8月8日
前日の天国とも言える地獄谷を出発し、今日は沢を詰めてヒサゴ沼まで行く。
スゲ沢出合いを確認する前にいつの間にか五色沢に入っていた。

地獄谷から30分で20mスダレ滝に。
直登はできなさそうなので、右岸の草付きを這い上がり懸垂下降。
が、サブリーダーの震がハーネスが無いと言う。
確かに持って来たはずなのに、と言う。
バカも〜ん
今回初めてハーネスを使うのにどこで無くしたのか!
仕方がないので、ザックのウエストベルトにカラビナを付け、
エイト環を貸し降りさせる。
結局ザイルを出したのはこのときだけだった。

単調な沢が続き、次第にV字谷ゴーロの渓相に。
谷間からポントムラウシが見える。
谷が開けると、前方にスラブと雪渓が見えてきた。
このスラブの上が五色ヶ原の台地であろう。
雪渓通過には気を使う。
震は沢合宿(会津の御神楽沢)で雪渓を踏み抜いて沢床に落ちたというから、
なおさらだ。
1年生たちに雪渓のどこを歩いたら比較的安全か教える。
ここの雪渓の脇でフキとフキノトウを取り、今夜のおかずに。
ん!? ここは国立公園内であった。
植物を採取してはいけません。

雪渓を無事通過し、スラブに。さてどこを登ろうか。
水流は左右に分かれていて、どちらも登れそうだ。
左の水流の方が、詰めあがったときに五色岳に近そうなので左を行く。
水流横のクラック(15mくらい)を登り、
さらに階段状(15m)をあがると傾斜が平坦となる。
ここからは潅木の中を水流が蛇行していて、やぶこぎする。

休憩時に「コール」の練習をする。
我が部のコールは「ホォ〜オ」と裏声で行う。
山、特に声の届きにくい沢登りの時や、
姿の見えない冬山でのホワイトアウト時には必要不可欠だ。
震と伊藤は問題ないが、1年女子の内田と恭ちゃんは恥ずかしがって、
なかなかできないので僕は少し意地悪になってしまった。
「お前らコールできるまで昼飯抜きね。」と言って、
男3人はレーションを食べ始めた。
結局、女子2人はいくら促してもコールをしないので、
飯を食わせ先を急ぐ。

やぶが突然切れて視界が広がる。
湿原とお花畑だ
これだからやぶこぎは楽しいのだ!
踏み跡は無いのでなるべく湿生植物や花を踏みつけないよう歩く。
遠くに登山道を歩く人々が見え、登山道の方向へ向かう。
途中、化雲岳で縦走コースを行く森パーティーと出会い数日振りの再会を喜び、
一緒にこの日のキャンプ地であるヒサゴ沼へ。


今回のコース選択は自分では大変満足している。
適度な滝あり、温泉あり、やぶこぎあり、お花畑ありで1年生にも満足してもらえたのではないか。
沢の詳しい資料もなく、不安もあったがクワンナイ川のように遡行者が多く、
行列する沢登りでは楽しさも半減だ。
トムラウシ川は自分達だけの静かな沢登りを十分に楽しめた。


8月9日
この日は半日停滞日。
午前中にトムラウシ岳にピストンに出かける。
森パーティーのキンガミ(♀)も誘って行く。
昨日まで沢や藪の中を歩いてきた僕達にとっては、普通の登山道はとても歩きやすく、ガンガン飛ばして歩く。
2時間でトムラウシ山頂に到着。
南テン経由で下り、ヒサゴ沼に戻る。

午後はヒサゴ沼で泳いだり、日光浴をしてくつろぐ。
夕方、天気図をつけると台風が接近中とのこと。
明後日には北海道に直撃するかもしれない。

8月10日
4:30出発。最終目的地である旭岳へ向かう。
「何人たりも我がパーティーの前を歩かせない」我がパーティーは、
次々と他の登山者を追い抜き歩く。
ちなみに森パーティーは、
「何人たりも俺達の後ろを歩かせない」らしい。

忠別岳を越えると、ずっとなだらかで僕達はさらに加速する。
明日には台風が来て、天候が悪化しひどい目にあうことはわかっていたから、
今日中に旭岳を越えて旭岳石室に泊まろうかとも考えていた。
実際、白雲岳避難小屋に着いたのはまだ11時であったので、
この調子で歩けば石室には17時には着くだろう。
しかし1年女子の恭ちゃんの調子が少し悪そうなので、
予定どおり白雲岳でテン張る。

ニュースステーションの取材班が来ており、シマリスの撮影をしていた。
午後はやることもなく、またまたのんびり。


8月11日
朝から小雨と強風。
停滞も考えたが、4時間がんばれば下山できるし、
台風をこの場所でテントでやり過ごすのも嫌だったし、
なによりも、早く下山後のビールを飲みたかった。

しかし風は強く、体を風に寄りかからせながら歩く。
旭岳山頂からの下りが一番辛かった。
強風で砂礫が舞い、顔を直撃する。
内田と恭ちゃんが疲労していた。

9:30ようやく石室に逃げ込む。
ここまで来ると風の直撃はなく雨だけだった。
ロープウェイは強風のため運行中止なので歩く。
しかしこの雨の中を登ってくるハイカーも多い。山頂は大変だよ〜。
ほどなくして下山し、ビールと温泉
ビールが喉に染み渡る。うまい!
旭川までバスに揺られ、ほかの4パーティーと合流して居酒屋で打ち上げして駅寝。
皆さんお疲れ!!
(終)


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