2004年10月29日

カウンタープラン [THE COUNTERPLAN]

Debate Free Portで行われているCode of the Debater和訳プロジェクトの一部、THE COUNTERPLANの和訳です。


カウンタープラン [The Counter Plan]


時に現状は「本当に」最悪のシステムであり、否定側にとってそれを最良の状態と主張するには困難な場合があります。そのような状態で肯定側に有利なシチュエーションとならないように、否定側は自分達のほうから「カウンタープラン(代替政策、Counter Plan)を提示することができます。

つまり、ディベートにおいて否定側は現状を支持するのではなく、肯定側のプランに対してカウンタープランを提示すること他の状態を支持し勝ちを得ることが出来ます。



定義:(一般的に)カウンタープランはNon-topical(訳注:論題に含まれない)であり、肯定側の政策に対して合理的な代替となりうる政策である。

カウンタープランは大体の場合1NCで提示され、否定側がそのラウンドにおいて支持するシステムとなります。そのためカウンタープランは肯定側のプランと同様、具体的な「政策」を持ち、そこで否定側が何がどのように行われるべきかが説明されます。

カウンタープランを提示した後、肯定側のプランと同様にカウンタープランのメリットも評価してもらうため、否定側にはいくつかの義務が課されます。

1.カウンタープランはNon-Topicalでなくてはならない
肯定側のプランが論題内に存在しなくてはならないように(訳注:内をいかにとらえるかは、部分的に入っていればいいのか、入っている部分のみを評価すればいいのか、様々な論点があります)、ほとんどのジャッジは否定側については論題「外」に存在することを求めます。(否定側は結局のところ、論題を「否定」(negate)することを求められている、「肯定」(affirm)することではない。)

  • 一単語もしくは一節(one word or term)Non-Topicalであれば十分である。
  • 多くのジャッジはTopicalなカウンタープランを認める、しかしそれはcompetitive(下参照)な限りにおいてです。なぜなら、それがディベートの論争の場を分割するのに十分だからです。

2.カウンタープランはCompetitive(競合性を持つもの)でなくてはならない。
この概念を考えるにあたり、いくつかの方法があります。

  • カウンタープランは肯定側のプランの「代替」もしくは「代用」となるものでなくてはならない。
  • プランとカウンタープランの両方を取ることと、カウンタープランのみを取ることを比較して、カウンタープランのみ採択するほうがよいとき、プランに対してカウンタープランはCompetitive(競合性を持つもの)である。

カウンタープランがCompetitiveであることを示すために、いくつかの標準的な議論があります。

  • Mutual Exclusivity(相互排他性):
    カウンタープランとプランは共存「しえない」。
  • Net benefits(純益):
    カウンタープランとプランを両方取るより、カウンタープランのみを取るほうがよいこと。これは大体の場合、プランに対しては生じるがカウンタープランに対しては生じないDA(害)を提示することで示されます。

他にもいくつか、弱い、議論があります。

  • Philosophical Competition(哲学・思想的競合性):
    プランとカウンタープランの背景となっている思想・哲学が相反するものであること。しかしもちろん相反する思想は実世界、特に政策立案に携わる人たちの間では全く考慮されておらず、そのためこれが実際に使われることもあまりありません。
  • Topical Competition:
    もしカウンタープランがNon-topicalであれば、肯定側が採択することは出来ない(訳注:肯定側がNon-topicalな政策を採択できると主張することが、たとえプランと組み合わせて採択するという話であってもそもそもみとめられるべきではないということ)。しかし、Competitivenessで検証すべきは「代替性」であって、Topicalであるかいなかではないという理由から考えれば間違えています。
  • Redundancy(冗長性):
    一つを行うことで問題全てが近い将来に解決されるので、両方の政策を行う必要はない。カウンタープランが100%のSolvencyを持たない限りありえません、そしてそのような状態はほとんどないでしょう。

逆に肯定側は、これに対して「Permutation test(順列組み合わせ)」を行い反駁してきます。しかしこれはあくまでテスト、試行でしかありません。ここで肯定側は「両方採択可能である」方法を提案しようとします。もしこれが「両方採択可能であり、両方採択すべきである」ということを証明すれば、否定側はカウンタープランのCompetitivenessを失い、カウンタープランはラウンドにおいて無意味なものとなります。しかし、Permutationはあくまでも両方出来ることを提案しているだけで、その組み合わせ自体の効果は支持していません。以下が一般的に受け入れられているPermutationの種類です。

