として機能しています。

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ここから朝見方面へ歩いた記録(2017/10/3)→志高湖から小鹿山を経て朝見、別府駅へ (後編)

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12:21  市道朝見枝郷~合棚後畑線を50mほど進むと少年自然の家「おじか」への道が分岐します。

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分岐点にはカスミザクラの大木が立っています。

 カスミザクラは桜の野生種のひとつで開花と同時に葉が出ます。山桜と似ていますが、開花は山桜より遅いそうです。葉に短い薄い毛があるので「ケヤマザクラ」とも呼ばれています。ここを歩くのは今回で3度目ですが、なかなか開花期に当たりませんね。

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正午を回ったので、少年自然の家「おじか」で昼食にしましょう。

 少年自然の家「おじか」について、別府市HPより以下に引用します

 別府市立少年自然の家「おじか」は阿蘇くじゅう国立公園の南東に接し、別府市街地から見ると南西の奥、標高550mの高台にあります。「おじか」の名称は背後にある標高728mの小鹿山に由来しています。この小鹿山の山頂に立つと眼下には別府市街地が広がり、東には野生のサルで有名な高崎山や大分臨海工業地帯、別府湾をはさんで遠く国東半島が遠望できる別府市屈指の景勝の地となっています。また、総面積約20万㎡にもなる敷地は、山や谷、林など起伏に富んだ大自然に恵まれており、敷地外のオリエンテーリングのコースとして、志高湖・神楽女湖や由布川峡谷を設定することもできます。

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12:22 と思ったら、少年自然の家「おじか」は休所中でした。

 同HPによると 施設の老朽化及び新型コロナウイルス感染症の影響で現在の施設での利用が困難であることから、令和2年10月11日から一時休所中です。 とのこと。

 神楽女湖へはここから「おじか」の下を通って1.7kmほどですが、ゲートに  進入禁止  と書かれているので どうしたものか。志高湖と小鹿山・神楽女湖を周回するハイキングコースは敷地内を通るので入っても問題なさそうですが、進入禁止の文字を見た後でゲートを通過するのもアレなので、リンゴ園を迂回して神楽女湖を目指すことにしました(歩行距離は3.2km)。昼食は神楽女湖までお預けです。

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12:40 「おじか」分岐から1.2kmで神楽女湖への近道が右鋭角方向に分岐します。

 ここは「おじか」のオリエンテーリングコースに含まれているので期待したのですが、草に埋もれていました。休所中なので草刈りも行われていないのでしょう。今日はヤブコギ装備で来ていないので、このままリンゴ園経由で歩くことにします。

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12:44 さらに0.2kmで別府リンゴ園の前を通過

 今はシーズン外なので閉園中でしたが、獣害対策の爆音機が稼働していたので今年も栽培が行われているようです。秋には買い物に立ち寄ってみたいですね。

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12:46   リンゴ園の先の変則四差路を右折して市道志高~野尾原太郎丸線に入ります。

 この道は志高湖と由布川峡谷・挟間方面を結ぶ主要ルートなので交通量が多いです。また、この変則四差路では一時停止の取り締まりが行われることがあります。

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12:57 リンゴ園から0.8kmで左手に誕生記念の森の石碑とカスミザクラの案内板があります。

 石碑の建立は2000年(平成12年)。誕生記念の森にはヤマザクラが多数植樹されており、その奥にあるはずのカスミザクラの木は判別できませんでした。

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12:58 市道の右側にも誕生記念の森の石碑が建立されています(こちらの建立は2002年)。

 誕生記念の森は別府市の事業として整備されたもの、市民を対象に子どもの誕生記念植樹を行った場所のようです。

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13:03 リンゴ園から1.3kmで神楽女湖入口に到着(臨時有料駐車場は0.2km先の左側)
     ここから神楽女湖へのルートは2本ありますが、南側の未舗装路を歩くことにします。

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13:07 林間の道を進んでいくと観光客で賑わう神楽女湖が見えてきました。
   水面に映る小鹿山(標高728m)が美しいです。

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神楽女湖周辺で存在感を放つヤマボウシの花

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13:10 神楽女湖に架かる八つ橋を渡ってショウブ園へ

 今日は市街地から自分の足で歩いてきただけに、ハナショウブと対面した際の感動もひとしおです。

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八つ橋の上から眺めた由布岳鶴見岳

 神楽女湖と言えばハナショウブのイメージですが、この湿原風景も見どころのひとつ。九州にいながら信越か南東北の山にいる気分にさせてくれます。

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ハナショウブは期待通りに満開です

 ベストシーズンの晴れた土曜日とあって園内は花を楽しむお客さんたちで盛況です。カメラをどちらに向けても人が写り込みますが、最近のスマホやPCは画像の修正機能があるので、人が途切れるタイミングを待つ必要がありません。便利な時代になったものだと感じます。

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ハナショウブと小鹿山

 別府駅あたりから見上げるとかなり高い山ですが、神楽女湖からの比高は約180mなので、大和三山  程度のかわいらしさです。

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名前は忘れましたが黄色いハナショウブ

5月に平地で咲くキバナショウブとは別の品種で、葉の色も黄色っぽいのが印象的です。

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白系の花も多く植えられています。

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ショウブ園の奥側は見本園となっており、ひと畝ごとに異なる品種が植えられています。

 江戸系・伊勢系・肥後系・古種のほか外国系の品種もあって飽きません。素人には数千種類の品種の区別がつきませんが、愛好家の方なら一発で品種を当てられるのでしょう。

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ショウブ園の入口近くが最も花の密度が高かった気がします。

13:25 神楽女湖を辞して志高湖へ向かいます。
   なお、今シーズンは神楽女湖に仮設トイレが設置されていませんのでご注意ください。

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13:29 駐車場へ戻る道から分かれて志高湖への近道(遊歩道)に入ります。

