2004年11月02日

トピカリティ [THE TOPICALITY ARGUMENT]

Debate Free Portで行われているCode of the Debater和訳プロジェクトの一部、THE TOPICALITY ARGUMENTの和訳です。


トピカリティ[THE TOPICALITY ARGUMENT]


トピカリティって?

ディベートは良い政策を議論するための場です、そしてその政策のキーワードを知らずには良い政策を得ることはできません。いくつかの言葉は定義することが大変難しく、それ自体に関して様々なディベートが行われています。例えばどうやって「良い」「悪い」を定義すればいいのでしょうか?あなたの両親との会話を考えれば、この概念は理解しやすいでしょう。例えば、もし両親が「適切な時間に」帰ってきなさいと言った時、もしあなたが午前2時に帰ればそれは怒られてしまうでしょう。それに対して「でも、これは適切な時間だよ、僕の友達はみんな4時まで遊んでいるもん」とあなたが答えたらどうなるでしょう?無論、あなたの両親は感心せずに「適切とは、真夜中12時ぴったりを言うの」と言うでしょう。でも、あなたはどうすれば「適切」が何を意味するか理解できたのでしょうか?トピカリティはこのように、言葉がどういう意味をもつかということを議論します。

高校の政策ディベートでは毎年違う論題が与えられ、そしてその論題の一般的な見解を支持する具体的な政策(プラン)を提示することが肯定側の責務です。ここでもし肯定側の政策がとても良いものですが論題を肯定しなければどうなるでしょう?例えば肯定側はアメリカで飢え死にしそうな全ての子供に食事を与える、と一見素晴らしいプランを提示したとしましょう。しかし、論題が学校をよりよくすべき、というものだったらどうでしょう?プラン自体は素晴らしいものです、しかし論題を肯定していません。それゆえ、否定側はプランが「Topicalでない」と主張してくるでしょう。このような議論は時としてDAよりも強力な議論となります。

例えば高校の歴史の先生が南北戦争に関するレポート課題を出したとします。しかしもしあなたがベトナム戦争に関するレポートを出せば、先生はおそらくあなたの課題が課されたものを行っていないということで「落第」を付けるでしょう。このように、肯定側は自分達がやりたくなくても論題に関するCaseを提出する義務があり、それを行わなければラウンドでは「敗者」となります。しかし、大体の場合、ことはここまで単純なものではありません。あなたは先生に自分のレポートがベトナム戦争がなぜ南北戦争と同様のものであり他の事例から重要なことを学べるということを記したものである、というかもしれません。このように一見論題に関係ないように見える肯定側のCaseもしばしば論題と関係したものになる理由が存在するのです。

トピカリティを理解する別の方法としては、論題を「契約」としてとらえることです。プロスポーツ選手はもし給料がほしければその契約に見合う活躍をしなくてはならないことを知っています。そしてもしそれに違反すれば、一切お金をもらえないこともあります。肯定側は勝つためには論題の全ての部分、全ての契約にミート(適合、対応)しなくてはなりません。もし否定側が論題の一部にでもミートしていないことを証明すれば、つまり契約を満たしていないと証明すれば、それだけで肯定側を打ち負かすことができるのです。

定義に関する議論

もちろんほとんどのプランは十分トピカル(訳注:論題に適合している、論題内に存在している、論題の全ての言葉を満たしている)に最初は見えます。しかし、他の定義を探せば簡単にプランと矛盾する定義を探すことができます。例えば、論題がアフリカへの援助を増やそう(we should increase aid to African nations)だったらどうなるでしょうか?肯定側はエジプトへの援助を増やすというプランを提示するかもしれません。多くの専門家は「違う」というかもしれませんが、しかしエジプト文化は「アフリカではなく中東のもの」とする見方もあります。言葉が何を意味するかということに関して正解はありません、しかしどちらの定義が選りすぐれているか、という議論をすることは可能です。

トピカリティで勝つために

トピカリティは否定側が十分な反駁を行えるチャンスを保障するために肯定側の議論の範囲を「制限」するために存在しています。もし肯定側がどんなことでも話すことができれば、否定側がプレパレーションはできません。そこで否定側はトピカリティがVoting Issueである、と主張します。つまり、プランが論題を肯定していないことを証明すれば肯定側を敗者とすべきであるということです。定義についてはなすことでディベートの試合を勝つことができるというわけです。

たとえ試合のどんな議論で勝っていても、トピカリティが成立すれば肯定側は負けてしまうのでこれは非常に強力な武器となります。なぜなら、もしプランが論題の一例となっていなければ、論題がよいものである、論題を肯定すべきであるという理由にはなっていないのですから。そのような状態になれば裁判官が証拠を訴訟の争点に関係がない(irrelevant)と除外するのと同様に、ジャッジは肯定側の全ての議論を無視することができます。これは「Jurisdiction(管轄権)」と呼ばれ、トピカルでないプランはジャッジの管轄にはないため、それにボートすることができない、ということです。


トピカリティを作成しよう

トピカリティはDAと同様、試合前に準備しておくことができます。一般に、以下のようなフォーマットを持っています。

A) Definition(定義)

