2005年08月11日

アバウト・シュミット


アバウト・シュミット

ネブラスカ州オマハ。保険会社で部長代理を務め上げたウォーレン・シュミットは、このほど66歳を迎え定年退職することになった。しかし、仕事が全てだった彼にとっては毎日の生活がむなしくてしょうがない。そればかりか娘のジーニーはランドールという男と結婚をするとの一点張り。すっかりストレス漬けの毎日を送る彼に、ある日突然の不幸が追い討ちを掛ける。それは、妻であるヘレンの死だった。残された彼は、娘の結婚をなんとか考え直させようとするのだが…。

ウォーレン(ジャック・ニコルソン)は後任に自分のイスを譲り寂しげに会社を後にした。親友は彼へ“豊かさに満ちた男”と今までの栄光を称えたが、思えば男の夢は少し道を違えていた。自分の会社を持ち経済誌の表紙を飾るのが彼の夢のはずが、実際は今の会社の週報が関の山だったのだ。いざ始まった第二の人生も、そこに彼が抱えた喪失感を埋めてくれるものはなかった。そして彼が考えることといえば、リスク計算で自分の死期を予測し悲観に暮れることぐらいだ。妻も失い、次は愛娘のジーニーを素性の知れない男に取られてしまう。不安に苛まれたウォーレンはあわよくば娘の結婚を止めさせようと、キャンピングカーで娘の居るデンバーへと向かうのだった。

仕事を唯一の拠り所とし生きてきたウォーレン。彼は「私を理解してくれ」と口にするけど、一方で決して他人を理解しようとしない。それはジグソーパズルに紛れ込んだ別のピースのようで、それでも何故自分がはまらないのか解らなくて憤慨するばかり。要領が悪くて、はた迷惑な行動の連続。そんな主人公をジャック・ニコルソンが演じ、傲慢とも映る男にどこか憎みきれない魅力を与えている。ラストでの笑顔と涙。それは決して自分への皮肉じゃなかった。人生にはそんな笑いがあっていいと思う。

<ABOUT SCHMIDT 2002年 アメリカ 125分>
監督:アレクサンダー・ペイン
出演:ジャック・ニコルソン 、キャシー・ベイツ 、ホープ・デイヴィス 、ダーモット・マローニー 、ハワード・ヘッセマン ほか


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こんばんは。 少し曇り気味の日曜日です。 今日もビデオで観た映画について。 『アバウト・シュミット(ABOUT SCHMIDT)』 (‘02年 アメリカ) アメリカ中西部 ネブラスカ州オマハ、一流の保険会社 ウッドメンを部長代理で定年退職した66歳のウォーレン・シュ...
金ではない真の豊かさを手にできるのだ〜映画「アバウト・シュミット」【** Paradise Garage **】at 2005年08月31日 13:25
この記事へのコメント
こんにちは。
コメントはお久しぶりですが、Jun様 ブログの記事はいつも楽しみに拝見させて頂いています。
コメント&トラックバック、失礼致します。

この『アバウト・シュミット』は、前から気になっていた映画で、最近やっと鑑賞しました。
監督を務めた アレクサンダー・ペイン氏の他作品はまだ観ておりませんが、少し地味な物語りながら語り口と上手な映像の見せ方とがとても良かったです。。
そして、ウォーレン・シュミットさんの環境の変化に戸惑いながらもほんの少しづつ廻りの事を受け入れていく経過をジャック・ニコルソンさんが自然に演じていたと思います。

また遊びに来させて頂きます。
改めて、今度共よろしくお願い致します。
ではまた。
Posted by たろ at 2005年08月31日 13:23
たろさん、こんにちは。
記事を読んで頂いてありがとうございます。

私は同監督の『サイドウェイ』を先月観ましたが、
『アバウト・シュミット』のほうが好きですね。
じんわりくる感じがよいです。
ワイン好きには『サイドウェイ』もたまらないと思います。

ジャック・ニコルソンはあの怒ったような顔が
なんだかかわいらしいですよね。
Posted by Jun at 2005年08月31日 17:44