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13:33 遊歩道の階段部分を迂回する道

 遊歩道の奥でクヌギの伐採作業が行われているため、関係車両の通行のため仮設の作業道ができていたのでした。

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13:37 伐採されたクヌギはシイタケ栽培の原木に使われます。

 伐採→半年ほど自然乾燥→玉切り(約110cmの長さに切る)→駒打ち(シイタケ菌の植え付け)→伏せこみ(原木を組んでふた夏ほど寝かせる) の工程を経て原木をホダ場(栽培場所)に移動させることになります。

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13:38 神楽女湖ショウブ園から約13分で志高湖との峠に着きました。
   ここから北へ階段を0.1kmほど下れば待望の志高湖に到着です。

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13:42 志高湖の東端から眺めた由布岳鶴見岳

 志高湖の駐車場や主要施設は西岸にありますが、初めて訪れる方はぜひ東岸まで足を延ばしてこの景色を眺めてほしいものです。ただし、現在は湖の南岸を通る道が通行止めとなっているため一周することはできません(小鹿山登山・神楽女湖周回は問題ありません)。

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 久々に訪れた志高湖ですが、梅雨の晴れ間の週末とあって、湖北側の道沿いはオートキャンプの車とテントで大盛況。こんなに賑やかだったっけ?と戸惑いながら管理棟の売店をめざします。

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13:55 志高湖を半周して西岸に到達

 このあたりもキャンパーや観光客でいっぱいでしたが、白鳥さんたちは人慣れしているようで、マイペースで寛がれていました。涼しい季節ならここで昼食にするもの良いでしょうが、今日はとにかく暑いので売店へ直行します。

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13:56 東別府駅を出て約5時間で志高湖の管理棟(売店)に到着

 志高湖キャンプ場は2022年4月より管理者が全国でキャンプ場を手掛けるRECAMP(リキャンプ)に変わっています。

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売店でバドワイザーを売っていたので買ってみました。

 食堂はないようなので、売店横のベンチで乾杯。外国のビールは薄いかなという先入観がありましたが、これだけ歩いてきて旨くないはずがありません。一気に飲み干しました。
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 さて、ビールを飲んでしまえばあとは帰るのみ。往路を引き返す気力はありませんし、最初からバスで帰るつもりだったので、1.4km先の鳥居バス停をめざします。

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14:10 志高湖畔バス停に立ち寄る別府駅西口行きのバスは土日祝日は2本のみ(昼と夕方)。

 市道志高~野尾原太郎丸線
は交通量が多いため、はねられないよう注意が必要です。なお、途中までは別府東山ハイキングコースもありますが、夏草のシーズンなので車道を選択した次第です。

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14:14 鶴見岳を望む東山小中学校前バス停を通過

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14:26 県道11号別府一の宮線(通称「やまなみハイウェイ」)の志高湖入口交差点に到着

 前方に見えるのは御嶽権現社の参道の鳥居で、鳥居バス停の名前もここからきています。若い頃は志高湖にテントを張って鶴見岳を往復したりしていましたが、あの頃は元気だったなあと思います。

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14:28 志高湖売店から19分で鳥居バス停に到着

 亀の井バスの湯布院線(別府駅西口~由布院駅前バスセンター) が発着しており、土日祝日は鉄輪経由の観光快速「ゆふりん」が加わります。土日祝日の場合、湯布院線と「ゆふりん」を合わせておよそ30分間隔で運行されていますが、一部時間帯のみ本数が多くなります。

 コロナ禍明けの旺盛なインバウンド需要で、これだけの本数をもってしても「ご乗車できない状況があり、大変ご迷惑をおかけして・・・」となるケースもあるようですが、幸いなことに、これから乗る便は前の便の15分後。30分間隔の時間帯より座れる確率は高いと思います。

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14:31 鳥居バス停から別府駅西口行きに乗車

 事前の読み通り車内は比較的空いていて、別府駅まで快適に乗車することができました。車内はインバウンド客と国内からの観光客が半々といった感じ。

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14:56 別府駅西口で下車。鳥居からの運賃は490円でした。
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 今回は梅雨の晴れ間を利用して別府市街地から神楽女湖・志高湖まで車道を登ってみましたが、湿度と日射しのせいで想像した以上にハードな行程となりました。神楽女湖に着いた時はハナショウブの美しさより無事に到達できたことに感動しましたし、志高湖に着いた時は湖岸のアジサイの花そっちのけでビールののどごしに感動しました。
 
 さて、別府の浜脇周辺は町歩きの楽しいエリアですし、登ったことのない山も多数あるので、冬枯れの季節に再訪したいと思います。

志高湖のアジサイと神楽女湖のハナショウブ (2019)

2019年6月18日(火)

 別府市の志高湖(しだかこ)の南東に位置する神楽女湖(かぐらめこ)はハナショウブの名所として有名です。2019年度は6/1から6/30まで神楽女湖しょうぶ園が開園し(有料駐車場・売店・自販機・トイレを開設)、80種  1万5千本のハナショウブを鑑賞することができます。また、この時期は志高湖のアジサイも見頃を迎えるため、両者をあわせて鑑賞してきました。

2018年のようす→志高湖のアジサイと神楽女湖のハナショウブ(2018)

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本日の行程:志高湖駐車場→志高湖東岸の小鹿山登山口→神楽女湖しょうぶ園→臨時有料駐車場→志高湖堰堤→志高湖駐車場

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毎度おなじみの志高湖駐車場に車をとめて出発。

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志高湖駐車場に掲げられた自然遊歩道案内図
今日は赤線の志高・神楽女コース(一周3.5km)を時計回りで歩きます。

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志高湖ボート乗り場のアジサイ

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おなじく、ボート乗り場に続く枕木道沿いのアジサイ。
湖の先に小鹿山(おじかやま)(標高728m)が見えています。

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志高湖北岸の道沿いに咲くピンクのアジサイ。こちらの見ごろは少し先になりそうです。

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北岸のテントサイト周辺ではウツボグサの花が咲いていました。