論題の中の重要な単語(節)を定義するエビデンス

B) Violation(違反内容)

プランが論題によって表されているアクションの一例ではないという説明。否定側の定義にどう違反しているか、ということを説明する。

C) Reasons to Prefer the Negative Definition(否定側の定義を採用すべき理由)

他の議論されている定義より否定側の定義を採択するほうがラウンドにとって良いという理由。もし肯定側が他の定義を出してきたときに、なぜ否定側のを選ぶべきかという理由。

D) Voting Issue

トピカリティが立てば肯定側が負けるべき理由。Jurisdiction(管轄権)とDebatability(ディベートが可能か)という二つの理由が核となっています。

Jurisdictionはもしプランが論題の一部でなければそれにボートしてはならないということです。Debatabilityはもし論題の制限に肯定側が束縛されないのであれば、否定側にディベートを公平にできる機会がないというものです。

否定側の定義を採用すべき理由

否定側が自分達の定義がベストであるということを証明するために基本的に二つの議論があります:Standards(スタンダード、基準)とSpecific Arguments(特化した議論)です。


Standards(スタンダード)

スタンダードは定義について議論する際に一般的に使われる議論です。これは「一般的に」どのような定義がベストであるかということを争うものです。例えば、否定側はよく明確な境界を引ける定義がベストだと主張します。これは定義によって何がトピカルであり、トピカルでないかが明白になるということです。例えば「apple」の定義を探したいときに「フルーツ」という定義はそれを満たしていません。なぜなら他のフルーツとリンゴの明確な違いを定義していないからです。ここで重要なのは他のフルーツとリンゴを区別できる定義、ということになります。これ以外にもスタンダードはいくらでも作ることが可能です。

Specific Arguments(特化した議論)

これは論題の文脈の中、もしくはディベートラウンドにおける否定側の定義についてです。例えば論題がなにかコンピュータに関するものであれば「apple」は「フルーツ」ではなく「特定のコンピュータブランド」と主張するでしょう。なぜなら、論題内の他の語により特化しているからです。

また、文法に関する議論もこれに含まれます。たとえば、単語は時として名詞にも動詞にもなります。Specific Argumentsは論題のある単語が動詞としてではなく名詞として使われているから特定の方法で定義されるべきだというような議論をここで行います。これもスタンダード同様、いくらでも作ることができます。

注意すべきこと:トピカリティで勝つためには、否定側は
  • 否定側の定義が優れている
  • 肯定側のプランがその定義にミートしていない

ということを証明しなくてはなりません。

トピカリティへの反駁

慌てる必要はありません。否定側が作ったからといって、それが真実とみなしてはいけません。実際に、否定側がトピカリティの議論で勝つのは難しく、肯定側の議論が勝つことが多いです。しかし油断してはいけません、注しなければ勝てたはずの試合を落とす羽目になってしまいますよ。

肯定側の反駁のコツ

1.トピカリティを意識してプランを作成すること。ケースを作成する際にもちろん戦略的に色々なことを考慮すると思います。これらのほとんどはCaseで問題としていることをいかにして解決するかという観点で行われ、最も問題を解決する政策を探そうとします。これと同様に、論題の明確な例となるような政策を探しましょう。プランは論題に求められているようなアクションを本当にするものでしょうか?論題にでてくるできる限り多くの単語を使ってプランを作成しましょう。

2.論題内の単語に関してリサーチすること。否定側は論題内の単語の多くの定義をリサーチします。肯定側も同様にリサーチしましょう、そしてプランが行うアクションを明確に含む定義を探しましょう。それができなければ最も範囲が広い(訳注:特定のものではなく、全般的な内容を定義しているような)単語を探しましょう。
3.「文脈的な」エビデンスをリサーチしましょう。ほとんどの人は肯定側が提示できるプランを適当な個数・範囲に制限するためにトピカリティはあると考えています。もし論題の単語とプランが提示する政策が同じ文章や段落内に記述されているようなエビデンスがあれば、それを提示することでケースを論題に対して適切なものであると説明することができます。(訳注:たとえば○○という単語が論題にあり△△するというプランを提出するときに、○○とは△△することである、というような法律の条文を用いるようなやり方)

4.注意すべきこと:ADはプランをトピカルにはしてくれません。トピカリティは「プランが何をやるか」という点に関して注目します。ADが論題について話しているということは決してプラン自体を正当化してくれません。プランを確実にトピカルにしましょう。(訳注:これに関してはSolvencyにフォーカスするというものもあるそうです。くわしくは同志社のHPのRova's cournerのレジュメに!)