  • Logical permutation:
    同時に二つの政策を行う。
  • Time permutation:
    どちらか一方を先に行ってから、他方を行う。
  • Partial permutation:
    カウンタープランをプランの範囲外の全てのところで行う。

他にいくつかの、弱い、Permutationの議論もあります。
  • Restructuring permutation:
    カウンタープランと同時採択できるように、プランを大きく変更すること。しかしこれはシフト(主にジャッジの考え方を変更させること)を要します。肯定側は一度政策を提示したわけですから、カウンタープランにどう対応してよいか分からないという理由だけでプランを変更することは認められるべきではないでしょう。
  • Non-topical permutation:
    プランをNon-topicalなものに変更し、同時採択できると主張すること。これも肯定側はディベートで勝つためにおそらくはTopicalでなくてはいけないのでよくありません。

カウンタープランはそれが妥当でない限り、ラウンドの中から脱落することがあります。もしCompetitiveでなければ、それはディシジョンを出す際に意味のないものとなります。否定側はCompetitivenessがないことを認めて、ラウンドからカウンタープランを排除することもあります。

3.カウンタープランはAD(メリット)がなければならない。
言い換えれば、カウンタープランは問題に対処し実施に解決しなくてはいけません。もしくは、採択された後にカウンタープランが別のADを生みだすとか、肯定側のプランでは起こってしまうDAをさけられるなど求められます。それゆえカウンタープランは肯定側のCaseと同様にSignificanceとSolvencyを証明しなくてはいけません。逆に肯定側はカウンタープランは「うまく作用しないから」ADがないと主張することが出来ます。

4.カウンタープランにもDAが生じる。
否定側がプランに対してDAを提示するように、肯定側はカウンタープランに対してDAを提示することが出来ます。

5.カウンタープランはDAと併用すると効果的である。
もしプランに対しては生じるがカウンタープランには「生じない」DAがあれば、それはカウンタープランをNet Benefit Competitiveとします。このようにカウンタープランはプランが提示するADを生み出すと同時に、プランでは得られない別のADを生んだりプランでは生じてしまうDAを回避することがあります。このような複数を統合した戦略はラウンド内ではとても効果的です。


カウンタープランを用いたディベートの例:今夜はなにをしようか?

カウンタープランに関連する議論は複雑で紛らわしいように見えます、しかし他のディベートで用いられている概念と同様、日常生活に当てはめて考えてみるとわかりやすくなります。

肯定側:「今夜我々は映画に行くべきだ」これが彼らのプランとなります。

否定側:「映画には行かずディナーを食べに行くべきだ」これが否定側カウンタープランとなります。

肯定側:「ディナーも映画も両方出来る、ディナーに行ってから映画に行けばよい(Logical permutation)からCompetitiveでない」

否定側:「両方するお金がない(Net benefit competition)、また映画とディナーが同時刻に行われるから無理(Mutual exclusivity competition)だから同時採択すべきでない(Logical permutation)」

肯定側:「映画もディナー両方行ける十分なお金があり(カウンタープランのみを行うことはNet beneficialでない)、ディナーに行ってから深夜に行われる上映に行けばいい(Time permutation)」

否定側:「映画自体が人種差別、性差別に満ちた最悪の映画である」映画自体に行くことのDAを説明します(プランに対するDAを提示することでNet benefitの議論として作用する)。


カウンタープランへの対応の仕方

肯定側のプランに勝つためにカウンタープランは満たすべき条件があります、そこで肯定側はその条件をカウンタープランは満たしていないと示すことが求められます。肯定側の議論はカウンタープランの不備を明らかにし、カウンタープランがなぜよい提案ではないのかということを示さなくてはなりません。

1.カウンタープランはTopicalである。

肯定側はまずカウンタープランがNon-topicalであるかしっかりと確認しましょう。もしカウンタープランがTopicalであれば、論題を守る義務は肯定側のみにあるので、そのカウンタープランは受け入れられるべきではありません、否定側はその論題の外であればなんでも選んでよいのですから。