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湖の岸辺を埋め尽くすヒメジョオン

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志高湖の東岸で小鹿山登山道を見送り、その先で湖岸を一周する道から離れて神楽女湖への遊歩道に入ります。

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湖の東岸から眺めた由布岳(標高1583m)・鶴見岳(標高1375m)
この日は曇天でしたが風がなかったため、久しぶりに湖水に映る両山を楽しむことができました。

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志高湖を一周する道から離れ、標高差20mほどの階段を登ります。

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階段を登りきると峠の広場に着きます。梅雨時は羽虫の多い場所ですが、今年はまだ梅雨入りしておらず空気が乾燥していたためか、虫がまとわりつくことはありませんでした。

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舗装された遊歩道を緩やかに下っていくと臨時有料駐車場と神楽女湖を結ぶ車道に出ます。
この付近ではヤマボウシの白い花がみごとでした。

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観光客で賑わう車道を0.3kmほど東へ進むと神楽女湖です。しょうぶ園開園期間外には神楽女湖の駐車場として使われる広場(6/1~6/30は原則的に車の乗り入れ禁止)には仮設トイレが設けられています。
しょうぶ園開設期間外(7月~翌年5月)は神楽女湖周辺にトイレはありません。

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志高湖駐車場から25分で神楽女湖しょうぶ園に着きました。

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神楽女湖案内図
ハナショウブで有名な場所ですが、水生植物や野鳥たちも見どころの一つです。

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入口付近のハナショウブ。満開ですが花の数は少なめです。ハナショウブは2~3年おきに植え替えが行われているため、花しょうぶ園も年ごとに表情が変わるようです。

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降らず照らずでハナショウブ鑑賞にはちょうど良い天気

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奥のほうに進むと花のつきがグッと良くなりました。

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今年は黄色い花があちこちで見られます。

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小鹿山とハナショウブ

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由布岳・鶴見岳とハナショウブ
神楽女湖といったらやはりこの眺め。雨の日も風情があるとは思いますが、やはり背景に名山が見えると花が引き立ちます。

花しょうぶ園の奥のほう(東側)には見本園があり、珍しい品種が数樹種ほど植えられています。以下に気に入ったものを紹介します。

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舞妓(まいこ) (肥後系)

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日月(じつげつ) (古種)

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潮来絞(いたこしぼり) (江戸系)

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星雲(せいうん) (肥後系)

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八つ橋の先にある東屋
暑くもなく寒くもなく、何時間でも佇んでいたくなるような場所です。

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神楽女湖に姿を映す由布岳

 周囲には何種類もの野鳥の声が響いていましたが、次々と訪れる観光客の歓声に掻き消されてしまっていたのは少々残念。静寂を求める人は早朝か夕方の訪問をお勧めします(有料駐車場の営業時間は平日:8:30~18:00、土日:7:30~18:30)

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神楽女湖しょうぶ園では観光客の姿に混じって、園内を管理する方々が花柄摘みをされていました。オフシーズンに神楽女湖を訪れても、植え替え・株分け・水やり等の作業が行われていますが、こうした方々の努力があって6月の開花期を迎えているのだなと実感します。

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復路は神楽女湖南側の林道を歩いて臨時駐車場に向かうつもりでしたが、仮設トイレ裏手の竹林に新しい道ができていたのでそちらを歩いてみることにします。入口には「さんぽみち」と書かれていますね。

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ウッドチップの敷かれた遊歩道。繊細な竹林が綺麗ですが、手入れが大変そうです。

「さんぽみち」は仮設トイレの裏手を回ったところで車道に合流。あとは車道を歩いて臨時駐車場に向かいます。

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神楽女湖しょうぶ園から0.5kmで鳥居と挟間方面を結ぶ市道に出ました。しょうぶ園開園期間中はここに警備員が常駐しており、許可車両以外は神楽女湖横の駐車場への乗り入れができません。

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市道の南側が花しょうぶ鑑賞者用の臨時有料駐車場です(普通車・軽自動車は310円)。
駐車場内には仮設トイレ・休憩所・売店・自販機等が設けられます(期間外は撤去)。
しょうぶ園開園期間中、神楽女湖に無料駐車場はありません

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志高湖に戻るには臨時有料駐車場の入口から北西方向に進みます(この道は通年で一般車進入禁止)。

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この道は鳥居と挟間方面を結んでいた市道の旧道です。現在では大将軍山の西を回るルートに変更されているため静寂に包まれていますが、ハナショウブのシーズンには志高湖と神楽女湖を周回するハイカーの姿が目立ちます。

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臨時有料駐車場から0.5kmで志高湖堰堤に着きます。ここで湖岸を一周する道路に合流。あとは志高湖駐車場まで0.4kmほどです。

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湖岸に咲くアジサイたち。赤系と青系がおおよそ交互に並んでいますね。花の色を決定づける要因は土壌のpHだけでないようです。

神楽女湖から21分で志高湖に戻ってきました。
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 志高湖駐車場から神楽女湖の周回に要した時間は約1時間。今年は梅雨入りが遅れており、雨量も少なめだったため、神楽女湖のハナショウブの開花状況が気になっていましたが、例年通りの咲き具合に満足しました。今年は特に見本園の各株が印象に残りました。なお、志高湖周辺のアジサイは見ごろを迎えていましたが、神楽女湖周辺のアジサイの見ごろは6月下旬になりそうです。


オルレ別府コースと志高三角点・大将軍山 (後編)

2019年1月21日(月)

九州オルレ別府コーは2019年3月31日をもって廃止されました。
4月以降、同コースは  府東山ハイキングコース として引き続き通行可能ですが、道標等が変更されています。ご注意ください。


オルレ別府コースと志高三角点・大将軍山 (前編) からの続きです

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本日の行程:志高湖駐車場→しだかユートピア跡→見晴らし展望台→86号鉄塔→後畑バス停→合棚バス停→枝郷公民館→志高三角点→奥別府展望所→大将軍山→志高湖駐車場