5.事前にトピカリティに対する反駁を用意しておきましょう。大会前に自分のプランに対して想定できるトピカリティとそれに対する反駁、カウンターデフィニションを用意しておきましょう。


トピカリティへの一般的な反駁方法

1.カウンターデフィニション。否定側はプランをノントピカルとするような定義を提示してきます。それに対して「カウンターデフィニション」、プランをトピカルとする同じ単語の違う定義を提出しましょう。カウンターデフィニションを出したら、必ずなぜその定義が否定側の定義よりも良いものなのかも説明しましょう。

2.文脈的なエビデンス。論題に関する文献から引っ張ってきたプランと論題内の単語を結びつけるエビデンスを示すことで、プランがトピカルとなる補助となります。

3.「We meet!」と叫ぶこと!否定側の定義は大体の場合相手が主張するほどのExclusivity(プランを排除すること)は持っていません。相手が出してきた定義にもミートできるような理由を考えましょう。つまり否定側の定義が自分達のプランを排除しているのではなく、含んでいるという理由を考えることです。

4.乱用ではないことを示す。否定側はプランは(肯定側の権利の)乱用だと主張します、もしジャッジがそのプランをトピカルであると認めるのであればいくつもの他のプランもトピカルになり、それは否定側に過大な負担を与える「乱用的な」プランであるというわけです。肯定側はこれに対して、以下によって乱用をチェック、防止することができると主張します。

A)Literature checks(文献からのチェック)。肯定側は自分達のプランはその論題に関する文献から取ってきたエビデンスに基づいているからリーズナブル(合理的、適切)であると主張しましょう。つまり、論題の争点となる部分全般をCaseは扱っているからジャッジは必要以上にトピカリティに過敏になるべきでないと主張するのです。

B)Other words check(論題内の他の単語のチェック)。論題は様々な単語から構成されています。肯定側はよくプランは全ての異なる単語の例となっていなくてはいけないので、そのうちの一つに違反していることはそこまで大きな問題ではないと主張します。もしプランが一語を除いて他全てにミートしているならば、それは論題の全般的なことについて扱っているととらえることができる、というわけです。

C)Solvency checks(解決性のチェック)。肯定側はケースで明らかにされた問題をプランが解決できるということを証明しなくてはいけません。そこで、その定義を認めたとこでトピカルになる他のプランのほとんどは深刻な問題を何も解決しないので否定側の負担を過大なものとはしないと主張できます(訳注:つまりトピカルであるプランは増えても、ディベートで実際に使えるプランは100個とかは増えないから、根拠となっている「過大な負担」は生じない→だから認めても良いでしょということ)。

5.カウンタースタンダード。トピカリティは何かしらのスタンダードに基づいてジャッジは判断を下すと否定側は考えます。そこで肯定側も独自のスタンダードを考えるべきです。最も一般的な肯定側のスタンダードは「Reasonability(合理性)」、もしくは「Debatability(ディベートが可能か)」として知られているものです。肯定側はプランが十分合理的であればジャッジはトピカリティを無視すべきだと主張します。そのために肯定側はプランがなぜ合理的であるかという理由を説明しなくてはなりません。これらの理由は「もし否定側がケースに対してエビデンスを持っていれば、もし否定側が公平にディベートを行うことさえできれば、プランは合理的にトピカルである」というようなものも含まれるかもしれません。リーズナビリティで肝心なことは、それによってジャッジは二つの議論されている定義のうちのより良いほうから選んで判断するのではなく、否定側の領域を普病ナまでに侵害しているかという点で判断するようになるという点です。

6.トピカリティがボートの理由とならないこと。ほとんどのディベータはトピカリティがボーティングイシュー、つまり成立すればそれだけで否定側が勝てると習っています。しかし全員がこれに同意しているわけではありません。いくつか、トピカリティを考慮すべきでないという一般的な肯定側の議論の例を見てみましょう。

A)Language is indeterminate(言語はあいまいなものである)。本当に「最良の」定義などというものはあるのでしょうか?究極的には私達がなにかを表現するときに使う言語というものは厳格なものではありません。暴投に記述した若者にとっての「適切な時間」の例を考えれば、正解はないということが分かります。このように言語は曖昧だからこそ、肯定側の多くはラウンドを定義で争って決めることは不平等だと主張します。また、意味というのは単語ではなく人々の中から見つかるものです(訳注:おそらく、辞書のなかでの内容ではなく実際の使用の中から意味というのは決定されていく、という意味だと思います)。

B) Topicality is not"real world."(トピカリティは「実世界」ではない)。多くのトピカリティの議論はディベートラウンドが裁判のようなものであるという前提に基づいています。裁判においては証拠が厳格な定義(訳注:その裁判のケースにあてはまるかどうか、という意味での「定義」だと思います)を満たしていなければ、裁判官はそれを無効なものとすることができます。その一方で多くの人はディベートは裁判よりも立法府に近いものと考えています。例えば議会のような立法府では重要である限りにおいて代議士たちはどのようなことでも自由に議論できます。このような政策立案の「実世界」での要件をトピカリティは反映していないと多くの肯定側は主張しています。

C) Topicality silences important voices(トピカリティは重要な意見を無効化するものである)。重要な意見であってもそれが一般には受け入れられていないために政策立案者に届かないことがしばしばあります。このような重要な意見に不明瞭な規則や手続きを用いて耳を傾けることを回避します。時として肯定側はトピカリティも同様で重要なことが議論されることを妨害している意味のない手続きであると訴えます。この主張を成立させるためにはプランの重要性を表しているエビデンスを用いることが効果的です。



jun_beko at 00:41│Comments(0)TrackBack(0) debate 

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