2.カウンタープランはCompetitiveでない
次に、カウンタープランはプランに対してCompertitiveでない、競合性を持っていないと肯定側は主張しましょう。もしプランかカウンタープランのどちらかしか選べないというのでなけば、カウンタープランは「肯定側のCaseに反対する理由にはなりえません」。このことを証明するために、肯定側は三種類の方法があります。

A.Mutually Exclusiveでないことを示す。同時に採択「可能」であることを示す。

B.Net beneficialでないことを示す。同時に採択「すべき」であることを示す。

C.Permutationを提案する:Permutationはカウンタープランに対する肯定側の必殺技です。Permutationによってプラン全体とカウンタープランの一部を組み合わせることで、プランを排除せずにカウンタープランによってえられるADも得られると証明できます。

上に示したように、Permutaitonに様々な種類があり、それらを適宜使い分けることが重要です。

3.Solvency

肯定側はカウンタープランが何も解決しないと主張することも出来ます。そこで肯定側は肯定側が提示しているADをカウンタープランは本当に得られるのか、カウンタープラン固有のADは何か、そしてDAを避けるのかという三点について注意しましょう。

4.DA

カウンタープランは肯定側のプランと同様に、DAが生じることがあります。そこで肯定側はカウンタープランを採択すればプランでは生じない何か悪いことが発生すると議論することが出来ます。

jun_beko at 21:43│Comments(7)TrackBack(0) debate 

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この記事へのコメント

1. Posted by せき   2004年10月30日 20:58
お疲れ様です!さっそくリンクしました。
Philosophical Competitionっていう発想は面白いと思います(やっぱり立たなさそうですけど)。「多くのジャッジはTopicalなカウンタープランを認める」ってのは意外です。

論題「俺達は飯を食うべきだ」
Aff「うどんを食おう」
Neg「そばを食おう」

でもOKなんですかね。アメリカではPlan Focusが主流なんでしょうか。。。
2. Posted by べこ   2004年10月31日 02:40
Philosophical CompetitionはResumeで知っていて、おれは逆に結構肯定的なんだよね。
ここでは政策立案者は考慮しないと書いているけど、だけどそれは複数法案(事項)にまたがったときであって、一つのことに関してはやはり目的があるわけだから、そこで統一されていると思うんだよね。
一つのことに関して矛盾するものは同時には取られることはなく、前のことを改正するからこれはPermutationの議論に収束するだろうし。でも、それも何か理由があってスタンスの変更をするわけだろうから、そこで今度は争えばいい。

Topical-CPはそうだねぇ、おれもびっくり。なんかRezを否定しているのか理解できない。今は大体の人はRezは機能をRound中保持しているしねぇ。
3. Posted by issei   2004年11月03日 18:10
もしかしたら、初コメントかも。

Topical Counterplanについて、桑ちゃんから聞きかじった話だけど、
USだとResolutionの範囲が広すぎて、普通にやってるとNEGが勝てなくなるので、
どうにかFairnessを保てないか、ってな背景があってのことらしい。

ちょうどAFFが与党、NEGが野党として、AFFが消費税3%って出したのに対して、
NEGが消費税5%ってやるのがありだから、みたいな感じ?
まあ、Resolutionが思いっきりFunctionを失ってる感じですな。
4. Posted by べこ   2004年11月03日 23:46
お、初コメかもしれないねぇ。いらっさーい☆
まぁ、多分プランをだす責任っていうのをより深く(極端に)考えて、その中で最上のものを出す責任があるって考えているのだろうと思うんだけど。REZよりもAFF・NEGの責務に重きを置いている感じかなぁとおもう。

5. Posted by CAP   2004年11月04日 23:57
TCPについて、アメリカでは日本と異なる考え方が主流になっているのは確かみたいです。

.▲瓮螢だと論題が広すぎて、(ケースが200ぐらいあったりする)Negのプレパが正直しんどいのでTCPを認めている背景は実際あるようです。

ただTCP、Kritikを認めていても、論題が広い分AFFの方が勝率が高い傾向にあります。

△修谿幣紊TCPが広く認められているのは、それが1)教育的であり、2)ゲーム的に面白くなるからだそうです。

1)に関しては、現実世界で、Best Policyを決めるときに重要な政策決定は、Aをすべきなのか?(通常のRezはAをすることの是非を問う)ということではなくて、Aをどのようにすべきか?(AをするというTopicalなプランの比べあい)ということが問題になります。