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10:55 県道52号(別府庄内線)、椿大橋 手前に位置する 合棚(あわせだな)バス停 を出発。県道から分かれて地区内道路に入ります。

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10:59 地区内道路からすぐにコンクリート舗装の農道に入り、防獣柵の先で山手の小径に入ります。私はここで小径の入口を見落として農道を下ったため、3分ほどロスをしてしまいました。

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11:00 小径に入るとまた防獣柵が現れました。イノシシは英語だとwild boar というのですね。

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11:03 竹藪の中をトラバース気味に下っていくと細い流れを渡ります。流れの上に手すりが渡されているのは親切ですね。

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11:04 さらに下っていくと由布川の支流を木橋で渡ります。志高湖周辺には川や沢がないため、水音の聞こえる景色は新鮮です。
 
 また、この付近は既存の林道・農道を使わず、オルレのために整備したと思われる区間なので、歩いていて楽しいです。

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11:05 下流から木橋を振り返って。夏場なら涼をとるのに良いでしょう。

 この付近の海抜は350m。オルレ別府コースで最も低い場所にあたります。ここから志高湖近くの大将軍山(標高615m)に向けて、長い登り返しが始まります。

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11:08 渓流から離れると棚田エリアに入ります。ここで3ヶ所目の防獣柵を通過します。

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11:11 さらに4ヶ所目の防獣柵を通過すると ふくろう岩展望所 に着きます。

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11:11 ふくろう岩展望所から眺めた由布岳と椿大橋。この角度から眺める由布岳は「豊後富士」の異名にふさわしい姿です。

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11:11 これが「ふくろう岩」  フクロウの尖った耳に似ていないこともないですが・・・

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11:12 ふくろう岩の先で小平地区に向かう農道を見送って左折。ここでは韓国からやってきたハイカー御一行が休憩されていたので写真は撮っていません。

 海外からはるばる別府に来たアウトドア好きなら、まずは由布岳や鶴見岳を目指すところでしょうが、オルレコースも意外と人気のようです(韓国からの観光客誘致で整備しているので当然ですが)。それも由布岳・鶴見岳に何度も登ったリピーターが、「たまには里山でも歩いてみようか」といったノリで歩いているのではなく、最初からオルレが目的で訪日しているようにも見えます。登山とオルレは別のカテゴリーで、オルレは日本で言うところのJRウォーキングあたりに近い性質のものなのかもしれません。

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11:14 陽だまりのベンチを通過。冬晴れのクヌギ林は素敵な雰囲気です。

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11:16 青いトタン屋根の小屋を過ぎると棚田が終わり、暗い樹林帯に入ります。

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暗い林の中で目をひくアオキの赤い実。

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11:20 後畑(うしろばた)地区と小平(おびら)地区を結ぶ市道を横切ってさらに登ります。

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11:24 展望のないヒノキ林の中の登りが続きます。本コースで一番の踏ん張りどころです。

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11:25 丸太の階段はオルレコース整備の際に造られたものでしょう。

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11:26 市道 朝見枝郷-合棚後畑線を横断します。この市道は後畑バス停と枝郷公民館の間のショートカットに使えます。

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11:28 暗い人工林の中、赤青の矢印を追って進んでいきます。このあたりはとにかく地味な風景が続くので頑張るしかないです。

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11:29 標高500m付近の杉林。木橋の架かる沢から標高差にして150mは登りましたが、稼いだ高度を実感しない眺めです。

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11:31 前方に愛宕神社の鳥居が見えてきました。樹齢500年と伝えられる杉の巨木に目を惹かれます。

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愛宕神社に参拝します。

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11:34 空を覆い隠さんばかりの杉の巨木はスピリチュアルな雰囲気です。

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11:36 愛宕神社から2分ほどで枝郷(えだごう)公民館に着きました。ここはオルレコース後半の重要な休憩ポイントで、トイレ(男女別の水洗・洋式)も利用可能です。

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枝郷公民館は別府市立東山小学校枝郷分校跡地の各施設をそのまま引き継いだものです。

 枝郷分校は1997年(平成9年)、東山小学校本校・山の口分校ならびに東山中学校・東山幼稚園とともに志高湖西側の現在地に移転統合しました。小さな運動場や、正面の下駄箱、渡り廊下で繋がった外トイレがいかにも分校といった雰囲気です。

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運動場の一角に設けられた休憩所では学習机や椅子が再利用されていました。

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枝郷公民館に掲げられた「大将軍山ショートコース」の案内板。

 ハナショウブで知られる神楽女湖(かぐらめこ)はコース終盤の大きな見どころですが、花のない時期は大将軍山経由のショートコースを使ってカットできるようになっているようです。私は神楽女湖には何度も足を運んでいるので、今日は大将軍山経由で歩くつもりです。

11:40 枝郷公民館を出発。

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11:41 枝郷公民館前から市道を東に100m。民家の前を左折します。ここなど、標識がなければ奥の民家へのエントランスルートにしか見えない道です。

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11:43 民家の間を進むと5か所目の防獣柵を通過します。大人数で歩く際、最後尾の人は閉め忘れに注意したいものです。

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11:43 防獣柵から振り返った枝郷公民館。これまで暗い林の中を歩いてきただけあって、とても明るく開放的な風景です。

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11:46 枝郷地区を過ぎると林の中に入りますが、落葉樹が多いため明るい雰囲気です。道の真ん中に猪のヌタ場がありましたが、近隣に防獣柵の数が多いのも頷けます。

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11:51 コースは竹藪の中を緩やかに登っていきます。

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11:53 竹藪がクヌギ林に変わり、空が広くなりました。尾根が近づいたようです。

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11:56 コースはいつしか林道に変わり、樹間越しに由布岳・鶴見岳の姿が戻ってきました。

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11:58 林道が緩やかな下り坂に転じるあたりが志高三角点への取付点です。周囲が笹藪だったら三角点探しに難儀しそうですが、幸いにも笹が刈られて防火帯状になっています。これは成功したも同然ですね。

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11:59 林道から1分も歩かずに志高三角点が見えてきました。

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11:59 四等三角点(点名:志高)に到着。志高湖の近くにあるのに、訪問したのは今回が初めてです。下草が刈られていますが、ここからの展望はありません。すぐに林道に戻ります。

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12:02 三角点から北に0.1kmほどで林道の交差点に到着。本来のオルレコースはここから右に下って神楽女湖を目指しますが、私は大将軍山を経由するシートコースで志高湖を目指します。

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この三差路を 奥別府展望所 と呼ぶそうです。「奥別府」というのは割と曖昧な範囲を指す言葉なので、他に適当な地名がなかったのかな?と思います。

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奥別府展望所から眺めた由布岳・鶴見岳。さりげなくソーラーパネルが写り込んでいますね。

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12:05 奥別府展望所から林道を北に0.3kmで鳥居と志高湖・神楽女湖方面を結ぶ市道に出ます。ここは左折。

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12:06 市道を鳥居方面に50mも進むと右手に大将軍山への取付点があります。

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12:08 クヌギ林とササの尾根を登ります。このあたりまで来ると里道歩きから山歩きの世界に戻ってきた感じがします。

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12:11 鶴見岳を望む大将軍山の肩に出ました。

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12:11 大将軍山の肩から眺めた志高湖。対岸は719m標高点のあるピークです。

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12:12 万葉歌碑のある大将軍山に到着。背景に由布岳・鶴見岳が見えるだけで風景が引き締まります。

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歌碑には万葉集 巻7の1244番
娘子らが 放りの髪を 木綿の山 雲なたなびき 家のあたり見む
(原文:未通女等之 放髪乎 木綿山 雲莫蒙 家當将見)
の歌が刻まれています。

 この歌では「髪を結う」と「木綿(ゆふ)の山」=「由布岳」をかけています。つまり、歌碑から由布岳が見えることが重要なのです。

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12:12 おなじみ、オレンジプレートの山頂標。残念ながら三角点は設置されていません。

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12:14 大将軍山から2分で「下山」して志高湖畔に戻ってきました。シーズンオフのためボートを漕ぐ人はいませんでしたが、寒の内とは思えないような底抜けに明るい風景です。

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白鳥の首ってこんなに長かったのですねえ。ロクロ首を連想してしまいます。

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12:16 志高湖駐車場・売店に戻ってきました。

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 本日の歩行距離は約9km。休憩を含めて2時間26分で一周したことになります(ただし、神楽女湖に寄らないショートコース)。

 今回、初めてオルレ別府コースを歩いてみましたが、予想外に面白いコースでした。クヌギ・ヤマザクラなどの落葉広葉樹林、スギ・ヒノキの針葉樹林、シイやカシなどの照葉樹林、竹林、棚田、渓谷、湖などの風景がテンポよく現れること、随所に展望の良いポイントがあることなどがその理由でしょう。由布岳正面登山道・鶴見岳一気登山道は同じような景色が続くので、ちょっと修行をしているような気持になることもあるのですが、オルレコースは風景の変化が早くて飽くことを知りませんでした。心配されたコース後半の登りも思ったほどきつくなかったです。ハナショウブやアジサイの季節に神楽女湖を含めたフルコースで歩くと、さらに楽しむことができると思います。

 ただし、コース中に自販機等の給水ポイントがなく、路線バスでのエスケープもできません。直射日光を浴びる尾根道や風通しの悪い樹林帯区間があるため、夏場だときついかもしれません。いずれにせよ、登山と同等の準備は必要かと思います。

オルレ別府コースと志高三角点・大将軍山 (前編)

オルレ別府コース は本稿投稿後の2019年3月31日をもって廃止されました。
4月以降、同コースは 別府東山ハイキングコース として引き続き通行可能ですが、道標等が変更されています。ご注意ください。


以下、大分合同新聞、2019/3/15の記事より引用します

「九州オルレ別府コース」廃止 来月からハイキングに利用

 別府市は14日、志高湖や由布川峡谷源流などを散策する「九州オルレ別府コース」を3月末で廃止すると発表した。コース途中に太陽光発電所が設置されたことによる景観悪化などが理由。4月1日以降はオルレの名称を使わず、ハイキングコースとして活用する。九州オルレのコース廃止は初めてという。
 市によると、別府コースは2014年に「九州オルレ」に認定された。志高湖発着で、鶴見岳と由布岳を望む見晴らし展望台や神楽女湖(かぐらめこ)などを散策する約11キロの周遊コース。四季折々の自然や景観が楽しめ、17年度までに国内から1万6870人、韓国から5675人の利用があった。
 昨年、コース途中や周辺に大規模な太陽光発電所が設置され、利用者から景観悪化を残念がる声が上がるようになった。ルート変更も検討したが、大幅に変える必要があり断念。自然の中を歩くオルレにはそぐわないことや、韓国に限らず幅広い集客を目指し、「別府東山ハイキングコース」と名称を改め、利用を促していくことにした。
 コース廃止に伴い、認定自治体などでつくる九州オルレ認定地域協議会から退会。今後は独自に周知を図るという。23日から31日まで、目印となるリボンや矢印の付け替え作業をするため、利用できない。市観光課は「滞在型の観光プログラムの一つとして、今後もコースをPRしていきたい」と話している。
(メモ) 「オルレ」は韓国・済州島発祥のトレッキングコースで、「家に帰る細い道」という意味。
       「九州オルレ」は姉妹版で九州各地に21コース、県内は別府を含めて4コースがある。

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2019年1月21日(月)