例えば今世間をにぎわせている年金制度改革も、年金制度を改革すべきか?という話よりは、年金制度をどのように改革するのが良いのか?という議論が焦点になっていますよね。
このように実際の政策決定をより反映させることが可能になるから良いと思われているようです。

2)に関していえば、こちらの理由でTCPを指示する人も多いようです。TCPを認めてみたら、その分様々な議論やクラッシュが増え、それでディベートが面白くなったという背景があるようです。
Negに対しては当然TCPをAbuseしたような議論(育児休暇3週間に対し、3週間+一日といったもの)は認められていないようです。


所で、TCPを認めている場合もRezはそれなりにFunctionをしていて、AFFが選ぶことのできる政策の範囲を絞るという役目を果たしているそうです。(Plan focusのGuide lineと呼ばれる考え方。Rezはお題を決めたティッシュの箱で、Affがそこから一枚ティッシュ=プランを取り出したら、ティッシュの箱は消える。)
 
もっとも、Rezの下でディベートする必要は無いからTはVoterではないという議論(Kritik?)も存在するようですが。

6. Posted by べこ   2004年11月05日 21:12
CAPも初登場だ!

たしかに去年の後期、炭素税を思うと論題が広くなったときにNEGにとってGenericに対応できるIssueがないときついよねぇ。
後期の場合、それでもまぁ5個ぐらいだろうけど、おまけに変なPlanはやはりTである程度殺せたけど、それに対して根本的にRezが広いと対応の仕様がないからね。

Rezの下でディベートする必要がないなら、どうやって肯定否定を決めるのだろうか??Resolved: That ○○ should not ...っていうのも「動議」の一つであるわけで。謎じゃ...
7. Posted by べこ   2004年11月15日 23:03
※最初記事投稿しようと思ったものの、CPでまとめたほうがわかりやすいかなぁと思ったので。

All Japan、全国予選でパッチとりで自分の記憶の中では始めてNational Refarendumを見た。どうやってNon-Tの議論をするのかとちょっと興味深く見させてもらったのだが...やっぱり自分にはどうしてNon-Tなのか、わからない。
時系列にそって考えてみよう。

々駝荏挙
これはNon-Tでしょう。政策を可決したのは政府(国会)ではなく、国民。
でも...
<b>「決定しただけじゃADは生まれません」=「Non-Tな段階ではCaptureしていない、教育効果が生まれるだけ」</b>
Resolved: That the Japanese people should decide...が肯定されただけで、政策を実行するということは選挙だけじゃされません。

∪策の実行
じゃぁ、次は実行するとしましょう。国民だけで実行できるか?どうやって実行するのかわかりません。結局何かしらの形で法制化することが必要、その時点で政府がかかわってきます。
Fiatという点で考えれば、あれは「議会を通過してPlanが実行されると仮定しましょう」という話。要素は二つで
・議会を通過する
・実行される=法制化される
というもの。だって議会通過するだけじゃ社会に変化はおきない。この両者で政府がかかわるが、国民選挙も後者は共通。結局政府がするという点に絡むのだから、Non-Tにはなりえないのではないだろうか?

こんどはLogicで考えてみよう。

Mandate的側面
a)選挙実施
b)可決したらPlanと同様の政策を実行(つまり、ここにPlanのMandateを全て「代入」)
PlanのMandateが全て実行されればRezは肯定される(Topicalであると仮定する限り)のだから、結局CPが全て実行された状態であればRezは肯定される=Rezの機能を残すジャッジである限りAFFにVoteではないのだろうか?

△發靴修譴任Non-Tなら...
だれが政策を決めるかというのがNon-Tかを決める争点ということ。だったらPermuteすればいいのでは?
・CPは「国民が選挙して決める」
・AFFは「選挙」のMandateだけPermuteして、選挙で過半数が承認すればそれを国会で通す、という風にすればいい
最終決定を下すのは国会(政府)だからTopical。教育系のADをCaptureできる、あとは二回審議するからよりいろいろな声を反映した政策を実施できるとかそういう話があればRedundancyにも負けない。

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