 九州オルレ別府コース志高湖(しだかこ)を起終点に、別府市東山地区の里山をめぐる一周約11kmのハイキングコースです。

 私はこれまで志高湖周辺の小鹿(おじか)山船原(ふなばる)山立石山大将軍山などに登ったり、神楽女(かぐらめ)湖内成(うちなり)棚田を歩いたりしてきましたが、オルレ別府コースを一周したことはありませんでした。オルレコース上に顕著なピークがないこと、(志高湖を起点に歩いた場合)コース後半が上りとなること、などがその理由です。

 しかし、由布岳・鶴見岳の行き帰りに車で志高湖周辺を走ると必ずオルレの標識が目に入ってくるわけで、無視することもできなくなってきました。2019年1月時点で大分県内に4か所設定されたオルレコースのうち、九重・奥豊後・大入島の3コースは既に歩いたことがあるので、そろそろ別府コースも歩いてみようかという流れになったわけです。歩くなら雑草やハチ・ブヨ・ヘビの心配のない冬場が良いでしょう。空気が澄んで木々の葉も落ちているため展望も期待できそうです。

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本日の行程:志高湖駐車場→しだかユートピア跡→見晴らし展望台→86号鉄塔→後畑バス停→合棚バス停→枝郷公民館→志高三角点→奥別府展望所→大将軍山→志高湖駐車場

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9:50 毎度おなじみ、志高湖の駐車場を出発します。

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9:50 「く」の字形になった駐車場の中央部がオルレコースの入口です。船原山の取付点、林道志高乙原線(一般車両通行不可)の起点と同じ場所です。

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9:53 ヒノキ林を抜けると別府市立東山幼稚園・小学校・中学校の敷地の外縁を回るように進みます。周囲には山桜やモミジが植樹されており、春や秋には訪れる人の目を楽しませてくれます。

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9:59 学校の裏手を軽く登るとをリフトの索道跡と交差します。

 これは志高ユートピア船原山駅を結んでいた観光リフトの跡です。さらに、船原山駅からはロープウェイ立石山駅へ、そこから再び観光リフトラクテンチまで繋がっており、壮大な空中回廊が形成されていたのでした。これら3路線は1998(平成10)年に廃止されましたが、施設の跡は大半が現存しているようです。

詳細はこちら→志高湖から船原山・立石山を縦走してラクテンチへ(前編) (中編) (後編)

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10:00 索道跡を過ぎるとソーラーパネルの敷き詰められた斜面に突き当たります。

 以前のオルレコースはメタセコイア並木に沿ってフラット気味に進んでいましたが、現在は画像右手から迂回する新ルートに変わりました。この区間の名物だったメタセコイア並木は伐採され跡形もなくなっています。

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10:03 迂回新ルートから眺めた志高ユートピア跡。ソーラーパネルの設置で周囲の雰囲気は大きく変わりました。画像で注記したあたりに観光リフトの駅があったはずですが、施設は残っているでしょうか? 立入禁止となってしまった後は確認する術がありません。

以前のようすはこちら→志高湖から乙原の滝を経てラクテンチへ(後編)

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10:05 迂回新ルートは正面に由布岳・鶴見岳を眺めながら尾根を進みます。このまま御嶽権現社方面に道が続いているのではないかと錯覚しそうです。

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10:08 迂回新ルートは尾根筋を外れ、南へ下って旧ルートに合流します。

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10:08 すぐに鳥居と志高湖・神楽女湖方面を結ぶ市道を横断します。このあたりは市道拡幅工事と太陽光発電施設工事が並行して行われているため、今後もようすが変わっていくことが予想されます。

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10:09 市道を横断して50mほど作業道を進んだところで右折。以前のオルレコースはここを直進していたそうです。この付近も太陽光発電施設の工事のため数年前とは大きく雰囲気が変わっています。

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10:12 杉林の中を登り気味に進むとパッと視界が開け、コース案内図にないウッドデッキの展望台が現れました。この周囲でもソーラーパネルの設置工事がたけなわで、東側を除けば遮るもののない大展望が広がります。

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太陽光発電施設の正式名称は「セーフレイ別府ソーラーパーク発電所」とのこと。この展望所はソーラーパークの紹介も兼ねて事業者側で設置したもののようです。

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展望台から南東側の眺め

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展望台から南側の眺め

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展望台から西側の眺め

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展望台から北側の眺め

 とにかく圧巻の展望です。オルレコースにここまで見晴らしの良い場所ができていたとは驚きです。元々は人工林や荒地だったと言え、これほど大規模に木々を伐採したので、景観や保水力の問題等が気になるところですが、人工林内を歩くより見晴らしの良い場所を歩いたほうが楽しいのも事実。ちょっと複雑な気分です。

10:15 展望所を出発。

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10:16 展望台から長い階段を下ります。ここは逆回りで歩くと辛いかもしれません。

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10:18 階段下から振り返ったところ。しばらくは工事用道路を南に進みます。訪問時も工事が続いていたため、工事車両の往来がありました。今後もルートの変更があるかもしれません。

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10:22 工事用道路を5分ほど歩いたところから右の尾根に上がります。ようやく本来の道に戻ったかと思いきや、ここも付け替えルートの一部だそうです。

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10:24 工事のフェンスに沿って尾根を進みます。前方にソフトバンクの基地局が見えてきました。

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10:25 ソフトバンクの基地局には反対側から車道が延びてきており、簡易トイレが設置されていました。なお、基地局の表示は「デジタルツーカー九州」となっていました。

 なお、デジタルツーカーブランドは九州では1996年から1999年まで使用されました。デジタルツーカー→Jフォン→ボーダフォン→ソフトバンク の変遷が懐かしいですね。

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基地局のある広場の名称は 見晴らし展望台。由布岳・鶴見岳を望むことができますが、先ほどのソーラーパークの展望台ほどのインパクトはありません。

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10:27 基地局からコンクリへと舗装の道を南西に0.2kmほど下ると三差路があり、鋭角に左折します。

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10:29 冬の陽を浴びながらクヌギ林の中の作業道を進みます。※振り返って撮影

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10:31 分岐点には赤青の矢印がつけられていますが、どっちに進んでよいものか一瞬迷います。Kの字を図案化した矢印にはいまだに慣れませんね。

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10:33 九電 大分幹線86号鉄塔の下に着きました。ここは先ほどの「見晴らし展望台」とよく似た雰囲気です。

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九電 大分幹線は豊前変電所と大分変電所を結ぶ歴史の古い送電線です。霊山中腹を通っているためご存知の方も多いことでしょう。

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86号鉄塔を見上げて。大分変電所(下郡)~西大分変電所(挟間) 間では電線が2本組(二導体送電線)でしたが、この付近では碍子当たり1本の単導体送電線となっています。鉄塔自体も霊山付近で見られる鋼管製でなく、山型鋼を組み合わせたものとなっていますね。

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10:38 86号鉄塔を過ぎると丸太の階段で急斜面を下ります。

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10:39 階段下から県道に出るまでの区間は暗い樹林帯を歩くことになります。

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10:42 照葉樹と竹の混在した林。いかにも九州の里山といった雰囲気です。

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10:47 スギの人工林の中を下っていきます。このあたりは枝道(作業道)が多いため)道標を確認して歩きたいところです。

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10:49 下に県道52号(別府庄内線)が見えてきましたが、コースは法面上を左に進みます。この先で江戸時代から信仰の続くお地蔵様の前を通ります。

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10:50 県道でなく、市道 朝見枝郷-合棚後畑線に下りてきました。

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10:51 市道を西に50mも進むと県道52号(別府庄内線)に出ます。オルレコースの矢印は傍らの旧道を歩くよう案内していますが、すぐ先で再合流するのでそのまま県道を歩きました。

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県道と市道の交差点に亀の井バス堺線の後畑(うしろばたけ)バス停があります。

 なお、亀の井バス堺線は東山地区乗合タクシー実証実験のため柚の木線とともに2017年10月より休止中です。一日2往復の運転ながら、コース途中から志高湖にエスケープできる貴重な路線でした。なお、実証実験終了後に路線バスの運行が再開されるか不透明です。

亀の井バス堺線は2019年3月31日をもって廃止されました。
4月以降、バス停のポールは撤去されており、現存しません。


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10:53 後畑バス停から県道を庄内方面に0.1kmほど下った地点で、オルレコースの矢印は左手の坂道に入るよう指示しています。この坂道はどう見ても私道っぽい雰囲気です。

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10:53 民家の軒先を通過。こんなところに入り込んで大丈夫か?

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10:53 民家の庭先に入る寸前で石垣の下の小径に入ります。こういったコース設定がオルレらしいところですが、個人的にはちょっと苦手です。もちろん地権者の了承を得ているとは思いますが、複数人で歩く際は静かに通過したいものですね。

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10:54 またまた県道に出てきました。後畑バス停からそのまま県道を下ったほうが早いですね。

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10:55 前方に由布川を渡る椿大橋が見えてきました。オルレコースは橋を渡らずに左の地区内道路に入ります。

 椿大橋は1997年(平成9年)の開通で、それまではカーブの多い道を由布川の谷底まで下って、また上り返すような隘路でした。

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椿大橋たもとの合棚(あわせだな)バス停

 亀の井バスの時刻でなく、東山地区乗合タクシーの時刻が表示されていますが、乗車できるのは地元住民(要事前登録)で運行は週2日。鳥居バス停で別府~湯布院の一般路線バスに乗り換えさせるダイヤです。平日は毎日運転されており、別府駅まで直通していた亀の井バスと比較して利便性が後退しています。ただ、運行ルートは路線バス時代より細かなものとなったため、自宅近くから乗降できる人は増えているのかもしれません。

亀の井バス堺線は2019年3月31日をもって廃止されました。
4月以降、バス停のポールは撤去されており、現存しません。


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オルレ別府コースと志高三角点・大将軍山 (後編) に続きます

晩夏の神楽女湖から志高湖・大将軍山を周回

2018年8月19日(日)

 大分市内はよく晴れて残暑が厳しかったのですが、日本の南海上にある台風19号・20号の影響なのか、由布岳・鶴見岳の山頂部はこの日もガスに覆われています。そこで、1か月半ぶりに別府市の 志高湖 (しだかこ)・神楽女湖 (かぐらめこ) エリアを歩いてくることにしました。

前回(7/2)のようすはこちら→志高湖・神楽女湖 アジサイめぐり

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本日の行程:神楽女湖→臨時有料駐車場→志高湖西岸(←→大将軍山)→志高湖東岸→神楽女湖


 いつもは志高湖を起点に神楽女湖を周回しますが、今日は神楽女湖を起点に歩くことにします。

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13:30 神楽女湖の駐車場に車を置き、まずは花しょうぶ園を見学します。

 神楽女湖の駐車場は梅雨時のハナショウブシーズンを除いて無料開放されています。ただし、仮設トイレは撤去されているのでご注意を。

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地理院地図

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13:32 残暑の花しょうぶ園。ご覧の通り、人っ子一人いません。
   花しょうぶの株は来シーズンに向けてきちんと手入れが行われているようです。

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13:36 「八つ橋」から眺めた由布岳と鶴見岳。誰もいないので好きな場所で立ち止まって花やトンボの写真を撮り放題です。

 橋の下の水深は深いところで50cmほどなので、仮に落ちても大人だったら溺れませんが、小さな子ども連れの方は要注意です。また、橋の位置が比較的高く、橋脚に足を掛けにくい構造になっているため、大人でも自力では這い上がれないと思います。ここが混雑する時期は近くにハシゴかロープを常備していたほうがよいかもしれませんね。以上、橋の上から身を乗り出して写真を撮っていて気づいたことでした。

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13:37 橋の上から眺めた花しょうぶ園。画角に誰もいないのが新鮮です。背後の小鹿山はまだ夏の色をしていますね。

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13:37 湖というより沼地といった趣の神楽女湖。ここだけ切り取ると東北地方の湿原のようです。

神楽女湖周辺の花たち
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エゾミソハギ(蝦夷禊萩) ミソハギ科・ミソハギ属

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フジカンゾウ(藤甘草) マメ科・ヌスビトハギ属

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ノリウツギ(糊空木) アジサイ科・アジサイ属

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キツネノカミソリ(狐の剃刀) ヒガンバナ科・ヒガンバナ属

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アジサイ(紫陽花) アジサイ科・アジサイ属
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これは何の実でしょう。カラフルで楽しいですね。

※読者様(Tさま)より、ウワミズザクラの果実であると教えていただきました。
ウワミズザクラ(上溝桜) バラ科・ウワミズザクラ属
 初夏にブラシのような独特の形状の白い花を咲かせるそうです。実は果実酒に使われることもあるとのこと。

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湿原を舞っていたチョウトンボ。上品な紺色の羽と短い胴体が印象的です。

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ブルーのアマガエル。まれに突然変異で現れるそうです。目立ってしまっているので鳥から襲われませんように。

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13:47 南岸の林道を歩いて市道と神楽女湖の分岐点に出てきました。このバス停に路線バスがやってくるのは例年 花しょうぶシーズンの週末だけですが、今年はとうとう6/16の一日のみとなってしまいました。四国の津島ノ宮駅の上を行くレアなバス停です。

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13:47 神楽女湖入口に建てられたオブジェ。右の看板の位置が高いのは手前に植えられたアジサイと干渉させないためでしょう。ここアジサイはきちんと剪定が行われていました。花しょうぶ園もそうですが、来シーズンの花を咲かせるために、人知れず手入れが続けられているのですね。

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地理院地図

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13:49 歩道脇の栗の実。秋はもうすぐそこまで来ています。

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13:50 花しょうぶシーズンのみ営業する臨時有料駐車場の反対側から、志高湖に向かう近道に入ります。※一般車両は入れません

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13:57 林の中を7分ほど歩くと志高湖の堰堤に出ます。ここで湖岸を一周する道路と合流。左に進みます。

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地理院地図

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14:00 この日の志高湖は大賑わい。ボートは順番待ちも出るほどの盛況ぶりでした。

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14:01 左手の大将軍山側の斜面にはキツネノカミソリがたくさん咲いていました。

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14:04 キツネノカミソリに誘われるように大将軍山に登ってみました。ボートだけでなく、キャンプ場も盛況のようですね。

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14:05 歌碑の建つ大将軍山(標高615m)の山頂に到着。背後は鶴見岳(標高1375m)です。このあたりも志高湖のスタッフの皆様によって綺麗に草刈りが行われています。ありがとうございます。

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歌碑には万葉集 巻7の1244番
娘子らが 放りの髪を 木綿の山 雲なたなびき 家のあたり見む
(原文:未通女等之 放髪乎 木綿山 雲莫蒙 家當将見)
の歌が刻まれています。

木綿(ゆふ)の山とは由布岳のことで、髪をゆふ(結う)とかけています。

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14:08 大将軍山から擬木階段を下って国民宿舎「しだか」の跡地を通り、志高湖のエントランス部に出ました。ここから湖の北岸~東岸経由で神楽女湖に戻りたいと思います。

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地理院地図

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14:09 観光客で賑わう志高湖のボート乗り場近くから定点撮影。子どもたちの歓声が聞こえてきます。小学生の夏休みも残り一週間ですね。

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14:11 白鳥ボートと本物の白鳥(手前右)とのコラボ。

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14:14 志高湖畔にもエゾミソハギがたくさん咲いていました。

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14:27 志高湖の東岸から振り返った由布岳と鶴見岳。見事にガスに覆われてしまいました。

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14:28 志高湖東岸から遊歩道で峠を越えて神楽女湖に戻ります。

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地理院地図

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14:29 峠に向かってまっすぐのびる階段。林に入ったとたんにブヨがまつわりついてきて閉口させられます。

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14:30 息が上がるまでもなく峠の広場に到着。ブヨがまとわりついて大変なので、神楽女湖まで一気に駆け下ることにします。

 走っていたらコンクリートに寝そべっていたマムシを踏みそうになりました。危ない、危ない。

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14:36 峠から6分で市道と神楽女湖を結ぶ車道に出ました。

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14:40 神楽女湖の駐車場に帰着。

 今日は一周70分のミニトリップでしたが、静かな神楽女湖と賑やかな志高湖のコントラストを楽しむことができました。お盆が終わって秋の気配が漂う昨今ですが、台風19号・20号の影響で湿った風が流れ込んでいるため、林の中では蒸し暑さを感じました。林内ではセミの声も賑やかで、まだまだ夏は終わっていないのだと感じた次第です。

志高湖周辺の花たち
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ルドベキア  キク科・ルドベキア属(オオハンゴンソウ属)

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バギボウシ(小葉擬宝珠) キジカクシ科・リュウゼツラン亜科・ギボウシ属

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ノアズキ(野小豆) マメ科・ノアズキ属

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ヘクソカズラ(屁糞葛) アカネ科・ヘクソカズラ属

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ホソバオグルマ(細葉小車) キク科・オグルマ属

※ 当初、ミズギク(水菊)と記載していましたが、読者様(Tさま)のご指摘により、ホソバオグルマであることが判明したので訂正しました。ホソバオグルマは環境省レッドリスト ならびに レッドデータブックおおいた で絶滅危惧II類(VU)に指定された植物です。 ありがとうございました。

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ヤマゼリ(山芹) セリ科・ヤマゼリ属

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サイヨウシャジン(細葉沙参) キキョウ科・ツリガネニンジン属

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ホソバシュロソウ(細葉棕櫚草) シュロソウ科・シュロソウ属

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キンミズヒキ(金水引) バラ科・キンミズヒキ属

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